巡礼がどれほど大切かを改めて聞くユッケ。
そして、フレビアで一息ついたユッケ達
自分が分からないユッケにハディが優しく接してくれる
ユッケはフレビアの食卓で改めて、みんなからミッドガルドの世界について話して貰った。
ユッケ達がいるフレビアは火のクリスタルというのがあり、その火のクリスタルによって、環境がコントロールされているらしい。ミッドガルドという世界では火の他に4つのクリスタルによって、それぞれフレビアと同じように気候がコントロールされてるという話だった。しかし、そこに住む種族は様々でフレビアの神官達のような子供の姿をした種族は「ララフェル」と言われる種族。猫耳メイドは「ミコッテ」という種族らしい。ちなみにユッケのような種族は「ヒューラン」と呼ばれる。
みたところ、ミナもハディもヒューランのようで、ティアは「エレゼン」と呼ばれる種族。レオンは「ルガディン」と言われる筋骨隆々の種族らしい。
ここ、フレビアではララフェルとミコッテが多くおり、この2種族がこの暑い大地に適しているのだろう。ユッケにしてみれば、ミッドガルドと言う世界が今のすべてでそれ以外は残念ながら分からないのが現実。ただ、ミナ達と同じヒューランにはされてはいるが、ユッケの外見は同じようで大きな違和感を否定せずにはいられなかった。ともあれ、このミッドガルドと言う世界は光のクリスタルがある『光の塔』という所を中心に広がっているらしく。元々は巡礼と呼ばれるものは行われていなかったようだった。なぜかというと、この世界には『アルテマクリスタル』という強大な力を持った『クリスタル・オブ・クリスタル』があり、それがそれぞれのクリスタルをコントロールしていたからだった。それが何十年も前に『闇の民』と言われる者の襲撃の折に消失してしまい、世界の均衡が保てなくなり、気候がめちゃくちゃになってしまったらしい。
そこで立ち上がったのがアルテマクリスタルに仕えていたと言われるミナのような巫女。どうやら巫女は一世代ずつしか選ばれないらしく、その選ばれた巫女が巡礼と言って、直接クリスタルの元へ行くことにより、コントロールすることになった。その巡礼は毎年毎年あるのでミナは光のクリスタルから始めて、火・土・木・水・光と回って行く事になる。本当は風のクリスタルもあったらしいがアルテマクリスタルが破壊される前にこれも闇の民のせいで消失したようだった。
今ではミッドガルドには風と言う自然現象がない。
この事が原因で鳥もこの世界ではほとんど見ない。アルテマクリスタルが壊れてからもう何十年も世代を変えて、ミナで16代目になるようだ。元々はアルテマによって選ばれていた巫女もアルテマがない今は光のクリスタルを制御出来た者から選ばれる。巫女は生涯結婚も出来なく、子孫もない。先代の巫女が役目を終えると同時に新たな巫女が出現する。巡礼も安全ではないので、冷たい言い方だが、ミナがいついなくなってもすぐ巫女が判明するように光の塔には多くの素質ある女性が毎日毎日光のクリスタルに祈りを捧げていた。
闇の民というこの世界を狂わせた人物。残念な事に今もまだ何者なのかすら分からず、人々は怯えて暮らしていた。アルテマクリスタルこそ世界の礎、それが壊された今、何十年も耐えてはいるものの、破滅の足音が世界に忍び寄っているのを人々は感じていた。年々、気候のコントロールの間隔が短くなっていき、コントロールしても安定しない気候。フレビアも例外ではない。尋常ではない暑い日もあり、その暑さで命を落とす人々も年々増えていた。しかし、人々は巡礼するミナ達を見て、諦めず前を向いていた。いつかきっとアルテマへの祈りが届くと信じて。
「・・・巡礼の旅・・・か。」
ユッケは食事の後、テラスで一人フレビアの町を眺めていた。眺めているだけなら町は活気があり、この世界に破滅が近付いているなんて微塵も感じなかった。
「長旅、大変だったね。」
「?!」
テラスでクツロいでいるユッケにハディが優しい言葉をかけた。
ユッケを驚かせたことをハディは微笑みで謝罪して、ユッケにゆっくりと近づく。
「自分が何者なのか分からない・・・辛いだろう?」
ハディの至る所に慈悲が満ちている。
「・・・正直、辛いですよ。」
ハディの溢れる優しさに対して、礼儀を尽くすように素直に答えるユッケ。
ハディの優しい透き通った目に思わず、言葉が滑り出ていくユッケ。
「なんで自分がここにいるのか?どうして、こんな事に巻き込まれているのか?頭がモヤモヤでいっぱいになって壊れてしまいそうです。」
ハディの心遣いにユッケは正直に不安を漏らす。
ユッケの不安を全て包み込むようにハディはユッケを思い、言葉を選ぶ。
「・・・ミナ達に出会えたのは幸運だった。さっきも言ったように君のいた森は凶暴なモンスターが多く生息している場所だったから・・・。その命無駄にしてはいけないよ。」
どこまでも優しいハディ。レオンが教えてくれたが、ミナが兄のように慕っていると言っていた。ユッケ自身も今日会ったばかりだが、その理由が分からないでもなかった。
ハディへの甘えに溺れないようにユッケはハディから視線を外す。
「・・・この世界って、なんだか不思議ですよね。」
ユッケがテラスから町を眺めながら、そうつぶやく。
「・・・何か思い出せそうかい?」
ハディもユッケの見ている方向を見て尋ねる。
「・・・なんだか懐かしい感じもするんですよ。最初はミナ達を見てて、俺がこの世界の住人なのか疑問に思ってたんですが・・・。」
ユッケは自分の服を摘んでハディに見せた。
「・・・そうだね、変わった服を着ている。でも、世界も広い。ユッケ君が懐かしく感じるのなら、もしかしたらミッドガルドの知られていないどこかの民なのかもしれないね。」
ハディが微笑みながら調子を合わせてくれる。
「・・・ミナ達から巡礼の旅について来いって誘われました。」
ユッケは町に目を向けたままハディに昼間の出来事を話した。
「いいんじゃないかな?この町で落ち着くのもいいが、もしかしたら、手がかりが旅で見つかるかもしれないよ?」
ハディがニコニコしながら誘う。ティアがハディなら喜んで連れて行くという考えが正しかったのを身をもって感じたユッケ。
「ハハッ、それは頼もしいお誘いですね・・・。」
苦笑いで返すユッケ。
ミッドガルドの人々を支える『大切な巡礼』という重み、ユッケの答えは自ずと導かれていた。
ミッドガルドの世界にとっての巡礼の大切さを知るユッケ
そして、ついに巡礼の目的である
「火のクリスタルのコントロール」をするための儀式が始まる
目の前で起こる不思議な現象に驚くユッケ。
そんな中、この世界を包む闇が、ユッケ達の前に姿を現そうとしていた。
次回、「巫女の祈り」
青年は少女の祈りの力と闇の大きさを知る。(千葉繁さん風)