トライ×ライブ! ~Rainbow Generations~   作:がじゃまる

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件の発表から1週間ほど経ちましたね

正直まだ自分も受け止め切れていない部分もあり、少なからず不安もありますが、今は一人のせつ菜推しとしてあの人が描く大好きを楽しんでいきたいです

「昨日や明日のことで悩んでたら、楽しい今が過ぎちゃうよ」、なんてエマさんも言ってましたしね。どうせ泣くなら今くらいは楽しんでいきましょう


33話 輪舞曲(ロンド)を掻き鳴らせ 前編

 

 

「ふ……あぁ……」

 

カーテンの切れ間から差し込む陽光を感じ取った肉体は底に沈んでいた意識を表層へと起き上げる。瞳を開いた視界が始めに捉えたのは卯の刻に差し掛かる前の時計の針だった。設定した目覚ましの時刻を大幅にフライングした自分に溜息をつく。

 

「……もうすっかり癖になってるなぁ」

 

今日は予定があるとはいえ休日だ。高校の始業時刻に間に合わせる必要がないため早起きする理由もないのだが、鎌倉から東京に通学する生活を始めて早数か月。最早身体に染み付いてしまっているらしい。

 

だがまあ前向きに捉えるとしよう。早起きは三文の得だと言うし、それに乙女の身支度に掛ける時間などいくらあっても足りないはずだ……などと思考を˝ありがちな˝それへと切り替えてベッドから降り立った。

 

「わふっ」

 

「おはようオフィーリア。ごめんね、起こしちゃった?」

 

今日は何を着て行こうかとクローゼットを開いた折、不意に足元に覚えた温もりと擽ったいような感覚に視線を落とせば擦り寄ってくる愛犬の姿があった。口元にはリードが咥えられていた。こうやって甘えてくる理由はいつだって一つだ。

 

「お散歩? いいよ、行こっか」

 

幸い時間には余裕がある。服装は大親友とお散歩しながらゆっくりと決めよう。

そうと決まれば善は急げだ。手早く練習用のジャージへ袖を通し、必要な用具を纏めたポーチを腰から下げる。

 

「ねえねえオフィーリア。私ね、今日同好会の皆と遊びに行くんだ」

 

声を弾ませつつ、ほんの少しの不安を混ぜて語り掛ける。

けど如何に家族であり大親友でも、種族が違えば言葉は通じない。ただ早く、早くとせがむ瞳が輝くだけだった。

 

そんな純朴な表情を見ていると、こんなことで悩んでいる自分もどこかへと行ってしまう。そうだ、きっと何も心配することはない。

 

「……楽しい日になるよね、きっと」

 

「わふっ」

 

返ってきた鳴き声に背を押されるようにして玄関の戸を開く。

 

まだ高い位置にある太陽が差し降ろす光に目を細めつつ、桜坂しずくは今日という一日へと想いを馳せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「隙ありっ! そこだぁ!」

 

「ああ愛先輩ちょっとまっ……ああぁぁぁ!」

 

閃光と電子音の洪水の中、それを上回る悲鳴が反響する。

同時に上がったのはかこん、と何かが落下する音と、少し間抜けた勝利を告げる音色。このエアホッケーにおいてゲームの終了を告げるものだった。

 

「うぅ~……愛先輩強すぎですって……ストレート負けするなんて……」

 

「たまに友達とやってるからね、この手のゲームは愛さん得意だよ!」

 

同好会の皆で親睦を深めよう。そんな愛の提案の元集まったのはゲームセンターだった。本来の目的は別所にあるアトラクション施設なのだが、予約した時間までにまだ余裕があるということでここで暇を潰している次第だ。

 

「うぅ~……しず子~」

 

「こればっかりは仕方ないんじゃないかなぁ……かすみさんは頑張ったよ」

 

くじ引きでペアを決めてのチーム戦、だったのだが侑と組んだかすみの相手は部室棟のヒーローと称されるまでの愛と、小柄とは言え男の子である耀。華奢の見本のような二人が敵うはずもなく、見ての通りボコボコにされて終わったのだった。

 

