トライ×ライブ! ~Rainbow Generations~   作:がじゃまる

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虹完結版のキャラデザ完全にぼざろで笑った。
7thも是非行きたい……。


50話 星の尋ね人

 

「むぅ……」

 

二限目を終えた休み時間。移動教室の片手間にメモ用紙を捲った昂貴は眉を寄せる。

 

何度もシェルターに足を運んで収集した情報。探れば探るほど遠くなる影が頭痛の源だった。

 

『……以前にも伝えたが、君が無理をする案件ではないのだぞ。君には君の生活がある。私としては、そちらを優先して欲しい』

 

(……そうも言ってらんないだろ)

 

先日オグリスが雄牙に伝えたという警告。

 

トレギアの狙いが雄牙……タイガ経由で届いた話が余計に状況を煩雑に変えてゆく。

 

(仮にアイツの言葉が本当だとしても……トレギアが瀬良を狙う理由はなんだ)

 

『わからない。……だが、これまでトレギアが接触してきた者達が比較的雄牙に近い者ばかりだったことを考えれば無視出来る話ではないな』

 

せつ菜にかすみ、しずく。被害者を地球人に限定するのならば、確かに仮説と事実にはある程度の合致性がある。

 

しかしオグリスの話をどこまで信用していいものか……、

 

「ん」

 

噂をすれば何とやら。丁度思考の片隅にあった少女の後ろ姿を確認した昂貴は、並び歩くと共にその視界の大半を塞いでいた書籍の山を七割ほど引き受ける。

 

「他に手伝わせる奴とかいねぇのかよ」

 

「えっ? あ、昂貴さん……」

 

本の壁が除かれ、驚いたような顔が露わになる。伴って揺れたのは特徴的な長髪とリボン。

 

桜坂しずく。同じ国際交流学科の後輩であり、同好会の初期メンバー。昂貴にとっても比較的馴染みのある相手だ。

 

「随分とまあ大荷物なこって。何なのこれ」

 

「えっと……、次の授業で使うから生物室まで運んでおいて欲しいと頼まれて……」

 

「生物ってこた山口か。……人遣い荒いんだよなアイツ」

 

昂貴も一年の頃、大柄で男だからという理由で生物室の整理を手伝わされた記憶がある。三年になってからはご無沙汰だったがいい加減さも健在らしい。

 

「生物室でいいんだよな?」

 

「ああいや! そんな、悪いですよ」

 

「いーよ。見てて危なっかしいし。……代わりつったらアレだが、ちょっと聞きたいことあるんだけどいいか?」

 

「……まあ、昂貴さんがそれでいいなら……」

 

偶然の遭遇だったが都合がいい。生物室へと舵を取りつつ、こちらを伺うしずくに問う。

 

「……瀬良となんかあったのか?」

 

「瀬良先輩ですか?」

 

「そ。なんか呼び方変わってるし。多少は関係マシになったのかなって」

 

何かと他人と衝突しがちな雄牙だが、その中でもしずくとの仲の悪さは筋金入りと言ってよかった。基本口は聞かない上、口を開いたかと思えば喧嘩が始まる酷い有様だった。

 

それが一週間ほど前を境に一転。相変わらず健全な関係とは言い難いがしずくから声を掛けることが増え、露骨に嫌悪を向け合う様子も消えた。

 

まるで木こりの泉にでも落ちたかのような変容っぷりは他の同好会メンバーも気になっているところだろう。

 

「……何も変わってませんよ。私も、先輩も。ただの気まぐれです。呼び方もかすみさんに倣っただけですし」

 

そうは語るが、自分達から見てしずくに変化があったのは紛れもない事実だ。

 

以前よりも生き生きしているというか、年相応の無邪気さが目立つようになった。憑き物が落ちたようにも見える。

 

当人にその訳を明かす気がないのか、将又無自覚なのか。事の事実は知らない。だから彼女が変わったという主観だけが存在している。

 

「……ま、お前が楽しいならいいんだけどよ」

 

しずくだけじゃない。同好会も変わった。きっとこの先も変化し続ける。

 

やがて迎えるこの先の日々もまた輝かしいものであると願いたいものだ。

 

『……変わったな、君も』

 

(? なんか言ったか?)

