ゾイド生命体を用いてBETAの脅威を打ち砕く話   作:もにもに+マウンテンヘッド

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第3話

++

 

 

 

 戦術機にも乗れない、適性がない。

 

 

 戦車なんて貴重品、おまえにはもったいない……

 

 

 

 闘士級が、眼前に現れた時……果たして、この、土筆 浩 つくし ひろ ……という日本帝国軍の少女兵士は、

 拭い難い絶望とともに、脳裏にそうした走馬灯が流れる感覚があった。

 

 

……あれ? 走馬灯って、本当なら、もっと、素敵な思い出とか、良かったこととか、そういうのを、思い出せるんじゃなかったっけ……?

 

 

 ガチガチ、と震えで噛み合う歯のこともそうであったが、両手から取り落しそうになっている小銃のこともそうであったが、己の頬を濡らす涙も、己の股ぐらを濡らす失禁のこともそうであったが、自分は、自分というのは……

 

 

 

(ま、まだ、…ま、だ……)

 

 

 

 しにたくない! わたしは!

 

 

 

 

 ザシュ、という音が、最期に響いた。

 

 

 

 

 

 

「 あ、れ、? わたし、しんだはずじゃ……」

 

 

 

 

……そう、闘士級らこの場のBETAの、その最期の断末魔、として……

 

 

 

 

 BETAの不潔な血……己にかぶさったそれを不快だと思うよりも早く、

 この兵士・土筆がまずみやったのは、果たして、目前のBETAを始末した……

 

 

「きょ、巨大な……カマキリ、さん?」

 

 

 

 チキチッ、と挨拶のように声を残して、

 この目前の、巨大なカマキリ……スパイカー型・奇襲戦闘ゾイド……は、

 返り血を払った後、再び戦闘のさなかにへと舞い戻っていった。

 

 

「え、……えっ、?」

 

 

 土筆ぃ!

 

 己を呼ぶ上官の声が聞こえて、ようやく、呆けていた土筆は、ハッ、と己を取り戻すに至った。

 

……そうだ、わたしたちの班は、高機動車で移動してたら、途中で、BETAと遭遇して!

 

 

「じょ、上官どのぉ!」

 

 

「土筆ぃ、大変なことになった! 本物の宇宙人が、攻めてきやがった!!」

 

 

 は? というのが、兵士・土筆の最初のその感想である。

 普段から素っ頓狂なことを言い出すこの上官のことであったが、

 しかし、見ろ、と指し示されたその先を見たら、納得するしか無い。

 

 指の向けられた上空を見た。

 

 なにやら巨大な宇宙船が滞空している。

 

 

「なあ、オレたち、どうなっちまうんだ?! どうなんだ?! 土筆!」

 

「た、多分、だいじょうぶ、ですよ? 大丈夫、ですよ!」

 

 がっくんがっくん、と上半身を揺すってくる……この上官。

 話を振られた側も、素っ頓狂にならざるを得ない……と兵士・土筆は呻きつつ、

 

 

「こっちは、正義の? 宇宙人さん? ですので!」

 

 

 腹の中からまだ今もなおこの、巨大な、機械の生物?を吐き出し続けてくれる、

 この上空の宇宙船の様子を見て、

 そう断言することは、まあ出来るであろう。

 

 

 

++第三話++

 

 

 

「 まるで、カメ、ですな。」

 

「 ああ、そうだな。」

 

 

 宇宙船は巨大で、ここ、東京の市ヶ谷・帝国陸軍基地の屋上からでも、

 双眼鏡を用いれば、見ることが叶っていた……

 

 

 帝国陸軍の幕僚が、まるで諦めたかのように従卒に述べる。

 

 

「……目薬、あったかな、」

 

「さあ。わたしも、幻覚まで見させられる花粉症というのは、耳にしたことも無く……」

 

 

 

 男二人同士、ぼやきあうしか無い。

 

 

 

 

++

 

 

 

「オレの班は、全員、無事だ……お前もふくめれば、な。

 だが、乗ってきた高機動車が、オシャカになっちまった。」

 

「 えっ……」

 

 

 状況としては、拙い。

 

 

「移動、できない、って事…?!」

 

 

「嗚呼! そういうことになる……」

 

 

「そんなぁ!」

 

 

 ぼやきあう班の同僚たちも、である。

……本当なら、最初に闘士級BETAに遭遇した時、すべての運命は、逃れられようのない死へと定まったも同然だったろう。

 

 だが、そこで班長の金済が機転を利かし!

