ゾイド生命体を用いてBETAの脅威を打ち砕く話 作:もにもに+マウンテンヘッド
ゾイド生命体を用いてBETAの脅威を打ち砕く話
※ネタ作品です。文中の記述と描写に両作品の設定との齟齬や間違いがあったらごめんなさい……
タケルちゃん!
純夏……!
避難するとしても、手遅れに近かった。
それでも奮起して、死の街と化したこの横浜から脱出しようとしていた市民たちが大勢居た。
その足元の民間人を間近に、
今、被弾した撃震の一機が、
市街地の一角、そのデパートのビルの壁面に崩れもたれかかり、擱座しようとしていた……
……機体を立て直せるか?!
「いや、もういい。私のために、みんなは来なくていい!!」
……この時点で、この撃震の機の損傷は重大だった。
跳躍装置の損傷により、今から逃げて行くことも敵わない。
片腕の火器は、弾を打ち尽くした。
もう片手の複合火器は……クソッタレ、作動不良(ジャム)か!
おまけに、マニュピレータ及び各部機構は不調で、マガジン交換もおぼつかない……
「くそ、こんなところで……」
擱座した撃震の衛士は、自身に迫りくる目前の恐怖というのと、それから今、己の心に強くもたらされる感情の、2つの理由で、涙を流していた。
守るべき市民も守れず、自分も、今こうして、死のうとしている……
チクショウ!
警報が鳴り響くコクピット内で、そう遠くはない己の前途の末路を想起して、衛士は涙を散らした。
上空の空も、低くもたげるかのように、暗雲めいた色の黒色に、空の景色が染まりいっている……
…“巨大な何かが、低く降下してきているかのように”…
……すでに己の撃震の付近にまで、BETAは接近を狭めてきている。
この若い衛士は、歯を噛んで目を閉じた。
その意識の集中は、今降り落ちてきたその落下音によって、止まって……掻き消えた。
……落下音?
バシュバシュ、バシュ!
直後に聞こえた、何かが打ち出される音を己の鼓膜で捉えるまで……
BETAに食われて死んだものかと、撃震の衛士は思っていた。
だが、体には……痛みがない。
ロスタイム、というやつか?
己が、天国にいくか、地獄におちるか……どちらにしろ、の。
ドゴォン、ババァン!!!…………
爆発?
続けざまのその炸裂音に、衛士は瞑っていた目をわずかに開いて……
そこで起きていた出来事に、目を見開いていた。
驚愕と言えた。
戦術機の用いる複合火器の威力の規模よりも、さらに火力が強い、そんな印象だ。
だとすると、国連軍か? 米軍か? そのいずれかの新兵器だとするならば。
(あれは……)
獅子だ。それも巨大で、戦術機並に大きい、機械で出来た、獅子。
蒼い獅子が、衛士の撃震のその目前で、立ちはだかっていた。
いや、立ちはだかる、というと語弊がある……
背中をこちらへと向けていて、
その顔のあるのであろう正面を、
こちらとは正反対のあちらの、敵たちのいる向こうを見て…
…目前の恐るべき脅威たるそれへ立ちふさがって、自分とそれらとを遮って、勇敢に、立ち向かってくれていた。
自分を、守ってくれるのか?
涙があふれる感覚があった。
守るために衛士となった己が、この、機械の蒼い獅子に、いま、守られている。
それから今、損傷した己の撃震の破損部の向こうから、聞こえてくる物があった。
生命の、鼓動が聞こえる……
獣特有の息遣い、
肉食獣の唸り声だ。
今どき、動物園に行っても珍しいであろう、それ。
ライオン、?
この、機械は……生きている、のか?
「!」
次の刹那に、である。
光線級が、強力なレーザーを放ってきたのはその時のことだった!
(やられる!!)
