FF アルテマクリスタル   作:葛屋伍美

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ミッドガルドとアースカンドの歴史
そして、神話の時代のオメガの厄災
ユッケという存在がその中でどういう作用をするのか?
一同はいよいよ判断を迫られる。


ユッケという光

 

 

「・・・・・・そんなっ。」

氷付けになったユッケを見て、セレスが動揺を隠せず、放った言葉だ。

 

ミッドガルドの本隊がミナ達というよりかはバハムートに気付いて、大慌てでその動きを止めた後、さらに後方から全体の指揮を執っていたセレスが来るまでさほど時間はかからなかった。その場には、アグニスも後方から駆けつけて、二人はまたしても望まぬ形で初対面をすることになってしまった。しかし、その出会いも短いものとなってしまう。それは二人の置かれた状況が物語っていた。

 

 

「・・・まさか、ハディがそこまでの危険人物だったとは・・・。」

ミナ達から聞いたオメガの事を踏まえて、アグニスが出したハディに対しての結論だった。

 

 

「・・・このような事態になったのは我々アースカンド人の責任です。ハディの思惑を阻止する為に我々は死力を尽くします。」

セレスにそう最後に言い残して、アグニスは深々と頭を下げた後、アースカンド軍本隊へと戻って行った。

それほど、アグニスは最悪の事態を想定していたのだ。

なんとしても、ハディのオメガ復活をアースカンド人の力で阻止しなくてはならない。その思いを目で訴えていた。

 

「・・・御武運を・・・。」

セレスはそう返すだけだった。それほど、アグニスの意志が強い事を現していた。

 

二人の会談が早々に終わった後、セレスはミナ達と向き合っていた。

 

 

「・・・・・・。」

セレスは黙って、氷付けになっているユッケを見ている。

 

 

シヴァは氷を抱きしめてうわ言を繰り返すだけだった。

 

 

「セレス様、一刻も早くアースカンドのゲートを壊してハディの帰還を阻止しましょう!」

ティアが再度アースカンドとの永遠の決別を進言する。

 

「・・・無理ですね・・・。」

ユッケを見ながらセレスがキッパリと答える。

 

「・・・えっ・・・。」

余りにもハッキリと断られてティアが面食らう。

 

「・・・ハディには次元を越える力があります。ゲートを壊した所で時間稼ぎにしかなりません・・・。」

セレスは状況を誰よりも冷静に判断して言葉を選んで答える。

 

「・・・おねっ・・・セレス様・・・。」

ミナは冷静な姉に恐る恐る言葉をかける。

 

「・・・大丈夫ですよ、ミナ・・・私は貴方の考えに賛同します。」

セレスは可愛い妹の顔を見て微笑み、余りにもあっさりとそう答えた。

 

「ちょっと待って下さい、セレス様っ!」

それに納得いかないのはティアだ。声を荒げてセレスに言葉で詰め寄る。

 

「・・・ティア・・・冷静になって下さい・・・我々にはユッケさんが必要なのです。」

これまで以上に真剣な目でティアを見据えるセレス。

 

「・・・どう・・・して・・・。」

セレスのまっすぐな視線に動揺を隠せないティア。

 

「・・・バハムート様・・・バハムート様のお考えに異を唱える事をお許し下さい。」

セレスはバハムートの方に身体を向けると丁寧にお辞儀をした。

 

「・・・統括よ・・・理由を聞こう・・・。」

バハムートが静かにセレスに問う。

 

「・・・我々はユッケさんがいたからこそ、ここにおります。バハムート様もそうではございませんか?」

セレスがバハムートの目、一点を射抜いて言葉を放つ。

 

「・・・・・・。」

黙ってセレスの話を聞くバハムート。

 

「・・・これからの戦いには確かにレイズやケアルといった回復魔法は必要でしょう・・・しかし、何よりも我々に必要なのは光です・・・。」

一転の曇りもないセレスが言葉を続ける。

 

「・・・・・・闇の民のもたらす闇の中で我々を導く光こそがもっとも重要なのです。ユッケさんはその光です・・・我々はユッケさんが戻ってこなければ、アースカンドの軍に降伏していたでしょう。ユッケさんが戻ってきて、アースカンドの協力者と引き合わせてくれた。そして、ここまで導いてくれた事こそ・・・我々で言う『アルテマクリスタル様のお導き』なのではないでしょうか?」

セレスがそう言葉をツヅってバハムートに訴えかける。

 

「・・・・・・。」

一歩も引かずにセレスを黙って見詰めるバハムート。

 

「・・・これからくるであろう過酷な戦いに犠牲は少なくないでしょう・・・レイズがあれば・・・ケアルがあれば・・・そう思うことも確かにあるでしょう・・・ですが、前を向いて進むために必要な光がなければ、私達は闇に飲まれて立ち上がることが出来なくなる・・・。そうは思いませんか、ティア・・・ユッケさんを傍で見ていた貴方なら分かるでしょう?」

バハムートから視線をティアに移して、優しく微笑むセレス。

 

「・・・うぅっ・・・私・・・私だって・・・ユッケを・・・ッ・・・。」

セレスの言葉にティアの瞳から滝のように涙が溢れる。ティアは泣き崩れて、その場にウズクマる。

 

「ティアッ!」

「ティアさんっ!」

ウズクマって丸まったティアにミナとミューレが抱きついて一緒に涙を流した。

 

「・・・俺はアースカンド人だから、どうこう言えた義理じゃねぇけどよ・・・ありがとなっ。」

黙って事態を見守っていたシドが少し顔を赤らめながらセレスにお礼を言った。

 

「・・・いえ。」

セレスはそんなシドをニコリと見ながら一言返した。

 

 

