二人の師の力を受け継ぎ、ユッケは圧倒的な力でハディの前に立つ。
ハディはそんなユッケに対抗しようとするのだが・・・。
「フュージョンッ」
ハディは今まで一度もしてこなかったパンデモニウムとのフュージョンをみせた。
ウィングナイトとなったハディがパラディンとなったユッケと対峙する。
「・・・ハディ・・・皆言ってるよ・・・あんたの才能は最高のものだって・・・。」
ユッケがその姿を見て言葉をつづる。
「・・・そうだ・・・俺こそが最強なんだっ・・・。」
仮面の下でハディはユッケを見据える。
〔フュンッ、ガキンッ、キンキンッ、ガキャンッ、ビュオンッ〕
「・・・・・・皆泣いてるんだ・・・あんたを思って泣いてる・・・。」
ハディと剣を交えながら一筋の涙を流すユッケ。
「うるさいうるさいうるさいうるさいっ。」
ユッケの言葉に聞く耳を持たないハディ。
「・・・コーティさんも、パルトさんも、ラグアさんも、ゴウも・・・アルナさんもみんな謝ってるよ・・・。」
〔トンッ、ドヒュンッ〕
「ぐわっ!?」
斬撃を交えながらもユッケは最後の一撃はさっきのように手を添えるだけだった。
手の平から放たれる強風に舞い上げられるハディ。
(・・・・・・。)
ハディの中でパンデモニウムは全てを受け入れていた。
ワラにもすがる想いでフュージョンをしたが、それでもユッケには遠く及ばない。
そもそも、フュージョンはガードナーと守護獣との絆が深ければ深いほどその力は強くなる。余りにも深いつながりはゼッドのように混ざり合うようになってしまうが、その力は絶大的なものだった。
だからこそ、パンデモニウムは気付く。
(・・・マスター・・・あなたは・・・これほど遠いのか・・・。)
この声はハディにももちろん聞こえている。
聞こえた上でパンデモニウムは言わざるを得なかった。
ハディは生い立ちから自分以外を信用しない。
自分の事を本気で愛してくれた人でさえ例外ではない。
ディアボロスがいれば、あるいはユッケのようにパラディンの境地にいけるのではとよぎるが、どういうわけかディアボロスはこの期に及んで姿を見せる事はない。
旗色が悪くなったと見て逃げたのだろうと思うパンデモニウム。
それでも、パンデモニウムはハディから離れない。
風が自由に吹くということを教えてくれた人を信じて、皮肉にもその想いに縛られながらパンデモニウムは全てを受け入れた。
「・・・・・・。」
ハディはセレスをチラリと見る。
「・・・・・・。」
セレスもハディと目が合った事に気付く。
〔ビュンッ、ガンッ!〕
「ッ?!」
セレスの目の前にハディの剣が突き刺さる。
〔ザシュッ〕
「・・・・・・。」
次の瞬間、セレスの目には、ユッケの剣が左胸の下を貫いたハディの姿が映った。
「あぁぁぁぁ・・・いやあああああああああああああああああっ!・・・」
セレスは目を両手で覆い、床にふせった。
「・・・ぐっ・・・くくっ・・・あぁっ・・・。」
ハディはアルテマウェポンを胸に刺されたまま後退りしてユッケと距離を取っていく。
「・・・・・・。」
ユッケはその姿を静かに見送っていた。
ユッケは知っていた。
ハディと目が合った瞬間に、セレスが行動を起こそうとしていた事に。
この期に及んでも、セレスはハディのために尽くそうとしていた。
ハディはその事をとがめたのだろう。
わざとセレスの目の前に剣をつき立てて、思い留まらせたのだった。
〔・・・ドサッ・・・〕
「・・・うぅ・・・がはっ・・・。」
剣が刺さったままハディは床に倒れこむ。
「・・・やれやれ・・・思った以上にあっけなかったね・・・。」
ハディが床に倒れ込み、血の海に落ちようとしていた時、
部屋の隅の一角の闇から声が木霊した。
光と闇の闘いが終わった後、
悪魔の囁きが部屋を満たす・・・。
次回、「舞い踊る闇」
青年よ、闇はいつもすぐ傍でうごめいている(千葉しげるさん風)