そのフェニックスがついにユッケと接触しようとしていた。
そんなフェニックスを見て、シヴァは・・・。
「・・・ノブヒデ・・・どうか、どうか行かないで・・・。」
シヴァは相変わらず涙を流しながらユッケの氷柱を抱いて嘆いていた。
「・・・シヴァ、貴方も見ない内に随分と変わりましたね。」
「ッ?!」
嘆いているシヴァの頭上から聞きなれない声が降り注いだ。
その声に驚いて見上げるシヴァ。
「フェッ、フェニックスッ!?」
シヴァは見上げた空に思いも寄らない存在を確認し、驚愕してその者の名を叫んだ。
「・・・なんて声を出すんですか・・・貴方があの者達を導いたのでしょう?」
ゆっくりとシヴァの元へと舞い降りるフェニックス。
「あぁっ・・・ありがとうフェニッ・・・」
「まだ、貴方の望みを叶えるとは言っていませんよ。」
自分が姿を現したことで願い叶ったと思い込んだシヴァに忠告するフェニックス。
「・・・そんな・・・。」
しかられた少女のように身を縮めるシヴァ。
「・・・シヴァ・・・傲慢ではなく、私の存在は守護獣の中でも特別です。私の有無で世界が大きく変わってしまう・・・貴方達が正しいと思った事で、世界が間違ってしまう事は避けねばなりません。」
フェニックスは淡々とシヴァを諭す。
「・・・・・・。」
フェニックスの言葉に何も言い返せないシヴァ。シヴァとて、これから行う事がどれほど重要なのかはワキマえていた。
「・・・私と融合することで、その者の存在自体も変わってしまう・・・彼にその事は伝えてないのでしょう?」
フェニックスが氷柱の中で眠るユッケを見ながらそう話した。
「・・・・・・。」
シヴァは胸が締め付けられる思いにかられて切なそうにユッケを見た。
「・・・そもそも、貴方達は彼が本当に生き返りたいかも聞いていない・・・彼が拒否したら、どうするのですか?」
ユッケからシヴァに視線を戻したフェニックスがそう尋ねた。
「・・・・・・。」
シヴァは答えられない。
思えば、ミナを含めた全員はユッケが必要だと強く思っていたが、当のユッケ本人はどう思っているかなど、フェニックスに言われるまで考えもしなかったのだ。
もしかしたら、ユッケはミナを救った事で自分の人生に満足したかもしれない。
生き返ったからといって、その先に待っているのは闇の民ハディとの戦い。
アースカンドで平凡に暮らしていたユッケにとって、剣を取って戦う事は異常。
そして、そんな戦いから遠ざける事を望んでいたのは他でもないシヴァなのだ。
それを自分達の都合で「生き返って戦ってほしい」という想いは利己的なのではないのか?
そんな想いがシヴァの中に目覚めて、ウゴメキ、飲み込もうとしていた。
もし、戦う事を拒否するならば、フェニックスがユッケを甦らせる価値はないと判断するだろう。それはつまり、ユッケの死が運命として、シヴァ達の心に刻まれるという事だ。
「・・・・・・困った人達ですね・・・。」
シヴァの様子を見て、ため息交じりの言葉を吐くフェニックス。
「・・・あぁ・・・あぁぁ・・・。」
言葉が出てこないシヴァがそれでも何かを伝えようと必死に音を絞り出す。
「・・・分かっています・・・世界が求めているならば、後は本人がどうするかです。それを確かめる為に私はここに来ました。」
シヴァを優しく包むようにフェニックスが言葉をふわりと投げかける。
「・・・うぅ・・・。」
シヴァは自身の葛藤に苦しみながら精一杯の返答をする。
「・・・それでは行って来ます・・・シヴァ、健やかに・・・。」
フェニックスは優しい眼差しをシヴァに向け、氷柱のユッケに向けて羽ばたいた。
羽ばたいたフェニックスの身体はみるみる小さくなっていき、氷柱に触れる頃には拳代の大きさまでになった。そして、そのまま氷柱がないかのようにすり抜けて行き、ユッケの中へと胸の辺りから入っていった。
「・・・ノブヒデ・・・。」
シヴァが行方を心配そうに案じながらユッケを強く強く見つめた。
シヴァがユッケを案じる中、
フェニックスがユッケの中へと消えて行く。
フェニックスはユッケを生き返らせるのか?
次回、「ユッケとフェニックス」
青年よ、世界を救うために・・・。(千葉しげるさん風)