FF アルテマクリスタル   作:葛屋伍美

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バハムートの呼び声に応えるように
アースカンドの各地で守護獣達が現れる。
人類に牙をムく落とし子をいとも容易く葬り去るモノ達。
敵なのか、味方なのか?


集うモノ達

「クソオオオオオオオオオオオオッ!」

「ここは絶対に死守しろッ!!」

 

〔ドドドドドドドドドッ、ドドドドドドドッ・・・〕

 

アースカンドの兵士達が迫り来る落とし子達に向かって一斉射撃をしている。

ここはオメガを中心にして南東の方角。

 

〔ビシュンッ、ピシュンッ、ドドドドドドドッ〕

 

「グワッ!」

「ウワアアアッ!」

 

アースカンドの兵士達の攻撃をものともしない落とし子達は悠然と歩みながら兵士達に向かって無慈悲な攻撃をしていく。

 

「・・・クソッ、銃撃も爆撃も通じないんじゃ、どうしようないじゃないかッ!」

一人の兵士が圧倒的強者に対して弱気を叫ぶ。

 

「俺達は勝つんじゃない。住民が森に避難できる時間を稼ぐだけだッ!」

指揮官らしき男が兵士に向かってゲキを飛ばす。

 

「少しでも多くの住民を逃がすんだッ!」

「サッ!!」

指揮官の志高い指示に大きな声で答える兵士達。

 

〔ビシュンッ、ピピシュンッ、ドドドドドドドッ〕

 

「ノワアッ!」

「ギャアアアアッ!」

 

勇ましい兵士達をあっさりと亡き者にしていく落とし子達。

最早、逃がした住民も皆殺しになるのではと絶望が頭を過ぎった。

その時だった。

 

 

「フフフフッ、己の命を犠牲にして他者を守るその心。その姿。とっても素敵・・・。」

「・・・エッ?!」

 

 

どこからともなく美しい女性の声が戦場に木霊す。

その声に驚きを隠せない戦場の兵士達。

 

「ブライトサバト」〔ピカーンッ、ドシューーーンッ〕

 

〔ボボボボッ、ドドドガガーーーンッ!〕

 

「・・・ナッ?!」

アースカンドの兵士達の後方から光が放たれたかと思ったその瞬間。

今まで目前まで迫ってきていた落とし子の軍団が一斉に爆発した。

 

「・・・なっ・・・なんと・・・。」

後ろを振り返った指揮官がその者の姿を見て息を飲んだ。

 

森を背に戦っていたアースカンドの兵士達も指揮官につられてその方向を見る。

見た者全てがその者の姿を見て、言葉を失った。

 

そこに居たのは、一人の絶世の美女。

 

その佇まいだけで、気品を持ち、位の高い高貴さが伝わってくる。

その女性は優しい目で兵士達を見て微笑む。そして、

 

「・・・ウフフフフッ・・・さあっ・・・皆、おいきなさい・・・。」

女性がそう言いながら空を持ち上げるように両手を前に出すと

 

〔ガサガサガサガサッ、ドドドドドッ!〕

 

森の中から、樹の化け物が一斉に姿を現した。

化け物達は一目散に未だ迫り来る落とし子達に向かって突進を仕掛ける。

 

「ギャッ、ギャッ!」

「ガオオオオンッ!」

樹の化け物達の間には、森の動物達の姿も見えた。

 

〔ラブ・イン・アイドルネス〕

 

女性が投げキッスをするような仕草を見せた。

すると、樹の化け物達の身体がみるみる巨大化していき、落とし子達に到達した頃には、5mはゆうに超える大きさになっていた。

その先にあったのは今まで兵士達が落とし子に味わわされたジュウリン。

無慈悲な暴力が、今度は落とし子達に降り掛かったのだった。

 

 

「フフフフフッ、これでもう大丈夫ね・・・。」

女性は兵士達に向かって、微笑むとフワリと舞い上がり、花の柔らかい香りを残して、空の彼方へと消えて行った。

 

 

「・・・・・・。」

兵士達は自分達が今まで置かれていた絶望をすっかり忘れ、女性に魅了されて立ち尽くし、その姿が消えた空を延々と見つめていた。

 

 

 

〔大地の怒り〕〔ドゴンッ、ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!〕

 

「ウワアアアアアアッ、なんだっ?!」

「ウワッ、地震だッ!」

「大きいぞッ!」

それはまさに突然の出来事だった。

 

