水のガードナーの前任者に会いに行く事になった一同
順調な航海に思えたのだが??
アクツィアの船着場から出て少し経った頃、
「はぁ~~~っ・・・良さそうな街だったのに全然楽しめなかったな・・・。」
大きなため息をついてユッケが座り込む。
「そうねぇ、アクツィアは魚料理とか有名だったんだけどね。」
ユッケに賛同して苦笑いでティアが言う。
「ものの数時間でしたからな。」
ニコニコしながらレオンが続く。
「・・・・・・。」
ゴウが黙って船の行き先を見ていた。
「どうかしましたか、師匠?」
ゴウのしかめっ面はいつもの事だが何か様子が変だと声を掛けるユッケ。
「・・・穏やか過ぎんか?」
ゴウが向きを変えずに言う。
「・・・確かに・・・。」
ニコニコしながらレオンが言葉を零す。
「たまにはいいんじゃない?」
ティアがのん気に軽くそう言う。
「・・・フォレストーラの猛攻の後じゃぞ?」
ティアの方を見てゴウが言う。
「・・・そんなこと言ったって・・・。」
口を尖らせてティアが答える。と、その時、
〔ザバーーーーーーンッ!〕
「?!」
驚く一同。
突然船の前方から大きな音を立てて何かが川の中から飛び出した。
「ガハハハハハッ、待って居ったぞ、この時をっ!」
聞き覚えのある声が頭上から降り注いだ。
「なっ?!」
ユッケはその方向に目をやって驚いた。
「ガハハハハハッ、見て驚けっ。これこそ、水中兵器ギルヴァイアサンじゃッ!」
ギルガメッシュはユッケ達を見下ろして、そう高々と名乗りを上げた。ギルガメッシュの言うギルヴァイアサンは大きな龍を模した鉄の兵器で水上の見えている部分だけでも4mはゆうに越えていた。
「アルテマクリスタルを私にお渡しください。」
「えっ?!」
どこかつい最近聞いた事のある少女の声が、次は船の後方から聞こえた。
聞こえるはずのないその少女の声。ユッケはそっちを見て唖然としてしまった。
「ミュッ・・・ミューレ・・・。」
シヴァはそこにあるミューレの姿を見て、絶望を叩きつけられたようだった。
「シヴァ様、安心して下さい。私が今、貴方も解放して差し上げます。」
ミューレは真っ直ぐにシヴァを見てそう言った。
「なっ、何を言っているのっ?!」
ティアが驚いて大声を張り上げる。
「私は知っています。ユッケという者がアルテマクリスタルを用いて、皆様を操っている事を。」
ミューレはまっすぐユッケを睨みつけて言う。
「っ・・・?!」
突然の名指しに言葉が出ないユッケ。
「さぁ、全て私に返しなさい!」
ユッケを睨みつけ怒号を浴びせる。
「ガハハハハッ、そうじゃそうじゃ、その娘の言うとおり返せッ!」
ギルがミューレに合わせて大声で言う。
「・・・どうする、水の上でどう戦う?」
ゴウが置かれた状況を垣間見て呟く。
「ティア殿、あの魔法は使えないのですか?」
レオンがミューレを指差してティアに尋ねる。
そう、ここは水上。ミューレは見事に空中に浮かんでいたのだ。
「あれはレビテト・・・あんな魔法使えるわけないでしょ!」
ティアが悔しそうにミューレを見て答えた。
「ティア、船は守れる?」
ミューレの方を見ながらユッケがティアに尋ねた。
「えっ・・・どういうこと?」
ユッケの突然の投げかけに戸惑い、思わず聞き返すティア。
「ミューレは魔法使いなんだよね。ギルはたぶん、いつもと同じ攻撃だと思う。」
視線を外さずユッケが言う。
「魔法は何とかなると思うけど・・・。」
ティアがユッケに素直に答える。
「・・・わかった・・・。シヴァッ!」
ユッケは状況を理解して、シヴァに声を掛けた。
「エッ!?」
突然声を掛けられて驚いてユッケの方を見るシヴァ。
「俺達ならやれるよ・・・いや、俺達にしか出来ない。」
ユッケはシヴァをしっかりと見てそう力強く言う。
「・・・わかったわ。」
シヴァがユッケを信じて頷いた。
〔フュージョン〕
ユッケはシヴァとフュージョンをして、アイスナイトへと姿を変えた。
「・・・見せ付けてくれるわね・・・。」
ミューレはその姿を見て、心の奥からあふれ出てくるモノを目に乗せてユッケにぶつけた。
「ほほぅ~~~っ、小僧はやる気かっ!」
ユッケの姿を見て、ギルが挑発する。
「行くよ、シヴァッ!」
自分の中のシヴァに声を大きく掛けて、船から水上へと飛び降りるユッケ。
「ユッケッ?!」
突然の行動に思わず叫ぶミナ。
「・・・なるほどの・・・。」
一つの行動で全てを理解したゴウ。その目線の先には飛ぶ事は出来なくとも、水上で沈むことなくそこに立っているユッケの姿があった。
「なっ、なんじゃとっ?!」