芽吹いたばかりのこの希望が潰えるのは、この次の間際だろう。
そう怯えて、衛士が己の両目を、絶望でつむりかけて……
……その刹那、鮮やかな、エネルギーの力場が、展開された。
迫ってきたレーザーは、全てがそれ一枚の一層によって、すべてが遮られて、塞がれていた。
(エネルギーによる、シールド……盾……?)
Eシールド……と、その世界の住人には称されているところの、それである。
この蒼い獅子……それの頭部装甲に据えられたディスペンサー・システムの作動行使によって、
今、この衛士とその周りの避難民の市民たちは、そのすべてが、護られていた……。
(シールド…盾の、蒼い、獅子……)
その名前を、シールドライガーと呼ぶ。
視ると、目前に迫っていたBETAの大群は、他にも上空から降ってきていた、その獅子たちと仲間たちだけで、片っ端から沈黙させられていく、そのさなかであった。
色とりどりで、見た目も様々な、そのメカ生体、たち……戦闘機械獣たち……は、
いま、BETAどもを圧倒している。
よく見れば、それらが降ってくる出処のその上空には、なにやら巨大な……宇宙船?めいたものが、存在していた。
その宇宙船はとにかく巨大であり、それが、いま自分たちの、その真上の上空に、位置していたのだ。
あはは、オモチャみたいにカッコよくて、おとぎばなしのヒーローみたいに、とてもつよい。
衛士がそんな感傷に浸っていた時、
気がついたときには撃震のコクピット間際まで来ていた蒼い獅子のそれに、衛士は、やや怯えた。
しかし、その怯えは、直後には、困惑、わからない、?……というものにならざるを得なかった。
……鼻先を、まるで猫が子供を嗅ぐかのように、近づけさせてきている。
こちらの己にへと。
撃震の間近まで来た、その……蒼い獅子……ライガーが、顔のキャノピー・フードを開いてくれた。
むき出しになった、コクピット。その中は、無人だ。
……乗れ、と言われた気がした。
目前の、蒼い獅子に。
味方からの通信は混乱しているようだった。
しかし、BETAの襲撃からこっち、翻弄され続けるがままだった我々人類が、この予期し得なかった味方の来訪によって、形成を立て直しつつ在るさなかである、というのは……おぼろげながらに感じた。
そして今…
…撃震の胸部装甲ハッチを開いて、衛士は、ライガーのコクピットにへと、乗り込んで移った。
……この時、ひとつ気づいた事があった。
戦術機に乗る衛士というのは、基本的に、衛士強化装備という一種の強化服を着込んで、コクピットに接続される。
しかし、今問題なのは、そのコクピット座席と接続するための、強化服側のコネクターが、張り出しとなって、このライガーのコクピットの中では、干渉してしまう、……ということであった。
……しばし悩んだ。結論にも悩んだ。
…、
もういい、こんな服装、
もとより痴女のような格好だと、以前から薄々思っていた。
ならば、いっそのこと!
緊急時用の排除手順を踏んでやり、衛士は己の体の、その着衣を排除してやった。
さながらストリップ、の体である…
…もっとも、今のここに、その顕となった衛士の素裸を視るような人間は、さきほどの子供二人とその避難民たちの以外には、どこにも居なかったのであるのだが。
コクピットの端から、残骸物は投げ捨ててやった。
その頃までには、この蒼い獅子のような機械仕掛けの生物たちは、その仲間たちがこちらにへと援護に来てくれていたようだった。
いまこのときも、まるで護衛の紳士かのように…あるいは淑女かのように…
避難民たちのそばに、鼻を近づけさせて、寄り添う、白い機械の獣。
あれは、白い……犬? 狐? かは迷うのであるが、オオカミ……
護りの狛犬、という言葉があったと思う……
その人らを、守ってくれよ、白い狼。
コクピットのキャノピーを閉じた時、BETAは懲りること無く、再び前進を開始しようとしていた……らしい。
だが、それらのその一連の動きは、上空の巨大な円盤から降下して降り落ちてくる、機械の獣たちによって、
そのことごとくが、いま、粉砕掃討されつつあった。
けれども、この機械の獣たちと、それからこの子たちを上空から無数に! 降らせてきているあの宇宙船の意思……か乗組員かは把握できていないが、とにかく、それ……らは、
しかし、対BETA戦のノウハウやセオリー、というのを、まだ把握できてはいないらしい。
現に、ここからそう遠くない位置に、要塞級とそれに付随したBETAの戦隊が、陣地を張るように集合しつつあった……
その構成には、光線級が多数含まれていた! おそらく、下部にエネルギー場を張って防御しているあの巨大な宇宙船に、火線を集中させてその貫通を図ろうとしているのであろう。
ここで、自分と皆の恩人?である獣たちのあの母艦に、危害が加わろうとしているのだ。
それは、座視しては居られない!