ほぼ全裸に近いフンドシだけの一人の3mぐらいある大男が現れたかと思うとその男が突如、大地に無言で右足を突き立てると同時に大地震が起こり、地震が起こった次の瞬間、落とし子達の足元の地面が割れ、ポッカリと開いた奈落の底に落とし子達をあっという間に飲み込まれていった。

その光景を見て、驚く兵士達だが、大地震で身動きが取れず、それどころではなかった。

ここはオメガを中心にして、北の方角。

 

「・・・・・・。」

巨人は地割れが閉じて落ち着くと無言で残った落とし子に突進していく。

 

「・・・なっ、アイツ無茶なッ!」

一人の兵士がその様子を見て、叫ぶ。

 

しかし、

巨人は落とし子の攻撃をものともせずに掴んでは千切り、掴んでは投げ、瞬く間に落とし子達を力任せに破壊して行った。

 

「・・・あぁっ・・・。」

その余りに現実離れした光景に言葉を失う兵士達。

 

「・・・・・・。」

巨人はあっという間に落とし子を全滅させると兵士達をイチベツして無言で走り去って行った。

 

「・・・なんだっ・・・たんだ・・・。」

兵士は呆然と今まで起きた事を頭で整理しようとしたが、そんな事は出来るはずもなかった。

 

 

 

「キャハハハハッ、たっのしいいいいいいいいいっ!」

戦場に突然現れた美しい踊り子は満面の笑みを浮かべて、文字通り踊り狂っていた。

ここはオメガを中心に東の方角。

 

 

「スカーレットルナ」〔ボボボッ、ゴゴゴゴーーーッ!〕

 

 

踊り子から業火が放たれたと思ったら、その炎達は美女の周りを一緒に踊り狂うようにうごめき出す。その形は女性の形に姿を変えたかと思えば、虎になったり、別の炎は大蛇のように落とし子達を絡め取ったり、飲み込んだり、そうしたかと思えば、形を変えて、大鷲になったり、まさに炎の演劇を見せられているようだった。

その高温の業火に包まれていく落とし子達は、融解して爆発していき、次々と姿を消して行った。

 

「アハハハハハッ、もっとよッ、もっと楽しみましょうッ!」

美しい踊り子は落とし子達の群れの中で今まで溜まっていたモノを全て吐き出すように踊りに踊っていた。

 

周りに放たれた炎たちもその踊りに合わせ、盛り上げるように強さを増していく。

 

「アハハハハハッ」

辺り一帯の落とし子達を焼き尽くした踊り子は踊る事を止めずに、そのまま踊りながら彼方へと消えて行った。

 

「・・・俺は夢を見ているのか・・・。」

落とし子達の残骸と焼けた光景を見て、一人の兵士がボソリと言葉を漏らす。

 

 

「オーーイッ!化け物に対抗する手段が見つかったぞ!」

呆然と立ち尽くしていた兵士達の後方遠くで一人の兵士が戦場の仲間達に朗報をもたらす。

 

 

「本当かッ!」

一人の兵士がその一報の真意を確かめるように尋ねる。

 

「今、連合軍から通信があって、そのための武器が各地に順に配られるようだ!」

にこやかに話す伝令兵。

 

「・・・まだ、化け物達は襲ってくるってことか・・・。」

別の兵士が伝令兵に近寄りながら落胆する。

 

「そんなことより、さっきのあれはなんだったんだ・・・。」

話を先ほどの夢のような光景に戻す一人の兵士。

 

「・・・各地で山が動いたり、死神が出たりって色々あるみたいだ・・・。」

伝令兵が各地の噂話をして、兵士に答えた。

 

「・・・まるで世界が夢そのものに飲み込まれたみたいだ・・・。」

一人の兵士がそういいながら空を見上げる。

 

 

 

 

「ソニックウィング」〔シュヒンッ!〕〔ドドドドガーーーンッ!〕

 

 

オメガの後方、北東から吹いた一陣の風がオメガとその周りを浮遊する落とし子に襲い掛かり、落とし子達は爆発して下へと散っていく。オメガにも当たり、パックリと切り裂かれるが、そこに落とし子達が群がって傷を瞬く間に塞いでいく。

 

「・・・ヴァルファーレか。」

その攻撃を見て、バハムートが攻撃をしたモノを視界に入れる。

 

