ゴウとのコンビネーションで闇の民を追い詰めたかに見えたが
闇の民の攻撃に翻弄されるユッケ達・・・。
「うわああああああああああっ!」
ユッケはなりふり構わず走る。
(約束したんだ!守るって約束した!)
ユッケはミナとの口約束を思い出す。
(絶対に守るって、約束した!)
アルテマクリスタルの帰還により、囮として扱われていた少女。
(絶対に失いたくない!絶対に!)
それでも健気に自分に与えられた使命にひた向きだった少女。
「絶対に守るッ!」
ユッケは次元の沼が広がる上を飛び、ミナへと両手を広げて、身を投げ出した。
「ッ?!」
ミナは決死のユッケの飛びつきに手を広げて向かい入れる。
〔ガシッ、ズザザザザザザアアアアアーーッ〕
本当に間一髪だった。次元の歪みに飲み込まれる寸前のミナに抱きつき、その外へと二人は逃げオオせた。しかし、
「おめでとう。」
闇の民の声が二人の傍で聞こえた。声のする方を見たユッケ。そこには剣を振りかぶって、今にも斬りかかろうとしていた闇の民がいた。
〔ザシュッ〕
「ッ?!」
ユッケは斬られるのを覚悟した。だが、自分の身体を見回してもどこにも斬られた形跡はなかった。
「ゴハッ。」
誰かの声と共に自分の身体に血が飛んできた。恐る恐る声の方向へ目を上げると、
「しっ、師匠ッ?!」
そこにいたのは大の字でユッケ達と闇の民の間に割って入って、闇の民の斬撃をその身で止めたゴウの姿だった。
「ゴウッ?!」
悲痛な表情でゴウの名前を呼ぶミナ。
「ゴウ、お前は間違いを犯した・・・仲間を信じ切れなかったことだ。お前があんなに大きな声を掛けなければミューレは言われるまでも無く、レビテトをかけ直したかもしれないのに。」
闇の民はゆっくりとゴウの身体にめり込んだ剣に力を入れながら話していく。
「お前はどこかで急いでしまったんじゃないのか?俺を追い詰めて、倒せるんじゃないかと。」
「グオォォッ。」
どんどんゴウの身体に闇の民の剣がめり込んでいく。
「・・・なかなかおしかった。実にいい攻めだったよ。」
「お前エエエエエエエッ!」
堪らずユッケは闇の民にタックルしようと襲い掛かる。
〔ザシュッ、ズザザザッ〕
闇の民はユッケの動きを見て、ゴウを斬って捨てて、ユッケを避けて距離を取った。
ユッケは闇の民に交わされて勢い良く地面を滑る。
〔ドゴオオオオオオオオンッ、バンッ、ボボンッ!〕
その時だった。遠くの空の上で大きな爆裂音が鳴り響いた。
闇の民がその音のする方向へ目を向けると、そこには火に包まれて、爆発し続ける飛空挺の姿があった。
「・・・あんなものか。役立たずのゴミめ。」
ボソリと呟く闇の民。飛空挺は制御を失い、地面へと降下していっていた。
〔ゴバアアアアアアアンッ、ドドドオオオオンッ!〕
煙を上げて、爆発音を立てながら飛空挺が地平線に姿を消していく。バハムートは雄大に空に浮かび飛空挺の最後を眺めていた。
「ユッケくん。いい師を持ったな。君の成長が楽しみだ・・・あぁ、もう師はいなかったか。ハッハッハッハッハッ!」
闇の民は高笑いしてユッケ達に背を向けて歩き出す。
「アルテマクリスタルはまだ君に預けておくよ。次に会う時のお楽しみだ。」
そう言って、そのまま歩いていく闇の民。ディメンションを使ってすぐだったのか、いつもの様に闇に紛れて消えようとはしなかった。が、それをユッケ達は見送るしかなかった。ゴウを失った今、ユッケ達では勝てない。闇の民もユッケ達を見逃した。すぐにでもバハムートに来られたら厄介なのは分かっていたからだった。
「ゴウサーーーンッ!」
ミューレが涙を流しながらゴウの元へと走ってくる。
