FF アルテマクリスタル   作:葛屋伍美

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次の目的地に進んでいたユッケ達だったが、
ゼッドとギルガメッシュが行く手を遮る!
そして、ゼッドが驚愕のフュージョンを!!


フレイムナイト

「フヒャヒャヒャヒャッ、なんだこりゃ。フュージョンしただけでここまで力がミナギるなんて、早くこの力試してぇ~~・・・。」

ゼッドが兜の下で舌なめずりするようにレオンを見ているのが分かる。

 

「・・・御見逸れしました。フュージョンをそこまで昇華していたとは・・・。」

レオンがいつものようにニコニコしていたが、その実、背中は冷や汗でビッショリだった。

 

「・・・がっかりだぜ、おっさん。まだ、インスタかよ・・・。」

ゼッドはこの間と変化が無いレオンを見て、落胆していた。

 

「すいませんね・・・これでも頑張ったんですが。」

レオンはニコニコしながら返す。

現にレオンの『インスターリング』は何段階も強くなっていた。強くなっていたのだが、いくらそれを高めたとしても、フュージョンの前では焼け石に水にしかならなかった。

 

「俺がなぜ、ここで襲ったか分かるか、おっさん?」

明らかに冷め切ったゼッドがレオンに問いかけた。

 

「・・・さぁ、なぜでしょう?」

レオンがニコニコしながらはぐらかした。

 

「・・・へっ・・・。フレビアで面白いファイトが出来たから期待してたんだけどな。どうやら俺の片思いだったって訳だ。」

ゼッドは地面を足で軽く蹴りながら素っ気なく言葉を投げた。

 

「なんだか、ご期待に答えられなくて、すみません。」

ニコニコとレオンが謝るが、全身にめいっぱい力を溜めていた。

 

「・・・まぁ、後はインスタでどこまで俺を楽しませてくれるかってところだ。」

そう言うとゼッドは何の構えも無く、ただレオンの方へと歩き始めた。

傍から見れば、無防備甚だしい状態に見えたが、レオンはその姿に冷や汗を一筋頬に流した。

 

「それについては、ご期待に添えると思いますよ!」

レオンは強張る身体に檄を放つように語尾を強くして、それを合図にゼッドへと猛然と突進した。

 

〔バーーーン!〕

 

ものすごい音と共にレオンの右ストレートが放たれ、ゼッドはそれを左手の手のひらで受け止めた。音とは裏腹にゼッドは微動にもしない。しかし、次の瞬間、

 

〔ドドドッ、バキッ、ドゴーーンッ〕

 

ものすごい速さでゼッドからレオンへと連撃が放たれる。

右のストレートを皮切りに左右のワンツー。レオンがそれを防ぐと左フックが顔面を狙う。レオンはその一撃を腕一本では防げないと判断して、腕を重ねるようにして左側を覆い隠した。それでも、お構い無しにゼッドの左フックが炸裂する。その衝撃でレオンは一瞬意識が遠のく。そして、最後にレオンの腹を狙って右の中段蹴りが繰り出される。左フックの対応で右の蹴りに反応できずにまともに食らってしまうレオン。レオンの体は踏ん張りが利かずに巨体が宙に浮き、ティア達のところまで吹っ飛ばされた。

 

「レオンッ!」

吹き飛ばされてきたレオンにティアが近寄る。

 

「・・・大丈夫で・・・ゴハッ。」

レオンはティアを心配させないようにニッコリと笑って見せようとしたが、攻撃のダメージで咳き込んでしまう。

 

「あぁ、悪い・・・ちょっと本気出しちまった。」

中段蹴りを出した状態のままゼッドが両手をブラブラ振って挑発する。

 

「・・・すいません、反応が少し遅れてしまったようで。」

ニコリと笑いながらレオンがスッと立ち上がる。誰がどう見ても二人の力の差は歴然だった。

 

「レオン、あいつを一人でなんて無茶よ。ここは二人で・・・。」

ティアがレオンに共闘してゼッドと戦う事を提案する。

 

「ご心配には及びません。まだまだこれからです。」

レオンはゼッドを見据えたままニコニコしながらティアに答える。

 

「レオン、貴方のわがままで私達が負けて、ユッケ達が危険になるかもしれないのよ。」

ミナが真剣な顔でレオンに冷たく言葉で迫る。

 

「・・・私が不甲斐無いばかりにすみません・・・でも、私もガードナーの端くれ、何より土のガードナーとして・・・ここは引けません!」

レオンはそう言うと反論も許さないように飛び出し、ゼッドに2度目の攻撃を試みる。

 

〔シュバシュバッ、シュシュシュッ、ズバーンッ!〕

 

ものすごいスピードでゼッドに迫り、連撃を繰り出すレオン。しかし、ゼッドはそれをいとも容易く交わしていく。

 

「おいおい、おっさん。ここはフレビアじゃねーから扇風機は間に合ってるぜ。」

ゼッドが兜の奥からニヤケて挑発してるのが見える。

 

