フォレストーラの道すがらに一行の話題は強敵ゼッドの姿へと向かう。
ゼッドとギルガメッシュの強襲を退けたユッケ達はあれから数日歩き、次の目的地フォレストーラの道を急いでいた。
「・・・あの・・・罰ゲームって一日だけじゃないの?」
ユッケが相変わらず大量の荷物を持ちながら歩いている。
あれから何日も経っていたが、ゴウの命じた罰ゲームは終わることなく、今では当然のように大量の荷物を持たされていた。
「いやーー、楽でいいわね、チョコ。」
「クェッ!」
ミナがチョコの首筋を撫でながらニヤニヤした顔でユッケを見た。
(お前は楽も何も歩きさえしてねぇじゃねーか!)
ユッケはミナにばれない様に睨んで心の中で悪態をついた。
「オホホホッ、大変よね?そんな荷物持って。」
ミナが高飛車なお嬢様がしそうな手を頬につけたスタイルで高らかに笑った。
「クェ~~・・・。」
ミナとは打って変わって切なそうな目でユッケを見るチョコ。
「おうおう、チョコは誰かさんと違って、優しいなぁ~。」
チョコの気持ちを汲み取ったユッケが愛らしいものを見るようにチョコを見て言う。
〔ポカッ〕
「あいてっ?!」
ユッケがチョコを見ているとミナが空の水筒を頭に投げつけてきた。
そのコントロールは抜群で見事ユッケのおでこに命中した。
「水。」
ミナは一言そう言うと、手を出して新しい水筒を要求した。
「クックックックッ・・・。」
ミナの傍にいるティアが笑いを噛み殺していた。
「・・・なんなんだ、この巫女は・・・。」
「なんか言った!?」
ユッケは水を渡す際に小声で文句を言ったが、ミナは内容までは聞こえなかったものの、ユッケが自分の悪口を言ったのを見逃さなかった。
「なっ、何も言ってないって!」
慌てて両手を胸の前に出し、大きく振って否定するユッケ。
「ファイア」〔ボオオオオオオオオッ〕
「あっちゃああああああああああーーーーーっ!」
ミナは自業自得とばかり、ユッケの鼻目掛けて火の攻撃魔法を弱めに放った。
顔を焼かれたユッケは突然の熱さとまさかの攻撃に驚き叫んだ。
「ユッケ大丈夫?!こっちに来て、冷やしてあげるから。」
シヴァは熱さで慌てるユッケを見て、自身も慌てて追っかけた。
そして、ユッケを捕まえると胸で包み込み、自分の体温の低さで冷やしてあげた。
「・・・まったく、シヴァよ。お前の過保護も呆れたものだな。」
シヴァのユッケに対しての接し方を見て、日頃から溜まっていたものを吐き出すゴウ。そこへ、
「ゴウ殿、モンスターが居りましたぞ!」
先行して偵察していたレオンが遠くから声を張り上げた。
一行の行く先にモンスターが居た事を告げる。お気づきだろうか?レオンの性格ならモンスターを見つけたら自分で修行と称して倒すはずだと・・・。それには理由があった。なぜなら、
「よし、ユッケ。行って来い。」
「は~~い・・・。」
「返事はきちんとせんか!」
「はい!」
ゴウがユッケにモンスターを倒して来いと怒鳴り、ユッケはその指示に従い、駆け足でレオンの元へと向かっていった。
そう、ゼッド達の襲撃以降、モンスターを単独で倒すというシゴキ(訓練)がユッケに追加されていたのだ。それを最初くみ取れなかったレオンは何度かモンスターの襲撃を単独で対処してしまい、ゴウにめちゃくちゃ怒られた前科持ちだった。今はレオンも言いつけ通り、モンスターを見つけたら、ちゃんと報告している。そして、もちろん、シヴァについても
「付いて行くんじゃないぞ!」
ゴウの眼光が鋭く光り、シヴァを射抜く。
「・・・・・・うぅっ。」
ゴウに止められて、ものすごく我慢してモジモジしているシヴァ。
(シヴァ様かわいい・・・。)
それを見て、なんだかキュンキュンするティアがいた。
ゴウは前回の戦い以降、ユッケの単独での力を高める事を強く求めていた。それはゼッドの存在が大きかった。
戦いを終えたすぐ後に時をさかのぼる。
「あのゼッドという者。ミッドガルドの者ではないな。」
ゼッドをレオンが逃がした後、ゴウがゼッドについて話していた。
「・・・たぶん、俺と同じだと思う。」
ゴウの疑問の答えを述べるようにユッケが話す。
「やっぱり?」
ティアがユッケの言葉に賛同した。