もっともらしいアリバイの理論としてはそう組み立てつつ、
同時に、衛士は、この蒼い獅子の、その能力を、自分自身の実操縦として、発揮してみたい、
……という欲が勝りつつあった。
それというのも……
なぜだか、温かい感覚を感じるのだ。……
自分が素裸の素肌晒しで乗り込んでいる、というのもあろうけども、
この機械の獅子の、その意志が、自分に、その操縦の方法を、教えてくれているかのような……
自分によぎる直感めいたものとして、その感覚を衛士は感じて、得ていた。
ひらめきのように次にどうすればいいかを、この機械の獅子は、この己に、教えてくれている!
衛士は、もう事実の実際として、この生物めいた機械には、“命”と“意思”があることを、
把握して発見して、それは錯覚でも何でもない、
確固として今在るものであると、自分には断定することができた。
ガオォ!
己が乾坤を叫ぶ、そのとき、この機械の獅子は、咆えた。
動き出したこちらを、BETA共は捉えようとした……だが、遅い!
エネルギーシールドを、展開。
正面から照射された、光線級のレーザーが、まるで防げている。
衛士は驚いた……
それからは、もう、速度任せにやるのみだ。
電磁場の盾のオンオフを切り替えながら、僅かな糸間で、搭載火器による火力を投げつけていく……
なにはともあれ、まずは小手遊び? 肩慣らし……腕試しの時間だ。
……目の前の光線級どもが冷却のインターバルにはいったタイミングを見越して、
左右展開式バインダーの、8連装小型ミサイルポッド、その片側づつ合計2基の、一斉発射を見舞ってやる。
一瞬で殲滅できた。
ただ、今のは、
レーザー級の相互防御を可能とするその連携と陣形が、この蒼い獅子……シールドライガーとその仲間たちの活躍によって、
撹乱と乱れが起きているからであろう。
つまるところ迎撃のレーザーが打ち上がる、その密度が低下していたから、今の打撃は有効たり得たというのは、いまのこれにはあるだろう。
しかし、それはそれとして、また別に驚くことがまだあった。
なんて速さだ! ただ機械の脚で陸を走っているだけなのに、
これなら低速域程度の速度の戦術機の飛翔くらいならば、追いつけるんじゃないのか?!
戦場となって荒れ果てたこの横浜の市街を、駆け抜けていくことができている!
目前に、BETAどもがまた湧いて出てきていた。
正面を遮られている……“これなら、どうかな?”……そう獅子の意思に、教えられるがままに……
衝撃砲、というやつを選択した。
(固定照準?!)
選択したあとレティクルのモードが切り替わったのを見て、衛士は少し迷った。
まるで、教練過程の教本の軍事史で見たような、嘗て空を翔んでいた頃の戦闘機の固定機銃のようにも感じられた。
胴体下部前端に、据え付けは固定で……取り付けられているらしい。
左右と俯仰角は、機体本体の操縦で照準を付けてやる必要があるらしかった。
それでもいい。撃ってやる。
当たった! ……なんだこの威力は。
命中した端から、突撃級や邀撃級が、炸裂して吹き飛んでいく!
モース硬度がダイヤモンド以上であろうが、
この衝撃砲ならば、その硬さが逆に弱点となって、砕け散っていくのだろう。
(弾薬を消費しているわけではないのか?!)