「愛先輩に隠れてはいたけど、耀さんも上手だったよね。よく来てるの?」

 

「愛さんと知り合ってからはたまにね。でも基本的には璃奈ちゃんとクレームゲームとかレースゲームすることが多いから、こういうのは新鮮」

 

しずくも放課後はかすみに連れ回されることはあるが、大抵はショッピングや買い食いに費やされるためこのようなゲームセンターに足を運ぶのは新鮮な気分だった。

 

五感に殺到してくる目に痛いケミカルな光や安っぽい電子音には少々の高揚感すら覚える。これまで作品を通してでしか触れることはなかったが、実際に踏み入れてみれば中々に興味深いものだ。

 

「そろそろいい時間だし、ぱぱっと最終戦やっちゃおっか。りなりー、あとやってないのって誰?」

 

「しずくちゃんだけ。余った枠は他の人の中からランダムに割り振って……こう」

 

璃奈のお手製だという抽選アプリが割り出した結果に、一瞬だけ顔を顰めた。しずくのペアがかすみだというのは別にいい。むしろ慣れ親しんでいる分有難いくらいだ。

 

だが問題は相手のペア。片割れである雄牙は、この同好会でしずくが最も苦手意識を持っている相手だったのだから。

 

「ふっふっふ……さっきは相手が相手だったので負けてしまいましたが今度はそうもいきませんよ! せつ菜先輩、お覚悟です!」

 

「私だって負けませんよ! 瀬良さん、頑張りましょう!」

 

「……一応後輩相手だってことは忘れんなよ」

 

別に悪い人ではないのはわかっている。人相だって同じ同好会の先輩である昂貴に比べれば遥かに良いし、むしろ可愛げさえある。せつ菜を復帰させた張本人とも考えればある意味しずくにとっても恩人であるはずだ。

 

だが初対面の印象がそれを許さなかった。しずくの不注意もあったとはいえ、下着姿を見られた上に面と向かって痴女だなんだのと言われたのは流石に傷付く。もう一月近く前の話だが、それが未だに尾を引いていた。

 

「……なんか不満か?」

 

「……いえ」

 

それに、何だろうかこの違和感は。

この人と目を合わせる度に感じる、何かが違うという感覚。それがしずくの心に存在する緊迫の糸を強く結んで離さなかった。

 

「それじゃあいきますよー!」

 

そんなしずくの心中など露知らず、負けの払拭に燃えるかすみの号令に続いてゲーム開始のブザーが鳴る。そうだ。今は目の前のこと。かすみの為にもゲームに集中しよう。

 

かこんと最初に円盤パックが落ちてきたのはしずく達の陣地。これまで試合を見てきた限りではエアホッケーは先制で攻撃を仕掛けた方が有利になる傾向がある。それならば速攻あるのみだ。

 

「プリティーかすみん☆シュートぉ!」

 

あまり豊富とは言えない語彙力と共に、無駄の多い動作で放たれたシュートが相手陣地のゴールへと迫る。わかってはいたが彼女にとって最重要なのは自分を可愛く見せることらしい。

 

だがまあそれでも悪くはないシュートのはずだ。ある程度の威力さえ出ていれば相手は弾くしかないというのも先程までのゲームでわかっている。ここは冷静に返ってきたパックを———、

 

 

 

ガコンッ

 

 

 

などと目論んでいた考えは一瞬にして打ち砕かれる。

 

「え……?」

 

派手な衝突音と同時に上がったのは失点を告げる音。雄牙の放った超速のダイレクトシュートが自陣のゴールをぶち抜いたと認識したのは少し遅れてからだった。

 

「ちょ……先輩! かすみん達女の子ですよ!? 男の人に本気出されて勝てる訳ないじゃないですか!」

 

「ごめんなんかイラっと来た」

 

「ちょっとぉ!?」

 

一拍遅れてかすみが非難の声を上げる。周りからも笑い混じりの叱責が向けられ、雄牙も居心地が悪そうに頭を掻いていた。

 

どうにも彼はかすみの振る舞いが気に入らないらしく、可愛い子ぶる彼女に対して辛辣に当たるなどは常の事。今回も反射的に力が入ってしまったらしい。

 