「うん・・・ゼッドって、どこかで聞いた事あるかなって思ってたんだけど・・・思い出したよ。まさかとは思ってたけど、俺の例もあるし・・・。」
ユッケが手で顎を摩りながらゼッドについて話す。
「何者ですか?」
レオンがあまり見せない真面目な顔で食い付く。
「・・・いや、俺の知ってるゼッドなら有名人だよ。総合格闘技の無差別級の世界チャンピオンなんだ。もう長い間無敗っていうレジェンド。」
ゼッドのことを覚えていることだけ全部話していくユッケ。
「でも、つい最近は試合もしてなくて、行方不明って噂も出てたんだ。」
「なるほどな・・・闇の民がお前の世界に干渉していた証拠じゃな。」
ユッケの情報を聞いてゴウが確信したように言う。
「闇の民はアルテマクリスタルを探してアースカンドに?」
ミナがゴウに不安そうに聞く。
「間違いなかろう。ただし、ユッケがこうしている事が闇の民がクリスタルを見つけることが出来なかった証でもある。しかし、ただでは起きん油断できんヤツよ。何やら、まだまだ良からぬ事を考えて準備しているのだろう。」
ゴウはミナを安心させるのではなく、現実を冷静に考えて話した。
「・・・チャンピオン・・・ですか・・・。」
皆の不安を他所にレオンはゼッドのことを聞いてワクワクしていた。
「レオンはそっちに興味があるんだね。」
苦笑いを浮かべながら呆れるユッケ。
「それにしても、あそこまでフュージョンを自分のものに出来た者なんてミッドガルドでもそうは居なかったわ。」
シヴァが話を戻すようにゼッドを褒めた。
「ゼッドってヤツも脅威だけど、イフリート様もなんで闇の民なんかに!」
地団駄を踏んで怒るティア。
「元々イフリートは強者を求める節があった。きっと闇の民の手引きだろうが、元の火のガードナーはゼッドに負けたのじゃろう。」
ゴウが呆れた顔でイフリートの事について語る。
「そういえば、火のガードナーのヤロム殿は今回の巡礼は欠席すると言ってましたが、その時に・・・。」
「ヤロムもレオン以上に戦闘狂だったからね。」
レオンとティアが火のガードナーの前任者について述べた。
「しかし、ヤロムもそうそう弱いガードナーではなかった。ゼッドという者は今後は侮ってはならん。」
ゴウはレオンに釘を刺すように睨んだ。
「・・・・・・。」
レオンは何も言わずにニコリとだけ笑って返した。
「ユッケ殿、もう少し行った所に4体ぐらいおりますのでお任せします。」
レオンがニコニコしながら道の先を指差す。
「はぁ~~・・・レオンもちょっとは助けてよ・・・。」
肩を落としながらユッケがレオンに助けを求める。
「大丈夫です。10体以上居りましたが、数を減らしておきました。」
「さすが、レオン。ありが・・・。」
「やはりな。」
レオンがゴウに隠れてユッケを助けていた事を話し、ユッケがそれについて感謝を述べようとした時、二人の背後から見透かしたようにゴウが現れる。
「レオンよ、お前に偵察を任せたのはワシの判断ミスだったわ。」
「アハハハハッ」
ゴウの殺意の睨みに苦笑いで返すレオン。
「いってきまーーーーす!」
ゴウの怒りを察したユッケは我先にと逃げていった。
「あっ、ユッケ殿!」
「お前は別メニューじゃ!」
レオンがユッケについて一緒に逃げようとした時、もはや時すでに遅し、ゴウの魔の手がレオンを捕まえていた。
しかし、ゴウは知る由もない。
そんなゴウを出し抜いてシヴァがユッケを助けに向かっていた事を。
後にゴウの怒りの雷がユッケに落ち、さらなるシゴキが追加されたのは言うまでもない。
謎の男ゼッドについて話す一行
そんな一行の前についにフォレストーラがその姿を現す。
そこはまさにティアの本領が発揮される場所だった
次回、「大樹の都」
青年よ、壮大な森の乙女に慄け(千葉繁さん風)
どっちが好み?あなたの選択でエンディングが変わります。
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包容力があって、海のような心を持つ女性
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等身大でお互いを認め合える女性