〔ケアルラ、ケアルラ、ケアルラ〕
ミナが必死に何度も回復魔法をかけている。
「なんで・・なんで直らないのっ!」
ミナも涙を流しながら叫ぶ。
〔ケアルガ、ケアルガ、レイズ〕
ゴウの元に来たミューレも回復魔法をかけ始める。
「だめです・・・全然効果が・・・。」
ミューレは魔法の効き目が無い事にうな垂れる。
「・・・もういい、お前達・・・。」
二人の姿を見て、ゴウが弱弱しく声を絞り出す。
「ゴウッ!」
「ゴウさんッ!」
二人はゴウの名前を必死に呼ぶ。
「・・・ユッ、ユッケは・・・・。」
「師匠ッ!」
ゴウに名前を呼ばれて飛んで来て返事をするユッケ。
「・・・すっ、すまない・・・お前をもう守ってやれない・・・。」
ユッケの方に必死に手を伸ばすゴウ。
「師匠ッ!しっかりしてくれよ!」
ゴウの手を掴んで元気付けようとするユッケ。
「・・・お前なら、きっと・・・いい剣士になれる・・・。」
必死に最後の力を振り絞って笑顔を作ろうとするゴウ。
「うん、絶対なるよ!なって、絶対あいつを殺してやる!」
闇の民への怒りを込めてゴウに答えるユッケ。涙が滝のように溢れていた。
「・・・ゴウッ。」
シヴァがゴウに声をかける。
「・・・シヴァよ・・・このバカ弟子をたのむ・・・。」
シヴァにゴウが最後の頼みを言う。
「・・・わっ・・・わかったわ・・・。」
涙を流しながら必死に言葉を発するシヴァ。
「ミナ・・・お前は立派な巫女だ・・・この世界を頼む・・・。」
もう消え入りそうな声でミナを励ますゴウ。
「・・・えぇっ、任せなさいっ。」
涙を流しながら精一杯の作り笑いでゴウに答えるミナ。
「・・・ミューレ・・・すまなかった・・・。」
ゴウがミューレに謝る。
「そんなっ・・・私のほうこそ・・・本当に・・・ごめんなさい・・・。」
謝るゴウに涙を流しながら顔を埋めるミューレ。
「・・・モーラに・・・すまないと・・・伝えてくれ・・・。」
ミューレの頭を撫でながらゴウが言葉を搾り出す。
「・・・もう一度・・・のみたかっ・・・・・・・。」
ゴウはそういうと糸が切れた人形のように全身の力が抜けてしまった。
最後にゴウの目から涙が一筋流れ落ちた。
「シショオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」
ユッケが空に向かって大きな声でゴウに声を届けようとする。
「・・・ゴウ・・・殿。」
神殿の中から戦いの様子を見ていたソトフがフラフラと歩きながら近付き、途中で力が抜けたのか膝から崩れ落ち、地面にウズクマった。
闇の民が姿を消してから、それぞれの戦いを終えたモノ達がゴウを囲むように集まった。
「・・・ゴウがやられてしまうとは・・・。」
ゴウの遺体を見て、バハムートが呟く。
「・・・ゴウ殿。」
「ゴウ。」
レオンもティアも戦いを終えて戻ってきていた。
異世界からの脅威を退け、アルテマクリスタルを守りきったが、その代償は余りにも大きいものとなってしまった。ユッケと二人掛かりとは言え、闇の民を追い詰めていたゴウの存在はこれからの戦いにも欠かせないものだった。
「風のクリスタルが蘇ったのは喜ばしいが、光のクリスタルの次は、闇のクリスタル。奴らの本領となる場所に行かねばならん。ゴウを失ったのは痛いな。」
相変わらず淡々としゃべるバハムート。
「・・・魔法。」
ユッケがボソリと言葉を零す。
「魔法の力で生き返らせるとか出来ないの?」
周りの皆の顔を見ながらユッケが尋ねる。
「・・・・・・試しました。」
俯きながらミューレが静かに答えた。
「・・・レイズって言う魔法。もう試したのよ。」
