FF アルテマクリスタル   作:葛屋伍美

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父と子の会話を終えた後、
いよいよ最終決戦に向けて動き出すユッケ達。


オメガに向けて

「・・・以下のように、ミッドガルド軍の援護にアースカンドが回り、防衛線の強化を・・・。」

メラーニがミッドガルド・アースカンド連合軍の面々を前に、お立ち台の上から今後について説明していた。

 

簡単に説明すると、アースカンド軍の攻撃では落とし子に対しての有効性は低いことから、落とし子に対しての電撃攻撃を持つミッドガルドの魔法使いのサポートを全員でしようという考えだった。それに向けての陣形の組み方や人員の配置がメラーニから話されて、部隊長にはそれに関しての細かな指示が書かれている資料が配られている。

ここに来て、ミッドガルドとアースカンドにおいての言語や文字が共通していた事が大いに役立っていた。

 

「・・・ミッドガルドのみなさん・・・先刻話したとおり、回復魔法はもはやありません・・・ですが、アースカンドの医療という技術により・・・。」

セレスがミッドガルド人に対して補足と心構えについて話す。

 

セレスが丁寧に説明したのは、アースカンドの医療技術について。

即座に傷が治るケアルやレイズに比べて、確かに見劣りするものの、命を取り止めるには十分な効果があることを話し、不安がる兵士達を少しでも勇気付けようとした。

二人の代表者が平等に話す事で、二つの世界の壁を少しでも取り除き、強大な敵に立ち向かえるように演出していた。

 

ユッケ達はセレス達のお立ち台の後ろに控えて、連合軍が各々の任された任務に向かうのをジッと見送っていく。

 

 

「・・・さぁ、いよいよ俺達の番だぜ・・・。」

最初に話したのは先にアースカンドに戻っていて、先ほどこちらに姿を現したシドだった。

 

「勢い良く話し出したのはいいけど、貴方は何してたの?」

シドの出鼻をくじく様にティアがツッコむ。

 

「・・・フッフッフッフッ・・・それは後のお楽しみってやつよっ。」

ティアの攻撃を巧みに交わそうとするシド。

 

「オメガに向けて、サンダーバードの強化をしておったのじゃ。」

「おい、こらジジイッ!」

あっさりとタネを明かすラムウ。と、それに憤慨して胸倉を掴みにかかるシド。

 

「なんじゃ、なんじゃっ・・・もったいぶる事もなかろうっ。」

シドと取っ組み合いしようとするラムウ。

 

「お前にはサプライズの優越感というのが分からんのかっ。」

シドはきっと後でサンダーバードを見せて、皆を驚かそうと考えていたのだろう。

 

「シド博士・・・ふざけるのはその辺にされて、今後の事について話しますよ。」

演説を終えたメラーニが少し怒った顔でシドを見て注意する。

 

「いやっ・・・俺は・・・むぅぅぅ・・・。」

メラーニのお叱りに素直に黙るシド。

 

「プクククッ。」

シドのしょんぼりする姿を見て、笑いを漏らすティア。

 

「・・・・・・。」

ティアに笑われて顔を赤くしてふさぎ込むシド。

 

「・・・よろしいですか?」

ティアとシドをニラむメラーニ。

 

「・・・・・・。」

黙って、お互いに明後日の空を見る二人。

 

「・・・それでは、ヒロヨシ博士が見つけてくださったオメガの内部地図をお配りします。」

そういうとメラーニはギルガメッシュの資料の中から発見した精密なオメガの地図というか設計図をユッケ達に渡した。

 

「・・・こんなにくわしく書いてあるの?」

あまりにも詳しい地図に驚くユッケ。

 

「これはさらに簡潔にしたものです・・・本来のものはもっと詳しく書かれています。ギルガメッシュ博士は相当な科学者だったのでしょう・・・。」

ユッケの驚きに付け加えるようにメラーニが説明する。

 

「・・・おやびん・・・。」

ギルガメッシュを褒められたがうれしさ半分切なさ半分のヤムとドマ。

 

「・・・胸を張れっ・・・お前達の親分が本当に望んだ事をお前達が果たすんだっ。」

肩を落とす二人に檄を飛ばすシド。

 

「・・・私達はシド博士が強化して下さったサンダーバードに乗り込みオメガの内部に侵入します。そして、オメガクリスタルの破壊・・・さらに・・・アルテマクリスタルの・・・・・・破壊・・・・・・を試みます。」

セレスがメラーニに続き話す。

 

 

「破壊ッ!」

セレスの言葉の中の一部に驚きを隠せない一同。

 

 

「そう・・・アルテマクリスタルを破壊するのよ・・・。」

合流していたシヴァがみんなの顔を真剣な目で見てそう告げる。

 

「・・・まっ・・・待って下さいっ!アルテマクリスタル様を破壊して本当に宜しいんですかっ?!」

いつもは控えめなミューレが猪の一番にシヴァに食って掛かる。

 

「・・・もはや闇の民ハディの手から取り戻すのは不可能だとバハムート達と話し合って決めました・・・安心して・・・アルテマクリスタルは一時的に破壊してハディの影響下から取り戻すだけよ・・・その後、ちゃんと元通りにするわ。」