「・・・どうやら、答えは出たようだな・・・。」

そうバハムートが言うと羽ばたき出した。

 

 

「・・・行くのか?」

その様子を見てラムウが尋ねる。

 

「・・・アースカンド人だけでは止められんだろう・・・私でしか相手に出来ない者もいる・・・。」

バハムートが優しい眼差しでラムウを見る。

 

「バハムート様ッ!」

セレスが申し訳なさそうにバハムートを見て、声をかける。

 

「・・・守護統括よっ、胸を張るがいい!ユッケが光といったお前がこの世界を先導するのだ。光は道標に過ぎない・・・お前が迷わず、皆を導け!私はクリスタルのためだけではなく、この世界のためにその手伝いをしようっ。」

そう言ってバハムートは空に浮かび上がり、遠くへと消えていった。

もちろん、アースカンドのゲートを潜って、闇の民ハディの思惑を阻止するためだ。

それを察してか、シドの護衛として残ったラスターが無線でその事を誰かに伝えていた。

 

「さぁて、そうと決まれば忙しくなるんだろ?」

右腕をグルグル回しながらシドがその場の全員に対して言葉をかける。

 

「・・・ユッケ殿を生き返らせましょうっ。」

レオンがニコニコと胸を張る。

 

「・・・えぇっ。」

ミナも涙を拭いて立ち上がりニコリと笑った。

 

「・・・うんっ。」

涙で両目を腫らしたティアが苦笑いをしてウナズく。

 

「・・・でも・・・どこに行けばいいのでしょう?」

今まで泣いていたミューレが誰よりも冷静にその場の全員に尋ねた。

 

 

「・・・ヴェフォニス火山じゃよ・・・。」

ラムウがポツリと答える。

 

 

「・・・ヴェフォニス火山って・・・あの火のクリスタルの?」

ミナがラムウを見て尋ねる。

 

「・・・そうじゃ、フレビアから少し距離があるがの・・・。」

ラムウが髭を触りながらミナに答える。

 

「・・・そこに一体何が?」

レオンがラムウに尋ねる。

 

「・・・・そこには、フェニックスがおる・・・。」

レオンの方を見て、ラムウが答える。

 

「・・・フェニックスの力を使うことで、どんな死の運命の人間でもその運命を覆す事が出来るのじゃ・・・フェニックスは消えてしまうがな・・・。」

ミナに真剣な眼差しを向けて、ラムウが言葉を投げかける。

 

「・・・フェニックス様の命を使って・・・。」

事の重大性にミナが少し動揺する。

 

「・・・生き返すと決めるのはええが、フェニックスを説得できるかの?」

意地悪そうにニヤケながらラムウが言葉を続ける。

 

「怖気づいたかの?」

ラムウがミナに悪戯に尋ねる。

 

「・・・・・・いいえ・・・確かに少し驚きましたが、目的地が分かったので安心しました。」

ミナが強い眼差しでラムウを見て、ニコリと笑って答えた。

 

「・・・なら、参るとしようかの。」

ミナの笑顔に答えるかのようにラムウも微笑んだ。

 

 

「・・・シヴァ様・・・。」

ミナは一行の進むべき道が明確になったことで、今も正気を失ったシヴァを安心させる為に声を掛けた。

 

 

「・・・ミナ・・・ユッケを・・・ユッケを・・・。」

シヴァは少し正気を取り戻して、涙で腫らした顔をミナの方へ向ける。

 

「・・・大丈夫ですよ、シヴァ様・・・私達が必ずフェニックス様を連れてきます。」

氷漬けのユッケを抱きしめるシヴァの肩にソッと手を置いて優しく答えるミナ。

 

「・・・ごめんなさい、ミナ・・・私はユッケの身体を守らないといけないから・・・。」

シヴァは精一杯の言葉をミナに返す。

 

「・・・ユッケの事お願いしますね、シヴァ様・・・。」

ミナは微笑み、シヴァにしばしの別れを告げた。

 

ミナはシヴァとユッケから離れると出発を今か今かと待つセレス達に合流する。

 

「お姉ちゃんも行くのっ?!」

時間が惜しいミナ達はアースカンド軍から提供されたジープで行く事になっていたが、そのジープに思いもよらない人物が乗っていて驚くミナ。

 

「もちろんですよ、ミナッ・・・もう、総力戦ですからねっ。」

さも当然かのようにセレスが妹に答える。

 

「セレス様は私なんか足元にも及ばない大賢者様ですから心強いですッ!」

ミューレがセレスと同行できる事をウキウキしながら話す。

 

「あらあら、才能ならミューレちゃんの方が上よ。」

ミューレのお世辞に微笑みながら返すセレス。

 

「賑やかになりそうで何よりだぜっ。」

ミナ達の乗り込むジープの運転手はシドだった。

 

ジープは3台。ミナ達のほうにはシドとラスター、後部座席にミナとセレス、ミューレが同乗する。そのジープを挟むようにドマとヤムがそれぞれ運転するジープが続く。レオン達とアポニスの隊員達はそれぞれ守備を考えて分かれていた。

 

 

(ユッケ・・・必ず連れ戻すからね!)

ミナはそう強く想い、走り出そうとするジープのさらにその先を見据えていた。

 

 

〔ブオオオオオンッ、ブウウウウウウウウウウーーーーーッ〕

 

 

3台のジープが目的地に向かって走り出した。

一行の向かう先は火のクリスタルの影響下にある守護獣フェニックスがいるという「ヴェフォニス火山」だ。

 




ミナ達に別れを告げるバハムート。
単身アースカンドに行く事を告げる。

次回、「バハムートとアースカンド」
青年よ、それぞれの決意との向き合い方を知れ(千葉しげるさん風)
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