FF アルテマクリスタル   作:葛屋伍美

143 / 157
ユッケの絶大な自信に気圧されするハディ。
ユッケはその事を証明するかのように

セイムボディ(一心同体)

という究極のフュージョンを実行する。


パラディン

パラディン。

ミッドガルドでは世界が狂乱する中で、世界を導き照らす光の一つとして、多くの英雄譚に登場する。

クリスタルガードナーとしての最高到達点と言われる伝説のフュージョン。

アルテマクリスタルの巫女を加えて3人でフュージョンをするという『一心同体』(セイムボディ)を行う事で出来る最強のフュージョン。歴史の表舞台に登場したのは他でもないオメガがこの世で最初に暴れまわったあの時だった。そして、今、再び歴史の表舞台にその姿を現すことになる。

 

 

「・・・・・・バカ・・・な・・・。」

パンデモニウムの遠い記憶の中で掘り起こされる感情が言葉に変わる。

 

 

ユッケとシヴァとミナが光に包まれて、溶け込み、一つとなって一人の騎士の姿がそこには現れた。

純白に輝く鎧をまとい、ユッケが悠然とそこに立っていた。

身体は少し浮き、ユッケ自体から光が放たれているようにも思える。

 

 

「・・・なぜだ・・・・・・なぜ・・・・・・なぜ、貴方がそこに居るんだっ!!!!」

ハディの悲痛な叫び声が部屋全体に響き渡る。

 

 

ハディの目線はユッケを見ていない。

ハディの目線はユッケの少し上の虚空を見ていた。

この場に居るものにはうっすらと見えたその幻影。

ユッケの両脇に翼のように存在するシヴァとミナ。

その頭上の後方にゴウやアグニス、ハモウ達が並び、頂点の両脇には二人の女性がいる。

一人は純白のローブをまとい、優しい微笑でユッケを見ている。

そして、もう一人の女性は漆黒だが、純白にも負けない光沢を放つローブに身を包んでいる。

目線はユッケにではなく、ハディに向けられている。

悲しく切なくも、愛おしさが交じり合った視線がハディに向けられていた。

 

「・・・どうして・・・どうして、あなたが・・・・・・。」

ハディはその幻影を見ながら、今まで見せた事ないほどに戸惑い、驚いている。

 

「・・・・・・。」

漆黒のローブに身を包む女性は何かを訴えるようにハディをずっと見ている。

 

「・・・俺はっ・・・俺は貴方に微笑んでほしかったから・・・笑ってくれると思ったから・・・ここまで来たんだッ・・・なぜ、そんな目で俺をみているんだっ!」

ハディは漆黒のローブの女性に一心に思いの丈をぶつけている。

 

 

「・・・ハディ・・・お前のお母さんが言ってるんだよ・・・間違ってるって・・・。」

ユッケは静かな淀みない視線でハディを射抜き、そう言葉をそえる。

 

 

「・・・・・・。」

その言葉にハディの目線がユッケに釘付けになる。

 

そう、漆黒のローブをまとっていたのはハディの母親だった。

純白のローブをまとっているのはもちろんユッケの母リアだった。

ハディの母もまた巫女。

闇のクリスタルの巫女だった。

 

「・・・この姿はすごいな・・・パラディンって言うらしいだけど・・・。」

ユッケは右手を握り込んだり開いたりしながら自分の存在を噛み締めていく。

 

「・・・全部、聞いたよハディ・・・あんたの生い立ちも・・・何もかも・・・。」

ユッケが静かに透き通る声を部屋に響かせながらつぶやく。

 

小さな声で呟いているはずなのに、その声は部屋にいる全ての人間に包み隠すことなく届いていた。

 

「・・・どういうことだ?・・・」

ハディは己の過去も全て聞いたというユッケの言葉を疑った。

 

「・・・俺の中に、クリスタルが見てきたものが流れ込んできたんだ・・・そして、関わって、支えてくれた人も、なにもかもが俺の中に流れ込んできて、全部教えてくれた・・・。」

ユッケは悠然とハディと向き合いながら、静かにその歩をハディの方に進める。

 

「・・・ハディ・・・あんたはそんなに悲しい過去を背負ってたんだね・・・。」

柔らかな微笑にも似た表情でハディを見るユッケ。

 

「・・・・・・やめろ・・・。」

ワナワナと心のそこから身体を震わせ始めるハディ。

 

「・・・お前のお母さんが言ってるんだ・・・過去に負けないでって・・・。」

ハディの声に遮られながらもその声は全体に染み渡っていく。

 

 

「・・・やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」

ハディはユッケが開く口を黙らせようと怒りのままに襲い掛かった。

 

 

〔ビュンッ、ビュビュッ、シュンッ、ビュオンッ〕

 

ユッケを襲うハディの剣が空を切る。

空を舞う花びらを切ろうとするもスルリスルリとすり抜けていくようにハディの剣をユッケはいとも簡単にかわしていく。

 

「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」

ハディは怒りに任せながらも、その技術力でユッケを捉えようともがく。

 

〔ビュオンッ、ビュビュッ、シュバンッ〕

 

しかし、その剣先は一片たりともかすることなく、ユラリユラリとかわされていく。

 

「・・・君は・・・ハディ・・・君は闇の民と風の民のハーフだったんだね・・・。」

ユッケが剣で襲い掛かるハディが元からそこに存在しないかのように表情一切変えることなく言葉を続けていく。

 

 

 

「・・・君は・・・ちゃんと・・・・・・愛されていたよ・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




パラディンとなったユッケには何もかもが分かった。
そう、目の前の最大の敵ハディの全ても・・・。

次回、「闇の民という過去」
青年よ、闇の歴史に何を想い、行動するのか?(千葉しげるさん風)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。