しかし、そこに悪魔が舞い戻り・・・。
闇は静かに忍び寄り、ユッケ達の前に姿を見せた。
「・・・もう少し頑張ってくれればと思ってたんだけど・・・。」
ディアボロスは腕組みをしながら闇から現れて、無様に床に倒れているハディを見下ろした。
「・・・ディア・・・ボロ・・・スッ・・・。」
今際の際に現れた裏切り者の名前を口にするハディ。
「あらあらあらあら、ひどい怪我じゃない・・・女を利用すればよかったものを・・・どこまでも甘い軽い疎い・・・情けない男だよ。」
虫けらを見るように見下して右の口角を吊り上げるディアボロス。
「・・・お前なんだろ・・・。」
ディアボロスを見て、ユッケが言葉を放つ。
「・・・・・・何が?」
ユッケの突然の問いかけにふに落ちていないディアボロス。
「・・・全部だよ。」
ユッケがディアボロスに全てを見透かしたかのように告げる。
「・・・・・・ひゃひゃひゃひゃ・・・あっ、ごめんごめん・・・パラディンってすごいんだね・・・その目で見られてると下着の色まで見透かされてるようだよ。」
腕組みをしたまま肩を弾ませながらディアボロスが笑う。
「・・・・・・どういう・・・こと・・・だ・・・。」
要領を得ないハディがディアボロスを問い詰める。
「・・・聞いてなかったの?全部だって言ったじゃん。」
「・・・っ?!」
道端に唾を吐き捨てるようにディアボロスがハディに言葉を吐きかける。
ここにきて、うすうす感じていたがあまりにもあっさりとした自供にハディは驚く。
「ぜ~~んぶぜんぶ。ぜ~~~~~んぶボク・・・ぜ~~~~~んぶ・・・ピエロなのは君。」
ディアボロスは陽気にハディの周りを踊って歌を歌う。
「お前の父親を導いたのも~~・・・お前の母親に会わせたのも~~~・・・男の欲望をかりたてて、そそのかしたのも~~~・・・ぜ~~~んぶ・・・ワタクシ。」
ディアボロスは踊っておどけて、最期に両手の人差し指で自分を指してうたう。
「お前達を探すパルトを導いたのも、お前を押し上げてやったのも、幸せの絶頂で奈落に突き落としてやったのも・・・・・・全部、俺・様・だ。」
踊っておどけて、最期に両手の親指で自分を指差して胸を張る悪魔。
「タイミング良過ぎるだろ・・・気付けよぉ・・・なんで、パルトが巡礼に出た時に流行り病が広がるんだよぉ~~~・・・しかも、お前の母親、人と全然接触してないだろぉ~~・・・オバカチャンっ。」
悪魔は踊っておどけて、最期に自分の額を軽くはたく。
「・・・・・・。」
ハディは自分の走馬灯を頭の中で追いながらディアボロスの言葉をかみ締めていく。
「・・・そんな・・・ひどすぎる・・・。」
ハディの真相を受け止めて、その余りにも理不尽な人生にセレスは泣きじゃくるしかなかった。
「・・・うぅ・・・ディア・・・ボロス・・・・・・セレスも・・・か・・・。」
最期の力を振り絞ってハディが悪魔に問う。
「・・・セレス?・・・あぁ、あの女なんて知らないよ・・・お前がそそのかしっ。」
〔ザシュッ〕
それはまさに一瞬だった。
気付いた時にはその光景が部屋の全員の眼前に広がっていた。
「・・・えっ・・・なにして・・・ん・・・の・・・。」
ディアボロスが見ると自分の胸に深々とアルテマウェポンが突き刺さり貫いていた。
〔ドサッ〕
ディアボロスは糸の切れた人形のように力なくあっさり床に倒れこんだ。
「ハディッ!」
「近寄るなっ!」
全てを終え、全てが解決した事でセレスがハディの元に走り寄ろうとしたのをハディが叫んで制止する。
「・・・これ以上、俺の道を汚さないでくれ・・・。」
ハディがセレスに残した最後の言葉だった。
ハディはそう言い終えるとグラビデを使い、自分諸共床を壊し、ディアボロス、パンデモニウムと共に闇へと消えて行った。
全ての闘いが終わった。
ハディは舞台から姿を消した。
しかし、ユッケ達の前に重大な課題が残されていた。
次回、「愛の行方」
青年よ、愛に勝る想いも強さもない(千葉しげるさん風)