まあかすみのキャラが変わり者であることは確かだし、現に他のメンバーも扱いに困っている場面が多々あるため一概に雄牙に原因がある訳ではないのだろうが……、

 

「おっほん、それでは気を取り直して……とりゃ!」

 

ゲーム的にも精神的にも手痛い反撃を避けたのか、今度は特別何かをすることもなく放たれたショットが雄牙達へと向かう。

 

「甘いですよ! せつ菜スカーレットストームッ!」

 

そして後輩相手であることを忘れないとは何だったのか。全力全開でパックを打ち返したせつ菜の一撃が疾走する。

 

当然そんなものに反応出来るはずもない。容易く自分達の防御網を突破したパックは僅かにゴールを逸れたもののそのままフェンスに反射され、またも先輩方の手元へと戻ってしまう。

 

しかも順番的に、次のシューターは雄牙だ。

 

「しず子任せた!」

 

かすみの声が聞こえる。大丈夫だ。やってやれないことはない。

 

先の件もあってか今度の雄牙のシュートに力はない。これならば経験のないしずくでも簡単に打ち返せるはずだ。

 

「決めます! そこで———ふぎゃっ!?」

 

「しず子ぉっ!?」

 

打ち返せるはずだった。

 

打ち返せるはずだったのにマレットに触れたパックは真上へと浮かび上がり、何故だか勢いを増してしずくの顔面にダイブ。不意の一撃を貰った身体は情けなくも後方へと倒れ込むのだった。

 

「ちょぉぉっと先輩! なんなんですかさっきからぁ!」

 

「今のは俺が悪いのか!?」

 

「だ、大丈夫だよかすみさん……」

 

軽く痛む、恐らくだが赤くなっているだろう着弾ヶ所を擦りながらかすみを宥める。

 

昔から常々球技が苦手だとは思っていたが……まさか丸いものそれ自体に縁がないとでもいうのだろうか。円だけに。

 

「えーっと……するか? 続行」

 

「やります! このままじゃ終われません!」

 

流石にムキになってしまい、心配されながらも継続を決意。

こうなると誰も本気ではプレー出来ないのか、せつ菜ですら緩やかにパックを打ち返す様に先程までの攻防戦は見る影もなかった。けどそんなものは関係ない。

 

今はただ、ただ相手の陣地にパックを返すことだけを考えて———、

 

「ふぎゃぁっ!?」

 

「しず子ぉぉっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハンカチ、冷やしてきたから新しいのに変えたら?」

 

「……ありがとうございます」

 

赤く腫れた鼻元を濡れたハンカチで抑える後輩を少し気まずい心持ちで眺める。

あの後ももう何度かラリーが続く場面があったのだが、しずくが触れる度にパックは彼女の顔面へと着弾。それも全て雄牙の打った弾が、だ。

 

初対面時の騒動以降どうにも印象がよくないしずくだが、こうなると流石に申し訳なさが勝る。場所を変え新しい施設へと移動した今もそれが拭えず、特に遊びへと加わることもなくしずくの介抱を続けていた。

 

ちなみに今度の施設は所謂室内アミューズメントパークと呼ばれる手の場所だ。愛曰く本日の本命はこちらだそうな。

 

「……瀬良さん、優しいのか優しくないのかよくわかんないです」

 

「……なに、急に」

 

「前に私、あなたに酷いことをしてしまったので……正直嫌われてるものかと」

 

「いやまあ好きか嫌いかで言われれば全っ然嫌いだけど」

 

「なんでそこで言い切っちゃうんですか……じゃあ私もあなたのこと嫌いです」

 

「あっそ……でもまあ、実際ちょっと悪いことした気はしたからな。仮に嫌っててもこれくらいはするよ」

 

「……だからわかんないんです」

 

実際この後輩のことは今も気に食わない。時折に見え隠れする悪態の前にはこちらもそれを隠す理由はなかった。

 

「怪我をしたのは他でもない私のせいなので、瀬良さんは悪くないですよ。私のことは気にしないで皆と遊んでください」

 

