トライ×ライブ! ~Rainbow Generations~   作:がじゃまる

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この作品、ストックを溜めるためにどんなに早く書けても更新は3日に1回と決めているのですが、おかげでその3日が長く感じて仕方ありませんね
でも時期的にまたいつ書けなくなるかわからないから仕方ない……


7話 筋肉降臨

 

 

人間には持つ者と持たざる者の二種類がいる。

 

才能、資産、運……その例は枚挙に暇がないが、それらは基本的に一部の人間へと集中するものだ。故に両者の間には消して埋まることの無い格差が生じる。

 

自分は当然持たざる者だった。

 

出生に始まり、挙句は―――その人生の終わりまでも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――ウ君、コウ君!」

 

「ぅぁ……!」

 

親しんだ声の呼びかけによって覚醒した意識が最初に感知したのは刺さるような痛みだった。チクチクと嫌な感覚が背面全体に伝わってくる。

 

遅れて理解する。今自分の身体は砂地に寝転んだ状態にあると。

 

「彼方……?」

 

「よかったぁ~……こんなところで倒れてるから彼方ちゃん心配したよ~」

 

目を開き身体を起き上げれば、張りつめていた緊張を解くように幼馴染が息を付く。

状況が掴めない。未だ胡乱から抜けきらない意識の中で昂貴は辺りを見回し―――思い出す。

 

「大丈夫? どこか痛んだりしない? 怪我とかはないみたいだけど……」

 

「え、いや……は……?」

 

状況は掴めても理解が追い付かなかった。

周囲に転がっているのは落下の衝撃で拉げたコンテナの数々。それは直前に昂貴へと降り注いで来たものだ。直撃したのだってハッキリと覚えている。

 

それなのに、何故。

 

どうして自分は生きている。怪我もなく、痛みもなく、何事もなかったように今もこの心臓は脈を刻んでいるんだ。

 

『間に合ったようで何よりだ』

 

突然起こった現象の答えを示すように低い声音が意識に触れる。

ただしその主は周囲にはいない。出所は昂貴の中……いや、直接頭の中に語り掛けているのか。

 

『おっとすまない。出来れば声に出してのリアクションは控えて貰えると助かる。周囲の人間まで混乱させてしまっては君も後々面倒だろう?』

 

妙な気配りまでもを回すこの声。原理まではわからないが、この状況に一枚嚙んでいるのは確かだった。

 

『……さて、どこから話すべきか。突然のこと故、君も混乱しているだろうが……まずは自己紹介が先決だな』

 

昂貴の困惑を理解した上でその声はマイペースにも事を運ぶ。

 

これが彼―――後にウルトラマンタイタスと名乗った賢者との出逢いだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ただいま」

 

重い足取りで自宅の玄関戸を開く。

 

人間よりも遥かに進化した生命の力を行使した反動なのか、タイガに変身し戦った後に来る倦怠感は半端ではない。まだ2度目ではあるが、こうも酷いと流石に気が滅入るものだ。

 

「おぉ、無事だったか雄牙。メッセ送っても返信ないから心配したぞ」

 

「え、マジ? ごめんドタバタしてて気付かなかった」

 

出迎えたのは祖父だった。遅れて携帯を確認すると数件のメッセージが溜まった状態となっている……どうやら随分と心配を掛けたらしい。

 

「頼むぜマジで。婆さんに先立たれてからこの老い耄れにゃ可愛い孫しかねぇんだ。雄牙にまで逝かれたら迷いなく後追いする」

 

「ああうん……三途の川クロールで渡ってでも死んでやらないから軽いノリで怖いこと言うのやめて」

 

次からは念頭に置いておこうと胸に刻みつつ、一先ずは自室を目指した。今は横になりたい。

 

日頃から鍛えていれば多少はマシになるのだろうか……そんなことを考えながら壁伝いに進んだ先で気が付く。

 

「……別に四六時中履くようなモンじゃないんだけど?」

 

「いいじゃんかよ~。孫からのプレゼントが嬉しいんだよ~」

 

祖父が着用しているのは健康サンダル。先日雄牙が誕生日に贈ったものだった。

 

途中侑達の協力が得られなくなったことで投げやりで選んだ3000円程度の代物だが、それでも祖父には家宝レベルの贈り物だったらしくこのように四六時中身に着けている。嬉しい反面、これならばもっとしっかり選べばよかったと思う。

 

「まあ喜んで貰えたならいいけど。……ちょっと部屋で寝てくる。色々あって疲れた」

 

「おう寝ろ寝ろ。寝る子は育つ。雄牙の場合もうちぃーっと身長伸ばした方がいいしな」

 

「余計なお世話だ」

 

軽口を交わし、それ以上の会話を断つように自室の戸を閉じる。倒れ込んだベッドに沈んでゆくのは身体だけではない。

 

「…なあ、タイガ……」

 

『……なんだよ』

 

「……わかってはいたけど、楽じゃねぇな……ウルトラマン……」

 

少しずつ、雄牙の中で何かが変わってゆく音がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『―――以上がっ、私が君とっ…、一体化した経緯……だっ……!』

 

「……あ、そう。スマン九割方入ってこなかった」

 

場所は移り、無事自宅へと戻ってこれた頃。

飾り気のない部屋の中で腰を下ろした昂貴は、肘を立てるテーブルの上で腕立て伏せを繰り返す小人に冷ややかな視線を注いだ。

 

『何……説明が悪かったか? ならば改めて―――』

 

「それ以前の問題だろ。筋トレをやめろ筋トレを」

 

少々強めた語気で指摘すると、彼―――タイタスはようやくその動きを止める。

無駄に痛むこめかみを抑えつつ、最低限得られた情報でこの状況を整理しようと頭を捻った。

 

