無事に樹のクリスタルの活性化に成功したかに見えたユッケ達
安堵の静寂を切り裂くように一人の人物が現れる
「私もこんなすばらしい光景は初めて見たよ。」
「・・・おっ、お前は・・・。」
ユッケは聞き覚えのない男の声に振り向くとそこにはまさに悪魔を象った異形の存在が出入り口近くの壁に持たれかけて腕組みをしながら悠然と立ってミナの方を見ていた。傍らには見張りをしていたエレゼンの神官達が倒れている。
「・・・ディアボロス・・・。」
シヴァがユッケとディアボロスという異形の者の間に入って、臨戦態勢を取りながらそう口にした。
「・・・ディアボロス?」
聞きなれない言葉にユッケが言葉を繰り返す。
「久しぶりじゃないか、シヴァ。何年ぶりかな?・・・いや、私達にとって時とは無粋か。」
おどけたような口調でディアボロスはシヴァと会話しようとする。
口調も態度もおどけてはいるが、ユッケは絶対にこの者に隙を見せてはいけないと悟った。
「貴方がここにいるって言う事は、やっぱり闇の民はガードナーなのね・・・。」
シヴァは鋭くディアボロスを見ながら、今まで聞いた事のない冷たい言葉で話した。
「・・・ガードナー?・・・ハッハッハッハッ。」
シヴァの言葉に堪えきれなかった笑いをお腹からめいいっぱい放つようにディアボロスが笑う。
「・・・・・・。」
シヴァは黙ってディアボロスを警戒し続けていた。
「狭い狭い・・・ガードナーやクリスタルの守護など世界が狭いですよ。」
おどけたポーズをとりながらディアボロスがシヴァに答える。
「・・・どういうこと?私達にとってクリスタルは全てよ。」」
シヴァがさらに鋭い眼差しでディアボロスを見る。
「・・・闇のクリスタルなんて、もう無いって事ですよ。私を縛るものはなにもない。」
あっさりとした言葉でディアボロスが話す。
「・・・そんな・・・。」
闇のクリスタルが最早存在しないという言葉にさすがに驚きを隠せないシヴァ。
「ディアボロス様!」
儀式を終えたミナが全速力でユッケの傍まで駆けてきてディアボロスの名を叫んだ。
「これはこれは、アルテマの巫女殿・・・。」
ディアボロスはピエロが観客にお辞儀をするかのようにおどけてみせてミナに挨拶をした。
「・・・シヴァ、勝てそう?」
ディアボロスに聞こえないようにシヴァに囁くユッケ。
「・・・3人ならなんとか・・・。」
シヴァも同じように囁きながらユッケに答えた。
「・・・アルテマクリスタルはどっちかな?」
「?!」
ディアボロスはユッケとミナを交互に指差しながら言葉を躍らせる。その言葉に3人は驚く。
「いやはや、我々もバカではないので。」
ニヤリと大きな口を横に伸ばしながら3人を見るディアボロス。
「アルテマクリスタルは渡さない!」
ユッケがディアボロスを睨みながら剣に手をかけた。
「・・・と言う事は君か。」
ディアボロスはさも当然のようにユッケを指差してアルテマクリスタルの所在を言い当てた。
「・・・・・・。」
無言で答えない3人。
「・・・話に来ただけだというのに私は悲しい。」
ディアボロスは一向に警戒を解かない3人を見て、天を仰ぎ右手で両目を覆った。
「闇の民の仲間の貴方と話す事なんて何もないわ!」
さらに警戒と語尾を強めるシヴァ。
「言葉で言っても分からないようなので私は一方的に話しますねぇ~。」
無抵抗の合図をするように両手を広げながら軽い口調で話すディアボロス。
「確かにマスターにはアルテマクリスタルを取って来いと言われました。が、私もお間抜けではありません。この状況で奪った所で逃げれませんし・・・。」
ディアボロスが臨戦態勢の3人にお構い無しに漫談をし始める。
「だって、1対3ですよ?しかも、外にはまだ仲間がいて、バハムートまでいる。耳を済ませてみてください。」
そこまで話して、ディアボロスが両手を耳の横につけて、よく聞く様に促す。
「・・・・・・。」
黙って、周囲を警戒するユッケ。
「さっきまで、ドッカンドッカン暴れてた音聞こえないでしょ?」
ディアボロスが言うようにバハムートが暴れる度に起こっていた大きな地鳴りと揺れは感じなくなっていた。