「いいよ。なんかそんな気分じゃないし。独りぼっちで寂しそうな後輩にお供してやる」

 

この言葉に嘘はない。雄牙がセグメゲルに実質的な敗北を喫していなければこの集まりが延期することもなかったし、同好会の先輩を巻き込むこともなかった。

 

セグメゲルの毒に対する血清を生み出すに当たって大いに貢献したという彼方は未だに病床の上だ。

 

これに関してはウルトラマンの治癒力を持つ雄牙の回復が早かっただけであり、特別彼方の容態が悪い訳ではないのだが……それでも自分がセグメゲルを倒せていたならこうなることもなかったと考えればやはり気は重かった。

 

今日は彼方のお見舞いに行っているという他の三年生達にも気にせず楽しんでとは言われているが、とてもそんな気にはなれない。

 

「……お付き合いしてくれるみたいですので、この機に一つお聞きしてもいいでしょうか」

 

「……なに」

 

「瀬良さんは時々、遠い目をしてます。目の前のものじゃない、もっと別の何かを見ているような、悲し気な目を」

 

どきりと、少しだけ心臓が跳ね上がるのを感じた。

 

事を知らない者には悟られないよう心掛けているつもりだったが、流石演劇を志しているだけあって観察眼には長けているのか。関係のない者に指摘をされたのはしずくが初めてだった。

 

「以前からそれが少し気になっていて……差支えがなければ、その、理由をお伺いしても?」

 

向けられたのは不信感や嫌悪感というよりも好奇心が照り映えるような瞳だった。成程確かに雄牙は快く思われていないらしい。親しく思われているのなら、仮に興味が湧いたとしてもこんな思慮に欠いた質問はしてこないだろう。

 

「……大したもんじゃないよ。ただ世の中上手くいかねぇなとか、そんなこと考えてるだけ」

 

「……そうですか」

 

少々不満気に視線が下げられる。別に嘘は言ってない。あの日からずっと、雄牙は儘ならない世界と自分に辟易することの連続だ。

 

尤もその中身を何処まで知り得ているかなど、雄牙自身知りはしないのだが。

 

「……俺もこの機会に一つ聞いていいか?」

 

無言で見つめ返される。言葉こそないが承諾はしてくれるらしい。

 

「お前、演劇部なんだよな」

 

「はぁ……そうですが、それが」

 

「……なら、普段から演技してるのかなって」

 

「っ……」

 

そんな瞳が、困惑に揺れた。確かな動揺の証だ。

 

「……どういうことでしょうか」

 

「……気のせいならそれでいいんだけどさ。普段中須達の前にいる時のお前と、俺の前にいる時のお前、まるで違う奴みたいだから。好き嫌いとか抜きにしても、普段はなんか取り繕ってるみたいっていうか……さっきのエアホッケーの時とか、今の悪態ついてるお前とか、なんつーかこう、ムキになってる時の方がよっぽどイキイキして見えるよ」

 

「……性格が悪いって言いたいんですか?」

 

「そこまで言ってねぇだろ……で、実際のとこどうなんだよ」

 

踏み入って欲しくない領域ではあるようだが、しずくに遠慮する気がないのだ。こちらとしても慮る理由はない。

 

向けられた眉は寄せられていた。仇を見るような目だ。

 

そして暫しの沈黙の後、

 

「……そんなの、私だってわかりませんよ」

 

「はぁ?」

 

「なんでもないです……やっぱり、嫌いです」

 

そう吐き捨てられる形で会話は切り上げられる。頬を膨らませてそっぽを向いたしずくとの間に言葉が続くことはなかった。

 

交わす声の無くなった空間に満ちる音は様々だった。施設館内のアナウンス、アトラクションの稼働音、他の客達の喧騒。普段は当たり障りのない奏もこの時ばかりは耳障りに思えた。

 

「雄牙くーん……って、何かあったの?」

 

「……別に」

 

そんな不快な時間に終止符を打ったのは歩夢だった。確か愛達に連れられて別の階のアトラクションに行っていたはずだったが……、

 

「かすみちゃんが他のお客さんと揉めちゃって……と、とにかく来て!」

 

