ミナが悩ましい想いを秘めながら
ユッケはアクツィア名物?を目にする事に
〔ギャオオオオーーーン・・・・・・。〕
草原を貫く道の上で、けたたましくモンスターの絶叫が響き渡った。
「なかなか慣れてこられましたな。」
ニコニコとレオンがユッケを褒めている。
どうやら、モンスターを仕留めたのはユッケのようだった。ザッと見回してモンスターの数は5体ほど。全てに斬撃の痕がある。そこにいるのはユッケとレオンだけで、ゴウ達は後方でユッケ達の方を見ていた。
「ふぅ~~~っ、シヴァの助けも借りなくて倒せたのはでかいね。」
ユッケは大きく息を吐いてレオンに答える。
「シヴァ様との連携も合わされば、敵なしですな。今度、私と手合わせ願いたい。」
レオンが胸を文字通り踊らせてユッケに言った。
「はははっ、その時はお手柔らかにね・・・。」
苦笑いで答えるユッケ。
「何を浮かれておる。あの程度のモンスターに時間を掛けすぎだ。」
ゴウがいつの間にか傍まで来ていて、雷を落としてきた。
「うっ・・・すいません・・・。」
素直に謝るユッケ。
「まぁっ?!ユッケ、腕の所怪我してるじゃない!」
シヴァがユッケの腕にあったかすり傷を見て慌て出した。
〔ケアル〕
シヴァはユッケの腕の傷を両手で触れて、回復魔法を施した。シヴァは元々回復魔法を使えなかったが、ミナやティアに教わりながら今では初歩的なものが使えるようになっていた。
「ありがとう、シヴァ!」
笑顔でシヴァにお礼をいうユッケ。
「無理しないでね、ユッケ。」
シヴァは傷を治すと片手でユッケの頭を撫でながら優しい口調でそう話す。傍から見れば、完全に子供と母親のようで、母親が大事な大事な息子を溺愛しているようだった。
「何度言っても直りはせんな・・・。」
ゴウはそう言うと頭を抱えた。
「あははははっ・・・。」
苦笑いをするティア。
「・・・・・・。」
いつもはここでユッケに絡んでいくミナだったが、ジッとユッケとシヴァを黙って見ていた。
「・・・っ?!・・・どうかした?」
ミナと目が合うと何事かとユッケが訊ねた。
「・・・別に・・・。」
そう素っ気なく答えるとミナはチョコに乗ってズカズカ進んでいった。
「・・・なんだ?」
頭を片手で掻きながら不思議そうにミナを見て呟くユッケ。
「・・・対抗意識・・・ですかな?」
ニコニコしながらレオンが言う。
(こういうのはなかなか鋭いのよね・・・筋肉バカ。)
レオンの隣で呆れているティア。
〔ポカッ〕
「アイテッ。」
「何をボ~ッとしとる。早く進まんか!」
そうこうしていると痺れを切らしたゴウがユッケの頭を叩き皆を促した。
ユッケ達はフォレストーラを出て、数日森の中を歩き、草原を抜けて3日ほど過ぎていた。
〔ガヤガヤッ〕
モンスターを倒して、仕切りなおして歩いてしばらくすると川のホトリに差し掛かってきた。船着場があるようで人がそこそこ居り、船着場の周りには露天も何軒か並んでいた。
「そろそろ身を隠した方がいいかも・・・。」
そういうとシヴァの身体が透けて見えなくなっていった。
「えっ、どうかしたの?」
突然の事に驚くユッケ。
「水のクリスタルの聖地はシヴァ様は目立つと騒ぎになるから・・・。」
苦笑いを浮かべながらティアがそう話す。
「水の信者は特に熱心ですからな。」
ニコニコしながらレオンも話す。
「なっ、なるほど・・・。」
納得するユッケ。そして、一向は川のホトリにある船着場へと近付いていった。
「川を渡るのか・・・。」
ユッケが目の前を流れる川を見ながら、これからの予定を予想する。
「ふっふっふっ、残念ですな。」
レオンが不敵に笑いユッケに不正解を突きつけた。
「渡るって言うよりか・・・登っていく・・・かな。」
ティアがユッケの傍を通りながら答えてくれた。
