しかし、歴然の差がレオンを追い詰める!
一方、分断されたユッケ達は?
「ガハハハハッ、ワシの完璧な作戦!手も足も出まい!」
見事に分断されたユッケ達を見てギルガメッシュが高らかに笑う。
「・・・むぅ・・・見た事もないモンスターだな・・・。」
ガッツリファンタジーの世界を生きてきたゴウにとってギルガメッシュの機動歩兵はまさに想像を超える代物でどう対応すればいいか戸惑っていた。
「・・・まさか、こんな師匠を見るなんて思わなかった・・・。」
戸惑うゴウを見て、ユッケも驚いていた。
「ユッケよ、何をしている。お前には、はようレオンの加勢に行けといっただろ。」
戸惑いながらもゴウはユッケに睨んで再度指示する。
「いやいや、この状況で身動き取れないって師匠。」
呆れて返すユッケ。
「・・・フンッ。確かに初見で戸惑ったが、切った感じ倒せない相手では無かろう?オリハルコンやアダマンタイトではなかったのが幸いだったな。」
ゴウは冷静を取り戻したかのように話す。
「・・・ホントかよ・・・。」
冷静なゴウを見て、半信半疑なユッケ。
「ワシがなぜ最強の剣士として言われているか見せてやろう。」
ゴウはそう言うと剣を前に出し、刀身を左手で触れ、左手を刀身に沿って左に動かした。
〔ヒュウーーーーッ〕
すると、ゴウの剣からこの世界では珍しい風の音が聞こえたように思えた。
「おぬしら、またワシを忘れとりゃせんか!」
ギルガメッシュは二人で話しこんでるのを見て、イライラが頂点に達していた。
「フッ・・・忘れとりはせんよ。」
ゴウが鼻で笑ってギルダンザムを見上げる。
「機動歩兵ども、まずはジジイから片付けろ!」
ギルダンザムがゴウを指差して号令をかける。
その号令に従うかのように機動歩兵達は一斉にゴウへと飛び掛った。
〔ヒュワッ、ヒュヒュワッ、ヒュワーンッ〕
ゴウは慌てることなく、機動歩兵へと剣を振るった。
不思議な事に刀身が機動歩兵に当たる時に金属音が一切聞こえることなく、代わりに風切り音が耳に届いた。ゴウは一通り剣を振るうと機動歩兵を交わして、囲いの外へと移動する。機動歩兵はゴウが居た場所の手前で止まり動かなくなった。
「何をしとるんじゃ、オマエラッ!」
機動歩兵の様子を見て、ギルガメッシュの怒号が飛ぶ。次の瞬間、
〔ドガガーーーンッ〕
止まっていた機動歩兵の身体が切られたようにズレたかと思うと一斉に爆発した。
「ナニイイイイイイイイイイイイイイッ!」
その様子をみて、驚愕するギルガメッシュ。
「え?」
ゴウの攻撃がまったく分からないユッケは唖然としていた。
「ユッケ・・・これがゴウの魔法剣よ。」
理解できていないユッケにシヴァが優しく教える。
「まっ、魔法剣?」
シヴァを見て言葉を復唱するユッケ。
「ゴウの刀身を見てみて。」
シヴァがゴウの刀身を指差してユッケを導く。
「かっ、風?」
ユッケはゴウの剣を見て驚く。ゴウの剣を取り巻くように風が渦巻いていた。
「風の力を使って、剣の切れ味を上げたのだ。風のクリスタルが消失して、ワシの魔法は急激に力を失ったがこれぐらいの芸当はまだまだできるぞ。」
ゴウは今度はギルダンザムを次の獲物に捉えたようだった。
「ムウウウウウッ、魔法剣とは卑怯なっ!」
ギルガメッシュが少しゴウと距離を取り、遠巻きに叫んだ。
(お前が言うのかよ)
ユッケはその言葉に心の中でツッコンだ。
「・・・ユッケよ、これでも心配か?」
ゴウがユッケを見て言う。
「・・・了解・・・。」
ユッケは勝負あったのを悟って、ゴウの指示通りレオン達のほうへと走り出した。
「こらっ、待て小僧!」
「おっと・・・今度はワシがこういう番かな?お前の相手はワシだ・・・と。」
自分の元から離れようとしているユッケの後を追おうとしたギルガメッシュだったが、風の魔法剣を構えたゴウに行く手を塞がれた。
「ぐぬぬぬぬぬっ・・・。」
ギルダンザムの中で苦虫を噛むギルガメッシュ。
「おぬしはどのくらい固いかな?」
ゴウがギルダンザムに剣を構えて少しニヤける。
「・・・ジジィが・・・ギルダンザムを舐めるなよ!」
〔シュポポポンッ〕
ギルガメッシュはゴウに向かって叫ぶと背中からまた機動歩兵を出した。
「動く前に切ってくれる。」
ゴウが鉄の球が空中にある状態からそれを切り伏せようと構える。
「ワシがそれをジッと見てると思ったか!」
〔ズドドドドドッ〕
鉄の球に目を向けていたゴウにギルダンザムの左手から機銃の弾が襲い掛かる。
「しっ、師匠!」
機銃の音で驚いて振り返り、ゴウに叫ぶユッケ。
「・・・甘いな。」
〔ヒュオオオオ・・・〕
機銃の弾が着弾する前にゴウが滑るように地面を走る。
いつの間にか足にも風の魔法がかけてあり、ユッケがアイスナイトで地面を凍らせて滑るように風を使って滑って見せた。しかし、その隙に機動歩兵が地面に落ちて起動してしまう。
「・・・ユッケ、ワシの心配をするのは百年早いわ!」
ギルダンザムを見据えつつユッケに怒鳴るゴウ。
「わっ、わかりましたよ!」
怒鳴られて、ヤケクソで大きな声で返事をするユッケ。
「フフフッ。」
そのやり取りをみてシヴァが笑う。
「・・・笑うなよ、シヴァ。俺なりに心配してるんだから。」
シヴァに笑われて恥ずかしくなるユッケ。
「ごめんなさい。さぁ、急ぎましょう。」
シヴァは恥ずかしがるユッケの肩を掴んで促した。
「了解。」
ユッケの声と同時にシヴァが白い煙のようになり、ユッケを包み込んだ。すると、ユッケがそのモヤを抜ける頃にはアイスナイトへと変わっていた。アイスナイトへと変わったユッケは滑るようにスピードをあげ、ミナ達の元へと急いだ。
〔ゴゴゴゴゴゴゴオオオオオオオオオオッ〕
「えっ?!」
ミナ達の側に来る間近でさらにその先の前方から火柱が上がるのをユッケは見て驚く。
「・・・ユッケ。」
ティアがユッケの方を見ながら、呆然とした状態でユッケの名前を言う。
「あんた、何してたのよ!遅いわよ!」
ミナがユッケの両肩を掴み、揺さぶる。
「・・・レオン・・・。」
火柱が消えた後、そこには地面に倒れているレオンの姿とそれを見下ろすゼッドの姿があった。
「クフフフフッ、意外に楽しめたぜ、レオン。」
ゼッドが兜の下から隠せない笑いを出す。
「お前エエエエエエエエエエッ!」
ユッケはその光景を見て、思わず叫び突進していった。
ギルガメッシュを退けたユッケだったが
レオンの姿を見て、怒りで我を忘れるユッケ。
フレイムナイトのゼッドに果敢に挑むが?
次回、「氷と炎」
青年よ、女神の導きで勝利を掴め!(千葉繁さん風)
どっちが好み?あなたの選択でエンディングが変わります。
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包容力があって、海のような心を持つ女性
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等身大でお互いを認め合える女性