FF アルテマクリスタル   作:葛屋伍美

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絶望のフチにあったユッケに
シドの過激なカツがユッケを呼び覚ます
イチルの光が差し込む中、ユッケは?


科学者?シド

父と知り合いだと名乗る男シド。

今はワラにもスガる思いのユッケはそのシドに希望の光が見えたようだった。

そんなシドがユッケに父との関係を説明しようと話し始める。

 

「オウッ、俺とヒロヨシは同じ研究所でマテリアルの利用方法について研究してたんだっ。」

シドがニヤリとした表情でユッケに話す。

 

「・・・マテリアル?」

ユッケは疑問に思った言葉を復唱する。

 

「・・・なんだ、お前ヒロヨシの子供くせにそんな事も知らないのかよ・・・。」

なにやら呆れた様子のシド。

 

「フォッフォッフォッフォッ、親が知ってるからと言って子が知ってるかは別じゃろ。」

笑いながらそうシドに言うラムウ。

 

「・・・チッ。どっから話せばいいか・・・めんどくせぇんだよ。」

舌打ちして腕組みをするシド。

 

「時間は重要じゃが、説明せねば、ちゃんと行動は出来ん。ここは時間を掛けてでもしっかり話さねばならんな。」

自慢の髭を触りながらラムウが言う。

 

「・・・マテリアルって言うのは、ミッドガルドにある鉱物のことで、お前の父ちゃんが発見したもんだ。」

ラムウに言われて渋々説明しだすシド。

 

「・・・たしか、母さんと一緒に偶然こっちの世界に持ってきてたって聞きました。」

前にシヴァが話してくれた母と父の話に出てきた事を思い出すユッケ。

 

「それはしらねぇが、ヒロヨシがマテリアルを発見した事で、この世界は飛躍的にエネルギー問題を解決できたんだぜッ。」

またまたニヤリとした表情でシドが笑う。

 

「ヒロヨシがマテリアルを発見し、その活用方法を世界に広めた事で、国を上げて研究する事になったのじゃよ。その過程でおぬしの父はワシとシドに会ったのじゃ。」

優しい眼差しで優しく教えてくれるラムウ。

 

「俺は元々、飛空挺のエネルギー活用にマテリアルを使えるか研究してたんだけどよ。ヒロヨシって元々、地質学者だろ?俺はそれに驚いちまって、畑違いも良い所なのによ・・・。」

昔を思い出してシドがしかめっ面をする。

 

「お主も研究して居ったのか?」

ハモウがラムウに問う。

 

「フォッフォッフォッフォッ、ワシはシドの付き添いみたいなもんじゃ。」

ラムウが髭を触りながら笑う。

 

「・・・このじじいは俺の前に突然現れて、俺の機械弄りに興味もったいみたいでよ。そっからずっと俺の傍から離れねぇんだよ。」

呆れた表情でラムウについて話すシド。

 

「フォッフォッフォッフォッ、ワシは次元の歪みに落ちてしまっての。その時にアースカンドに飛ばされ、たまたまシドに会って、シドの話と機械と言うモノがおもしろうて、おもしろうて、すっかりミッドガルドに帰ることも忘れてしもうたんじゃよ。」

笑いながら出会いを話すラムウ。

 

「まったく、お主も守護獣でありながらのん気なもんじゃなっ。」

やれやれといった表情でラムウを見るハモウ。

 

「いやいや、お主も科学と言うものを知れば、この世界を気に入るぞい。」

髭をいじりながらハモウに顔を近づけるラムウ。

 

「シッ、シドさん・・・それでなぜ父は俺の事をっ。」

話が逸れた事をユッケが焦って戻そうとする。

 

「おっおう。まぁ、一緒に研究してたよしみでよ。アルテマクリスタルをいつも持ってた一人息子の反応が消えたってひどく落ち込んでてよ。目処があるなら俺が手伝ってやろうか?って話したわけよ。そしたら、ヒロヨシが身の上話を全部話してくれてよ。それを聞いちゃぁ、漢のシド様も放ってはおけねぇからよ。こうやって、ヒロヨシと一緒に作った次元の歪みを探知する装置を使って探し回ってたわけよ。」

ラムウから機械を取り上げて自慢げに見せながらシドが話した。

 

「まぁ、今まで散々探したんじゃが、殆どはミッドガルドのモンスターばかりでのっ。」

苦笑いでラムウが話す。

 

