FF アルテマクリスタル   作:葛屋伍美

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ヒロヨシの元にギルガメッシュの資料が届く。
その資料を元にこれから起こる事を推測するヒロヨシ。

だが、闇は待ってくれるほど優しくなどはない。


オメガ大戦編
オメガの落とし子


ヒロヨシに資料が届き、メラーニにオメガの事について、説明したのは数時間も後になる。

もし、もっと早い段階でメラーニに『落とし子』についての対策をヒロヨシが伝えられたなら、この数時間で起こってしまった惨劇は少しだけでも小さくなったのかもしれない。

 

オメガが動き出したのが大きな海のど真ん中だったのが幸いだったが、それも本当に小さな幸運に過ぎなかった。

 

海に近い順に人の住む街々にその悪魔は突如飛来した。

何の前触れもなく現れて、人々からあらゆるモノを奪っていく。

最初の街に到達するまでの時間は3時間程しかなかった。

そして、ものの1時間で数百万の命がこの世から消えてしまった。

そこからは爆発的に被害が増加していく。

 

もう一つの幸運があったとするならば、それはヒロヨシやメラーニがいる大陸とは別の方向にオメガが移動した事。

 

しかし、その事でアースカンドの国々や人々が『落とし子』に対しての対応が遅れてしまった原因でもあった。

メラーニから軍に『落とし子』についての情報が渡り、軍が対策に乗り出し、他国にも共有されるまでの数時間の間に犠牲者は億を越えていた。

オメガの『落とし子』達は目に入った人という人、動物という動物、動くモノ全てを無慈悲に攻撃して排除していった。

それは過去に自分達が動くモノによって、封印されたことに対しての事前対応でもあった。

そこに女や男、子供や老人といった区別はない。

ネズミであれ、人間であれ、虫に到っても彼らとしては排除する対象でしかなかった。

そして、動くモノがいなくなると街から自分達の生成に使えそうな金属などをかき集めて、母艦であるオメガに運び込み雪ダルマ式にその数を増やしていった。

 

 

「撃てエエエエエエエッ!」

 

〔ドドドドドドドドドッ!ドンドンッ!バシュンッ、ドガーーンッ〕

〔グワアアアアアッ、ウワアアアアアアアアッ〕

 

 

『落とし子』に対しての人間達の抵抗が始まった事で被害の波は鈍化することになるが、完全に止められるほど甘くはなかった。

メラーニの指揮下にあるアースカンド連合軍は自分達の方に飛来した『落とし子』の対応で精一杯になってしまい、他国や他の大陸に対しての救援など考えられなかった。

ヒロヨシがギルガメッシュの資料を調べて、対処方法についての情報をメラーニに送り、被害を最小限に留められただけでも優秀な成果と言えるほど、今のアースカンドにとって、オメガという化け物は手に余りあるモノとなった。

 

 

「・・・メラーニ君、君の迅速な対応がなければ、こうもうまくいかなかったよ、ありがとう。」

「・・・閣下ッ、もうそこは危険ですッ!退避して下さいッ!」

メラーニは通信機の向こうから聞こえるロッテントの優しい声に必死に退避を進言していた。

 

 

ロッテントはミッドガルドとの和平が結ばれるとアグニスとのヒンパンな連絡のやりとりの中でいち早く前線となるであろう沿岸沿いに待機していた。

その事が、メラーニ達への被害の防波堤となり、『落とし子』の侵攻を著しく遅らせていた。

しかし、侵攻を遅らせていると言う事はそれだけ、被害も出ており、今まさにロッテントの目前まで『落とし子』の脅威が迫ろうとしていたのだった。

 

「・・・アグニスが繋いでくれた希望は私達が守る義務がある。そして、こうなってしまった責任を負う事も・・・メラーニ君、君にまで責任を押し付けてしまった我々を許してくれ。」

ロッテントはこれまでハディの手の上で動いていた自分達上層部の責任について弁明し、通信機の向こうで頭を下げた。

 

「閣下ッ!そんなことは私も大佐も気にしていませんッ!そんなことより、お早くお逃げ下さい!」

覚悟を決めているロッテントを思い留まらせようと説得を試みるメラーニ。

 

「閣下ッ!危険ですッ!オニゲッ・・・グワアアアアアアアアアッ!!」

「・・・そろそろのようだ・・・メラーニ君、後を頼む・・・ザザァァァァッ・・・。」

通信機から兵士の絶叫とロッテントの最後の言葉を機に、通信機からは砂嵐の音しか響かなくなった。

 

