クリスタル復活に導かれるようにユッケ達の前に現れたパンデモニウム
不穏な空気が流れる中、ユッケ達は・・・。
ユッケ達がティア達に遅れて神殿から出てくると
「あらあら、いつもは逃げ隠れしている人が珍しいわね。」
ティアはジッと前方を睨み付けて誰かに向かって悪態をついていた。
ユッケの目に最初に飛び込んできたのは神殿の前に広がった広場と昔言われていた場所の上空に神官が教えてくれたとおり、パンデモニウムが浮かんでいる姿だった。そこから下の方に目線を下げて行くと
「・・・・・・。」
剣を抜き、ジッとティア達の方を見て、黙って立っている白銀の騎士もそこにはいた。
「へへへっ、大将。言われちゃったね。」
もちろん傍らにゼッドの姿もあった。
「ガハハハハッ、あんな雑魚には言わせて置けばいいのよッ!」
忘れてならないギルガメッシュも今度は4mはあろう巨大な人型のロボットに乗って、いつものように拡声器でティアを挑発していた。
「皆ッ!」
遅れて神殿から出てきたユッケがティア達に大きな声で呼びかけた。
「役者は揃ったな?」
ユッケの姿が見えたからなのか。闇の民がその重い口を開いた。
「なんだ、待っていてくれたのか?」
ゴウが負けじと口で応戦する。
「愚かな者達よ。わざわざ死地に出向くとは・・・。」
上空からパンデモニウムがユッケ達の姿を嘆く。
「あんた達、総出だけど大丈夫なの?いっつもバハムート様から逃げ回ってたくせにッ!」
ミナが虎の威を借って胸を張って威張ってみせた。
「そうです、そうです。貴方達は許せません!」
ミューレもミナに同調して、胸を張ってみせた。
「あらあら、ミューレちゃん。お兄さんは悲しいなぁ・・・そんな君を見たくなかったよ。」
闇の民の影からにゅるりとディアボロスが顔を出して、ミューレを嘲笑うように猫撫で声を出した。
「・・・バハムート様にはちゃんと歓迎するための準備はしてある。」
闇の民がそう言いながら空を指差した。
「ッ?」
ユッケ達はその方向を見るが特に何もなかった。が、
〔バリバリッ、バチバチバチッ!〕
何も無かったはずの空に稲妻が走り、何も無い空間が裂け始めた。
「次元の歪みっ?!」
シヴァはその光景を見て、言葉が口から飛び出した。
「・・・マジかよ・・・。」
その余りに驚くべき光景にユッケも言葉が漏れ出す。
〔バチバチッ、バリバリバリバリッ〕
次元の裂け目が大きくなり、稲妻も無数に走り出した。そして、
〔グワングワンッ、グワン・・・〕
〔ヒュンヒュンヒュンヒュンッ〕
大きな大きな次元の裂け目から何かが姿を現そうとしていた。
「ひっ、飛空挺ッ?!」
その姿を見て、その正体を言い当てたのは他でもないユッケだった。
飛空挺はミッドガルドでは存在しない空を飛ぶ船の技術。しかし、ユッケ(ノブヒデ)が住んでいたアースカンドでは当たり前のように空を飛び交っていた乗り物だった。
〔ブウゥゥゥゥーーーンッ〕
大きな飛空挺の周りを何かが飛んでいる。
その乗り物もアースカンドでは当たり前の乗り物であったプロペラ機だった。10機ぐらいのプロペラ機が飛空挺を守るようにその周りを飛んで警戒していた。
「なんじゃ、あれはっ?!」
始めてみるモノに驚きを隠せないゴウ。
「なんと、船が空を飛んでおりますなっ!」
レオンがニコニコしながら驚く。
「スゴオオオオオオオオオオイッ!」
場を弁えずに目をキラキラさせているティア。
〔ギャオオオオオオオオオオオオオオンッ〕
物凄い獣の鳴き声がウィンローラの空に木霊した。
「ウワッ?!」
ユッケは思わず耳を塞ぐ。
「フフフッ、お出ましだ。」
闇の民が兜の中で笑ってその獣を見る。
「どこまでもふざけおってッ!」
その声の主バハムートは異界の招かれざる客に怒りを隠しきれない様子だった。
ミッドガルドの空に現れたアースカンドの飛空挺とプロペラ機は自分達の相手を見定めて、バハムートへと襲い掛かろうとしていた。
「・・・あいつ達では時間をどれくらい稼げるか分からん。お前達も行って遊んで来い。バハムートを止めない事には何も始まらん。」
闇の民はそう命令しながら片手を振って合図した。
「りょうかぁ~~いっ。」
ニヤニヤとニヤケながらディアボロスがバハムートの方へと飛んで向かった。
「御意ッ。」
パンデモニウムも短く返事をして、ディアボロスについていく。
「舐められたものねっ。」
ティアが闇の民に悪態をつくが頬には冷や汗が一筋流れた。
「さぁ、どう編成する?」
両手を大きく広げて闇の民がユッケ達に問いかけた。
「ティア、レオン、おぬし達は各々頼むぞ。」
ゴウが闇の民を見ながら二人に指示を出す。
「ユッケ、ミナ、ミューレは打ち合わせしたとおり、ワシと一緒に奴を倒すぞ。」
ゴウは続けて、ユッケ達に指示を出し、剣を抜いた。
〔フュージョン〕
それを合図にユッケ達はフュージョンをし、臨戦態勢に入る。
ティアはギルガメッシュに向かって走り弓を構える。
レオンはもちろんゼッドに向かって突進していった。