「それは・・・どうもッ!」

 

〔ブォン、ドガーーンッ!〕

 

レオンは挑発に乗るかのように右パンチの撃ち降ろしをゼッドに打ち込む。しかし、ゼッドはそれもわざと首の皮一枚でギリギリ回避するように避ける。レオンの一撃が大地にめり込む。

 

「ストーン」〔ズドドドーーーンッ〕

 

「ナッ?!」

ゼッドは驚く。

レオンの右を避けたと思ったら、その手が大地に突き刺さると同時に今度は地面から大地の牙が襲ってきたからだった。レオンはゼッドが自分の攻撃を余裕を見せるためにギリギリで避けるのを逆に利用したのだ。そのため、ゼッドはレオンの土魔法『ストーン』の強襲を避けるタイミングを逸してしまった。

 

〔ドーーーーンッ!〕

 

「グワッ?!」

ゼッドはレオンの攻撃魔法をモロに食らってしまい、今度はゼッドが空中を舞う。

 

「・・・どうですか?こういう攻撃もありですかね?」

レオンがニコニコしながらゼッドを挑発する。

 

「・・・フッ・・・フハハハッ、わりーわりー、これは一本取られた。おっさんの経験値を侮ってたわ。俺の油断をあっさり利用されるとは・・・おもしろくなってきたぜ。」

ゼッドは空中に飛ばされるも華麗に一回転し、見事に着地して、何も無かったかのように立ち、レオンの一連の攻撃を称えた。

 

「気にいって頂けて何よりです。」

レオンは一番の笑顔でゼッドの賞賛に答えた。

 

「ほんじゃ、本番と行きますか?」

ゼッドがまた何の構えも無しにレオンの方へと歩き出す。

 

「・・・参る!」

レオンが自分の声を越えるようにものすごいスピードで飛び出し、ゼッドを迎え撃つ。

 

〔シュババッ、ドゴーーンッ、バババッ、ブワッ、ズガーンッ・・・〕

 

最初の衝突とは打って変わって、互いの攻撃が相手に届かない。

レオンの連撃を流すゼッド。巧みにレオンは連撃から攻撃魔法を重ねてゼッドを揺さぶる。ゼッドはゼッドでレオンの攻撃を避けつつ、際どい一撃を挟んでくる。レオンはその攻撃をガードするもその強さに一瞬動きが止まってしまう。その上、レオンの攻撃を真似るようにゼッドも攻撃魔法を挟むようになってきていた。

 

「・・・さすがですね。もう攻撃魔法を操れるようになってくるなんて・・・。」

ゼッドの戦闘センスに素直に感心するレオン。

 

「俺の世界じゃ魔法なんて絵本の中だけだったからな。さすがに慣れないが、あんたのおかげでコツが掴めそうだぜ。」

ゼッドはレオンとの戦闘でメキメキとこの世界の戦い方を身体にしみ込ませていた。

それ以上に、やはり、フュージョンとインスターリングの性能の差が確実に両者の力の差となっていた。レオンは巧みに攻撃を繰り出していたが、ゼッドはその殆どを避け、ゼッドの攻撃はレオンのガードの上からでも体力をガリガリ削っていった。

 

(参りましたね・・・こうも早く対応されるとは・・・戦闘センスは天才的です。)

レオンは心の中でゼッドを賞賛し、戦慄した。

 

「おっさんはいい師になれるぜ。教え方がうまいうまい。」

ゼッドはレオンの一挙手一投足を逃さず、己を高める為に見ていた。

 

(どこまで強くなるのか・・・私はなんと不甲斐無いのか・・・。)

レオンはゼッドと比べて自分が如何に弱いかを苦々しく思った。

悔しくて悔しくて堪らなかった。土のクリスタルの開放で今までで一番力がみなぎるのを感じていたレオン。誰にも負けないと思っていたが、自分よりも易々と高みに登っていくゼッドにレオンは絶望を感じ始めていた。

 

「・・・そろそろ、出し終わりか?」

兜の下からでもゼッドの冷たい視線を感じる。

 

「・・・くっ・・・。」

レオンは歯を食いしばるしかなかった。

 

〔ズガーーーンッ!〕

 

ゼッドはレオンの攻撃を避けて、レオンの頭を掴んでそのまま大地へと叩き付けた。

 

「レオオオオオオオオオオンッ!」

ティアの叫びが木霊す。

 

 

「ファイラ」〔ゴバアアアアアアアアアンッ〕

 

 

その声も虚しく、ゼッドの魔法がレオンに炸裂する。

 

 

 

 




お互いライバルとして、拳を交えるレオンとゼッド
しかし、あまりにも歴然とした差にレオンの心が・・・。
一方、その頃、分断されたユッケやゴウ達は?


次回、「ゴウという剣士」
青年よ、老兵と侮る無かれ!(千葉繁さん風)

どっちが好み?あなたの選択でエンディングが変わります。

  • 包容力があって、海のような心を持つ女性
  • 等身大でお互いを認め合える女性

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