FF アルテマクリスタル   作:葛屋伍美

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ミナ達と別れたバハムートは単身アースカンドに向かう。
そこには、ハディの野望を止めるために戦士達が揃っていた。


バハムートとアースカンド

 

 

ミナ達がヴェフォニス火山に向かって出発した中、ミナ達と別れたバハムートは今は亡きフォッカ少将が指揮していたゲートに向かって、独り飛んでいた。

もちろん、それはアースカンド軍と戦うためではなく、今度はアースカンド軍と協力して、にっくき宿敵『闇の民ハディ』と対峙する為だ。

バハムートが飛ぶ上空を大勢のアースカンド軍人達が眺めている。

ゲート近くには、アグニスが指示したのか、近くに待機していたフォッカの指揮下にあった残った部隊や、近くに展開していたベロニキ中将の部隊が集まり出していた。ベロニキ中将の指揮下にあったゲートはミッドガルド人に破壊されたので、フォッカ部隊に近かった部隊はこっちに来ていたのだ。

 

「すげぇ~~~・・・。」

「あんな化け物と戦わなくて良かったぜ・・・。」

「・・・やっと帰れるのか・・・これで、あいつと籍を入れられるよ・・・。」

「・・・俺はゆっくり休みたいぜ・・・。」

 

バハムートが飛び去った後、アースカンド軍の兵士達は思い思いの言葉を零していた。

バハムートを見ても誰一人として銃を構える者がいない。それだけ、今アースカンド軍は統率が取れているということだろう。

 

「・・・むっ・・・あれか?」

そうこうしているとバハムートの目に大きな二つの機械で出来た塔のようなものが見え出す。

 

〔バチバチッ、バチッ、ジュジュジュジュッ・・・〕

 

その塔はバハムートが近付くと、互いに太い雷撃を交差させて何かを始めようとしている。

塔の周りは、木々が切り開かれて大きな広場になっている。その広場にアースカンド軍が展開して、戦車や装甲車、テントが何個も設置されていた。

不思議な事に二つの塔の前は大きく開かれており、バハムートに向かって旗を大きく振っている兵士が数名いた。

 

〔ブウーーーンッ〕

 

二つの塔が雷撃を交換していると、それが収まったかと思うと二つの塔の間にスクリーンのような幕が広がり、ミッドガルドの景色とは違う機械的な軍の施設が広がる風景が映し出された。

これはゲートが開き、ミッドガルドとアースカンドの軍事施設が繋がった事を意味していた。

旗を振っていた兵士達は旗信号が通じないだろうとは思っていたが、白い旗でバハムートに敵意は無い事と進むべき道筋を一生懸命教えていたものだ。

 

「・・・・・・・。」

バハムートは一連の流れを羽ばたきながら空でその様子を眺めていた。

 

 

「バハムート王ッ、こちらが我々の世界に繋がるゲートです!お通り下さいっ!!」

一人の兵士がスピーカーでバハムートに向かって叫ぶ。

 

「・・・・・・・。」

バハムートはその言葉に無言で従い、ゲートの方へと飛ぶ速度を上げた。

 

バハムートがゲートに向かう間、周りの兵士達は写真を取ったり、バハムートに向かって手を振ったりしていた。

これからさらに過酷な戦いが待っているかもしれないということは下の兵士達にはまだ伝えられていないようだった。

バハムートはそんなことは我関せずと、ゲートへと飛び込み。いよいよ、アースカンドへと数千年ぶりに行く事になる。

 

 

 

ゲートを潜って、アースカンドに行くのは余りにもあっさりとしていた。

本当に門を潜って街に入るように何の抵抗もなかった。

思いの違いや利益の違いで世界を分けているのが馬鹿らしくなるぐらい簡単だった。

 

 

「・・・また、ここに戻ってくるとはな・・・。」

バハムートはゲートを潜るとそのままアースカンドの空高く舞い上がり、アースカンドの空気を吸いながら見慣れない空の上で世界を見回した。

 