「久しいな、王よ・・・。」

ヴァルファーレと呼ばれたモノがバハムートを王と呼ぶ。

 

ヴァルファーレは巨大な左右に広がる翼を両腕の代わりに持ち、鳥のような顔を長い首で持ち上げ、身体は人間の女性のようなしなやかな身体をしていた。

風を操るその者は、オメガの後方に居たかと思うと、あっという間にバハムートの傍まで飛んできていた。

 

「皆もこちらに向かっている。大攻勢を掛けるならその時だ。」

ヴァルファーレがバハムートの隣を飛びながら、そう助言した。

 

「・・・いや、大攻勢はまだ時期尚早だ・・・。」

バハムートが真剣な目でヴァルファーレを見て否定する。

 

「・・・どういうことだ?」

もちろん疑問に思うヴァルファーレ。

 

「・・・我らの王は待っておられるのだ・・・ヴァルファーレ・・・。」

足元の海から競り上がっているリヴァイアサンがヴァルファーレに思念を飛ばす。

 

「リヴァイアサン・・・要領を得ない・・・。」

リヴァイアサンの返答に困惑するヴァルファーレ。

 

「ホッホッホッホッ、その話・・・ワシも聞きたいなぁ。」

フワフワとデスが黒衣をはためかせながらバハムートの方へと飛んできていた。

 

「・・・デスか・・・我々の力だけではトドメまでさせない・・・好機を待つのだ。」

デスを視界に入れて、バハムートが答える。

 

「・・・我々と同等か、もしくは以上の者がさらに現れると言う事か?」

オーディンが馬にマタガリ、空中を駆けながらバハムートに尋ねる。

 

「そうだ。」

オーディンの方を見て、バハムートが一言で答える。

 

「・・・我々の王は変わったのだ・・・その変化を喜ぼうではないか・・・。」

リヴァイアサンがオメガを見ながら皆に思念を飛ばしてそう話す。

 

 

「皆のもの、今は時間を稼ぐ事に集中してくれ。好機は必ず来るっ。」

バハムートはそう言って、オメガを睨み付けた。

 

 

「ホッホッホッホッ、なかなかおもしろい。」

デスがカタカタとアゴを鳴らしながら笑って同意する。

 

「ウフフフフッ、何かを信頼すると言う事はいい事ですね。」

美しく高貴な女性がフワフワと浮かびながらバハムートに近寄り、そう話す。

 

「・・・ティターニアか・・・遅かったな・・・。」

バハムートは女性の名を呼んで視線をそちらに流し、イチベツした。

 

「キャハハハッ、ずっと寝ててウップン溜まってるけど、王が言うなら仕方ないねっ。」

美しい踊り子が炎と共に踊り、空中を舞いながら、姿を現す。

 

「・・・すまないな、ペレ・・・。」

バハムートがその踊り子の名を呼びながら謝る。

 

「・・・なるほど・・・理解しました。」

バハムートの謝罪に全てを納得するヴァルファーレ。

 

〔ズシーーンッ、ズシーーーンッ・・・〕

 

遠くの方で地響きが聞こえ出す。

 

「・・・王が待つと言うなら従おう。」

アレクサンダーの天辺からカドプレパスが思念を飛ばす。

 

「・・・・・・。」

カドプレパスの横でほぼ全裸の巨人がジッとオメガの方を見ている。

 

「アレクサンダーにカドプレパス・・・それにタイタン・・・全員集合だな・・・。」

アレクサンダーの方を見て、バハムートが言葉を発する。そして、

 

 

「さぁ、まずは遊ぼうか・・・オメガよっ。」

バハムートがオメガに鋭い眼光を飛ばす。

 

 

「・・・・・・。」

バハムートの周りには集まった守護獣達が今か今かと臨戦態勢を整える。

 

オメガはそんなバハムート達を気にすることなく、延々と落とし子を生み出し、何処に向かうとも知れずに空を飛び進んでいく。

 

 

オメガの中の一室。

バハムート達の姿が見える展望台のような場所の椅子に座り、ハディは静かに笑っていた。

 

 




バハムートの元に守護獣が集まる。
アースカンドでは落とし子の対応で手一杯の中で
ヒロヨシがイチルの光明をメラーニ達に進言しようとしていた。

次回、「オメガの封印と対策」
青年よ、光となりて世界を照らせ!(千葉しげるさん風)
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