FF アルテマクリスタル   作:葛屋伍美

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決死の覚悟で、爆弾を使いクリスタル破壊を実行したレオン達。
そして、ゴーレムがそんな仲間達を救うために最後に敵に立ち向かう!


命が繋ぐ

アースカンドの最新鋭の爆弾は凄まじいものだった。

絶対防御のゴーレムのアースウォールですら、その衝撃を完全に吸収することは出来なかった。

 

 

〔ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!〕

 

 

「キャアアアアアアアアアッ!」

「ミューレッ!」

小さな身体に容赦なく爆風がミューレを飛ばそうとしていた。

その小さな身体を守るように覆いかぶさり、飛ばされないようにティアが踏ん張る。

 

「ぬおおおおおおおおおおおおおおっ!」

「むぉっ?!」

「ラムウさんっ!」

走ってオメガクリスタルから離れていたシドがモロに爆風に身体を持っていかれて飛ばされる。

それをラムウが体を張って受け止めたが、老体だけに受け止めただけで二人とも持っていかれそうになる。それをラムウを後ろからガッシリとラスターが掴み、二人を後ろの床に叩きつけるように掴んだまま身体を反転させた。

 

「・・・・・・クッ!」

レオンは爆発に巻き込まれていく無二の親友の最期の勇姿から目を背け、自分がすべき事に全力を傾けた。

 

「レオンッ?!」

レオンは爆風を利用して、スピードを上げてミューレを抱えるティアの元に駆けつけ、その大きな身体で二人を爆風と石つぶてから守った。

 

絶対防御を誇るアースウォールを突き抜けて、爆風と耐え切れなかったアースウォールの破片がレオン達を襲う。

 

「ぐうううううううううううっ・・・」

凄まじい速度でレオンに弾丸のように石つぶてが浴びせられる。

 

(・・・・・・なぜなんですか・・・ゴーレム・・・。)

石つぶての痛みですら、レオンの思考を鈍らせるには至らない。

 

一緒に戦場で、仲間を「守る」ためにその命を燃やすはずだった。

しかし、結果はゴーレムがその身を呈して、レオンすらも守る事になった。

 

それがどうしても、悔しくて悔しくて堪らなかった。

 

「・・・レオン・・・。」

爆発が収まっても尚、ティア達に覆いかぶさったまま涙を流すレオンにティアが声をかける。

 

「・・・すいません・・・。」

レオンはティアに言われて、ゆっくりと身体を起こす。

 

「・・・レオンさん・・・。」

ミューレが頭から血を流すレオンを心配して声をかける。

 

「・・・大丈夫です・・・これぐらい・・なんともありませんよ・・・。」

レオンは完全に光を失った目で笑顔を作りミューレに答える。

 

 

「ラスターッ!」

少し離れたところからラスターの名を叫ぶシドの声が響く。

 

 

「ぐぅ・・・。」

ラスターはシドとラムウを守るために身体を盾にしたことにより、防弾チョッキ以外の部分がボロボロになっていた。中でも、右足は石つぶてで血まみれになり、とても歩ける状態ではなくなっていた。

 

「ラスターさんっ!」

シドの声で視線をラスターに向けて、ラスターの状態を知り叫んで駆け寄るミューレ。

 

「・・・あっ・・・ぐぅ・・・。」

全身もれなくボロボロの状態のラスターが仰向けの状態でシドとラムウに介抱されている。

 

〔ケアルガ〕〔パアアアアアアアッ〕

 

ミューレは回復魔法の最高レベルを使って、ラスターの負傷の状態・・・止血だけでも止めようと試みる。

 

「・・・・・・。」

その姿に悔しそうに顔をゆがめるのはラムウだった。

 

フェニックスが健在ならば、ラスターの負傷は瞬く間に治るだろう。が、ユッケと融合してこの世界から消えてしまった今、ケアルガとて、気休めでしかなかった。

しかし、そこは回復魔法の最高レベル。意地ともいえる輝きを放ち、負傷はともかく、止血はこなしてみせた。

 

「よし、血は止まったっ・・・もう少しの辛抱だ、ラスターっ!」

シドは医療セットが入ったリュックから治療道具を慌しく出して、ラスターの治療に取り掛かる。

 

「・・・クッ・・・クリスタルは・・・?」

止血を終えて、少し状態がよくなったラスターがオメガクリスタルの現状をシドに尋ねる。

 

「ティアッ!俺は治療に専念してて目が離せねぇっ、クリスタルはどうなってる!」

シドはラスターの治療を最優先にして、大きな声で目線を一切向けずにティアに尋ねた。

 

「・・・ちょっと待って・・・。」

ティアは爆発が産んだ砂煙の奥のオメガクリスタルの様子を伺う。

 

 

「・・・ハァッ・・・ハァッ・・・グウゥゥッ・・・。」

砂煙の奥から獣のうなる声が微かに聞こえてくる。

 

 

「・・・そっ・・・そんな・・・。」

砂煙が薄くなっていく中で、ティアの目に移ったものにティアはため息をもらす。

 

