それぞれの想いを胸に秘めた残された者達は?
〔ドンッ!〕
「なんで誰も何も言わないんだッ!」
ユッケが皆が集まっている部屋でやり場のない怒りを込めた拳でテーブルを殴りつけて、叫ぶ。
「バハムートがどれほど偉いかは知らないけど、いくらなんでもやりすぎだッ!」
怒りが収まらないユッケが畳み掛ける。
ディアボロスを退けて、皆と合流したユッケだったが、その散々たるフォレストーラの光景に怒りを隠しきれなかった。何が一番頭に来たかと言えば、バハムートのあまりにも非常な行いだっただろう。ユッケがさらに続ける。
「クリスタルを守るからと言って、戦うのはいいけど、間違った事をしたのに何も声をかけないなんて血も涙も無さ過ぎるよ・・・。」
ユッケはバハムートが森を傷付け、人を、動物を巻き込んでも平然とし、何も告げずに飛び去った事に怒りを通り越して、やるせなさに支配されていた。何度か会って言葉を交わし、薄々は感じてはいたが、バハムートは本当にアルテマクリスタルのことしか頭にないのが痛いほど分かったユッケ。
「・・・ユッケ、私の故郷のためにそこまで怒ってくれてありがとうね。」
弱弱しいが精一杯の笑顔でユッケにお礼を言うティア。
「・・・ガードナーとバハムート様との関係では、我々にそこまでの感情はありません。」
こちらも弱弱しい笑顔で正直に答えるレオン。
「・・・感謝すれど、恨みはせん・・・。」
黙って一点を見て座っていたゴウが口を開いた。
「・・・・・・。」
らしくなくオドオドしながら無言で状況をただ見つめるミナ。
「・・・でも、ユッケの言うとおりだと思うわ。」
ユッケの肩に手を置き、優しく微笑み賛同するシヴァ。
「・・・過程はどうであれ、結果的に闇の民を退けた事に変わりは無い。」
スッと椅子から立ち上がりながらゴウが事実を言う。
「バハムート様が来なければ、わしらだけでパンデモニウム様達を退けられたとは思えん。」
続けて、ゴウは淡々と正論を放つ。
「・・・・・・。」
ディアボロスとモヤモヤした戦いしかしていないユッケは何も言えなかった。ゴウの言うとおり、闇の民をはじめ、闇の守護獣ディアボロス、風の守護獣パンデモニウム、火の守護獣イフリートとゼッド。おまけとは言え、ギルガメッシュと向こうは今回明らかに徒党を組んで襲ってきていた。ユッケをはじめ、こちらも弱くないにしろ、とても互角に戦える面々とは言い切れなかった。戦闘経験の乏しいユッケでもそれぐらいは理解できた。それを知ってか知らずか、バハムートが来てくれた事は大きな助けにはなったのも事実。
「・・・いつか、あいつの顔面をぶん殴ってやりたい・・・。」
やるせない気持ちを拳に溜め込むユッケ。
「・・・まったく、とてもシヴァ様と組んでフュージョンをしている者とは思えんな。」
今まで張りつめていたゴウの顔が少し緩んだような気がした。
「ハッハッハッハッ、我々からしたら神に挑む様なものですよ。」
レオンもいつもの調子を取り戻してきた。
ゴウはパンデモニウムとの戦いを話はしなかったが、場が和んだ事でレオンはゼッドとの戦いを悔しそうにそれなりに話してくれた。
ユッケ達と離れて、一直線にゼッドの居るであろう場所へと単身突っ込んでいったレオン。場所は森が燃えているので大体分かったらしい。ゼッドの居場所について、お互い攻撃を放って挨拶をした後、フュージョンをして戦っていたようだ。レオンは燃え盛る森の中戦っていたようだったが、特段気にする事も無く、互角の攻防を繰り広げていて、決め手の無いまま組み手をしているような感じだったらしい。ところが、ある程度時間が経ったころ、丁度儀式が終わった辺りで森がざわめき出し、燃えている木々を周りの木々が襲いだしたようで、元凶となるゼッドもそこかしこから飛び出してくる木の根に襲われ出したようだった。木の根はレオンを避けて、ゼッドと森を焼く火だけに目掛けて無限に襲い出し、釈然としないまでも、敵ではないのでその光景をジッと見ていたレオン。お互いそこで気が萎えてしまって、ゼッドは木の根に追われながら森の奥に消えて行って、そこで戦いは終了したらしい。
「・・・ティアよ。故郷の惨状で心を痛めているのは分かるが・・・。」
「・・・分かってるわ、ゴウ。私達も次に進まないとね。」
ゴウが悲しみにくれるティアを見かねて、初めて聞くような優しい口調でこれからの事を話そうと切り出した。が、ティアも腐ってもガードナーである。ゴウの言おうとしていることは分かっている。世界を安定させる事が何よりも重要な事だと。悲しみにくれているばかりではそれは成し得ないと気持ちを切り替えたティア。
「さぁ、次は水のクリスタルよ、ユッケ!」
精一杯胸を張るティア。
「・・・あぁ、そうだね。」
怒りをためていた拳を肩まで上げてサムズアップして答えるユッケ。
「元気良く行きましょうや!」
ガッツポーズを作って場を明るくしようと頑張るレオン。
「ミナよ、お主も大丈夫か?」
ゴウが黙っていたミナに声をかけた。
「・・・えっ?・・・わっ、私は大丈夫よ。なんたって巫女なんだから!」
突然声を掛けられて驚いたミナだったが、レオンと同じようにガッツポーズを作りゴウに答えた。周りも同じように取り繕っている空元気だったので気付かないようだったが、
「・・・・・・。」
シヴァは周りとはどことなく違うミナの中にある不安のようなモノを感じ取っていたようで、静かにミナを黙って見つめていた。
「シヴァ、どうかした?」
ミナの問題にも全然気付いていないユッケだったが、シヴァが黙っているのには気付いて、シヴァに声をかけた。
「・・・いえ、なんでもないわユッケ。」
ユッケには悟らせまいとシヴァは優しい笑顔で答えるだけだった。
激しい戦いを潜り抜けたユッケ達
それぞれの戦いがそれぞれの経験値となる中
ミナは大きな不安に押し潰されそうだった
ミナを気遣うシヴァだったが
次回、「巫女の存在価値と苦悩」
青年よ、苦悩の壁こそ成長の糧となる(千葉繁さん風)
どっちが好み?あなたの選択でエンディングが変わります。
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包容力があって、海のような心を持つ女性
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等身大でお互いを認め合える女性