FF アルテマクリスタル   作:葛屋伍美

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ユッケはこれから起こるであろう事や
フェニックスが消えてミッドガルドが変わる事など
全てをミッドガルドの兵士に話すべく光の塔へとやってきた。
果たして、その先にあるのは?


ミナという巫女

 

〔ウワアアアアアアアアアアアアアアアアッ〕

 

光の塔の入り口前にある広場でミッドガルドの兵士達が大声で近くの兵士達と大激論を繰り広げていた。

 

「・・・・・・。」

ユッケ達は光の塔の入り口前に立ち、その様子を黙って見ていた。

 

 

ユッケ達は全てを話した。

アースカンドとの戦いのその後。

闇の民がオメガという古代兵器をよみがえらせた事。

そのオメガが今、アースカンドで何をしているかという事。

もちろん、ユッケを生き返らせるためにフェニックスが消えてしまった事も。

 

 

最初、セレスの話を聞いて状況を飲み込めず、呆然としていた兵士達だったが、

 

一人の魔法使いが試しにケアルを使ってみてから状況は一変した。

 

その瞬間から広場はカオスが瞬く間に広がり支配された。まったく役に立たなくなってしまった回復呪文の事実にミッドガルドの兵士達は驚き、オノノき、自分達の置かれた立場を理解しようと各々で話し合い始めた。それはまさに防衛本能というべき行動なのか、自分の考えを話す事で、自分の立場がどこにあるのか必死に探っているようだった。

 

ある者は言う。今からでもユッケを殺して、フェニックス様を復活させられないか?と。

ある者は言う。ゲートを破壊して完全にアースカンドとこの世界を切り離して放っておこうと。

ある者は言う。バハムート様が戦っているなら我々も戦うべきだと。

ある者は言う。闇の民と交渉してみてはどうか?と。

 

それぞれの立場とそれぞれの思考がそれぞれの望みをかなえるべく激論を繰り広げて収まりそうもなかった。

それでも、ユッケ達は何分でも、何十分でもその場にジッと立ってその様子を眺めていた。

 

何時間か経過した頃、ふと一人の兵士が広場の激論の渦から一人踊り出し、ユッケ達の前に少し近付いて叫んだ。

 

 

「巫女様は、この世界をどうお導きなられるのかっ!」

兵士の切実な問いだった。

 

 

ワラにもスガる想いだった違いない。

必死な形相で巫女であるミナにその兵士は助けを求めた。

敵として操られていたにもカカワらず、未だに巫女としての信仰は根強かった。

兵士のその叫びに呼応するかのように広場が波をうつ様に静まり返っていった。

 

「・・・・・・。」

突然の兵士の問いにミナは戸惑った。

 

「・・・ッ・・・。」

ユッケがフォローしようとしたのをセレスが制止する。

 

 

「・・・・・・私は巫女として、まだ出来る事があるのなら、この世界を守る為に闇と戦いたい・・・そして、この愛すべき世界を守りたい。」

ミナが精一杯の声を絞り出して答える。

 

 

「・・・この先、光が闇に飲まれるかもしれません・・・しかし、私は最後の光となってでも諦めたくない・・・皆さんについてきてほしいとは言えませんが・・・もし、世界を思うならば、私達の背中だけでも押して下さいっ・・・。」

ミナは兵士達に少し近付いて想いをぶつけた。

 

「私達は最後まで戦いますッ!この世界を守りたいからッ!私達の明日を守りたいからッ!」

ミナは思いの丈の全てを言葉に乗せて、広場に向けて叫んだ。

 

「・・・・・・。」

ミナの想いを受け止めて、広場の兵士達は互いの顔を黙って見合う。

 

「・・・巫女様、バンザーーイッ!」

「・・・アルテマの巫女、バンザーーーイッ!」

 

一人の兵士が叫ぶと、広場にミナを讃える声が広がり出した。

 

 

〔ウワアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!〕

 

 

先ほどとは違う一つの意志の集合体の叫びが広場を支配した。

愛する者の明日を守るため。

信じた夢をツムぐ為。

それぞれの明日がまた光で満ちてほしいと思う願いが兵士達を突き動かす。

 

 

 

「少佐ッ!大変です!!」

アースカンドの兵士が備品の整理をしていた指揮官に大慌てで詰め寄る。

 

「なっ、何を慌てている・・・落とし子でも現れたのかっ?」

余りに慌てる部下に少し焦りを隠せない指揮官。

 

「・・・いっ・・・いえ・・・基地の外に・・・。」

兵士は指揮官に言葉ではうまく伝わらないと思い、指で外を指して示した。

 

 

〔♪~~~~~~♪~~~~ッ!!〕

 

 

兵士に促されて、基地の外へと行こうとすると、基地の遠くから何か合唱しているような声が聞こえてきた。

 

「・・・こっ・・・これは・・・。」

指揮官は思わず涙ぐむ。

 

「・・・はいッ・・・我々にもまだ望みはありますっ。」

指揮官につられて部下も涙を流した。

 

アースカンドの兵士達の目に映ったのは、他でもない。

昨日まで殺し合いをしていたミッドガルドの兵士達がミッドガルドのウォークライを口ずさみながらユッケ達の乗るジープを先頭に大行進して基地にやってきている姿だった。

アースカンドの兵士達はユッケ達という微かな希望にすがってはいたが、余りにも強大な絶望に呑まれていた。しかし、ミッドガルドの人々の姿に希望が膨らみ、爆発したのだった。

もう世界の滅亡を受け入れていた兵士もいただろう。しかし、今ではミッドガルドのウォークライに涙して、中には仲間と抱き合い泣き合う者もいた。

 

 

「・・・絶対に勝とう・・・。」

ユッケはシヴァの手を握りそう呟いた。

 

「・・・えぇっ・・・。」

シヴァはユッケの手を握り返して静かに答える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ミッドガルドの兵士達をつれて
ユッケ達はアースカンドへと向かう。
想いもよらない増援にメラーニは喜びを隠せなかった。
そこで、生きていた父ヒロヨシと三度再会を果たす。

次回、「世界の架け橋」
青年よ、人を導くのは想いか?生き様か?(千葉しげるさん風)
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