水のクリスタルがある都市、
そこでユッケ達は新たな出会いを果たす・・・。
「まもなく、アクツィア到着でーーーすっ!」
船頭の大きな声が甲板に響いた。
「ハァッ・・・ハァッ・・・ゼェッ・・・。」
汗だくで甲板に大の字で倒れこみ息も絶え絶えなユッケ。
「おっ、もう到着ですか・・・残念。」
ニコニコしながらスクワットをしているレオン。
「何を休んでおる。さっさと荷物をまとめて下船の準備をしてこい!」
ゴウがユッケに大声で指示をした。
「・・・はぁ~~~い・・・。」
疲れきった身体を起こし、ユッケは荷物の方へと向かった。
「がんばってユッケ。」
姿は見えないが応援してくれているシヴァの声がユッケの近くでした。
「・・・ありがとう。」
声のする方へ精一杯の笑顔で返すユッケ。
「・・・・・・。」
ユッケの様子を遠めで見ているミナ。
「焦らない、焦らない。」
ティアがミナの肩に手を置き、おまじないをささやく。
ミナはミナでティアと一緒に魔法の力を高めるように影ながら頑張っていた。ユッケの目の届く所ではいつもどおりにツンッとしていたが、ユッケ目の届かないところで必死に魔法の書を読み、瞑想をしたりして魔力や魔法の知識を高めていた。ティアはそれに付きっ切りで付き合って二人で頑張っていたのだ。
「・・・ん?!」
船がいよいよアクツィアの玄関口の船着場に差しかかろうとしたときだった。ミナは神経が研ぎ澄まされていたのか不穏な気配を感じた。
「・・・・・・。」
不穏な気配の方に目をやると防波堤の先に一人の少女が立ってこちらを見ていた。遠くて表情は良く分からなかったが、その人物があまり良くない感情を誰かに向けているのが感じ取れた。
「どうかした?」
ミナがジッと何かを見ているのに気付いてティアが声をかける。
「あの・・・・・・あれ?」
ミナがティアの方を向いて、少女の方に指を指して向き直るとそこにはもう誰も居なかった。
「ん~~、何々?」
ティアがミナの指差す方を見ているが何も発見する事はなかった。
(神官・・・だったような・・・。)
ミナは一瞬ではあったがその少女が神官風の格好をしていたのは覚えていた。しかし、一瞬だったのでそれが確かなものか確証がなかった。
「お降りの際はお忘れ物のないようにお願い申し上げます!」
船頭の声がまた甲板に響き渡る。甲板には我先に降り様と人が集まりだしていた。
〔ボオオオオオオォォォォォォ~~~~・・・〕
アクツォーラスの大きな野太い鳴き声が響き渡る。船がいよいよ船着場に到着したようだった。
〔ボオォォォォ~~~・・・ボォオォォォォ~~~・・・〕
さすがにクリスタルのある中心都市の船着場だけあって、他にも多くのアクツォーラスがおり、鳴き声に共鳴するかのようにそこかしこで鳴き始めた。
「すげぇぇ~~っ・・・一杯居る!」
ユッケは圧巻の光景に思わず大きな声を出す。
「おうおう、まだまだ元気があるみたいで何よりじゃ!」
ゴウが浮かれるユッケに釘を刺す。
「・・・・・・。」
黙々と荷物を運びだすユッケ。
「ハッハッハッハッ、夜のメインディッシュと参りますか!」
仁王立ちして喜んでいるレオン。もちろん、それが食事の事ではないのは皆分かっていた。
「はいはい、先にちゃんと疲れ取らないとね。」
ティアが軽くレオンをイサめる。
「・・・たしかに、ちゃんと食事を取りませんと大きくなりませんな!」
レオンは知ってか知らずか真っ直ぐティアを見て答えた。
「・・・そうね・・・。」
半ば諦めた表情でティアはレオンをイチベツして歩き出した。
〔ガヤガヤ、ワイワイ、ガヤガヤ・・・〕
ユッケ達が乗っていた船が船着場に着いて、一層周りが慌しくなる。商人や巡礼、帰郷した者。様々な人が船から目的地へと放たれていった。
「ほぅ、もう嗅ぎ付けて来おったか・・・感心感心。」
