過酷な道を選択したユッケ
死後の世界から帰還したその先には?
「・・・・・・。」
シヴァが氷柱の中のユッケを少し離れた所で見守っている。
シヴァの前にフェニックスが現れて、ユッケの中に消えてからどれだけの時間がたっただろうか。フェニックスに会いに行ったミナ達も戻ってきて、シヴァの後ろから同じように事のてん末を見届けようとジッと見ていた。
〔・・・・・・シュワワワワワッ・・・〕
シヴァ達が見守る中、氷柱の中からユッケを中心に氷が溶け始めた。
最初は見間違いかと思われたその現象はミルミル内部から溶けていく氷が真実なのだとシヴァ達に教えた。
「ユッケッ!?」
シヴァが大声でユッケの名を呼ぶ。
それに答えるかのように液体と化した氷の内部の中でユッケが目をしっかりと開けてシヴァを見た。
「ッ?!」
その光景に驚きを隠せないミナ達。
〔ザバアアアアアッ・・・〕
分厚い氷で出来ていた氷柱があっという間に溶けて、最後の薄氷を溶かして、セキを切ったように水が流れ出した。
氷柱を中心に大きな水溜りが出来るほどの水が溢れ出す。
「・・・・・・。」
びしょ濡れのユッケが、氷柱があった場所に黙って立っていた。
〔ジュワ~~~ッ・・・。〕
びしょ濡れだったユッケの身体の表面から大きく白い湯気が上がったかと思うと、次の瞬間には一滴の水も残さずに濡れていた事が嘘のようにさっぱりとしたユッケになっていた。
「・・・・・・。」
怒とうの展開に呆気に取られるミナ達。
「ユッケッ!?」
いち早く放心状態から抜け出したシヴァがユッケに飛んで近付いて勢い良く抱きついた。
「・・・ただいま・・・。」
ユッケはシヴァを受け止めると、優しくシヴァに挨拶をした。
「おかえりなさい・・・ユッケッ。」
シヴァは目から涙を流しながら微笑み、そうユッケに答えた。
「ユッケ殿ッ!」
「ユッケッ!」
「ユッケさんッ!」
シヴァから遅れる事、レオン達もユッケに近寄り出した。
「・・・みんな、ただいまっ。」
レオン達の顔をそれぞれしっかりと見ながら言葉を交わすユッケ。
「・・・お前は行かないのか?」
ユッケ達の笑い合う光景を遠めで見ていたミナの隣にシドが立ち、そう尋ねる。
「・・・・・・私は・・・。」
遠慮しがちなミナ。
「・・・気に病むことはない・・・お主が操られていた事は皆知っておる。」
ミナの後ろから優しくラムウが声をかけ、気遣う。
「・・・わかっているんですけど・・・なんだか・・・。」
頭では分かって納得しているが、どうしても最初の一歩が出ないミナ。
「・・・ミナ、無事でよかった。」
ミナを察してか、ユッケが皆を連れて、ミナの方へと近付いてきた。
「・・・おっ、おかえりなさい・・・ユッケ・・・。」
少し頬を赤らめながら目を逸らしつつ、ユッケと言葉を交わすミナ。
「・・・ただいま・・・ありがとう、フェニックスを説得してくれて・・・。」
レオン達から経緯を聞いたユッケが素直にミナにお礼を言う。
「・・・そんな・・・私なんて、大した事してない・・・から・・・。」
ウツムキ加減にミナが答える。
「フフフッ、フェニックス様に対峙する貴方は実に巫女らしかったですよ。」
遠慮する妹をサポートするようにセレスが後押しをする。
「もうっ・・・やめて、お姉ちゃんっ。」
少し上目遣いで姉を見るミナ。
「・・・私からも改めて御礼を言うわ・・・ミナ、ありがとうっ。」
優しい口調と微笑でミナにお礼を言うシヴァ。
「・・・そんな・・・シヴァ様に感謝されるなんて光栄です。」
尊敬するシヴァにまで感謝をされて少し舞い上がるミナ。
「・・・皆で和むのも悪くないけど・・・忘れてない?」
和気あいあいとする中で、場を締めようとティアが話す。
「・・・そうですな・・・ユッケ殿も帰ってきたことですし・・・。」
ニコニコしながら腕組みをして、胸を踊らせるレオン。
「・・・いよいよ・・・ですね・・・。」
小さく胸の前でガッツポーズを作るミューレ。
「・・・そうだねっ・・・ジッとしてられない・・・。」
強く右手を握り込んでユッケも皆に続く。
「・・・闇の民ハディを止めないと・・・。」
ミナがみんなの顔をしっかりと見回して強い意志を込めて言葉を紡ぐ。
ユッケはその言葉の後に握り込んだ右拳を前に突き出した。
それに続くように全員が右拳を前に出して円を作る。
フェニックスに勝機は低いと言われた現実があるものの。
ここに居る誰も自分達が負けることなど、まったく考えてはいなかった。
ユッケ達はいよいよ、最終決戦の地アースカンドへとその歩を進めようとしていた。
ユッケが生き返って、いよいよアースカンドへと思われた中、
しこりが残るのではないかと一同でもう一度考える事に。
次回、「ユッケとミッドガルド」
青年よ、真実を求め、真実と向き合え!(千葉しげるさん風)