 

「・・・バハムート王ッ・・・」

バハムートがそのまま空高く上がった事に驚いたアースカンド軍の施設の誰かがバハムートにスピーカーで大きく声をかける。空高く上りすぎたためか、その声は小さなものだった。

 

「・・・・・・。」

バハムートはその声を拾い、ゆっくりと降下していく。

 

「バハムート王ッ!ようこそ、アースカンドへッ!」

軍事施設のスピーカーからバハムートを歓迎するアグニスの声が聞こえる。

 

「・・・アースカンド人よ、私は王と言うそのような小さな枠に収まるような者ではない。」

気高いバハムートらしい返答だった。

 

「・・・こっ、これは申し訳ない・・・バハムート・・・殿・・・でよろしいですか?」

バハムートの言葉に動揺を隠せないアグニス。

 

「そんなことより・・・我々は悠長にしている場合ではないはずだ。」

バハムートが軍事施設の開けた場所を見つけて、そこにゆっくり降下して行きながら話す。

 

軍事施設の一角に、普段は航空機を止めてあるであろう大きな広場があり、バハムートが来る事を見越してか。それとも、使ってしまってなくなってしまったのか、閑散としたその広場にバハムートを出迎える人間が何十人が航空機の代わりに集まっていた。

 

「・・・それもそうですが、今後のための情報交換も必要だろうと思いますので・・・。」

アグニスが申し訳なさそうにバハムートに進言する。

 

「・・・手短に頼むぞ・・・。」

バハムートはそういうとアースカンド人達を吹き飛ばさないように気をつけながら広場に降り立った。

 

「・・・これはこれはなんとも雄大なお姿で・・・。」

バハムートの姿を見て、驚いているのはアサッシュ大将だった。

 

「・・・バハムート殿・・・お初にお目にかかる・・・私はノブヒデ・・・いや、ユッケの父でリアの夫のヒロヨシと申します。」

アサッシュ大将の次に声を上げたのはディアボロスと対峙した後に死んだと思われたヒロヨシ博士だった。

博士の脇にはバハムートを見て震えている看護師が必死に付き添っている。

 

「・・・お前がリアの・・・。」

バハムートはヒロヨシを鋭い眼光で見る。

ヒロヨシは怯まずに居るが、隣の看護師は失神しそうなほどだった。

 

「・・・アルテマクリスタルの件は申し訳ありません・・・ユッケもご迷惑をおかけしているのではないでしょうか?」

ヒロヨシは深々と頭を下げてバハムートに謝る。

 

ユッケが死んだことはヒロヨシの耳にも入っているだろうが、その事に関しては一切顔に出さないヒロヨシ。ユッケが死んだこととそれを蘇らそうとしている仲間達の話も耳に入っているからだった。

 

「・・・その件については、聞きたいことが山ほどあるが今は最早時間が惜しい・・・。」

バハムートが後ろ髪を引かれながらも急いでいるのだと主張する。

 

「・・・先ほどからすみません。その件については我々も同じです。ハディの居場所が分かりましたのでお伝えしたく・・・。」

ヒロヨシの次に口を開いたのはアグニスだった。

 

「・・・ほほぅ・・・思った以上に早かったな・・・。」

流石のバハムートも素直に感心した。

 

「私の開発したアルテマクリスタルのエネルギーを指し示すレーダーが役に立ちました。」

ヒロヨシがどうやって探し当てたかの説明をする。

 

「・・・なるほど・・・。」

バハムートが上下に頭をゆっくりと動かして答える。

 

「・・・ここよりだいぶ離れていますが、「モイスタイニア島」といわれる孤島に向かっていると思われる反応があります。そこに、おそらくオメガクリスタルがあると我々は推測しています。」

ヒロヨシに続いて、アグニスが説明をする。

 

「方角と距離は?」

バハムートが簡潔に尋ねる。

 

「方角はちょうど西南西方向になり、距離はモイスタイニア島だと約7000kmですが、お分かりになれれますか?」

アグニスが丁寧に答える。

 

