FF アルテマクリスタル   作:葛屋伍美

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闇の民ハディが暗躍する中、
ユッケ達はミッドガルドに帰ろうと
想いを胸にクリスタルの元へと向かう。



帰還

「どうかしましたか、ハモウ様。」

ユッケはクリスタルの元へ向かうとクリスタルを見ながらハモウがジッとしているので尋ねた。

 

「・・・うむ、ミッドガルドの様子を見ておった。」

「ッ?!」

ハモウの言葉でユッケの足が速くなる。急いで、ハモウの傍まで近付いたユッケはハモウが見ているクリスタルを見た。

 

「シヴァッ!?」

ユッケはクリスタルを見て驚く。そこにはモニターに映し出されたかのような映像がクリスタルに浮かび上がっており、そこに傷付いたシヴァの姿があった。

 

「・・・どうやら、皆は今も戦っているようじゃな。」

ハモウも同じ映像を見ながら呟く。

クリスタルに映し出された映像にはシヴァやティア、レオンにミューレ。そして、セレスの戦う姿が映し出されていた。皆必死にアースカンドの軍隊と戦っていた。しかし、その中にミナの姿がない事にユッケは気付いてしまう。

 

「・・・ミナは?」

ミナを案じるユッケ。

 

「・・・・・・どうやら、皆とは一緒には居らんようじゃな・・・。最悪、闇の民と一緒か・・・。」

ハモウは淡々と話す。

 

「・・・クソッ。」

ユッケは自分の不甲斐無さに悔しさをぶつけた。どこで後悔するのか。

 

タイミング良く現れた時点でハディを疑うべきだったのか?

ミナの異変を察知して、二人だけで祭りから離れるべきじゃなかったのか?

そもそも二人だけで祭りに繰り出したのが間違いだったのか?

 

 

IFを考えれば考えるほど、ユッケは自分を責めずには居られなかった。

 

 

「・・・ユッケよ、落ち着け。帰る為には平常心じゃ。」

ユッケの苛立ちに気付いてハモウが言葉をかける。

 

「・・・すいません。」

ハモウの言葉でハッと自分を取り戻して謝るユッケ。

 

「はぁ~~っ、しっかりするクポッ。消滅だけは勘弁クポッ!」

やれやれと言った表情でユッケを見るモグッチ。

 

「ミッドガルドの現状を見て、目的を強く思うようにしようとしたが、逆効果だったようじゃな・・・。」

ハモウは計算違いを素直に認めた。

 

 

〔パンッ!〕

 

 

「・・・いえ、俺がだらしなかったからです。もう大丈夫です。」

ユッケは両手で自分の顔を叩いて、ハモウに覚悟を示した。

 

「・・・わかった。」

その覚悟を見て、ハモウも覚悟を決める。

 

「やるクポッ。やってやるクポッ!」

モグッチはガッツポーズを作って両拳に力を込める。

 

「さて、各々深呼吸をして、気持ちを再度落ち着かせるぞ。」

ハモウの合図で3人は深呼吸をする。

 

「気持ちを平常に保てたら、手でクリスタルに触るのじゃ。」

3人はゆっくりと手をクリスタルの方に持っていき、触る。

 

「・・・目をツブって、ミッドガルドの光の塔を頭にイメージするぞ。」

ハモウの導きに従い、ユッケとモグッチは目を閉じて、頭の中で必死にミッドガルドの光の塔を思い浮かべる。

 

「ッ?!」

そうすると、ユッケはクリスタルに触れている手の表面が段々と暖かくなるのを感じた。ツブっている目にも分かるようにクリスタルの輝きが強くなるのも感じる。

 

「・・・さぁ、祈ろうぞ。ミッドガルドに導いてくれ、アルテマクリスタルよっ。」

ハモウがそう祈る。

 

(アルテマクリスタル、頼むッ。)

ユッケは心の中で強く念じた。

 

「クポポポポポポッ!」

モグッチも強く念じているようだった。

 

「ッ?!」

その時だった。目を閉じていても感じるクリスタルの輝きと、手の温もりが強くなったと思った次の瞬間、身体が宙に浮いたのを感じた。それと同時に意識が光に吸い込まれ、意識が遠のいていくのを最後に、ユッケは意識がなくしてしまった。

 

 

 

〔ピチャンッ〕

 

 

 

「冷てッ?!」

ユッケは頬に冷たい水が当たるのを感じて声を出した。

ユッケはゆっくりと目を開けて、自分の居場所を探る。

そこはどこかの洞窟の中だった。少し離れた所で、洞窟の出入り口から光が差し込んでいるのが見えた。辺りを見回すと、ハモウとモグッチが気を失って倒れていた。どうやら、次元の狭間ではないらしい。

 