「取り敢えず……アンタが助けてくれたってことでいいのか?」

 

『ああ。我々ウルトラマンは一体化することで相手の傷を癒すことが出来る……君の身体が回復しているのはそれが故だと思ってくれ』

 

余計な動きが無ければその言葉はすんなりと頭に入ってくる。確かに知的ではあるがどこか残念である賢者だった。

 

「…まあ、なんつーか……そう言うことならありがとうな」

 

『礼などいらないさ。危険を顧みずに子猫を助けた君の心に、私が感銘を受けただけの話だ』

 

「……気まぐれだ。普段からあんな真似してる訳じゃねぇ」

 

『けれど君があの時あの行動を取ったのも確かだ。私にとってはそれで十分だった』

 

いまいち実感はわかないが……とにかく今自分の中にはあのウルトラマンがいるらしい。

 

眼前でまた筋トレを再開しようとする小人はその思念体か何かなのだろうか。筋肉質に膨れ上がった赤と黒の肉体は昂貴の記憶にある巨人の姿とは少々異なるものだが、それでもウルトラマンとは認識できる外見……胸に宿る蒼い光などはまさにその象徴だろう。

 

「……まさかこのタイミングで二人目のウルトラマンが現れるなんてな」

 

『そのことなのだが……先程ゲスラと戦っていた彼はこの星に来て長いのか?』

 

「いや、割と最近のことだが……仲間じゃなかったのか?」

 

『違う。一言にウルトラマンと言っても様々でな。私がU-40という星の出身であるのに対して彼は恐らくM78星雲……光の国の者だろう』

 

つまりウルトラマンにも色々な種族があるということだろう。人間で言う日本人やアメリカ人などのようなものだ。

 

「で、その光の国?の奴がどうかしたのか?」

 

『私はU-40の戦士団から直々に任務を受けこの地球へと来訪したのだが……その際に光の国、宇宙警備隊からも隊員が遣わされているという話は聞いていないのだ』

 

「……無断で地球に来てる可能性があるってことか」

 

『まあそんなところだな。飲み込みが早くて助かる』

 

ウルトラマンにも集団を統率する組織があること、そして地球に来ることが指名制や許可制であったとは思わなんだが、それを知るとある程度納得できるものがあった。

 

あのウルトラマンの危なげな戦闘は未熟であるが故か。どういった経緯で地球へ飛来したかは定かではないが、恐らく指令や許可を受けられるほどの水準に達していないのだろう。

 

そして逆に言えば、任務を命じられるほどのタイタスはその水準に至っているということだが……、

 

「……ちなみに任務ってどんな内容なのか聞いてもいいか?」

 

『すまないがそれは出来ない。これを伝えるということは、君を任務に巻き込むことと同義だからな。あまり関係のない者を巻き込みたくはない』

 

「…律義なこった」

 

だがまあ、それだけ自らの使命に責任感を持っているということだろう。任命されてこの星に来ているのだから当然とも言えるが。

 

『……そこで一つ、頼まれてはくれないか? 君の身体は暫くすれば私が離れても問題のない程度には回復するだろう。その時が来たら、私をこの星の防衛組織の元まで案内して欲しい』

 

「E.G.I.S.にってことか? ……因みにそっちの理由は聞いてもいいやつか?」

 

『まあ……これくらいは構わないか。私達ウルトラマンは地球上ではエネルギーの消耗が激しくてな、長時間滞在するには少々不自由なんだ。故に我々は別の星での任務に就く際、その星の住民と肉体を共有することがある……今の君のようにな』

 

「成程な……それで防衛隊員って訳か。確かに俺みてぇな一般人よか適任だ。聞いたところE.G.I.S.も無関係とは言えなさそうだしな」

 

『ああ、それに単体で行動するよりはその手の情報に通じている防衛組織と手を組む方が速やかに命を遂行できると判断した……理由はこんなもので十分か?』

 

「十分。ご丁寧な解説どうも……ま、それくらいなら引き受けるから安心しろ」

 

『協力感謝する』

 

地球に何かしらの影響を来す可能性がある以上昂貴も無関係とは言い切れないし、命を救ってもらった礼もある。そう言うことなら協力は惜しむまい。

 

『繰り返す形になるが、必要以上に君を巻き込むつもりはない。普通に……とはいかないだろうが、まあこれまで通りの生活をしてもらって構わないさ』

 

「言われなくてもそのつもりだ。こっちも今色々立て込んでるモンでな」

 

言ったと同時にその日常を運び込んできたのは携帯電話の着信音だった。

ある人物からの連絡を意味するメロディに昂貴は一瞬目を細め、努めて穏やかな声で対応する。

 

「…もしもし、母さん? ……わかった。今行く」

 

30秒にも満たない通話を終え、携帯をポケットに仕舞い込んだ昂貴は天井を仰ぎ息をつく。

瀕死からの回復にウルトラマンと連続する非日常に浸っていたが……感覚が一気に現実へ引き戻る。

 

「…悪いタイタス、筋トレは中止だ。ちょっと用事ができた」

 

『む……承知した。お供しようではないか』

 

「元々今離れられねぇんだろうが」

 

手早く荷物を纏め、制服のまま家を出る。

勇み足で目的地へ向かう昂貴の瞳に渦巻くどす黒い感情にはまだ、タイタスが気が付くことはなかった。

 




と、いう訳でマッスル大明神ことウルトラマンタイタスの登場でございます

昂貴と一体化した時点でお察しだとは思いますが今作は1人の変身者に3人のウルトラマンが宿るのではなく、それぞれ1人ずつ変身者が存在する形となりますね

ということは残る覇者にも……?
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