ゾイド生命体を用いてBETAの脅威を打ち砕く話   作:もにもに+マウンテンヘッド

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第2話

 

 

……惑星Ziは、滅んだ……

 

 だが、そこで暮らしていたZi人は、しぶとかった。

 

 惑星Ziが存在していたゾイドゾーン領域に他にある諸天体への移民というのもあっただろうし、

 なにより、現住のZi人のそのルーツのひとつである、遥かな母の土地・地球。

 

 永い時を経て、今となっては荒廃しきっているであろうそこへ、

 今の自分達の文明の、その技術力なら、テラフォーミング……ならぬ、Ziフォーミングしての再居住すら、可能である、と。

 

 

 決意も深く、巨大な恒星間移民船に乗り込んで、それが何百、何千とする大船団となって、

 遥かな大地の土地を目指して、ゾイドゾーンから巣立っていった……

 

 

 

 だが、様々なトラブルが、中途に存在していた。

 

 

 一番の大きな影響としては、

 かつての地球が在る銀河系へと渡るための“転移ゲート”というのが、

 もともとが偶発的な要因で開かれたモノであったということでもあるし、

 なによりそれが、予想以上に不安定な性質のものであった、というのがあった。

 

 アクシデントも込みではあったが最初に突入した科学調査船、

 およびそれの後を追って後続で突入した、ネオヘリック・ネオゼネバスの両国家を代表して飛び込んでいった、移民船多数隻ずつ。

 

 数十年、というスパンを経た後に帰ってきた、それらからの結果報告のメッセージには、

 かつての地球にルーツが在る勢のZi人にとっては、絶望となる知らせが書かれていた。

 

 

……転移ゲートの先にあったのは遥か過去世界の、宇宙進出すら満足に満たせていなかったころの古い時代の地球世界であり、

 そこへの計画外のZiフォーミングの、破れかぶれ、泥縄的な展開。

 そしてその結果として、過去世界の地球を、滅亡させてしまった……

 

 

 歴史に残るほどの悲劇として、

 この不条理な惨劇たる展開に、Zi人たちは、己たちの行動のもたらしたこの結果に多いに戦慄した。

 そして、この転移門を用いての転移移民は、一時的とはいえ無期限に中断中止することが、決定として各船にへと言い渡された……

 

 

 二度と、同じ悲劇は繰り返すまい、と……

 

 

 だが、さらに十数年を費やして、転移門のさらなる分析と研究は継続され、行われていた。

 

 

 わからないことが多くも在るが、この転移門は、ゆらぎ……めいたモノが訪れることがわかりつつあった。

 そしてゆらぎがもたらされたタイミングで無人探索ブローブなどを送ってみると、

 そのたびに、不可解なものであったり、不可思議な出来事が、

 転移門のその先の向こうの世界では、繰り広げられていたりしていた……

 

 およそ同一性は無く、まるで、異なる条件と前提の元で成り立ってきたかのような、

 自分たちの過去世界とは明らかに違っていて異なる、そうした変種の時空次元世界の、その断片の発見である。

 

 先の悲劇があったことから、

 他文明とは、なるべく直接の接触と邂逅は避けつつも、

 これは興味深いことだとして、さらに、研究を進めてみた。

 

 すると、ゆらぎには有る種の法則めいたものがあり、

 つまるところ、“自分たちが痕跡すら存在しない”、

 まったく異なる時間の経緯を育んできた次元さえも、その中にはあった。

 

 

 自分たちの親しんできたゾイド生命体なるものが、かけらも断片さえも存在し得ない、

 そんな世界も多多数存在し得ていた!

 

 

 そしてそれらの調査結果とともに、時間経過としてあったのが、

 転移門のさらなる解明を待っている間にもZi人の文明世界は発達し続けており、

 転移門のゆらぎの向こうの観測結果や持ち帰った情報などからヒントや技術解析を得ていった結果、

 ついには“コロニー”や小惑星などによる多数の宇宙都市を築き、

 それらと宇宙の各宙域にある開拓移民星との往還と交流のみで、

 Zi人たちの文明社会の、その、おおよその需要と殖産は満たせつつあったのである。

 

 

 

……そんな頃に、事件は起きた。

 

 

 

 転移門の向こう側から、謎の、突入体……それが、突入してきたのである。

 

 このときは直ちに、Zi人政府当局のサイテックス部隊による組織的要撃がなされ、

 これらの脅威は、早々に打破がなされることとなった。

 

 

……しかし、その後が問題であった。

 

 迎撃された突入体を解析にかけた所、

 解析すると、あまりにもグロテスクなシロモノであったのだ……

 知的生命の文明の有る無しに関係なく天体などに着上陸し、

 現地の生物類を捕食し原料とすることで増殖する、肉質類を用いた生体型重機と、

 それを用いた無制限での侵略的宇宙資源の簒奪。

 

