FF アルテマクリスタル   作:葛屋伍美

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激しい戦いを終えて、夜を迎えたユッケ達
いつものように過ごすユッケ達を尻目に
様子が気になったシヴァがミナを気遣う。


巫女の存在価値と苦悩

フォレストーラを出て、初めての夜。あいかわらず、ゴウに絞られたユッケは早々にダウンしていた。ゴウはまだまだいじめ足りないレオンをイジメ抜いている。ティアはそんな二人を見てカーバンクルと一緒に笑っていた。カーバンクルは今まで闇の民に備えて、神殿に残っていたが、今回の事で闇の民は各クリスタルではなく、アルテマクリスタルのみに固執している事が分かったので、それに備えて連れて来ていた。そして、

ミナは少し離れた所で星が散りばめられて輝く空を寂しそうな目で眺めていた。

 

 

「・・・どうかしたの、ミナ?」

 

 

「?!」

優しい声に驚き、声のした方に慌てて振り向くミナ。そこには母親のような優しい微笑を向けてミナを見ているシヴァが立っていた。

 

「・・・シヴァ様・・・。」

母親の優しさに思わず噴出しそうになる涙を堪えて、シヴァの名前を搾り出すミナ。

 

「隣、いいかしら?」

シヴァがゆっくりと近付き、ミナに優しく尋ねる。

 

「・・・・・・。」

シヴァから目を外して、コクリッとだけ頷いて答えるミナ。

 

「・・・ありがとう。」

シヴァはミナにお礼を言って、ふわりと柔らかく飛びながらミナの隣へ静かに着地した。その時だった。シヴァの優しい存在と同じような優しい匂いがミナを包み込んだ。ミナを産んで早くに病で死んでしまった母親。微かに記憶に残るその匂いがミナの鼻から入り、海馬を抜けて、大脳皮質へと電気を流した。

 

「ミナ?!」

「・・・えっ?」

驚くシヴァの表情を見て、ミナは始めて自分が涙を流している事に気付いた。

 

「・・・ごっ、ごめんなさい・・・シヴァ・・・様・・・。」

シヴァに悟らせまいとするが、涙が拭いても拭いても溢れてきて、ミナは慌てだした。

 

「あっ?!」

 

「・・・いいのよ、ミナ。誰も貴方を責めたりしないわ。今は私と貴方だけよ・・・。」

涙が止まらず、慌てているミナをシヴァは優しく両手で包み込んだ。冷たいはずのシヴァの肌だったが、その時は春の晴天の下、一日干した干したての羽毛布団に包まれるかのような柔らかさと暖かさを感じた。暖かくそして、柔らかく、優しい母親の温もり。ミナの瞳からは関を切ったように涙が溢れてきていたが、ミナは最早それを止める事をやめた。

 

 

しばらくして、ミナの涙は収まり、シヴァの腕の中で落ち着きを取り戻していた。

 

 

「・・・もう大丈夫?」

シヴァが両手をゆっくりとミナから離して肩を抱き、優しい眼差しを向けて尋ねる。

 

「・・・はい・・・。」

ミナは恥ずかしさのあまり、シヴァの目を見ることが出来なかったが精一杯言葉を搾り出し答えた。

 

「・・・何かあった?」

シヴァはミナの隣に座り、優しくミナの頭を撫でながらミナに再び尋ねた。

 

「・・・・・・。」

ミナは黙り込んでしまう。

 

「・・・無理に話す事はないわ・・・。」

三角座りで頭を沈めているミナに優しく言葉を掛け、微笑むシヴァ。

 

「・・・私って、なんなのかなって・・・。」

シヴァの優しさに心を開き始めるミナ。

 

「・・・・・・。」

変わらず黙って話を聞くシヴァ。

 

「この世界を救う為に巫女になったのに、ユッケがアルテマクリスタルと一緒に帰ってきて・・・私はお飾りになっちゃうし、いつの間にか戦いでも出来る事がなくなっていっちゃって・・・今ではユッケの方が・・・。」

ミナは話している内に両手に力が入り、抱え込んだ自分の肩の服を力一杯握り締めていた。

 

「・・・・・・。」

駄々をこねる子供を優しく見守りあやす様にシヴァがミナの頭を黙って優しく撫で続ける。

 

「私も頑張りたい・・・頑張ってこの世界の役に立ちたい。でも、ユッケがどんどん遠くに行っちゃうみたいで・・・全然追いつかなくて・・・。」

収まった切なさが再び胸を締め付けて、想いを口に出そうとするとそれを遮ってくるのを感じながらも頑張って声に出すミナ。

 

「・・・バハムートの言葉が貴方を苦しめていたのね・・・。」

シヴァはそう言うとミナの肩を抱き、ミナの頭に自分の頭を静かに近付け、さらに言葉を続ける。

 

「・・・それに・・・世界を救おうとする想いと頑張ろうとする気持ちがあれば、焦らなくていいわ。」

そう続けてシヴァが優しさでミナを包み込む。

 

「・・・私、ユッケに負けたくない・・・。」

シヴァの優しい言葉に本音が零れるミナ。

 

「・・・それでいいの。足を引っ張り合うより、相手に負けたくないって、自分を高められるなら、きっと貴方は強くなれる。」

シヴァが優しくミナを励ます。

 

「貴方は回復魔法や補助魔法を使って周りをサポートできるし、何より貴方の存在が人々の心の支えになっているじゃない。自分の出来る事を一つ一つこなしていけばきっと次にやるべきことがわかってくるわ。」

シヴァが優しくミナを励まし続ける。

 

「・・・はい・・・ありがとうございます・・・。」

シヴァの優しさにまた胸が締め付けられ、涙が零れそうになるミナ。

 

「貴方が思っているよりもユッケはまだまだだらしないし、頼りないから・・・ミナも負けたくないだろうけど、サポートしてあげて。」

シヴァがミナの隣に座りなおし、微笑みながらミナに頼む。

 

「・・・はいっ。」

涙を堪えて精一杯ハニカんで答えるミナ。

 

 

 

「・・・がんばれ、ミナ・・・。」

 

 

 

遠くの木の陰でティアが静かに二人の様子を伺いながらミナを小さな声で応援した。

 

 

 

 

 

 




思い詰めながらも前に進もうとするミナ
それを他所にさらに強くなろうとするユッケ
二人の想いが交差する中で
いよいよ一行は水のクリスタルがあるアクツィアへ

次回、「水の都への道」
青年よ、大河の営みに触れよ!(千葉繁さん風)

どっちが好み?あなたの選択でエンディングが変わります。

  • 包容力があって、海のような心を持つ女性
  • 等身大でお互いを認め合える女性
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