先ほど、バハムート達と別の場所で話していたのはこのことだったようで、シヴァが自信満々に皆にそう話す。

 

「・・・バハムート様が了承しているなら・・・。」

少し弱めのニコニコでレオンが賛同する。完全には納得していないようだ。

 

「・・・意外だわ・・・。」

ティアがイブかしげに考え込む。なによりもアルテマクリスタルを第一に考えるバハムートがそう答を出したのだから疑問に思うのは無理もない。

 

「・・・・・・。」

自信気に話すシヴァとは裏腹に、一緒にバハムートと話していたはずのミナはどこか不安気だった。

 

「・・・大丈夫、ミナ?」

ミナの顔を見て、ユッケが心配して声をかける。

 

「えっ・・・うん、大丈夫・・・ごめんなさい・・・ちょっと考え事してて・・・。」

苦笑いでユッケを交わすミナ。

 

「ミナは納得してないの?」

ユッケが少し詰め寄る。

 

「・・・始めはね・・・・・・でも、世界を守るにはそれしかないから・・・。」

ミナはそう話してユッケから視線を外した。どうも含みがある。

 

「・・・・・・。」

腑に落ちないユッケだったが、これ以上は無粋だと引く事にした。

 

「・・・アースカンド軍はミッドガルド軍の援護に全力で回ります。残念ながらアースカンドの軍事力では邪魔になってしまうので・・・。」

メラーニがそう話しながら下唇を噛んで悔しがる。

 

「・・・バハムート様達は、サンダーバードが来たら、援護に回り、私達がオメガに近づけるようにサポートして下さいます・・・そのスキに、落とし子の排出口のどれかから内部に侵入・・・二手に分かれて、それぞれのクリスタルへと向かいます。」

セレスがそう言いながら地図の目指す部分を指差し、説明を続ける。

 

「オメガクリスタルにはレオン、ティア、ミューレ、シド、ラムウ様、ラスターさん・・・アルテマクリスタルには、私、ユッケさん、ミナ、シヴァ様・・・サンダーバードの防衛にはモグッチさん、ヤムさん、ドマさん、チョコさん、アポニス隊員の皆さんでお願いします。」

セレスが一人一人の顔を見ながら話す。

 

 

「クポポポポポーーーーーーッ」

自分の名前が呼ばれた事で驚きを隠せないモグッチ。

モグッチの両頬が少し赤くはれているのは割愛する。

 

 

「・・・ここに居たって、落とし子がくるかもしれないわよ。」

ちょっと引いた目でモグッチを見ながらティアが言う。

 

「お主も多少は魔法を使えるんじゃからお守りぐらいは出来るじゃろ。」

ラムウが髭を触りながら言う。

 

「・・・クッ・・・ポッ・・・。」

後に全力で引きたいが、後に引けないモグッチ。

 

 

「頼りにしてますよ。」

セレスが女神の微笑をモグッチに向けた。

 

 

「クポポ~~~ッ」

どうやら納得したらしい。

 

「・・・私達の世界の事で何から何まで・・・本当に申し訳ありません・・・。」

涙を流しながらメラーニが深いお辞儀をユッケ達にする。

 

「・・・誰のせいでもありませんよ・・・。」

ユッケがそう言葉をかける。

 

「元は我々の仲間でしたからね・・・。」

ハディの事を思い出しながら空を見上げるレオン。

 

「・・・私達の世界で、なんとか出来たかもしれないしね・・・。」

メラーニに微笑みかけながらティアが続く。

 

「・・・私も最初は皆さんのこと疑ってしまったし・・・。」

ミューレが過去の自分を反省しながら話す。

 

「グチグチ考えたってしかたねぇ・・・一発殴って吹っ飛ばそうぜっ。」

ガッツポーズを作ってシドが笑う。

 

「・・・科学者としては有るまじき解決方法じゃな・・・。」

シドを見て、呆れるラムウ。

 

 

「・・・うん・・・大丈夫・・・皆ならなんだって出来るっ。」

みんなの様子を見ながらミナが小さく微笑む。

 

 

「・・・過去の過ち・・・今の過ち・・・全てを受け入れて、明日(みらい)に目を向けましょう。」

セレスがメラーニの両肩に優しく触れて、顔を上げるように促す。

 

「・・・ありがとう・・・ございます・・・。」

今までずっと気丈に振舞ってきたメラーニが隠す事もなく涙を流す。

 

大事な人を失い、突然任された軍の指揮。

全ての重荷がここに来て、メラーニの心を押しつぶそうとしていたのが少し軽くなったようだった。

 

「・・・・・。」

少し離れた所から見ていたラスターや他のアポニスの隊員達は、現隊長であるメラーニの姿を見て、涙を禁じえなかった。

 

 

 

「・・・アグニス隊長・・・きっと・・・きっと大丈夫です・・・。」

今はもう空の向こうに居るであろうアグニスにラスターは空を見上げながらそう言葉を送った。

 

 

 

 

 

 

 

 




オメガに向けての必須のアイテム
空を飛んでオメガに近付く翼
ユッケ達の前にリニューアルした「サンダーバード」がついに姿を現す!

次回、「サンダーバード」
青年よ、空を舞う覇者の姿を見よ!(千葉しげるさん風)
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