エネルギー消費も小さく、後は砲内への威力の、その最充填に掛かる圧縮のためのインターバルに注意さえしておけば、
あとはいくらでも、使えてしまう……。
実体としての弾丸が翔んでいくわけではないので、これは、光線級にも防ぎようは無いだろう。
光線級ころしといえば、まだあった。
(ビーム兵器!?)
ウソだろ、そんなものまであるのか。
しかも、背中の小型のやつと、さらにしっぽの末尾にも、この二系統が備わっている。
発射していく。BETAが灼かれていく。
おもしろいように、BETAを始末できていく…………
もう、何匹のBETAを屠ったであろう。
両手と両足の指を足しても、まだ足りない。
撃震に乗ったままの自分では、戦術機に乗る新米衛士のままの自分だったとしたなら、
こんな戦果は、死んでも得られなかっただろう。
最後に……
要塞級に、食らいつく。
口部レーザーファングと足部ストライククロー、そのコンボ!
それがいい、それをしてくれ、そうだ、そうするんだ、…
…この蒼い獅子の意思と要求に、そう囁かれた気がした。
そう願われたのが、祈られたのが……感覚としてあった。
こうなれば、情交というやつよりも気持ちが良いのであろうか! 衛士は素面で、そう思えた。
ターボチャージャーを起動させ、エネルギーブーストを起動させてやった。
周りのBETAどもは、まるで、止まっているかのように、視界の情景の端を流れていく……
接触するまでの間は、たった数十秒ともかかっていない。
立ちふさがるBETAどもは、片っ端から、疾駆する己のこの機体で、
体当たり同然にぶつかっていき、ミンチにしていった。
そのときにも、この電磁場の盾は活躍していたのだ。
それを、ギリギリまで、タイミングと速度を見計らい、Eシールドを展開したままにしながら……
最後の瞬間、それを解いた。
そして……
噛み付く。
噛み付いてやる!
この蒼い獅子の全重量がかかった一撃で、要塞級は傷口からは汚い血を噴射散逸させ、
足をくじいて擱座し、そのまま横転した。
その要塞球が、悪あがきかのように、
脚を暴れさせて、こちらの拘束を解こうとする……が、もう無駄だ。
暴れる脚を噛みちぎっていく。
まるでよく煮えた豚足にかぶりついていくかのような感覚だった、と衛士は後に答える……
ただ、これですらも、ただの戦術機ならば、脚の振りと爪先が直撃したらただ事では済まない!
しかし、この蒼い獅子という獣には、一方のBETAという獣の払い方、いなし方、扱い方、というのは承知しているらしい……まるで一撃も、文字通りの格闘戦をやっているにも関わらず、こちらにへとの命中と直撃とは、させなかった。
一方のこちらは、要塞級にへと、この、牙と、手足の爪をふるっていく、
そうしていくと、まるで生肉の塊を弄ぶかのように…
…戦術機の通常の火力ではあれほど難儀したはずの……
その強力な外皮というのが、潰れて、裂けて、削げて、ひしゃげて、もげてゆく。……
そうしてじゃれるように弄び始めてからわずか二分のころのことだったと思う。
この個体の要塞球は、ついに力尽きた……
血遊びは、これくらいでおしまいだ。
背後の街を見ると、BETAどもはそのことごとくが、殲滅されたようだった…
…蒼い獅子たちの、その勝利だ。
機体を立ち上がらせる。
すると、体を震わせて、血しぶきと肉片を、掃き払う。
ガォォ!
まるで冥界の番人の、その御使いの獅子かのようであろう……
……BETAどもは、駆逐されたのだ。
衛士もまた、満足と勝利を獲得したのだった。
……みょうん、みょうん、みょうん……
「あれー?!」
その時である。
上空のタートルシップのトラクター(牽引)ビームに曳かれて、衛士を乗せたシールドライガーは、その船内にへと収容されていった……
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