FF アルテマクリスタル   作:葛屋伍美

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火の聖地「ヴェフォニス火山群」に足を踏み入れたミナ達
そんなミナ達の前に、あの男が現れる?!


執念の炎

ミナ達一行はどれくらい歩いただろう。

さらに草木も生えない岩や石だけが転がり、カラッとした高温が包み込む中、汗を拭いながらミナの進む方向に一行は導かれていた。

 

「・・・ハァッ・・・ハァッ・・・ゴクゴクゴクゴクッ・・・。」

汗を流した分だけ水を飲むティア。

 

「ハッハッハッハッ、ティア殿は暑さに弱いんですなッ。」

セレスを背負いながらその場で駆け足をし、汗をダラダラ流しながらもものともしないレオン。

暑さにばてているティアをニコニコとレオンが見て、発破をかける。

 

「・・・あんたの挑発には乗らないわよ・・・。」

ジト目でレオンを見て、ティアが言葉を打ち返す。

 

「・・・レオンさんは流石です。」

飛んではいるものの暑さにばてているミューレがレオンを見て感心する。

 

「・・・そんな体力バカはほっときないさい・・・それより、水飲み過ぎたら持たないわよ。」

ミナがレオン達を見ながら両腰に両手を添えて、ヤレヤレと苦言を呈す。

 

「・・・嬢ちゃんは平気なんだな?」

ミナの隣で平然として言うシドがミナを見て、感心している。

 

「あなたこそっ。」

フンっと鼻を鳴らしてミナがシドに対抗する。

 

「ハハハハッ、溶接とかもしてるからな・・・これぐらいは慣れっこだ。」

大人の余裕で迎え撃つシド。

 

「いやはや、ワシもジープとやらに残っておればよかったわい・・・。」

腰に手を当てて、老体を引きずってラムウがナゲく。

 

「・・・氷系の魔法を使えば良いのですが・・・流石にフェニックス様のお膝元ですので・・・。」

力になれない事に肩を落とすミューレ。

 

「あぁ、よいよい・・・わしにもレビテトを掛けてくれんか・・・。」

ラムウがミューレに気を落とさせないように敢えて頼む。

 

「ハイッ!」

ミューレは元気良く返事をするとラムウに飛行魔法「レビテト」をかけた。

 

「フォッフォッフォッフォッ、こりゃ楽チンじゃわいっ。」

身体を浮かしたことで素直に喜ぶラムウ。

 

「・・・皆さんは宜しいのですか?」

ミナ達にもレビテトをかけた方がいいか尋ねるミューレ。

 

「・・・だっ、だいじょうぶよ・・・。」

ガードナーとしてのプライドがティアを思い留まらせた。

 

「レオン、私もレビテトで・・・。」

「心配はいりません・・・セレスさんの負荷が今、良い具合ですよっ!」

セレスが背負ってもらっている事に申し訳なさを感じているのだが、レオンは別方向からそれをある意味拒んだ。

 

「シドさんは掛けてもらった方がいいんじゃない?」

ミナが胸を張ってシドに進言する。

 

「ハハハハッ、たしかに飛んでみるのも悪くねぇが・・・飛ぶならやっぱり飛行艇だからなっ。」

シドも負けじと応戦する。

 

(こやつら、ホントバカじゃな・・・。)

ラムウが面々の対応を見ながら心の中であきれ果てた。

 

 

「・・・ちょっと待ってっ!」

談笑?している中、ミナが何かを感じて一同に声をかけた。

 

 

「・・・・・・。」

未だ感じ取れてない面々は辺りを静かに見渡す。

 

「どうかしたの、ミナ?」

セレスが真剣な顔で心配する。

 

「何か来るっ?!」

ミナは巫女としての能力が研ぎ澄まされた事で感知能力が格段に上がっていた。

 

そのミナの感知に何者かがかかったのだ。

ミナは察知した一点の方向を凝視する。

ミナの見ている方向には崖しかない。

しかも、その下にはマグマがうごめいている。

 

 

「クハハハッ・・・やるじゃねぇか、巫女様・・・。」

マグマしかないと思われた崖の方から聞き覚えのある男の声がした。

 

 

「・・・セレス様・・・降りて頂けますか?」

その声を聞いて、レオンが即座に行動を起こした。

 

「・・・えッ・・・えぇっ・・・。」

レオンが即座にその場にしゃがみ、降りる事を促されて、背中からスルリと降りるセレス。

 

「・・・少し距離を・・・。」

今まで見たこともないレオンの真剣な視線が一点を見つめていた。

 

「・・・わかったわ・・・。」

セレスはレオンに言われるがまま、少し距離を取るように下がった。

 

「レオン・・・いるんだろ・・・俺は負けてない・・・俺に負けはないんだ・・・。」

声は崖のそこから聞こえていたかと思うとガシリと崖を掴む化け物の手が現れた。

 