どうやら緊急を要する事態のようで、直前の事象は一度忘れてしずくと共に腰を上げる。

 

エスカレーターを駆け上がり、当該のアトラクションに近づくほど言い合っているような声が大きくなってくる。やがて辿り着いた場所にあったのは歩夢の言葉の通り、すっかりヒートアップしたかすみが憤慨する姿だった。

 

「だーかーらー! 一回遊んだら交代するのがルールだって何度も言ってるじゃないですかぁ!」

 

「お前こそ理解しない奴だな。ルールや規則なんてものは力を持たない者が自己を庇護するために従うものに過ぎないだろ。私はそんな矮小な存在ではないからな。ここにおいては私がルールだ。この場所を使いたければ私に勝ってみせろ」

 

「だぁー! さっきから訳の分からないことをぉ!」

 

かすみと言い合っているのもまた彼女と同じ少女だった。浴衣と外套の混じったような衣服を纏う装いはその口調も相まってどこか浮世離れした印象を覚える。

 

いや、そもそも彼女は……、

 

「……瀬良先輩、フーマが」

 

『……あのガキ、地球人じゃねぇぞ。妙な気配を感じる』

 

傍らに寄った耀。その身体の住民であるフーマからのテレパシーが違和感の正体を告げてくれる。

 

『係員の姉ちゃんも暗示かなんかに掛かってるみてーだな……なんのつもりだ』

 

ここまで大騒ぎになっているのにも関わらずどの職員も駆けつけないと思えばそういうことか。どうやら厄介な能力を持つ種族らしい。

 

だがそれもおかしな話だ。催眠能力があるというのなら、ああしてトラブルとなる前にかすみを黙らせることだって可能だろうに……彼女は何故そうしない。

 

「ダメだな、この馬鹿では話にならん。おい、誰かまともに話が出来る奴は……」

 

どこか芝居染みた仕草で口論を中断した少女は次に雄牙、そして耀を捉えると昂然としてその口角を吊り上げた。

 

新しい玩具を見つけた子供のようと言うべきか。将又獲物を見つけた獣と言うべきか。どちらにしろ酷く悪寒を覚えるような笑みだ。

 

「お前達ならわかるだろう? この時この瞬間この刹那において自分達が何をすべきか」

 

メンバーの視線が雄牙と耀に集中する。困惑と不安の混じった色が静かに震えている。

 

出来る限りこの手の事態には彼女達から離れた場で対処したくはあったが……こうなっては仕方がないか。

 

「……遊べってことか?」

 

「くはは、いいぞ。察しの良い奴は好きだ」

 

コキコキと、首を鳴らした少女が品定めをするようにその他の同好会メンバーを見回す。

 

「四人だ。そこの二人と、もう二人。お前達の中で最も強い組み合わせで掛かって来い。私に勝てたらこの場所を譲ってやる」

 

目的が見えない。

恐らくだが彼女は雄牙達がウルトラマンであると気付いた上でその話を持ち掛けてきている。

 

だがそんな中彼女が指定したのは所謂VRと呼ばれる類のゲームだ。ゴーグルと銃型のコントローラーを用いて銃撃戦を行う対人系のそれとは言え、とても敵対勢力にあたるはずの相手に吹っ掛けるような内容ではない。

 

「条件になってないだろ。ここにはそいつ以外にもアトラクションはあるんだ。受ける理由がない」

 

「オイオイ、この期に及んでつまらないことを言うな。だがそうか、理由か……そうだな。それならば私が私であることで十分じゃないのか?」

 

探るように放った言葉は思いもよらない返答を呼ぶ。

鷹揚に立てた親指で自らを差し、その少女は言ってのけた。

 

「私の名は˝オグリス˝……覚えがあるんじゃないのか、瀬良雄牙」

 




という訳でしずく回(に見せかけたなにか)です
予め言っておくと作者は桜坂しずくというおもしれー女が大好きなので今回の話以外にも別途に個人回を用意しています。序盤に殆ど出番がなかった分だと思えばまあ

そんな個人回で順調に後輩達との間に亀裂を走らせていく主人公……そして自ら接触してきたオグリスの目的は……
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