 

『……いや、なんでもない』

 

感慨深そうに微笑んだタイタスに首を傾げている間に生物室へと辿り着く。足で開いた戸の先には何やら難しい面持ちでいる件の教師がいた。

 

睨み合うのは電子黒板が表示する映像。余程集中しているのかこちらに気が付いていない。

 

「野郎……生徒に頼み事しといてテメェは優雅に動画鑑賞かよ」

 

「ニュース……ですかね」

 

速報の見出しやアナウンサーの声音から伺うにどこかで怪獣が出たのだろう。

 

程無くして中継へ切り替わり、現地の状況を映し出す。画面を占領した怪獣には見覚えがあった。

 

「タガヌラー……でしたっけ? 最近多いですね……」

 

しずくが口にした名をこの数週間で何度耳にしただろうか。今月だけでも六体が出現し、決まってコンビナートやエネルギープラントを襲撃している。これだけ同じ事態が続けば否が応でも記憶に残るものだ。

 

『……昂貴。あんなことを言った直後ですまないが……』

 

(トイレ行ってたとかテキトーに言い訳すりゃ問題ねーよ。けど珍しいな)

 

地球外文明の関与が疑われる場合を除き、基本的にタイタスは原生怪獣の対処を防衛隊に委ねている。

 

ウルトラマンは過度に他星の文明に干渉してはならない。そんな彼等の決まりに従っているそうだが、今回はどうにも違うようだ。

 

『杞憂で終わればそれでいいのだがな。……出来れば、自身の目で確かめておきたい』

 

(わーったよ)

 

彼がそこまで言うのなら相応の事態である可能性が高い。昂貴としても拒む理由はなかった。

 

「取り敢えずブツは運んだからもう行くぞ。じゃあな」

 

「あ、はい。ありがとうございました」

 

「おーう。また放課後な」

 

速やかに生物室を後にし、人目のない屋上へ移動するとキーホルダーを取り出した。

 

 

「バディ……ゴー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

音速で流れる景色の中に映る異物。それが自らの御すべき対象であると認識するや否や、急降下を始めたタイタスは拳を握った。

 

『˝タイタスプラネットハンマー˝ッ!』

 

重力加速の乗った破滅的な一撃を怪獣の脳天に見舞う。硬質な炸裂音が響き、巨体が地へと伏した。

 

硬い。真っ先に腕先から走った痺れが奴の頑強さを物語っていた。まるで鉄板を殴ったかのような手応えだ。

 

その上―――熱い。

 

『どうやら……吸飲したガス燃料を体内で即座に燃焼しているようだな』

 

「見た目のクセにロボットみてーな奴……」

 

外見は正しく超巨大な虫そのもの。頭部から背面にかけてを甲羅のように覆う外骨格に、複数の節で構成された四肢。そして両腕の鎌。

 

地球上に存在する昆虫の特徴を掛け合わせたキメラ……そんな印象を受ける。

 

 

―――――甲虫怪獣(コウチュウカイジュウ) タガヌラー

 

 

『ッーーー!』

 

「あっ……づッ!?」

 

起き上がり様に距離を詰めてくるタガヌラーを抑えに掛かった両腕が激痛に見舞われる。

 

この銃数秒の間にまた体温を上昇させたのか。その熱量は最早素手で対応出来る領域じゃない。

 

『マズいな……。このままでは手が付けられなくなる』

 

「つってもこんなとこで無理矢理爆発させたら大惨事だぞ……」

 

場所は高圧ガスを保管するコンビナートだ。下手に引火させるようなことがあれば一帯が火災になり兼ねない。

 

海中、最悪でも上空での撃破が求められるが、指数的に上昇する体温がそれを許さない。

 

『ッ……!』

 

『……妙に、補給に固執するな』

 

タガヌラーに反撃の意志はない。それどころか口吻をガスタンクへ刺し込み、食事に勤しんでばかり。

 

余程腹が減っているのか。なんて廻り始めた推察は即座に叩き潰されることになる。

 

『ッ……!!』

 

『これは……溜め込んだエネルギーを放出しようとしているのか!?』

 

突然ガスの吸飲を止めたかと思えば、空を見上げたタガヌラーの角が膨大な熱と光の集束を開始する。

 

目的は尚も不明だ。けれど今奴が成さんとしていることの危険度くらいは理解出来る。

 

『こうなれば宇宙空間に殴り飛ばす他ないな……拳を叩きこむと同時にプラニウムバスターで打ち上げるぞ』

 

時間がないと判断したのはタイタスと同時だった。半ば強引とも言える手段だが今はこれしかない。

 

『˝プラニウムーーー、』

 

「ちょっと待ってウルトラマン!」

 

こちらもタイガスパークにエネルギーを集め、奴よりも早く解き放とうと構えたその時。

 

上空から静止が割り込む。遅れて聞こえたのはホークイージスのエンジン音だ。

 

「E.G.I.S.……?」

 

