オメガが崩壊へ向かう中、にらみ合うユッケとハディ
壮絶な光と闇の闘いはいよいよ最終局面へと移って行く。
「・・・・・・オメガクリスタルが・・・破壊された・・・だと・・・?」
ユッケの言葉にハディは動揺を隠せない。
それが嘘だと思いたいが、現にアルテマクリスタルが目の前でミナによって破壊されたばかり、それを真実として受け止めるしかハディの思考は働かなかった。
「・・・・・・ハディ・・・お前が何をしたかったかなんて興味はないが、お前の思惑もこれで終わりだ・・・。」
静かに剣を構えてユッケがハディに弁戦を仕掛ける。
「・・・・・・フフフッ、言うじゃないか・・・俺に勝てるとでもおっ・・・。」
「勝てるよ・・・。」
ハディが強気なユッケの鼻をへし折ろうとした時、ユッケが食い気味に反論する。
「・・・・・・。」
なぜかそれ以上に言葉が出ないハディ。
「・・・お前は俺と剣を合わせて、勝てると思ったように・・・俺もお前と剣を合わせて思ったよ・・・負けないって・・・。」
ユッケの恐ろしいほどに冷静で静かなその自信が言葉に乗ってハディにおそいかかる。
「・・・笑わせる・・・。」
いつもなら口数の増えるハディだったが、その一言しか出てこなかった。
「・・・フェニックスも、皆も俺達に勝機は少ないって言ってた・・・・・・俺もさっきまでそう思ってた・・・必死に勝機を見つけようと思ってた・・・。」
ユッケが淡々と言葉を並べていく。
「・・・今はそうじゃないと?」
ハディが冷や汗を背中にかきながら表情には出さずに必死に言葉を返す。
「・・・ハディ・・・あんたほどの強い人なら分かってるんだろう?」
ユッケが構えた剣を降ろして、ハディに向き合う。
「・・・・・・。」
ユッケの余りに無防備な構えに呆気に取られて立ち尽くすハディ。
(何を言っているんだ、こいつは?・・・どうして、こうも自信満々・・・いや、どうして俺が気圧されしているんだ・・・確かにクリスタルが破壊された事実はあるが、それ以外に俺がこいつらに負ける要素なんてないだろう・・・。)
ハディは無意識にパンデモニウムを見ていた。
「・・・・・・。」
パンデモニウムはハディの視線を受け入れ、静かに一回首を縦に沈めて、ゆっくりとハディの元に戻って行く。
ユッケやシヴァはそんなパンデモニウムの行動を静かに見送る。
「・・・マスター・・・ディアボロスを呼び戻して、仕切りなおせないのか?」
ハディにだけ聞こえる声でパンデモニウムが提案する。
「・・・・・・っ?!」
パンデモニウムの言葉にハディは自分の思考が止まっていたのだと気付く。
「・・・・・・何を言っているんだ?・・・お前達は何を言っているんだっ!」
ハディは最初、ワナワナと身体を震わせていたが、次第に語気を強くして、ユッケ達に向けて力強く叫んだ。
「・・・・・・もう、終わりにしよう・・・。」
ユッケはそういうとシヴァとミナに視線を送る。
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
シヴァとミナはユッケの視線を合図に二人でゆっくりとユッケの元に歩いていく。
そして、ユッケの元に二人が集まると、ユッケはハディに正面を向けたまま、シヴァとミナが左右に分かれて、大胆にもハディに背中を向けて三人がそれぞれ手を繋いで円を作った。
「・・・お前達・・・今度は何をする気だ・・・。」
ハディが余りにも異様な光景に言葉を吐き出す。
「・・・・・・。」
パンデモニウムは静かにその時を待つ。
「・・・・・・。」
セレスは床に両膝をつき、両手で身体を支えながらその光景を静かに眺める。
〔セイムボディ(一心同体)〕
ユッケがそういうと三人が強い光に包まれて、光の中で溶け込み交じり合っていくような光景が現れた。
ユッケと対峙するハディ。
揺るぎない自信で自分の前に立つ青年に戦慄する闇の民。
そして、ユッケがその自信を体現しようとしていた。
次回、「パラディン」
青年よ、光となれ!(千葉しげるさん風)