「・・・数千年前とさほど変わらない単位だ・・・十分理解は出来る。」

バハムートは突然思いもよらない世界の歴史の一端を話しながら答えた。

 

「・・・えっ・・・しかし、単位が確立したのはここ最近・・・だと・・・。」

バハムートの言葉に驚いたのはもちろんヒロヨシだった。

 

「・・・お前達の文明は一度まっさらな状態まで滅んでいる・・・私はそこからここまで復興させたアースカンド人に驚愕している・・・恐れもしているがな・・・。」

バハムートは素直に話し、時折鋭い眼光でアースカンド人達を見た。

 

「・・・・・・。」

バハムートの睨みにたじろぐアースカンド人達。その中で、

 

「・・・ミッドガルドには単位が存在していたわけではないのですか?」

ヒロヨシが科学者の好奇心からオクせもせずに質問した。

 

「・・・私は古代アースカンドの事を好きではなかった・・・ミッドガルドに私から技術や文明の知恵を教えたことはない・・・が、人と人との間で交流を制限はしきれまい・・・ミッドガルドにも同じような単位は多い。」

遠い空を見ながらバハムートが答える。

 

「・・・そうだったんですね・・・興味深い話をありがとうございます・・・。」

ヒロヨシが話の腰を折ったことを申し訳なさそうに謝る。

 

「・・・それで、お前達はこれからどうするのだ?」

バハムートが本題に戻すようにアグニス達に話しかける。

 

「・・・我々はこれからハディをとめるべく、オメガクリスタルを破壊しようと思っております。そのために部隊も展開させており、私が自らこれから乗り込みます。」

決意の眼差しでバハムートを見てアグニスが話す。

 

「・・・お前達ごときでは到底及ばぬ敵だぞ・・・。」

冷静にバハムートがアグニスを言葉で打ちのめす。

 

「・・・それは承知の上です・・・ユッケ君達の戦いは直接見てはおりませんが、その場にいた者達に想像以上の話を伺っております。しかし、これは我々アースカンド人の果たさなければならない使命と思っております。」

バハムートの言葉にも怯まない意志でアグニスが胸を張る。

 

「・・・そこまで思っているのならば、私から言う事はない・・・私は私でやらなければならないことをやるだけだ・・・。」

アグニスの目をしっかりと見てバハムートも決意を語る。

 

「・・・ヒロヨシと言ったか・・・お前はユッケの死を知っていないのか?」

バハムートが息子の死を悲しまない父に対して不思議に思っていたことを尋ねた。

 

 

「・・・知っています・・・それと仲間達が息子のためにやろうとしていることも・・・。」

ヒロヨシは曇りない微笑をバハムートに向ける。

 

 

「・・・そうか・・・。」

そういうとバハムートはゆっくりと羽ばたき身体を浮かしていく。

 

「・・・御武運をッ!」

アグニスがその姿を見て敬礼をした。

 

「・・・・・・。」

アサッシュ大将を含めた回りの兵士達もアグニスに合わせて、綺麗に団体行動を取るように敬礼して見せた。

 

バハムートはその光景の中、高く高く空へと舞い上がり、ハディがいるであろう方角へと飛んで行った。

 

 

「・・・・・・それでは私も行こうと思います。」

バハムートが見えなくなるまで敬礼していたアグニスがアサッシュ大将の方に向き直って敬礼し直した。

 

 

「・・・うむ。」

アサッシュはその敬礼に答えて敬礼をした。

 

 

 

 

「・・・・・・大佐・・・ご武運を。」

光を失った瞳でメラーニがアグニスに見て、そう声を掛けた。

 

 

 

 

 

 




バハムートに続き、
アグニスも自身の決意のために行動を起こそうとしていた。
その背中を見送るメラーニは・・・。

次回、「アグニスとメラーニ」
青年よ、大事なモノのために命をかける背中を見よ!(千葉しげるさん風)
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