オメガクリスタルを破壊すべく
オメガクリスタルの間に向かうのだったが。
「・・・・・・。」
ティア達はオメガの深部に進むべく、辺りを警戒しながら無言で進んでいく。
「・・・まったく敵の気配がしませんね・・・。」
ラスターが周囲を警戒して銃を構えながらそうつぶやく。
「・・・へっへっへっへっ、いいことじゃねぇか・・・敵さんがアグラかいてくれるならそれに越した事はないぜっ。」
シドはオメガの内部地図を見ながら笑う。
「アグラをかき続けてくれればええがのぉ・・・。」
あご髭を触りながらシドの後ろから地図を覗き見しつつラムウが続く。
「・・・・・・。」
いつもはここで何かニコニコしながら話すレオンだったが、何かを感じ取ったかのように黙々と進んでいた。
「・・・どうかしたの、レオン?」
心配になってレオンに尋ねるティア。
「・・・・・・いえ、備えているだけですよ・・・。」
少し口角を上げて答えるレオン。
「??」
レオンの言葉の意味を理解できないミューレ。
「・・・今回もわがままは言いません・・・。」
「・・・ッ・・・。」
レオンの一言で何かを察したティア。
「・・・もうそろそろだぜ・・・。」
シドが地図を見ながら皆に伝える。
「・・・・・・ミューレちゃん・・・サポートお願いね・・・。」
レオンの緊張感を理解したティアが臨戦態勢を取りつつミューレに指示を出した。
「はっ、ハイッ!?」
ミューレは突然の緊迫感に襲われて、驚くように返事をした。
ミューレはいつものように皆に補助魔法をかけて回る。
ティアはレオンに言われて、やっと感じ取れた。
自分達の進む奥の方から凄まじい殺意を垂れ流す存在に。
隠すわけもなく、導くわけもなく、ただただ己が望みを叶えたいと願う思いを外部に垂れ流しているその止め処ない感情。
(・・・なんて、殺気なの?今まで感じた事がない・・・レオンはずっとこれを感じてたんだ。)
ティアはその殺気に触れて、汗を一筋頬に流す。
この殺気はティア達に向けられているものではない。
レオンだけに向けられているものだとハッキリ分かった。
殺気を向けてくる相手がそうティアに告げている。
ティア達の中でこの異様な殺気に気づいているのはラスターだけのようだった。
「・・・・・・。」
ラスターは無言でその殺気の方を見ているが、銃口が僅かに震えていた。
「・・・ん?どうかしたのか?」
シドは微弱に振るえるラスターに気付いて、声を掛けた。
「・・・我々の目的はオメガクリスタルの破壊です・・・それだけのことですよ。」
ラスターが答えるより先にレオンが不敵に口角を上げてシドに答えた。
「・・・そうですね・・・。」
レオンの伝えたい何かを感じ取ったラスターが返事をする。
「ん?」
益々深みにはまっていくシドが困惑の色をあらわにした。
「・・・これからの作戦をおさらいしますよ。まずは、オメガクリスタルの確認。その後、ティアさん達で破壊を試みて下さい。」
ラスターが歩みを止めえることなく話しながら銃を構えつつ慎重に進む。
「おっ・・・おう。」
ふに落ちないものの返事をするシド。
「・・・・・・。」
ラムウは戦士達の緊張感を感じ取って静かに臨戦態勢に入った。
「ティアさん達で破壊できない事を確認した場合は、こちらで用意した爆弾をしようします。非常に強力ですので扱いに気をつけてくださいねシドさん。」
ずっと前を見つつシドに指示するラスター。
「・・・おう・・・。」
変に思いつつも何も分からないシド。
シドは周りとは違ったリュックを背負っているのだが、その中にはアグニス達が使ったものと同系統の爆弾が入っていた。
サンダーバードの中でも厳重に管理されてここまで持ってこられた爆弾。
あまりにも強力なので、最後の最期の切り札として軍が用意したものだった。
そうこうしていると、長い道のりを抜けた先に、レオン達の目の前にオメガクリスタルが姿を現す。
「・・・・・・待ってたぜ、レオン・・・。」
もはや、人間としての原型がなくなったその者がレオンにだけ声をかけた。
「・・・決着をつけましょう・・・。」
その者を見据えてレオンが仁王立ちをして答える。
「ひゃっひゃっひゃっひゃっ、うれしい・・・うれしいねぇ~・・・お前の血をすすり、肉を喰らい、骨をしゃぶりたい・・・。」
ゼッドだった者がゼッドの声を使って笑う。
「・・・・・・。」
あまりの変貌振りに言葉を失うティアとミューレ。
「・・・極めし者・・・か。」
ラムウはその者を称して、そう言葉を送った。
臨戦態勢を整えて向かったオメガクリスタルのクリスタルルーム
そこで待っていたのは他でもないあの男?だった
次回、「極めし者」
青年よ、極めんとするは人を捨てることなのか?(千葉しげるさん風)