「・・・ハハハッ・・・フヘヘヘッ・・・。」

砂煙が薄まっていくとそこにはオメガクリスタルにもたれ掛るゼッドの姿があった。

右腕と右足が吹き飛び、右わき腹がエグられている様になくなっていた。

ゼッドは笑ってはいるものの立っているのも精一杯の満身創痍といって過言ではなかった。

 

オメガクリスタルはというとゼッドがカバったのか姿そのままにそこに変わらず輝いていた。

 

 

かのように見えた。

 

 

 

 

 

「おはようございます、ソトフ様」

新米の神官が風のクリスタルルームに入ると、いつものように神官長のソトフがいたので挨拶をする。

 

「・・・あぁ、おはよう・・・。」

ソトフは新米の神官に視線を向けて、笑顔で優しく挨拶をして、またクリスタルの方を見る。

 

「神官長は、本当にクリスタルが愛おしいのですね・・・。」

新米の神官はいつも朝、クリスタルルームでクリスタルを眺めているソトフに冗談交じりにそう話す。

 

「ハハハッ・・・私も神官長として、クリスタルの様子がきになりますからね。」

クリスタルを見ながら、ソトフは微笑む。

 

「・・・・・・そんなに毎日毎日変わるようなものなのですか?」

毎日毎日欠かさず、クリスタルを朝ずっと眺めているソトフに疑問に思っていた新米の神官は思い切って尋ねてみた。

 

「・・・・・・風のクリスタルはね・・・一度、闇の民に破壊されたのは知っているだろう?」

ソトフは目線を新米の方に移して話し出す。

 

「・・・巫女様達のおかげで、こうしてまた我々のために輝いてくださってはいるんだけどね。」

そこまでいうとソトフは新米の神官に手招きをした。

 

「・・・・・・。」

神官長に来るように言われれば、それをムゲにできない新米の神官はそそくさとソトフの元に走り寄る。

 

「・・・よぉ~~く見てごらん・・・小さかったり、細かったりするんだけど、ヒビが走っているのが見えるだろう?」

傍まで来た新米の肩を抱き、自分の方に優しく寄せて、指で新米の視線を誘導する。

 

「・・・・・・あっ・・・。」

ソトフの指の先に導かれて、クリスタルを注意深く見てみると、新米の目には美しく輝くクリスタルのいたるところに小さいヒビや細いヒビが入っているのが見えた。

 

「・・・このヒビがね・・・毎日毎日少しずつ小さくなって消えていくんだよ・・・。」

ソトフは新米と眺めながら孫を見るような目で嬉しそうに微笑む。

 

 

 

 

 

〔ピキピキピキッ・・・パキパキッ・・・パリンッ〕

 

 

 

「・・・あぁ・・・あぁぁ・・・。」

ゼッドはもたれ掛っていたオメガクリスタルに大きなヒビが入るのを見て目を丸くする。

ヒビはある一点から全体に大きく走って行き、光り輝くクリスタルを歪めた。

 

 

「・・・たっ・・・隊長・・・。」

ラスターは必死に意識を保ちながら、クリスタルを見てアグニスを思う。

 

「・・・あぁ・・・無駄じゃなかったのよ・・・。」

一筋の涙を流してティアが言葉をこぼす。

 

「・・・・・・命が繋いだのじゃ・・・。」

ラムウがその光景を見て、涙を堪えながら素直にそう思い、話す。

 

クリスタルは確かにアルテマクリスタルの力によって、再生する。

しかし、完全に再生するまで時間がかかるのは事実。

これはずっと風のクリスタルを見てきたソトフだけにしか分からない事だった。

表面的にはアグニス達が命がけで付けた傷は修復したように見えたが、度重なる強い衝撃がオメガクリスタルの傷をさらに大きく広げる事になった。

もしかしたら、最新鋭の爆弾の威力だけでそう出来たのかもしれない。

だが、アグニス達の命を懸けた作戦を聞かされていたティア達にはアグニス達が未来へと繋いでくれた光り輝く道が今、自分達の前に広がったように思えてならなかった。

 

「・・・・・・。」

レオンは光のない瞳で黙ってクリスタルの傷を見ている。

モヤモヤする心中でも、ゴーレムの勇姿とアグニス達の勇姿を讃えずにはいられなかった。

 

「ぐぅぅぅ・・・ちくしょう・・・・・・まだ・・・まだだ・・・。」

ボロボロになりながらもクリスタルに寄り添っていないと立てないだろう身体であってもゼッドはまだ自分の勝利をあきらめていない。

 

 

 

「・・・そうね・・・まだよね・・・。」

ティアはそう呟いて、誰よりも前に踊り出して弓を構えた。

 




見事、オメガクリスタルに大きな傷をつける事に成功したレオン達
しかし、オメガクリスタルはまだ完全に破壊されたわけではない。
最期に笑うのは誰か?

次回、「全てを乗せて」
青年よ、人の命と想いの力を感じろ(千葉しげるさん風)
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