「バハムートがアルテマクリスタルの活性化に気付いたんですよ。もし、このまま私が勝ってアルテマクリスタルをもって逃げたとしても即バハムートに見つかって・・・。」
ディアボロスは両手を自分の目の前で合わせて、それを小さく開いて見せた。それはバハムートに自分が倒される事を表していた。
「それなら、せっかくなのでアースカンドの青年とお話がしたいなぁ~っって思ったんです。」
両手を再度目の前で合わせて握り、瞬きを繰り返してユッケを見た。
「うっ・・・。」
悪魔のかわいいポーズに寒気がするユッケ。
「ひどいなぁ~・・・。」
ユッケの態度を見て、両肩を落とし、うな垂れるディアボロス。
「貴方となんて話す事はないわ!早く飼い主の元へ帰りなさい。」
シヴァがユッケを隠すように間に入り、睨みつける。
「・・・シヴァよ、お前は本当にこの場にいる3人で俺に勝てると思っているのか?」
ディアボロスは塞ぎこんだままであるが、その重い口調で一瞬にしてその場が凍りついた。
「?!」
突然の変化に驚き、体勢を低くして備える3人。
「・・・な~~んちゃって!」
蟹股に足を開き、両手を広げ、長い舌を出してディアボロスがおどけた。
「えっ?」
あっけに取られたユッケとミナ。
〔グラビガ〕〔ズビュイィィィーーーーーン〕
ディアボロスがそう呟いた瞬間。
「ぐわっ!?」
「キャッ?!」
ユッケとミケは突然重くなった身体に耐え切れず、座り込んでしまった。
「ヒュゥ~~~ッ・・・ナァ~~イス・・・。」
ディアボロスはユッケがいつのまにかアイスナイトに変わっている姿を見て、言葉を零した。
「危なかった。ありがとうシヴァ・・・。」
一時は驚いて、座り込んでしまったユッケだったが、フュージョンのおかげか、信じられない重さを全身に感じながらも何事もなかったかのように立ち上がり、機転を利かせてくれたシヴァにお礼を言った。
「まったく人生・・・うまくいかないものですねぇ~~・・・あぁ、私、人ではありませんでした。」
そう言いながら、右手で拳を作って軽く自分の頭を小突くディアボロス。
「今度はこっちからいくぞ!」
アイスソードを構えて飛びかかろうとするユッケ。
「あぁぁ、もう分かりました分かりました。退散します。」
今にも襲い掛かってきそうなユッケを制して、ディアボロスがまた無抵抗のポーズを取る。
「・・・あっ、軽くなった・・・。」
魔法が解けたのか安心した声でミナが呟く。
「まったく・・・これだから守護獣は好きになれないんですよ。皆、頭が御堅いだから!」
そう言いながらディアボロスは後ろ跳ねて、ユッケ達から距離を取った。
「私、本当にユッケくんとお話したかっただけなんですよ。」
ディアボロスは自分の顔の前で両手を重ねて握りそう言った。
「・・・まぁ、良いものも見せてもらいましたし、大体ユッケくんの人となりも分かりましたし、お邪魔虫はこれまでということで・・・。」
ディアボロスはそう言いながら、滑るように出入り口の方へ移動し、部屋から出て行った。
「待て!」
ディアボロスを追って部屋から出るユッケ。しかし、そこには最早ディアボロスのその大きな姿はなかった。
「ユッケくん、くれぐれもアルテマクリスタルは肌身離さず、お大事にしてください。」
ディアボロスの姿はないものの通路にはディアボロスの声が響き渡っていた。
(深追いはやめましょう。何を考えてるか分からないわ。)
シヴァがユッケにそう提案した。
「・・・そうだね・・・すごい不気味なやつだった。」
ユッケはそう答えると周囲を警戒しながら部屋へと戻り、ミナの元へ急いだ。
ユッケ達が守護獣ディアボロスと対峙する中、
ティアとゴウは己の目的を完遂すべく
森の中を奔走していた。
次回、「風の民」
青年の、耳に届くは希望か絶望の声か?(千葉繁さん風)
どっちが好み?あなたの選択でエンディングが変わります。
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包容力があって、海のような心を持つ女性
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等身大でお互いを認め合える女性