FF アルテマクリスタル   作:葛屋伍美

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いよいよオメガ内部に侵入したユッケ達
しかし、そこは敵陣の真っ只中・・・。
数多うごめく落とし子達がユッケ達に迫るのだが?


超越者

「・・・・・・。」

シヴァ達は見ていた。

 

 

〔シュンッ、ドドドドドッ、スパンッ、ドドドッ、シュシュンッ・・・〕

とても人とは思えない戦いがそこにはあった。

 

 

ユッケはフュージョンをしていない。

握られているのはアルテマウェポンのみ。

それでも、落とし子達は次々と姿を消して行く。

 

 

〔ドドドドドッ、シュパンッ、シュパパパンッ、ドドドッ、スンッ・・・〕

 

 

次から次へとやってくる落とし子達だったが、次から次へと動きを止めていく。

光に吸い寄せられて、自ら火に飛び込んでいく虫のように落とし子達は次々と火にくべられて、その場で動かないガラクタへと変貌していく。

 

「ユッケッ、やめてッ!」

「だめですっ、シヴァ様ッ!」

ユッケはゆうゆうと落とし子達を倒しているわけではない。

その光景を見て、涙を流しながら止めようとするシヴァ。

その余りに危険な行為にレオンはシヴァの両脇を固めて行かせない様に必死に止めていた。

 

「・・・・・・。」

残りの者は黙ってそのすさまじい光景を見ていた。

 

落とし子達はユッケに切られて倒れていくものの、ユッケ自身も落とし子達の攻撃を避けきれずに被弾していく。しかし、ユッケは被弾しようがお構い無しに次から次へと迫り来る落とし子達を切って切って切りまくっていく。

 

驚くべきはその驚異的な回復力。

 

落とし子の銃弾を浴びようとも、瞬時に回復していくユッケの身体。

いくら血を流そうとも止まる事のない動作。

もしかしたら、四肢をもがれても生えてくるのではないかと錯覚するほどの生命力をユッケは見せていた。

 

「・・・・・・。」

ユッケの余りの戦いっぷりにミナ達は見入ってしまっていた。

そう、例外なくこの男も。

 

 

「・・・フフフッ・・・なかなか男らしくなったじゃないかユッケ君・・・。」

ユッケを映し出しているモニターを見ながらハディが笑う。

 

「笑い事じゃないよこいつっ・・・とんでもない化けもんじゃないかっ?!」

あまりのユッケの変貌振りに驚きを隠せないディアボロス。

 

「・・・マスター・・・正直、私も早く対策した方がいいと進言する。」

相変わらず冷静なパンデモニウムがハディに意見した。

 

「・・・いいじゃないか・・・少々、骨があった方がおもしろい。」

圧倒的優位からのオゴリがハディの口角を上げる。

 

「・・・・・・そうやって、負けていく奴を僕はたくさん見てきたよ。」

腕組みをして、眉を細めるディアボロス。

 

「・・・アルテマクリスタルがある以上、こちらの優位は揺ぎ無い・・・。」

ハディは胸元に輝くアルテマクリスタルをイチベツしてディアボロスに答える。

 

「油断は禁物だ、マスター。」

パンデモニウムが諦めず進言する。

 

「・・・わかったわかった・・・それなら、ちゃちゃっとすませてしまおう。」

そういうとハディは席から立ち上がり、

 

 

「パチンッ」

 

 

左手で指を鳴らして何かの合図をした。

すると、モニターに移っているユッケを取り囲んでいた落とし子達が後退りしていく。

 

 

 

〔聞こえるか、ユッケ君?〕

ハディはマイクからスピーカーでユッケに声を掛ける。

 

「ッ?!」

落とし子達がユッケから離れてオメガの奥底に消えていくのに驚くや否や、ハディが語りかけてきた事にユッケ達は驚いた。

 

〔随分人間離れしたじゃないかっ〕

笑みを含んだ声でユッケを褒めるハディ。

 

「・・・・・・。」

ユッケは辺りを見回しながらハディの声に集中する。

 

〔・・・ここまでせっかく来てくれたんだ・・・会おうじゃないか・・・。〕

ハディはユッケを自分の所に招待すると言い出した。

 

〔何考えてんだよッ?!〕

スピーカーからディアボロスの声がもれる。

 

ハディはユッケ達がまさかまさかアルテマクリスタルの破壊を考えているなんて想像もしていないだろう。願ってもない提案がハディの口から出た。

 

「・・・わざわざありがたいね。」

ディアボロスが慌てる中で、ユッケがハディを挑発する。

 

〔お前達が何を企んでいようが、私には通用しない・・・足掻いて見せろ・・・。〕

そこでハディからの通信は途絶える。

 

 

「ユッケッ!」

サンダーバードの船内から慌てて飛び出してくるシヴァ。

 

〔パンッ!〕

 

シヴァの平手打ちの音が響き渡る。

 

「・・・・・・。」

シヴァ以外の全ての人間の時間が止まった。

 

「・・・・・・どうして、そんな無茶な戦い方をするのっ!」

怒り狂った目でユッケを見るシヴァ。

 

「・・・・・・。」

ユッケは初めて見るシヴァの怒りに圧倒されてしまった。

 

「・・・あなたがいくら強くなったとはいえ、あんな戦い方を皆が望むわけないでしょうッ!」

ユッケの両肩を力強く掴み、涙を流しながら怒鳴るシヴァ。

 

「・・・・・・ごめん。」

ユッケは先ほどの戦いからは想像もできないくらい小さく震えて小さな声で謝った。

 

「私やリアやヒロヨシは貴方に笑っててほしいのッ・・・戦いなんて忘れて家族を作って幸せに生きてほしいのよッ!」

シヴァはそう強い口調で言いながら力強くユッケを抱きしめた。

 

「・・・貴方を愛しているから・・・愛しているから無事でいてほしいの・・・。」

シヴァは震えながら涙声でそう素直にユッケに想いを伝えた。

 

「・・・ごめん・・・ごめんよ・・・シヴァ。」

震える手をゆっくりと持ち上げて、ソッとシヴァを包み込むユッケ。

 

 

「・・・・・・。」

ミナはそんな二人を見て、誰にも分からないように拳に力を込めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




壮絶な戦いの後、ユッケ達は命の重みについて考える。
そして、仲間達とある誓いをするのだが・・・。

次回、「誓い」
青年よ、想いを胸に、仲間と背中を合わせて進め(千葉しげるさん風)
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