「っ?!」

その手はとても今まで見てきたものとは思えない手だった。

その手を見て、レオンは驚愕する。

 

手の甲には火が踊り、内から跳ねているように見える。

爪は赤く長く伸びて大地に食い込む。

それは人間の手というよりはイフリートの手と言われた方がしっくりと来た。

 

「レオン・・・勝負は終わってない・・・勝手に終わらせるんじゃねぇ・・・。」

崖から現れた男の声はゼッドだったが、その姿はとてもゼッドだとは思えなかった。

 

顔の半分にゼッドの面影を残していたが、もう半分はイフリートそのものだった。

大きく開いた口から牙がそそり立ち、口の中から炎が我慢出来ずに吹き出ていた。

体長は2mを越え、レオンを見下ろすようになっていた。

 

フュージョンを突き詰めていけば、化け物に近くなる。

 

そう言われたモノを体現する姿になっていた。

レオン達のフュージョンとは違い。

ゼッドのフュージョンはイフリートに近いものだった。

元々はどちらが正解なのか。

全身鎧をまとって騎士の姿に近いレオン達。

守護獣そのものに近くなるゼッド。

ある意味、皮肉にもゼッドはフュージョンを極めようとしていたのだ。

 

 

「俺は無敗で、無敵だッ!」

完全にその姿を現したゼッドだったモノが大きく口を開けて叫ぶ。

 

 

フュージョンを高みへと上らせたのはその「勝利への執念」だった。

イフリートも好戦的で負けず嫌い。

二人を大きく引き寄せたのはその一点だったのだろう。

 

〔ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ・・・〕

 

ゼッドの雄たけびに呼応するようにマグマや大地がうごめき出す。

 

「・・・レオン、止めを刺したんじゃないの?」

苦笑いでレオンに尋ねるティア。

 

「・・・・・・。」

再戦を望んでいた事をここに来て、少し悔いるレオン。

 

ゼッドの執念は最早、レオンへの執着に変わり、勝負といえる次元にはなかった。

 

「・・・どうしたレオン・・・来ないのか?」

ゼッドはレオンを挑発するように左手を前に出し、人差し指を立てて、手前に動かす。

 

「・・・あんた、またここに来てっ。」

「いえ、そこまでわがままな事はしませんよ・・・。」

好戦的なレオンをたしなめ様としたティアだったが、レオンはティアの考えを即座に否定した。

 

「・・・ユッケ殿を待たせるわけにも行きません・・・まける訳にも・・・。」

レオンが両拳に力を込めてそうティアに答える。

 

「・・・フンッ・・・分かってるじゃない・・・。」

鼻で笑ってレオンの対応を素直に喜ぶティア。

 

「さぁ、皆やるわよっ!」

ミナがレオン達の行方を見ていたが、レオンもわがままを言わない事を見て、皆に声をかける。

 

「クハハハッ、全員まとめてか?いいぜ、俺のフィールドだ・・・いいハンデになる。」

ゼッドだったモノが大きく口角を上げて、口を裂け、笑った。

 

「シドさんは少し下がってっ。」

「シドさん、こちらに・・・。」

ミナは前線近くに居たシドを後方に下げるように指示して、ゼッドとの間に立った。

その行動を予測してか、セレスが素早く駆け寄り、シドを掴んで先導する。

 

「・・・おっ・・・おぅっ・・・。」

好戦的なシドも流石にゼッドの風貌を見て、挑む心を削がれていた。

 

「・・・ハンデと思われて結構・・・ここは私が我を立てるところではありませんのでっ。」

レオンはフュージョンした状態でミナのさらに前に出て、臨戦態勢を取る。

 

「あんたもなかなかしつこいわねっ!」

ティアもフュージョンした状態でレオンの一歩後ろに陣取り弓を構える。

 

「私も戦いますッ!」

ミューレはティアの後方に飛んで待機して二人に補助魔法をかける。

 

いよいよ、ゼッドとの最終対決がはじまろうとした。

その時だった。

 

 

「私の庭で何をしている?」

 

 

山頂に続く道の崖とは反対側にそり立つ崖の上でその者が一同に声をかけた。

 

「ッ?!」

その姿を目にして、その場にいた一同が驚く。

 

そこに居たのは他でもない。

炎で形を形成した大きな鳥の姿がそこにはあったのだ。

その鳥がこちらを崖の上から見て、今から死闘を繰り広げようとするミナ達の間に割って入ってきたのだった。

 

 

 

「私の庭で暴れる事は・・・この私が許さないぞ・・・。」

その鳥は大きなその目で一同を鋭く射抜いた。

 

 

 

 

 

 

 

 




ユッケを生き返らせようと
フェニックスを探すミナ達の前にゼッドが立ちはだかった!
だが、そんなゼッドの鼻をへし折ったのは
他でもないフェニックスだった。

次回、「守護獣フェニックス」
青年よ、生死を超越するモノをその目に焼き付けろ!(千葉しげるさん風)
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