「研究所を抜け出した事もあって、軍にも追われる事になっちまって、とんだ貧乏くじだぜっ。」

そう話しながら塞ぎ込むシド。

 

「・・・そうだったんですか・・・すいませんでした。」

ユッケは立ち上がって、シドとラムウに頭を深々と下げた。

 

「フォッフォッフォッフォッ、なかなか楽しい旅じゃったよっ。」

微笑んでラムウが答えてくれた。

 

「・・・まぁ、俺の研究は終わってたからよかったし、何より俺の愛機の試運転でもあったしなっ。」

ニコニコしながらシドが言う。

 

「・・・父さんはまだ研究所に?」

ユッケはシドに申し訳なさそうに尋ねる。

 

「いや、どうやらヒロヨシも研究所を抜け出してお前を探してるらしい。定期的に連絡は取ってたんだが、最近取れねぇ所を見ると。もしかしたら、軍に連れ戻されたかもしれないな。」

シドがしかめっ面で手で顎を触りながら話す。

 

「ヒロヨシはマテリアル研究の第一人者じゃ、軍もそうそう失うわけにはいかん人材だしの。」

髭を触りながら厳しい表情でラムウが続く。

 

「・・・父さん・・・。」

話を聞いて塞ぎ込むユッケ。

 

「研究以外でヒロヨシはいっつもお前と嫁さんのことばっかりニコニコしながら話してたんだぜ?あんまり嬉しそうに話すから俺も聞かないわけにはいかないしよ。よっぽど愛されてたんだな。」

ニコニコしながらユッケの知らない父の一面を話してくれるシド。

 

(俺に笑顔を向けたことなんて今まで殆どなかったのに・・・。)

ユッケの前では研究に没頭する姿しか見せなかった父の後姿を思い出すユッケ。

 

「いやはや、しかし、ヒロヨシもすげぇ漢だぜ?地質学者がマテリアルを使って、次元を越えようってんだからっ。」

 

「ッ?!」

ニヤリと笑いながらそう話すシド。そのシドの話した言葉にユッケの全思考が集まった。

 

「シドさんっ!父は、父の研究は成功したんですか?!」

ユッケは父親が何の為に研究をしていたか思い出す。思い出して、今まで絶望の闇に囚われていた心にまどろんだ光が差していたが、それが確かな光明に変わるのを感じ、その感情に突き動かされるようにシドに飛びついた。

 

「おっ、おいおい。どっ、どうした?!」

突然、ユッケの両手で両腕を掴まれて驚くシド。

 

「大事な事なんですっ!教えてくださいっ!!」

必死の形相でシドに迫るユッケ。

 

「おっ、おぅ・・・成功も成功。ゲート装置を完成させて、軍も大喜びだぜっ。」

 

「っ?!」

シドが慌てながらも応えた。その内容にユッケとハモウは目を輝かせる。

 

「なんじゃ、ハモウはともかくお主もミッドガルドに行きたいのか?」

ユッケの様子を察してラムウが尋ねる。

 

「ラムウ、今ミッドガルドは大変なんじゃ。闇の民とアースカンドの軍が押し寄せて、皆戦っておるんじゃっ!」

両手を盛大に広げて事態の大きさを表すハモウ。

 

「・・・なるほどのぅ。確かに軍は穏健派が粛清されて、強硬派が体制を占めておるからのぅ。」

ラムウが髭を触りながら真剣な顔で話す。

 

「・・・穏健派?」

ラムウの言葉を繰り返すユッケ。 

 

「マテリアルはミッドガルドにしかない。ということは、ミッドガルドに取りに行かないとアースカンドではそうそう手にはいらねぇんだよ・・・。次元の歪みが発生した場所にたまに落ちてるが、それだけじゃ、研究にしか使えねぇんだわ。それに、次元の歪みがミッドガルドに繋がってるとはかぎらねぇ・・・軍も何度か試したみたいだが、無事に戻ってきた奴なんて一人も居ないときたもんだ。ヒロヨシの研究がどれほど軍や国にとって大事か分かるだろ?」

シドがユッケを優しく自分から離しながらそう説明してくれた。

 

「穏健派はアグニス大佐を筆頭とする軍組織で、ミッドガルドとの交渉を持って、マテリアルを手に入れようとしておったんじゃが、強硬派のフォッカ少将率いる軍組織に潰されたそうじゃっ。」

ラムウがシドに続いて詳しく話す。

 