「ハモウ様、ハモウ様。」

ユッケはハモウに近付き、ハモウの身体に手を当てて、優しく身体を揺さぶる。

 

「・・・うぅっ、う~~ん。」

ハモウは意識を取り戻しそうだった。

 

「モグッチ、しっかりしろ。」

今度はモグッチの方に近付いて、身体を同じように揺さぶった。予想通り、フワフワした体は柔らかかった。

 

「クポ~~~~ッ。」

モグッチも意識を取り戻しそうだ。

 

「うぅむっ、どうやら次元の狭間でも消滅した感じでもなさそうじゃな。」

ハモウが起き上がり、辺りを見回しながら言う。

 

「・・・でも、光の塔じゃないです。」

ユッケが不安な気持ちで呟く。

 

「・・・洞窟の中か・・・外に出てみん事には分からんな。」

ハモウが重い腰を上げながら出入り口の光の方を見た。

 

「俺、確認してきますッ!」

居ても立っても居られないユッケがそう返事して駆け出す。

 

「おい、ユッケッ。慌ててはならんぞッ!」

止めるハモウの言葉も無視して、ユッケは走り出す。そして、

 

「・・・ッ?!」

ユッケは洞窟を抜け出して、外の様子を見た。ユッケの目に飛び込んできた風景は光の塔の周りで見た草原ではなく、何処か別の場所の森の中だった。ユッケの胸にざわついたものが膨れ上がる。

 

(いや、もしかしたら、アクツィアのどこかかも・・・モーラさんの家の近くか?)

何か焦りを感じるユッケはハモウ達のことも忘れて、森へと駆け出した。

 

「おい、待たんか、ユッケッ!」

洞窟の方からハモウの叫び声が聞こえるが、ユッケを止めるには至らなかった。

 

「ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ。」

全速力で森を走るユッケ。

自分がミッドガルドに帰ってきていると願うユッケ。

 

しかし、

 

「・・・・・・。」

 

現実は甘くはなかった。

 

「クポッ!いきなり走り出して危ないクポポッ!」

モグッチがすぐ傍まで飛んで来ており、立ち止まったユッケを怒鳴りつけた。

 

「・・・・・・。」

モグッチの言葉が届いているのかいないのか、ユッケは黙って立っていた。

 

「・・・どうしたんだクポッ。どこか分かったのかクポッ。」

 

 

〔バシャッ〕

 

 

「クポポッ?!」

モグッチが呆然としているユッケに触ると、その瞬間にユッケが糸が切れた人形のように膝から崩れ落ち、足元に流れていた川に膝をついた。

 

「なっ、ナッ、何してるクポポッ!?」

水に濡れても呆然としてるユッケを見て、モグッチが慌てふためく。

 

「・・・アースカンドじゃったんじゃな・・・。」

追いかけてきていたハモウが呟いた。

 

「・・・・・・。」

ハモウの言葉にユッケが涙を一筋流して反応した。

その場所をユッケは忘れるはずもなかった。一目見れば分かった。洞窟を出て、飛び込んできた風景を見て、薄々感じてもいた。幼い頃、母と一緒に良く来ていた小川。母が居なくなってからは一人で物思いにふける時に来ていた小川だった。今思えば、夏の暑い日にここに来た時、異様に涼しかったのはシヴァのおかげだったのかもしれない。そんな他愛もない思い出がユッケの脳裏になぜか過ぎった。

 

「・・・あぁ・・・あぁ・・・。」

シヴァの事が脳裏を過ぎると涙を止める術がなくなり、止め処なく涙が溢れてきたユッケ。

 

「・・・・・・ああああっ。」

本当ならば、自分の元いた世界なのだから帰って来れた事は喜ばしいことだったはずだが、今では絶望の淵に落とされる事になるとは夢にも思わなかったユッケ。そして、

 

 

「アアアアアアアアアアアアアアアアッ!」

 

 

〔バシャッ、バシャッ、バシャッ!〕

 

「アアアアアアアアアアアアアアアアッ!」

ユッケは力の限り叫び、怒りを、悔しさを、不甲斐無さを。

母との思い出の小川にぶつけるしかなかった。

 

神はどうして、助けてくれないのか?

 

どうして、願いを叶えてくれないのか?

 

どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして・・・・・・。

 

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」

「・・・・・・。」

「・・・・・・。」

力の限り、体力が続く限り、叫び続けるユッケをハモウもモグッチもその時ばかりは、ただ見ているしかなかった。一人の青年の絶望の叫びがその場の世界を支配した。

 

 

 

 

 

 




元いた世界に帰還したユッケだったが
望まぬ状況に絶望の雄たけびを上げるしかなかった。
ユッケはミッドガルドに戻る事が出来るのか?

次回、「導き」
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