「・・・向こう岸が目的地じゃないって事?」
ユッケが察する。
「これから半日、川を上流に上っていけばアクツィアに着く。」
ゴウが鋭い眼光で船着場の方を見ながらユッケに教えてくれた。
〔ボオオオオオォォォォ~~~~ッ〕
「?!」
野太い動物?の鳴き声に驚くユッケ。
「あれが私達をアクツィアまで運んでくれる親切な乗り物ですよ。」
ニコニコしながらレオンが鳴き声のする方を指差した。
「・・・ほあぁぁぁ~・・・。」
ユッケはそれを見て、思わず口を開けて声が漏らした。
そこにいたのは本でしか見たことが無い恐竜のような生き物だった。特に目立つのはその長い首で3~4mはあるだろうか。近くで見るとその全体の大きさにも驚かされる。水の中なので分かり辛いが7~8mはあるように思えた。全身は水色の肌で統一されており、首の内側部分は白っぽい水色になっていた。顔は寝ぼけ眼で半開き、たまたま見たこいつがそうなのかは分からないが、人間が乗り物にするぐらいなので性格はおとなしそうだった。今は出発前の休憩中なのか、川のホトリ、丁度恐竜?の口が届く所に無造作に置かれている葉物野菜をその大きな口でバクバク食べていた。
「ほへえええ~~~・・・。」
近くに来て、見れば見るほど口が大きく開くユッケ。
「あははははっ。ユッケ、何その顔。」
口を大きく開けて呆けているユッケを見て笑いを堪えられないティア。
「ユッケ殿は初めてですな。こいつはアクツォーラスというモンスターでして、とても穏やかで人懐っこい奴なんですよ。」
ニコニコしながらレオンがアクツォーラスについて教えてくれた。
「こんな奴がいっぱいいるの?」
口を開けたまま尋ねるユッケ。
「野生のものはそうそう見ませんが、ここらにはたくさん居りますよ。小型のモノは個人用で売買されてたりしますな。」
レオンが丁寧に教えてくれた。
「勉強はそこらへんで終わりじゃ。さっさと乗って日が沈む前に街に入るぞ。」
ゴウが皆を促して、足取りを速めてアクツォーラスが引っ張るであろう船へと乗り込んでいった。周りにもアクツィアに向かうであろう人がたくさん居り、百は下らないほどだった。
〔ボオオオオオオォォォォォ~~~~~・・・〕
アクツォーラスが大きく鳴いた。
出発の合図だ。ゆったりとした走り出しで、川の流れに逆らいながら進んでいく。引っ張られる船は大体普通の木で出来た構造で、変わっているのは船首部分。アクツォーラスに当たっても大丈夫なように鉄で補強してあった。
「すごい快適だね。」
船上で風を感じながらユッケが率直な感想を言う。
「はっはっはっはっ、気に入って頂けてなんだか自分の事のようにうれしいです。」
腕を組み、胸を踊らせてレオンが言う。
「川の流れに逆らってるけど、結構早いのよ。歩いたらまだ2~3日はかかるもの。」
甲板の手すりから顔を外に出し、風をめい一杯感じながらティアが教えてくれた。
「休んでる暇は無いぞ。素振りでもせんか!」
ゴウが船旅を楽しんでいるユッケに言葉の一撃を放つ。
「うぇ~~っ・・・はーーい・・・。」
〔バキッ〕
「イッテッ!?」
気の無い返事をしてゴウの逆鱗に触れ、落雷が頭に落ちたユッケ。
人気の少ない所でゴウに監視されながら目的までみっちりしごかれる事になった。
「楽しい船旅ですなぁーっ、ユッケ殿!」
隣でレオンが筋トレをしながらニコニコ話す。
「・・・・・・。」
ユッケは無言の苦笑いで答えた。
アクツォーラスに驚きながらも
その快適さに感動していたユッケ
一行を乗せた船は一路アクツィアに向かう
次回、「水の都アクツィア」
青年は少女の胸の内をどう想う?(千葉繁さん風)
どっちが好み?あなたの選択でエンディングが変わります。
-
包容力があって、海のような心を持つ女性
-
等身大でお互いを認め合える女性