 その闘士級BETAを、高機動車の体当たりで! 跳ねて仕留めた、というところまでには、まあ行った。

……だが、それにより乗ってきた足である高機動車はスクラップとなり……

 この神奈川の大地にて、人知れずに死んでしまう、そのような定めの中に、今の自分達はあるのだろうか。

 

 現に先程は、別に現れたもう複数の闘士級に、殺され掛かるところであった。

 だが、その闘士級どもは、この、いま目の前の道路を我が物顔で闊歩している、

 謎の機械生物……たちによって、始末がされた。

 

 それがなによりありがたい! としつつ……金済は、しかし、思う。

 

 

「  おーい! 乗せてってくれないかー!?  」

 

 

 思った胸の丈があれば、それを直後には大声にして叫ぶ、というのが、

 この金済という女性兵士・班長の生き様ではあった。

 

 

「む、無茶ですよぅ、この子たちは、BETA退治?で忙しいみたいですよぅ、ねぇぇ……」

 

「おれ、実は桃太郎の生まれ変わりだって、子供の時信じてたんだ。」

 

「き、きび団子が、ないじゃないですか!」

 

「そうなんだよなぁ……それでいま、悩んでいる。」

 

「なやんでるって、!?」

 

 

 再び

 

 

 おーい!

 

 

 こいつら部下を、連れて帰りたいんだー!

 

 

 と、班長・金済は声を張り上げる。

 

 

 

「おぉっ?」「…えっ!!」 

 

 

 すると……興味を示したかのように、ゾイドたちは近づいてきた。

 

 

「やった!!! やっぱ、声は出すときに出すもんだな! ガハハ!」

 

「な、なんか複雑だけど……ま、まあ、あの子たちに、護衛してもらいながら、乗せていってもらえたら……」

 

 

 そう口々に言い合っていた、その時。

……にわかに、その目の前の機械生命体たちの様子が、慌ただしくなった。

 

 

「! BETAか!!」「ええっ?!」

 

 

 

 まずい、囲まれた!

 班の他の同僚たちが、そう事態の現状を報告してくれた。

 

 

( 俺たちは、ここで、死ぬのか!? )

 

 

 班長・金済が、そう最期を悟ろうとした時……

 

 

 ヒュン、……

 

 

 

──“ゴドッシュ”!!!!!

 

 

 

 

 目前のBETAたちは、横合いからのその“蹴り”の一撃に、粉砕されるしかなかった。

 

 

……数匹の恐竜? めいた見た目と構造の機械生命体たちが、

 あっという間に! その目前のBETAどもを始末していったのだ。

 

 

「す、すげぇ、」「あ、わ、わ……!」

 

 

 見ると、その恐竜のような姿をしているのが、見た目がほとんど同じヤツと、スタイリングが似ているヤツと、

 様々にあるようであるらしく、

 

 その内の一匹……先程、好意的にこちらに合図を送ってくれた個体の子だ…

…が、再び、こちらへと気づいて、歩いて近づいてきてくれた瞬間があった。

 が、

 

 

「! あ、危ない!」「あぁっ……?!」

 

 

 背後から、まだ生きていたBETAが、同輩たちであろうその残骸の中から……

 その子たちへと、不意打ちかのごとくに襲いかかってきた!

……しかし、

 

 

 バシュバシュ、バシュゥ! 

 

 

「えっ?! す、すげぇ……」「す、すっごい!」

 

 

 どうも、背中としっぽの尾の付け根にある、肝心肝要のそれによって……

 その不意打ちを企んだBETAの一隊は、

 燃えカスほどに、火器類のそれらによって蜂の巣にされたのが、今しがたのことらしい。

 

 

「 あなたは、ゴドス、っていうのね!? 」

 

 

 キュゥ? と不思議そうにこちらを向いた、その機獣……ゴドス……は、

 しかし、直後には、喜んだかのように! 小さなストライククローのその両手と身振りを躍らせて、

 この、土筆……の元にへと、ゴドッシュゴドッシュ、と、スキップを踏むように歩いてきた。

 

 

「おぉぉ……!」「わわわ!? すごいっ、すごいっ……!!」

 

 焦げ臭さに包まれながら、班長・金済と兵士・土筆は、その姿をともにみやった。

 ゴドス型・戦闘ゾイドの、その勇姿を、である……

 

 

++

 

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