それを静かに見守るミューレだったが・・・。
「巫女様、ありがとうございました。」
ミューレが神殿の出入り口でミナへ向かって深々とお辞儀をした。
周りの神官数名もそれに合わせて深々と同じようにお辞儀をする。
「私達には確かに感じます。クリスタルの安定を・・・。」
ミューレがミナをジッと見詰めて言った。
「・・・よかったです。お役に立てて。」
この地に来て初めてミナは微笑んだ。
「・・・・・・。」
ミューレはミナの笑顔に見とれて言葉を失う。
「貴方はついて来ないの?」
ティアがミューレに尋ねる。
「私は前任者と同じようにこの地を離れません。」
きっぱりと答えるミューレ。
「そうですか・・・それでは仕方ありませんね。」
ニコニコとレオンが言う。
「・・・あの・・・。」
恐る恐る口を開くシヴァ。
「・・・シヴァ様はご自由になさって下さい。私は気に致しません。」
静かにシヴァを見据えてしっかりとした口調で答えるミューレ。
「・・・ありがとう・・・。」
ミューレから目線を外してシヴァがお礼を言った。
「・・・ミューレ・・・聞きにくいんだけど・・・。」
シヴァが続けて言葉を搾り出す。
「モウラは・・・モウラはどこかにいる?」
「っ?!」
シヴァの発した名に目を見開き今まで仏頂面だった表情が明らかに変わるミューレ。
「・・・・・・。」
黙って二人を見つめるユッケ。
「・・・お婆様・・・が、どうか・・・なされましたか?」
目が泳ぎ、明らかに動揺しだすミューレ。
「モッ、モウラに会えるなら・・・会って話がしたいと思って・・・。」
シヴァが目線をミューレに合わせ、言葉を紡ぐ。
その目はしっかりと訴えかけていた。
「・・・・・・。」
シヴァから目を離さないミューレだったが次の言葉が出てこない。
「もしかして、危ないの?」
ティアがミューレの動揺から推測した。
「・・・いっいえ・・・たぶん、元気にしているかと・・・。」
シヴァの方を見たまま答えるミューレ。
「シヴァ様もこう言っておられますし、教えていただけませんか?」
ティアに続けてレオンが続く。
「おいおい、ワシらはっ。」
「師匠、少しだから。」
ゴウが旅を急ぎたいと割って入ろうとしたのをユッケが押さえ込み耳元で囁く。
「・・・・・・チョコボの・・・。」
ミューレは言葉を搾り出す。
「チョコボ?」
ミナがミューレの言葉を繰り返す。
「・・・お婆様は人里から離れたチョコボの里におります。」
シヴァから目線を外し、俯いて答えるミューレ。
「人里・・・、どのくらいはなれとるんじゃ?!」
先を急ぎたいせっかちなゴウが距離を気にして、我慢できずに割って入る。
「師匠、良いじゃんちょっとぐらい!」
力を込めてゴウを押さえ込みにかかるユッケ。
「おっ、おい、お前らっ!」
ユッケでは足りずにレオンが加勢に入ってゴウを一団から引き離した。
「ここから船で1日ぐらいです。専用の船を雇わないといけません。」
俯いたまま答えるミューレ。
「ありがとうミューレ。」
優しい目でミューレを見て御礼を言うシヴァ。
「・・・いえ・・・でしたら、地図を描いて・・・お渡します・・・。」
俯いたままミューレが言う。そして、一行は水の神殿を後にした。
一向は神殿から船着場に移動して、チョコボの里に向かう船を雇い、出発しようとしていた。
「本当にありがとうミューレ。」
未だに俯いたままのミューレの手を握りお礼をいうシヴァ。
「・・・・・・。」
黙って答えないミューレ。
「・・・・・・。」
そんなミューレの一連の様子を見て何か胸騒ぎがするユッケ。
〔ボカッ。〕
「イテッ!?」
「何をしとんじゃっ。貴様のわがままじゃろうがっ、さっさと荷物を運び込めっ!」
ミューレをジッと見ていたユッケの後頭部を叩くゴウ。
「・・・分かったよ、師匠・・・。」
荷物をまとめて船に運ぶユッケだったが、ミューレからなぜか目が離せないでいた。
「何々、自分を嫌いな女の子が好みなの?」
ニヤケたティアがユッケに近付いてきて言った。
「・・・・・・。」
聞き耳を立てながら横目でユッケを静かににらみつけるミナ。
「えっ、ちっ違うよっ。」
何か痛い視線を感じながらティアの問いを必死に否定するユッケ。
そんな他愛無い人間のやり取りを他所に
「クエッ、クエッ、クエェ~~ッ。」
行き先が分かっているのか先に船に乗っていたチョコが何かウキウキしていた。
「ははっ、もしかしてお前の故郷なのか?」
ティアから逃げ出してきたユッケがウキウキしているチョコに近付き、首筋を撫でながら言う。
「クェッ。」
それに一鳴きして答えるチョコ。
そろそろ準備も終わり、いよいよ出航が近付いていた。
「それにしても、あんた達も物好きだね。」
船の船長が船の出航準備をしながらユッケ達に声をかけた。
「あんなとこに行ってもチョコボしかいないよ?」
ニコニコしながら船長が続ける。
「そうとは限りませんよ。」
ニコニコしながらレオンが答えた。
「そうなのかい?」
キョトンとした顔でレオンに尋ねる船長。
「・・・・・・。」
ニコニコしてレオンがサムズアップをした。
「ありがとうミューレッ!」
シヴァが大きく手を振って、船着場にいるミューレにお礼を言った。
船着場にはミューレと神官達がユッケ達の旅路の始まりを静かに佇んで見送っていた。
「はぁ~~~~っ・・・仲良くなりたかったな・・・。」
ポロリと本音が出たユッケ。
「ほらほらぁ~、やっぱり!」
「・・・・・・。」
「いや、そういう意味じゃないってっ!」
人生最大のニヤケ顔をしたティアが肘をユッケに当てながら迫った。
ユッケは痛い視線をどこかに感じながら慌てて否定した。
「ユッケはああいう子がタイプだったの?」
元気を少し取り戻したシヴァがユッケに尋ねる。
「ちっ、違うって・・・せっかくガードナーと会ったのに、俺だけなんか嫌われてるままだったから・・・それだけだって・・・。」
不貞腐れて俯きながら言葉を零すユッケ。
「しゅっぱあああーーーーーーーーつっ!」
そうこうしていると船長の大きな声が船上に響き渡った。ゆっくりとゆっくりと船着場から離れていく船。一同は船尾へと移動して、船着場のミューレ達に手を振って別れを告げた。
「・・・なんだか、不本意ながら慌しくさせてしまいましたね・・・あっ。」
一人の神官が思わず本音を漏らしてしまい、慌てて口を塞いだ。
「さぁ、ミューレ様帰りましょうか・・・っ?!」
もう一人の神官がミューレに帰りを促そうとした。が、
「んっ・・・ミューレ様?」
別の神官がいなくなったミューレを探して辺りを見渡した。
「ミューレ様?」
神官達は突然消えたミューレに困惑を隠せなかった。
戸惑うミューレから次の行き先を聞き出した一同
次の目的地、水のガードナーの前任者に会うべく
ユッケ達は船へと乗り込むのだった。
次回。「大魔道士ミューレ」
青年よ、少女の深き想いの丈を受け止めよ!(千葉繁さん風)
どっちが好み?あなたの選択でエンディングが変わります。
-
包容力があって、海のような心を持つ女性
-
等身大でお互いを認め合える女性