FF アルテマクリスタル   作:葛屋伍美

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伝説の剣士といわれる老剣士ゴウに出会ったユッケ。
ゴウはユッケの持つアルテマクリスタルを守るためと
戦いを余りにも知らないユッケを鍛えなおすために
バハムートの指示で同行する事になった人物だった。
そして、一向はいよいよ光の塔へ。
そこでユッケは美しき統括者に出会う。


光の姉妹

シャイナールの町を通り抜け、中心の光の塔を円で囲むように掘られた堀に掛かる長い橋を渡り、光の塔に入った一行だったが、ハディの話題が出た後、一行の気持ちは沈んだままだった。ユッケはハディと接する時間は非常に短かったが、ミナ達の態度を見れば、どれだけ重要な仲間だったかが嫌でもわかった。巡礼の一行は光の塔に入ってからフレビア以上に人々から喝采を浴びていたが、ユッケはミナの様子が気になって、まったく耳に入ってこなかった。当のミナは笑顔で手を振り答えていたが、目が淀んでいたのをユッケは気にかけていた。

 

「ハディという人は心の支えだったのでしょうね。」

シヴァの囁く声がユッケに届く。

 

「・・・俺もあまり話した事ないし、会ってまもなくで、闇の民にやられてしまったから・・・でも、会った感じは凄く良い人で、俺の事を気にかけてくれていたよ。」

ユッケも場の空気に呑まれて気が沈んでいた。

 

「・・・御主がアルテマの子だな。」

気の沈んでいたユッケに歩きながらゴウが話しかけてきた。

 

「・・・はぁっ。そう言うことみたいです。」

突然の事で戸惑うユッケ。

 

「私の任務はアルテマクリスタルを守る事だ。そして、お前も鍛え直す様に言われている。」

ゴウが歩きながら横目でユッケにプレッシャーをかける。

 

「えっ?!」

鍛えるという言葉に驚くユッケ。

 

「フュージョンができるそうだが、それでは闇の民には勝てない。」

ユッケを見るゴウの眼光はナイフというより刀のようだった。

 

「・・・・・・。」

眼光にやられて何もしゃべれないユッケ。

 

「フュージョンという強い力に頼っていてはいつか必ず足元をすくわれる。そこで基本的な鍛錬をして、力の底上げをする。」

淡々としゃべるゴウ。

 

「ゴウ、ユッケは何も知らない子なの。あまり最初から無茶は・・・。」

シヴァがユッケを心配して割って入る。

 

「シヴァ。甘やかしていては何もならない。小僧が死んでからでは遅いぞ。」

誰とも変わらず接するゴウ。

 

「・・・貴方の意見は分かるけど・・・。」

シヴァは負けじとゴウに立ち向かう。

 

「・・・リアはどう思うかな?」

ゴウがシヴァの急所を攻撃してきた。

 

「・・・・・・。」

シヴァはゴウに負けた。

 

 

(・・・どうなるの?俺・・・。)

 

 

ゴウの口撃に轟沈したシヴァを見て、不安に心沈むユッケ。

 

 

ゴウは見るからに剣術が得意だろう。

レオンも「伝説の剣士」と言ってたからには鍛えるというのは剣術の事だと思うユッケ。しかし、生まれてこのかた武術など学校で浅く習った以外に知らない。初めての戦闘でチョコを守る為にゴブリンと戦って、ギルガメッシュの戦車を倒した2戦だけが唯一のまともな戦闘経験だった。それにしたって、シヴァのサポートあってこそだった。

 

「ユッケよ、剣はどれほど扱える?」

ゴウが鋭い眼光でユッケに問う。嘘をついても、答えを間違えても殺されそうだ。

 

「・・・うぅっ、あまり・・・。」

ユッケは正直に答える。

 

「・・・今まで何をしてきた?」

ゴウの眼光がさらに鋭く光る。

 

(なんて答えれば殺されないの?)

ユッケは心の中で泣いていた。

 

「・・・なるほど、大体の事はわかった。セレスと面会した後、すぐに始めるぞ。」

(えええええええっ、そんな短時間でわかるの?!)

ゴウの言葉にユッケは心の中で驚きを隠せない。

しかし、外に出すわけにはいかない。なぜなら、ゴウは表情が変わらないまでもウキウキしている雰囲気が漏れ出していたからだった。不純な気持ちを外に出せば、しごきの一環として殴られそうだった。

 

「・・・ユッケ、私がついてるから・・・。」

囁くシヴァの声は怯えきっていた。

 

 

 

「ミナ様、入られます!」

 

 

 

大きな部屋の扉の前で警備兵が大きな声を出す。どうやら、そうこうしている間に目的地についたらしかった。警備兵が守る大きな扉が静かに開いていく。

 

「すごっ!?」

ユッケは思わず声を出す。

大きな扉が開き、その部屋の中の光景が目に飛び込んできた。大きな広い部屋の奥に大きなクリスタルが光り輝いて浮いていた。良く見ると、その部屋全てがクリスタルで出来ているようで、淡い光を放っていた。きれいに立ち並ぶ人々、大きな赤い絨毯が一人の女性の前に続いていた。ユッケ達は導かれるようにその女性へと近付いていく。

 

 

「おぉっ、シヴァ様!」

「氷の女神!」

 

 

シヴァは部屋に入るなり姿を現した。

部屋の人々はその姿に驚愕し、ヒザマズく者、お祈りしだす者もいた。

 

「シヴァ、出てきてよかったの?」

ユッケが姿を現したシヴァに尋ねる。

 

「えぇ、ここはクリスタルの間・・・関係者しかいないわ。」

微笑んでユッケに優しく答えるシヴァ。

 

