ゾイド生命体を用いてBETAの脅威を打ち砕く話 作:もにもに+マウンテンヘッド
日没が落ちきった頃の……二子玉川陣地、その、兵士用・仮設浴場。
「~~♪」
金済の班の婦人少女女子兵士ら一同は、今……お風呂の時間を楽しんでいた。
思いがけない、特別待遇の恩恵を、皆、受けていた。
シャワー室と湯船が両方! 他の兵士らの使う時間とは調節がされて、
この面子らだけの、貸し切りのような時間を、楽しむことが出来ていた……
このあとには、自分らには、士官用と同じ食事までもが出されると聞く。
班員一同、よだれを垂らした。
……味の定評はかねがね噂を聞いている。
文字通りの垂涎もの、というやつである。
特別待遇というのはそれだけではない。
なんと!今、おろしたての、新品の石鹸とタオルを使わせてもらっているのだ。
ゾイドを乗りこなしたじぶんたちの特別さが、如何様にも分かろうというものであろう。
((((((((((今日から毎日、こんなゴウカ生活なのかぁ…………))))))))))
夢のような生活!
まさか、緊急事態を受けた動員令により徴兵されて、
数週間もたっていないような、自分たちのようなペーペーに、
このようなめぐり合わせが、もたらされるとは。
思うところとしては、そこであろう。
……まあ、そんな、心配することではないだろう。
なにせ、自分たち! と、相棒のゾイドたち!! がこの地球上にいる限り、
自分たち人類は、敗れることなど、決して無い!!! と、断言できるかはともかく…
…否、もはやそうと断言してしまっても、よいであろう。
班員たちは、希望と決意とありあふれんばかりの幸福感を胸に、そして思った…
…今の贅沢を、今のうちに出来得る限り、胸いっぱい、腕いっぱいに堪能しておこう……と。
「はーっ、生き返る!」
班長・金済は、皆より一足先に、湯の張られた湯船の方にへと、肩いっぱい体いっぱいに羽根を伸ばした格好で、満喫をしていた……
帝国軍肝いりの、野戦入浴セットの設置と運用である。
そして今、張られた湯も、おろしたて沸かしたての、新品であった……
(将軍たちや将校級は、こんな生活を毎日やってるのか……)
金済はそのような生活の恩恵が受けられる一員に己等が加わった、
ということに、役得! という笑みを浮かべるしか無い
「はぁぁぁ……」
正当な報奨、か。……金済は自戒した。
先程、この二子玉川陣地に帝国の幕僚級や政府の特使たちの一団が訪れ、到着した。
そして、戦功を示した自分達に、慰労と報褒のその訓示を行った…
…背筋が恐れ畏まり、しばらくの寿命が縮んだかと思った!と金済は思い出す。
そして、そこで告げられた。
……自分たちは、しばらくはBETAどもの様子と動向を伺いながらのそれ次第ということではあったが、
対BETA戦用の特別戦闘部隊として運用されるのに加えて、
帝国軍全軍規模でのゾイド戦闘機械獣の運用の実働と戦闘のためのノウハウ作りと研究のため、
教導部隊……アグレッサーめいたことをもやらされるかもしれない、との説明を、上級たちから聞かされていた。
(まったく、今から忙しくなりそうだ。)
金済は顔の半分を湯の水面に沈ませ、そして口でブクブクとあぶくを吹いた……
……その時である。
……戦術機のエンジン音が聞こえてくる。
そして、ガタガタ、ゴトゴトゴト、……という、振動と揺れ。
「な、なんだあ?」
頭上のテントの上べりの、照明の電灯が揺らついて、落ちそうになる。
「 ヤッベ! 感電したら大事だぞ! はやく出ねぇと……」
その時……
……ずばっさぁあ!!!!!
「うぎゃぁあ?!」
突如、野戦入浴所のテントが、なぎ倒されて、吹き飛ばされた!!!!!
「 きゃぁーっ!? 」「な、なんなのですか?! あの、戦術機は……!?」「あうーっ?!」
破壊された入浴所の下敷きになった班員は居なかったのであるが、
それにしても、裸一貫の素寒貧で放り出されたのだ! 不満と文句というものがあるであろう。
「えーい、クソッタレ!
ヤイ、どこの部隊の戦術機だぁ!!!!!」
金済は、怒鳴りを上げながら、視線を見やる。
多摩川の川の中ほどにまで、入水して入った、その機体……
その所属マーキングと国籍記号を見て、金済は唖然とした。
……米軍!?
日米安保を土壇場で一方的に破棄して日本の土地から撤退した以来、
長らくお目にかかっていない、そんな具合の、それである。
機種は、イーグル。
標準的な機体と言えるだろう。
だが、それが十二機……戦闘中隊の定数通りの編成だ。
間違っても、はぐれてやってきた、というわけではないだろう。
でも、それがどうして? なぜ?
……その時、目前のイーグルたちが、背部の兵装担架を開き、
銃撃の装備を手にとって、そのまま…
…頭上のタートルシップ級にへと銃の切っ先を向けようとしたのを見て、戦慄した。
(なんだと?! ……何がどう有れ、させねぇぞ!!!!!)
金済は、即座に奮起した。
「班員に告ぐ! 着るもんは下着だけでいい。各機獣に、個別に搭乗。ヤツラを阻止しろ!!」
「「「「「「「「「りょ、りょうかい!!!!!」」」」」」」」」」
人類同士の戦闘が、始まろうとしていた……
++
時間はしばらく遡る……
衛士・染井もまた、お風呂の時間を楽しんでいた。
もっとも、そのそばには、もうひとりの人物がいる。
この船内の調度品には不慣れであろう染井を思いやって、リアクタが、案内役として着いてきたのだ……
浴場の中までにも。
「ちょ、ちょっと、リアクタ、さん? す、すこし、距離が……」
「 近い、ですかね?」
「 そ、その、……」
……、、、。。
「 ま、まあ、いいでしょう。いいとしましょう!」
「 やったぁ♪」
染井は抵抗するのが苦手な性分である。
今もまた、こうしてリアクタ相手に、折れてしまった。
そうすると、リアクタは、
「 さー♪ あらいっこのつづき、しましょうねーっ♪」
「 あ、わ、きゃ?! あふ、っ……/////」
ボディタッチの気配が多すぎる!
せめてもの抵抗、として、染井は身じろぎと身のこなしで、それらを回避しようとした。
……が……
「 それから、……さん、付けはいりません。リアクタ、とだけ、よんでほしいですっ/////。」
「 えっ?! い、いや、いあ、いや、その……」
とどめ、であった。
蠱惑的な気配を帯びさせて己の耳元でささやいてきたリアクタに、
染井は、どこまでも翻弄される、そのばかりである……
芳醇な、甘い石鹸の香りが互いに触れ合う。
その香りに染井も、またリアクタも、酔うようになりつつ……
二人の関係は、どうなるのやら……
++