その光景に驚くギル。
「・・・・・・考えたわね。」
ユッケを睨みつけながらも感心するミューレ。
ユッケは地面を滑る要領で足元に冷気を放ち続け、足元の水を絶えず凍らせていた。その効果で足元にはユッケを支えるだけの氷が常に出来ており、ユッケは沈むことなくその場に立つ事が出来ていた。
「ふっふっふっふっ、私にとっては好都合よ。」
ミューレが不敵に笑う。
「・・・・・・。」
ユッケは黙ってミューレを見ながら滑るように水上を移動した。
「喰らいなさいッ!」
〔連続魔法ファイラ〕〔ゴゴゴゴォオォォォッ、ドドドドーーーーンッ〕
「?!」
ミューレの攻撃に驚くユッケ。ミューレの両手から大きな炎の槍が二つ、ユッケに目掛けて飛んできた。
「連続魔法ッ?!」
ティアはそのミューレの攻撃に驚愕する。
「魔法を連続で出せるのですか・・・。」
いつもどおりニコニコしていたが、レオンの頬には一筋の汗が流れた。
「とんでもない化けモンじゃなっ。」
ゴウが素直に褒める。
〔ドッドドーーンッ!〕
ユッケはその攻撃を滑るように避けたが、その大きな炎の槍は水上に着弾すると大きな音を立てて水しぶきを上げながら突き刺さった。
「こんなものじゃないわっ!」
ミューレは攻撃の手を休めない。
〔連続魔法サンダラ〕〔ドドドドドドーーーーーンッ!〕
「ウワッ?!」
ミューレの両手から放たれた二つの稲妻がものすごい速さでユッケを襲う。ユッケは思わず、空中に跳ねて避けた。
「逃がさないッ!」
〔連続魔法ファイラ〕〔ゴゴゴゴォオォォォッ、ドドドドーーーーンッ〕
大きな二つの炎の槍が空中のユッケを襲う。
〔ダイヤモンドダスト〕
シヴァがそう唱えるとユッケの全身から絶対零度の冷気が炎の槍に襲いかかる。槍はみるみる凍り、その勢いを失って、ユッケの目の前で止まった。
〔パキキーーーンッ〕
止まった槍は小さな氷の欠片となって砕け散る。
「ガハハハハッ、逃さんぞ小僧ッ!」
ミューレの攻撃にあわそうと構えるギル。
〔森の雷(フォレアラゥ)〕〔シュバアアアアアアーーーーーーンッ!〕
「おっとッ!」
ギルは突然のティアの攻撃だったがそのウネウネした構造を使い、かわして見せた。
「ガハハハハハッ、そう何度も同じ攻撃を食らうと思うなよッ!」
フォレストナイトとなったティアを見下ろして叫ぶギル。
「船を守って、ティアッ!」
ユッケがティアに叫ぶ。
「分かったわッ。カークン、行くよッ!」
(キュキューーンッ)
〔ルビーの光〕〔ピキィーーーーーーーーーーーーンッ〕
ティアが唱えると船の周りに透明なガラスが幾重にも隙間なく現れて、船を包み込んだ。
「これはサービスッ!」
〔シェル〕〔カシャカシャカシャカシャッ、カションッ〕
ティアが魔法を唱えると船を球体のガラスがさらに包み込んだ。
「これで多少の攻撃も耐えられるわッ!」
ティアがユッケに向かって叫ぶ。
「了解ッ!」
ユッケが大声でティアに答えると水上を滑り、ギルの方へと向かった。
「どこに行くッ!」
後方で叫ぶミューレの声。
「生意気なッ!」
向かってくるユッケに言葉をぶつけるギル。
〔ドドドドドドドドドドドッ!〕
ギルヴァイアサンに搭載された銃器からユッケに向かって弾が発射される。
「ハアァァァァァァァーーーーッ!」
攻撃をかわしたユッケはギルヴァイアサンに素早く近付いて、剣を構えた。
〔シュパパパパッ〕
「あぁ、悪い予感がするでやんす・・・。」
「魚料理たべたいでがす・・・。」
「・・・黙れエエエエエエエエエエエッ!」
〔ドガガガアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーンッ〕
ユッケのアイスソードで見事に切り刻まれ、ギルヴァイアサンは大爆発を起こし、藻屑へと変わり水の底へと沈んでいった。ギル達は爆発に巻き込まれて、いつものように遠く空の彼方へと飛んでいったのだった。
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
邪魔者を排除して、静かに相手を見据える二人。一人は心の底から睨みつけ、一人はただただ静かに見つめ返すだけだった。
待ち構えていたかのように
ユッケ達の前に立ちはだかったギルガメッシュとミューレ
水上の上で戦えるのはユッケだけだった。
次回、「少女ミューレ」
青年よ、己が想いを隠さずぶつけよ!(千葉繁さん風)
どっちが好み?あなたの選択でエンディングが変わります。
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