〔レビテト〕〔ヒュワンッ〕
ミューレはレビテトを残ったメンバーに一斉にかけた。
「ほほぅ~・・・なかなか・・・。」
その一連の行動を見て、闇の民が褒める。
〔ヘイスト〕〔シュインッ〕
ミューレは続けて、全員にヘイストをかける。
〔ヘイスト〕〔シュインッ〕
闇の民もそれを見て、自分にヘイストをかけた。
〔シェル〕〔パキパキパキパキッ〕
ミナが続けてシェルをかける。
「シェッ・・・ッ?!」
闇の民が続こうとしたその瞬間だった。
〔ガキンッ〕
物凄い速さで滑って間合いを詰めたユッケが闇の民に一太刀を浴びせる。
闇の民はユッケの両手の一撃を片手で持っていた剣で軽々受け止めた。
〔ヒュバッ〕
〔ビュンッ〕
ユッケの一撃を受け止めて止まった所を狙い済ましてゴウの一太刀が闇の民に襲い掛かるが、闇の民はそれを寸でで避けるとその反動を利用してゴウに一太刀浴びせる。
ゴウはその一撃を余裕を持って交わし、3人は間合いを開けた。
「なかなかいいコンビネーションだ。」
余裕のある声で闇の民がそうユッケ達を褒める。
〔シュバッ、ガキンッ、ヒュンッ、キンッ、バキンッ、ヒュバッ〕
間髪入れずにユッケとゴウは闇の民に斬りかかる。闇の民は巧みに剣を使い二人を往なしていく。
「・・・すごい・・・。」
初めて闇の民を見るミューレがその強さに驚愕する。
「・・・本当に化け物ね・・・。」
ミナが闇の民を睨みながら正直に言う。
〔シュババッ、キンッ、ヒュヒュンッ、チュインッ〕
何太刀か入れた時だった。ゴウの一太刀が闇の民の右肩のパッドに当たり切り裂いた。
〔ギャキンッ、ビュバッ、チュインッ〕
一太刀入ったことに臆することなく、闇の民は間髪入れずにゴウに剣を振るうが、ユッケがそれを受け止める。その脇からゴウが潜り込み、今度は闇の民のわき腹のメイルを切り裂く。
「フフフフッ」
攻撃を受けているのに闇の民は笑っていた。
「コイツッ。」
笑う闇の民に苛立ちを隠せないユッケ。
「乗せられるなっ!」
苛立つユッケをイサめるゴウ。
「いい師弟関係だ。」
闇の民が呟く。
「ゆくぞっ。」
闇の民の言葉に惑わされまいとゴウは無視して、ユッケに合図を送る。
「ハアアアアアアッ!」
ゴウの合図に分かったとばかりに気合を入れなおして闇の民に襲い掛かるユッケ。
〔キンッ、ヒュンッ、ヒュヒュンッ、チュインッ、ヒュバッ、ギャインッ、チュンッ〕
2対1だが、あの化け物だった闇の民をユッケとゴウは確実に圧していた。
「フフフフフッ」
追い詰められているはずなのに不敵に笑う闇の民。
(なんなんだ、こいつは?・・・でも、なぜなんだ・・・この嫌な予感は。)
押せ押せムードのはずなのにユッケの胸には不安が渦巻いていた。
「・・・そろそろかな?」
その時だった。闇の民がふと呟く。
「ッ?!」
ゴウはその言葉の意味をいち早く理解した。これはゴウがいくつもの死線を潜り抜けていたから感じられた感覚だった。
「ミューレッ、レビテトを掛け直せッ!」
闇の民への攻撃をやめて、ゴウがミューレに慌てて大声で指示を出した。
「えっ?!」
突然のゴウの声に一瞬驚いてしまうミューレ。
「俺の切り札にレビテトだったのだろうが・・・残念だ。俺の前で掛けた事。掛け直しを準備していなかった事。おしかった。実におしい・・・。」
「ぬおおおおおおおっ!」
ゴウが急いでミューレの元へと駆け出した。
「ウオオオオオオオオッ、させるかっ!」
ユッケはゴウの反応を見て、慌てて闇の民に斬りかかる。
「・・・遅いな。」
〔ガキンッ、ヒュンッ〕
闇の民はユッケの一撃を剣で受け止めて、懐からナイフを素早く取り出して、ミューレに向けて投げた。
〔グサッ〕
「ぬんッ!」
身を挺してゴウがナイフからミューレを守る。
〔ディメンション〕〔ブウウウウウウウーーン〕
流れるように闇の民は恐怖の連続攻撃をしかける。
「うわああああああああああああああっ!」
ユッケは闇の民に剣を受けられると即座にキビスを返して、一心不乱にミナの元へと向かっていた。そう、ディメンションが放たれたのはミナだった。ユッケはなぜ、それを分かったのかは分からなかった。ただ、無我夢中だった。
(絶対に守るッ!)
ユッケは叫びながら心の中でも叫んで走った。レビテトが切れて、地面に口を開こうとしていた暗いくらい次元の沼に落ちようとしていたミナを助けようと。
「・・・・・・。」
ミナはユッケの姿を切なそうに見る。
「来ちゃ駄目ッ!」
そして、大きな声でユッケに向かってミナは叫んだ。
「ウワアアアアアアアアアアッ!」
自分がこの後、どうなるのかさえ考えずにユッケは駆け抜けた。
ゴウとのコンビネーションで闇の民を追い詰めるユッケ
しかし、それを嘲笑うかのように闇の民の魔の手が・・・。
次回、「ゴウという男」
青年よ、師の勇姿を目に焼き付けろ!(千葉繁さん風)
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