「じゃぁ、ここの人達は皆知ってるの?」

ユッケはアルテマクリスタルのある胸に手を当ててシヴァに尋ねる。

 

「バハムートは用心深いから、ここの者達でも、そんなに知っている者は多くないでしょうね。」

シヴァが優しく答える。

 

「・・・知っているのは私とセレスだけだ。」

ゴウが静かに付け足すようにユッケだけに聞こえるような小さな声で答える。

 

「・・・セッ、セレス?」

ユッケはゴウにオズオズと尋ねる。

 

 

「クリスタルの守護者の長にして、この世界の統括者だ。ミナの姉でもある。」

 

 

「えええええええええええっ?!・・・あっ、やべ・・・。」

ミナの姉というゴウの言葉に驚きを溢れさせたユッケ。

大声を出した事に気付いて口を手で覆う。周りを見ているとミナがものすごい形相でこちらを睨んでいるのが見えてそこで視線を奪われた。

 

「フフフフッ・・・貴方がユッケさんね。」

赤い絨毯の先にある大きな玉座の前でユッケに微笑む女性。

美しい暖かな声で蛇のニラみから開放されたカエルが声の方へと視線を移す。

 

「・・・・・・。」

そのあまりの美しさにユッケは心奪われて何も考えられなくなった。

その姿はミナの面影があるものの天と地ほどの差がある奥ゆかしさ。そして、やわらかい空気。シヴァに負けず劣らない大人の色気が滲み出ていた。服装は白い大きな布で巻いたような薄い感じだったが、その布から出た肌は透き通るほど白く、触らずとも分かるやわらかさを感じさせた。髪はロングの癖毛でありながら、ふんわりとした雰囲気を後押しするように軽やかで、銀色の髪の色がまた美しさを際立たせていた。手に持っている杖はクリスタル製だろうか、身長と同じぐらいの長さがあった。造りとしてはシンプルなモノだが、この杖も淡く光を放っているように見えた。

 

「ミナがお世話になったみたいで、感謝します。私は姉のセレスです。」

セレスは微笑みながら名乗った。

 

「はぁ~~~~・・・痛いっ?!」

呆けて声を漏らしていたユッケは突然の激痛を足に感じる。

足を見てみるとミナに盛大に踏まれていた。次の瞬間、床に倒れこみのた打ち回るユッケ。

 

「・・・・・・。」

「アハハハハッ・・・。」

周りはその光景に驚き、息を呑んでいたが、見慣れていたティアは苦笑いをしていた。

 

「ハハハハハハッ」

レオンは空気も読まずに大笑いしていた。

 

「あらあら、ミナがそんな風に人に接するのははじめて見たわ。」

「ねっ、姉さん!」

セレスが微笑みながらミナに話しかける。

それに答えるかのように慌てだすミナ。顔は真っ赤だった。

 

「本当に火のクリスタルの巡礼お疲れ様でした。ハディの事は残念ですが、感謝いたします。」

微笑むのをやめて、柔らかい表情ながらも張りのある声で話し出すセレス。

 

「・・・・・・。」

ハディの名を聞いてミナが強張る。

 

「ミナ、奇跡の巫女として世界のクリスタルの安定をお願いしますね。各地を回り、巡礼を終えた後、最後に光のクリスタルの間で祈る貴方を見れる事を私は楽しみにしています。それと、ハディの代わりにはゴウを同行させます。くれぐれも闇の民には気をつけてください。」

淡々としゃべるセレス。ユッケはその姿に統括者としての強さを感じた。

 

(ハディって言う人はセレスさんと恋仲だったって聞いたけど。さすが統括者なのかな。ものすごく冷たい感じもするけど、大切な人を失ったからといって動じちゃだめなんだろうな・・・。)

セレスの毅然とした態度に感心するユッケ。

 

 

(・・・ミナ・・・。)

 

 

ユッケはセレスと比べるようにミナを見る。

 

(ミナは今でもハディの名前を耳にするたびに強張って、身体を小さく震わせている。無理もない、目の前で兄と慕っていたハディが闇に飲まれる光景を見たのだから。ハディの名を聞くたびにその光景がフラッシュバックしているのかもしれない。)

ミナの様子を見ながら悲しく切なくなってしまうユッケ。

 

「長い旅でお疲れでしょう?今は旅の疲れを癒し、ゆっくり休んでください。」

セレスが皆に微笑みかける。

 

「ありがとうございます、セレス様。」

ティアとレオンはセレスに丁寧にお辞儀をして答える。

ユッケもそれに習って続く。ミナはあれから固まっていて動かない。ゴウは違った意味で微動だにしなかった。

 

〔ガシッ〕

 

「えっ?」

微動だにしなかったゴウだったが、お辞儀が終わるか終わらないかの刹那にユッケの腕をすばやく掴む。驚いてゴウを見て固まるユッケ。

 

「・・・それでは参ろうか?」

表情を変えないゴウだったが、ウキウキが頂点に達しているのが僅かに震える両肩を見てわかった。

石像のように固まったユッケだったが、それを物ともせずに引きずって行くゴウ。

 

「・・・・・・。」

静かに見ないふりをする一同。

 

「あっ・・・私も行きます。」

シヴァだけがユッケを心配して後を追った。

 

 

 

 




大事な人を失ってもそれを真正面から受け止め
揺るぎ無く立つセレス
そんなセレスを見て、ユッケは責任ある立場の人間の強さを知る。
そして、ハディの名を聞いただけで恐怖に震えるミナ。
それぞれの想いを胸に次の地へと向かう。


次回、「いざ、グランドース」
青年は鍛錬の中で漢を見つけられるのか?!(千葉繁さん風)

どっちが好み?あなたの選択でエンディングが変わります。

  • 包容力があって、海のような心を持つ女性
  • 等身大でお互いを認め合える女性
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