 

 ゾイド生命体の養殖とその加工により金属資源類の生成生産がいくらでも効くZi人文明からすれば、

 あまりにもアナクロで、悪趣味で、それから、悪辣であった。

 

 

 それが、困ったことに、最初の突入体を破壊撃破した後にも、

 後から後から、同じか同質の固有波長のゆらぎの次元世界が合うたびに、

 向こうから、次から次に送り込まれてくるのだ。

 

 ことごとくを撃破しながら、

 ブローブを送り込んだりして、さらに分析と研究を図ってみた。

 すると、そこの世界にも、地球は変わらず存在する……であるが、

 すでにその不明生体を用いる敵外的文明の収奪により星の大部分を制圧されつつあり、

 すでに、地球人類にも多くの犠牲がもたらされていたこと……などが判明した。

 

 

 これらの一連の状況を鑑みて、Zi人文明世界は、他次元圏、他文明圏に対する自衛権の行使と、

 それの延長として、おそらくは自分たちとルーツを共にしているであろう、

 この侵略を受けている、

 友邦文明との接触と、それへの救援としての、積極的支援、これらの三点を、実施を試みることとした。

 

 

 Zi人からの要求としては、簡潔なものである。

 この奇怪な怪物が跋扈する世界へと武装した使節団を送り込むことによって、

 ゾイド由来のテクノロジーの播種と定着化を図ることによる、 

 人類側勢力の自主的防衛力の確立である。

 

 

 こっちにやってくる前に、そちらで始末してくれ、

……というのが、その要旨であった。

 

 

 

 

++

 

 

 

 

「おお……」「あれが、地球の、月か!」

 

 

 転移門をくぐり抜けた後、メガ・タートルシップ級恒星間移民船の船窓からは、

 眼下の月と、その向こうの青い星のその輝きに、目を奪われるクルーたちが続出した。

 

 

「ほぉ……こいつはまるで、フォトジェニックだ。 

 操舵手、月を半周する形で、地球にへと回航してくれ。

 手すきのクルーは、シャッターチャンスだから、今からでも撮影を頼む……こりゃあ、いい映像が撮れるぞ!」

 

「はっ、」

 

 

  このときまでは、船長以下含め、クルーの総員は、緊張感などはないものだった。

……にわかに状況が変化してきたのは、このあたりからだ。

 

 

 

 月の外周をなぞるようにしてから地球へとたどり着くコースを取らせていたので、

 月のBETAのその生息地が、まざまざとよく見えたのだ。

 

……その様子を見て、忌々しげに、船長は苦虫を潰したような表情となりながら、

 

 

「ブローブの偵察結果通り、月はあのバケモンどもの巣窟だな、」

 

 

「どうしますか」

 

 

「適当に、やってやるか……ギルベイダークラスを、数匹ここらへんで離す。

 今日の今からだ。月上空にギルベイダーたちを常駐待機させて、定時爆撃をやらせる。

 重力砲とビームスマッシャーで、適当に、あの蟻の塔をもいでやろう。」

 

「了解です。」

 

 

 

 艦の航空・航宙用甲板のハッチが開放されて、何機ものギルベイダーが放たれていく。

 いにしえには暴虐と惨劇の限りを尽くし、

 かつてには天空都市への移民輸送をも果たしたという、

 陰と陽のふたつを併せ持つ、強大で強力な、巨大なドラゴン型ゾイドだ。

 

 

 巨大な体躯とはいえ、恒星間移民船であるこの本艦からすれば、豆粒ほどに遥かにコンパクトで、小さい規模の大きさだ。

 その複数匹が離されて、そして月の表面にへと爆撃を開始した…………

 

 

 

「~♪」

 

 

 まるで、砂浜の城を崩すよりも手早くかんたんに、月の表面の巣窟……BETAハイヴ……が、

 破壊され潰されて殲滅されていくのが、眺望映像として見ることができた。

 

 今見ているこれは、編集済みの映画ではないから効果音などはないものであったが、

 しかし、それでもショウとして見るならそのスペクタクルは一級品だ。

 それを撮影しておくのは、まあ記念品ということもあったし、

 そしてこれから後、地球の政府首脳級や軍部の軍人へのプレゼンテーションの、その強力な一助とも、そのときには役立ったということでも有る。

 

 まあそれはさておき、見ている分には、心地が良い……

 

 

 

「船長! まもなく、地球表面に到着します。しかし、それでなのですが……」

 

 

 戦闘中?

 

 

「ニホン、という国の、我々の歴史が正しければ……その首都付近での戦闘とのことです」

 

 

「なるほど……ふーむ、そうしたら……」

 

 

 

 

 地球の暦では、西暦1998年。

 

 Ziの息吹が、胎動し始める……

 

 

 

 

++

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