「・・・・・・。」

メラーニは机に両手を静かに置いてウツムき、無言で悔しがった。

 

「・・・・・・。」

通信室にいる他の兵士達もその時ばかりは作業の手を止めざるを得なかった。

 

 

「何をしているっ!敵は一緒に悲しんではくれんぞッ!!」

通信室のしみったれた空気を吹き飛ばす声が木霊した。

 

 

「・・・ベロニキ中将閣下・・・しっ、失礼しましたっ。」

ベロニキの堂々たるゲキにメラーニ始め、他の兵士達も姿勢を正して敬礼をし、それぞれの作業に戻った。

 

「・・・まったく・・・ワシが年長者だというのに、せっかちな奴らばかりで困るわっ。」

ベロニキはニヤリと笑みを浮かべて、メラーニに悪態をつく。

 

「アサッシュ大将閣下はご無事ですか?」

メラーニがベロニキに警護をしていたアサッシュについて尋ねた。

 

「・・・あやつは最高責任者としての仕事がある・・・そう簡単には死なん・・・。」

鋭い眼光でメラーニに答えるベロニキ。

 

「・・・そうですねっ、失礼しましたっ。」

再び敬礼をして謝るメラーニ。

 

「軍の再編成は整えた。ロッテントが稼いでくれた時間は無駄ではない。我々が世界にこれ以上迷惑をかけるわけにはいかん。ワシも責任を取りにいくっ。」

ベロニキはそういうとサッと出口の方に向きを変えて歩き出した。

 

「御武運をっ!」

メラーニ始め、通信室の兵士は一斉に立ち上がって、ベロニキ中将に敬礼をして送り出した。

 

中佐が中央に残り、中将が前線に行くというのは異例の事だが、ヒロヨシと通じ、アグニスがいなくなった今、ミッドガルドとの無理のない交渉口としてメラーニが適任なのは言うまでもなく、上層部としても自分達の責任を取るための処置でもあった。

その中で、大将であるアサッシュはこの騒動が終わった後に、代表としての責務を果たすべくジッと核シェルターの一室の椅子に座っていた。関わる事もできたが、敢えてそうしなかったのはメラーニに対しての信頼でもあり、次世代への希望を託した形だったのかもしれない。

 

 

「閣下、失礼しますっ・・・ロッテント少将閣下が戦死しましたっ。」

アサッシュのいる一室に一人の兵士が旧友の悲報を律儀に伝えに来た。

 

 

「・・・そうか、分かった・・・ありがとう・・・。」

アサッシュは椅子に座った状態で両肘を机に付け、組んだ手に顎を乗せた状態で兵士を労った。

 

「・・・・・・。」

兵士はそれ以上何も言わずに静かに部屋を出て行った。

 

「・・・・・・ロッテント・・・お前にも苦労を掛けてしまったな・・・すまん・・・。」

アサッシュは机の引き出しから旧友達と撮った写真を取り出して、その写真に写る若かりし頃のロッテントに謝罪した。

 

 

 

「オメガッ!!!」〔メガフレア〕〔ゴパァァアァ・・・ドゴゴゴゴゴォォォォォォーーーーッ!!〕

バハムートがオメガに向かって最大級の攻撃を仕掛ける。

 

 

「お前の好きにはさせんぞっ!!」〔ダイダルウェイブ〕〔ドゴーンッ、ザザザッ、ドドドドッ!〕

リヴァイアサンが海から迫り出して、渾身の一撃を放つ。

 

 

〔ドンッ、ドンッ、ドドドドドッ、バシュンッ、バシュウッ・・・〕

オメガの表面に無数にある砲塔からバハムート達に向けて、砲撃がアメアラレと放たれる。

 

的としては大きいバハムート達は完全に避ける事は出来ないが、被害を最小限に抑えつつ、オメガと交戦していた。

 

 

アースカンド人がオメガにその人生を翻弄される中、オメガは悠然と飛び続けていた。

周りで無駄な抵抗をするゴミを横目に。

 

 

 

 




オメガの落とし子により、地獄と化したアースカンド。
その大地に、敵か味方か、大きな力を持った者達が現れる。

次回、「目覚めの時」
青年よ、王の呼び声に目覚めた者達の姿を見よ!(千葉しげるさん風)
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