ゴウは船着場の人が往来する中で何かを見つけたようだった。
「早魚ですかな?」
レオンがゴウの見つけたものを同じく見つけたようでそれを見て話す。
「・・・早魚?」
ユッケは聞きなれない言葉を聞き返した。
「早魚って言うのはハモータスっていう魚で、この地方では伝令役で手紙を届けたりするのよ。とっても早いの。たぶん、私達が船着場で船に乗る時に神殿関係者が本部に知らせたのかもね。」
ティアが丁寧に説明してくれた。
「アクツォーラスもそうだけど、ここの人達ってもしかして動物と話できるとか?」
今まで不思議に思ってたことを口にするユッケ。
「ふふふっ、私達ほどではないけど、確かに会話できるみたいね。」
ティアが微笑みながら答えた。
「ティアどのは特別ですからな。水の民の生活のとって必需品なので感じ取れるのでしょうや。」
ニコニコしながらレオンが似合わない真面目な答えを言った。
「・・・あっ・・・あの子・・・。」
ミナが防波堤で一目だけ見た少女がゴウ達が見ていた所に立っていた。
その少女は数名の神官を引き連れて先頭で誰かを待っていた。もちろん、ミナ達の事だろう。幼さの残る少女だが、神官達を先導してる雰囲気からして、並々ならぬ実力者だと言う事がうかがい知れた。
「どれどれ~・・・あぁ、あの子の事?あの子はミューレちゃんよ。確か、水のガードナーが最近代替わりして、お孫さんのミューレちゃんが引き継いだって聞いたわ。」
ティアがミナの見ている少女の事を細かく説明してくれた。
「・・・水のガードナー・・・。」
胸の中が少しざわめき出したユッケ。
「・・・・・・。」
しゃべってはいないがシヴァも何か落ち着きがないようにユッケは感じた。
「ふむ、確かに気まずいな・・・お主みたいなものがフュージョンしてしまったんだからな。」
意地悪そうな目でユッケを見てニヤケるゴウ。
「・・・確かに、フュージョンはガードナーとしての誉れみたいなものですからな。」
たぶん場の空気を分かっていないレオンが思ったことを口にした。
「・・・私、謝らないと・・・。」
シヴァが誰に話すでもなくボソリと小さな声で呟いた。
「・・・・・・。」
シヴァの言葉にまた胸の奥がざわつき出したユッケ。
どう言葉にすればいいのか分からず、皆が見ているミューレという少女をただただ見ているしかなかった。
ミューレは小学生ぐらいの小柄な女の子のようで背中まで伸びた水色のストレートの髪がとてもきれいで光り輝いていた。肌は白く透き通り、目はパッチリしていて、グリーンの瞳がこちらの心を見透かすかのように真っ直ぐと見据え、揺ぎ無いモノを感じさせていた。装飾は特になく、一般的な神官と同じように純白のローブを身にまとい、両腕に子供にとっては大きい腕輪を一つずつ付けていた。ただ、一つ気になる事といえば、
「お初に御目にかかります、アルテナの巫女様。私は水のガードナーのミューレです。」
巡礼の一団に深々とお辞儀をしたミューレ。しかし、ユッケは見逃さなかった。一団をイチベツしたときにユッケの方を見たその瞬間、氷よりも冷たい視線を一瞬見せたのを・・・。
水の都アクツィアに到着したユッケ達だったが、
そこで出会った水のガードナーのミューレ。
そのミューレに歓迎されて居ないユッケ。
次回、「水のガードナー ミューレ」
青年よ、少女の想いを黙って、その胸で受け止めよ!(千葉繁さん風)
どっちが好み?あなたの選択でエンディングが変わります。
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包容力があって、海のような心を持つ女性
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等身大でお互いを認め合える女性