「タガヌラーに打たせてあげて!」

 

『なんだと……?』

 

意図の見えない嘆願に戸惑いが生じる。だが怪獣の専門家たる防衛隊の判断ならばタイタスは順じざるを得ない。

 

攻撃の姿勢を解き、最低限の防御と共に顚末を見届ける。

 

『ッッ――――――!!』

 

程無くしてタガヌラーから咆哮が轟き、臨界点を迎えた熱線が凄まじい勢いで天へと奔った。

 

『……?』

 

「なにが……」

 

特別何が起こる訳でもない。訪れたのは束の間の静寂だ。

 

それどころか。

 

『……。…、ッ……!』

 

力なく崩れ落ちたタガヌラーが仰向けに転がり、動かなくなる。

 

蒸気を昇らせるその身体にはもう、生命の息吹は存在していなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……すみません。俺も詳しいことは……」

 

放課後、少しでも知見を得ようと雄牙を訪ねるが空振りに終わる。

 

「そもそも、タガヌラー自体がそこまで出現が確認されてる怪獣じゃないんで。解明されない部分も多いというか……」

 

「そうか……」

 

雄牙はあくまでも知識を蓄えているだけで研究者じゃない。そもそもが解き明かされていない謎の答えを求めるのは無理があったか。

 

「……けど、そんな奴がここ最近で一斉にってのもおかしな話か。そっちになんか心当たりないか?」

 

「セオリーで語るなら餌を探して……ですかね。ほら、生息域に食うモンが無くなって縄張りの外に出るのは怪獣に限ったことじゃないんで」

 

よく耳にする話だと野生動物による農業被害などが近いか。タイタスに目もくれずタンクに齧り付いていたのを考えればあり得ない話ではない。

 

「ただ、熱線の放出に関してはなんとも……」

 

結局行き詰まるのはそこだ。

 

絶命してでも放った熱線に、それを促すようなE.G.I.S.の勧告。基地からかなり距離のある地点であったにも関わらず妙に現着が早かったのも引っ掛かる。

 

まるで最初からタガヌラーに熱線放射をさせるのが目的だったような……、

 

「雄牙ー、帰ろー!」

 

発足した談義は侑の登場で幕切れとなる。気付けばもう夕刻。常に頭を捻っていたせいか、やたらと短く感じる一日だった。

 

「……教えてくれるかわかりませんけど、一応涼香さん辺りに聞いときます。そっちも、なんかわかったら教えてください」

 

「おう。お疲れさん」

 

賑やかに退室してゆく後輩達を見送り、鍵を閉めた昂貴も部室を後にする。彼方がバイトであるために一人での帰路だ。

 

「……なんかわかったら、ね」

 

含有する希求は恐らくタガヌラーの件だけではないのだろう。しずくに反し、雄牙は元の危うさに拍車が掛かったような気がしてならない。

 

敵の狙いが自分であるという恐怖や焦りから来るものじゃない。もっとどす黒い何か。

 

しずくの態度が軟化したのはそれを感じ取ったが故なのだろうか。

 

どうであれ、こちらも気を配らなければならない案件であるのに変わりは無さそうだ。

 

「……手のかかる奴」

 

悪態をつく一方で口元が緩む意味をこの時はまだ知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「―――――南雲昂貴くんだね」

 

「ッ……!?」

 

意識の外から掛かった声。

 

「おぉっとごめんごめん。驚かせるつもりはなかったんだけど……」

 

「……誰だ」

 

反射的に飛び退いた身体が臨戦態勢を取る。

 

背後に立っていたのは初老の男性だった。一見何の変哲もない雰囲気を纏っているが、コイツは普通じゃないと本能が叫んでいる。

 

気配を全く感じなかった。もしこの男がその気であったなら殺られていたことだろう。

 

間違いなく地球人じゃない。

 

「えっと……取り敢えず落ち着いて。話だけでも聞いてもらえないかな」

 

「はぁ……?」

 

警戒する昂貴を宥める仕草を見せた後、差し出した名刺と共に男は言った。

 

「……君達に依頼がある」

 




今回から昂貴くんパート。そこそこ長めのお話になります。

今回の話は結構早い段階から考えていたんですが、冒頭で出す怪獣いないな~とか考えてたら丁度いい怪獣をブレーザーくんが与えてくれました。ありがとうブレーザー。ありがとうゲント隊長。ルロォォォイ。

ブレーザー本編でのタガヌラーの活躍と言ったら……まあそういうことですよね。ちなみにニジガクを破壊したアイツは出てきません。

最後に出てきた謎の男も関係があったり……?
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