涙を流しながらミナが続く。
「レイズが効かない以上、どうしようもないわ。」
悲しい目でユッケを見て、優しくユッケの肩に触れるシヴァ。
「くぅっ・・・。」
地面に座り込み、土を力一杯握りこむユッケ。
「ここで嘆いていてもゴウは返ってこない。早急に光のクリスタルを活性化させ、次の手を考えねば。」
バハムートが冷徹にユッケ達を促す。
「悲しむ時間も無いって言うのかよ。」
ゴウの死をちっとも気にしないようなバハムートに怒りが頂点に達しようとしていたユッケ。
「・・・アルテマの子よ。闇の民の行いを見たであろう。奴は最早なりふり構わない。今度はどんな手でお前達の前に現れるか分からないのだぞ。」
いつも通り、もっともな事で攻め立ててくるバハムート。
「ユッケ殿の気持ちも十二分に分かりますが、ここはバハムート様が正しいと思われます。」
レオンがユッケと目線を合わせる様に座り込み。ユッケの肩に片手を乗せて悲しい笑顔でユッケに話す。
「・・・そうね。ゴウがいなくなって悲しいけど、落ち込んで入られない。」
「・・・皆、大人だな。」
ティアがレオンに賛同した時、ユッケはフラフラと立ち上がりながら神殿へと歩き出した。
「皆、悲しいのよ!あんただけじゃないわ!」
ユッケの態度にミナが激怒する。
「・・・わかってるよ。荷物の整理に行くだけだ・・・整理しながら気持ちも整理したいんだ。」
背中を向けたまま答えるユッケ。
「ユッケ、私も。」
「一人にしてくれ、シヴァ。」
いつものように付き添おうとしたシヴァをユッケは遠ざけた。
「バハムート・・・師匠のお墓作ってからでもいいかな?」
背中を向けながらバハムートに尋ねるユッケ。
「・・・好きにするがいい。」
バハムートは静かにそう答えた。
「私は次の準備をしなければならん。シャイナールで会おう。」
そう言いながらバハムートは飛び立っていった。
風のクリスタル復活に伴い、変わった事といえば、バハムートの羽ばたきに驚いて、鳥達が一斉に飛び立った事だろうか。そんな風景にも興味を惹かれず、ユッケは一人神殿へと入っていった。残された一同はそんなユッケを見送るしかなかった。
〔ヒュ~~~~~ッ〕
「あらあら・・・。」
いつものように畑仕事をしていたモーラの麦藁帽子が風に飛ばされた。今までの世界では風で飛ばされると言う事がなかった。しかし、この世界に風が戻ってきた事を不運にも感じさせられる出来事だった。
「クェッ、クエエッ!」
モーラの手伝い?をしていたチョコボが帽子を慌てて追いかけていった。
「・・・あらあら・・・ゴウ達、成功したのね。」
空を見上げるモーラ。風が戻り、空に鳥達の姿が飛び交っていた。そんな景色を見ながら微笑むモーラはゴウ達が偉業を成し遂げた事を理解した。
「クェーーーーッ、クエクエッ!」
帽子を取りに行ったチョコボが帽子を取って戻ってきた。
「あらあら、ありがとう。」
帽子を受け取って被りなおすモーラ。今度は飛ばされないように紐をしっかり結ぶ。
「それじゃぁ、巡礼を終えて、また皆が来るときのためにも一生懸命作らないとね。」
「クエッ!」
モーラはチョコボと一緒にいつものように。いや、いつも以上に畑仕事に精を出した。
ユッケ達がまた、笑顔でここを訪れたときのために・・・。
闇の民との激闘の後、
ユッケは大事な師ゴウを失うことに。
素っ気無いバハムートの対応に
ユッケは一人反発する
次回、「ユッケとミナ」
青年は死と向き合うことで何を見い出すのか?(千葉繁さん風)
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