「風の噂じゃ、アグニス大佐は軍の施設に幽閉されてるって話だ。それにフォッカ少将をそそのかしたのはミッドガルドの連中って噂も聞いたぜ。まったく嫌になる話だぜ。」

シドがさらに続けて話してくれた。

 

「・・・ミッドガルドの連中?」

またまたユッケは気になったフレーズに食いついた。

 

「おう、研究所には何人か居たんだよミッドガルドの人間が。なんでも、次元を行き来できる協力者がいるって話だぜ。俺は遠目でチラッと見たことはあるが、派手な鎧を全身に着込んだ怪しい奴だったわ。そういや、ヒロヨシはよくそいつと話してたが、いつも気に食わなさそうな感じだったな。」

シドが遠い目をして、思い出しながら話す。

 

「・・・闇の民だ・・・ハディに間違いない・・・。」

ユッケはシドの話を聞いて、ハディがアースカンドで暗躍していた事を確信した。

 

「・・・まさか、アースカンドの軍隊をも操っておったとは・・・。」

ハモウも話を聞いて驚きを隠せなかった。

 

「闇の民・・・なんだそいつは?」

今度はシドが気になったフレーズを尋ねた。

 

「・・・ミッドガルドを滅茶苦茶にしようとしている奴です。俺の母親がこの世界に飛ばされた元凶でもあります。俺の大事な人もあいつに・・・。」

ユッケが顔を下に向けながら拳を強く強く握り震える。

 

「・・・なんてこった・・・ヒロヨシは全部分かってて、あいつと研究してたのかよ・・・。」

シドは自分の知らなかった真実に打ちのめされた。

 

「・・・自分の目的を達成する為に敢えてそうしたのじゃろう・・・。」

ヒロヨシの心境を察して髭を触りながら目を閉じるラムウ。

 

「父さんが、研究してたのは俺のためなんです・・・俺のせいで世界が滅茶苦茶に・・・。」

ユッケは自分を責められずには居られなかった。

 

「闇の民が暗躍しておったのなら、遅かれ早かれ同じような事態にはなっておった。ユッケよ、自分を責めるでないっ。」

ハモウはユッケの背中に手を当ててユッケを励ました。

 

「あいつはずっとアルテマクリスタルを狙ってたんです。それを俺が持っていたんですが、俺の不注意で奪われてしまって・・・。」

自分の不甲斐無さを思い出して、また怒りがこみ上げて来たユッケ。

 

「アルテマクリスタルの話もヒロヨシから聞いたことはあるぜ。何でも、ミッドガルドじゃ、えらい大切なものだったらしいじゃねぇか?」

腕組みをしてシドがユッケに尋ねる。

 

「・・・はい、アルテマクリスタルがミッドガルドの世界の環境をコントロールしてたって、俺も最近知ったんです。でも、母も父も俺には無事に過ごしてほしいって黙ってて。それでも、ミッドガルドには必要だから、そんな厄介なものは早くミッドガルドに戻そうって父がそれで研究してたみたいなんです・・・次元の移動の・・・。」

今はもうアルテマクリスタルのない胸元に手をやり悔しがるユッケ。

 

「なんにしても、次元の歪みには一か八かで飛び込むわけにもいかねぇしな・・・。」

シドが腕組みをしながら考え込む。

 

「まさかここに来て、ミッドガルドに戻る事を迫られるとはの。」

ラムウも髭を触りながら目を瞑り、思案している。

 

「お主はそうでなくとも、戻らんといかんじゃろっ。」

「いててっ、大事な髭を引っ張るなッ!」

ハモウはミッドガルドに戻る事を悩むラムウの髭を引っ張って抗議した。

それに堪らず痛がるラムウ。

 

「・・・ここで話しててもしょうがないですね。俺の家はここの近くなんです。もしかしたら、父が戻ってるかもしれないので行ってみましょう。そこならお茶も出せるし・・・。」

ユッケが調子を少し取り戻して、精一杯の元気な顔で一行を自宅に招待した。

 

「フォッフォッフォッフォッ、それはうれしいの。気分転換をすれば、また妙案が浮かぶかもしれんしの。」

ラムウが笑って承諾した。

 

「ほんじゃ、ひとまず行ってみるとするか・・・。」

両脇に両手を添えて、シドも賛同した。

 

「こっちの世界がどういうものか、見れるかもしれんの。」

ハモウもニコニコしながら賛同した。

 

「クポポッ・・・休めるならどこでもいいクポッ。」

ぐったりしているモグッチも賛同した。

 

「あははっ、ごめんなモグッチ。何か食べ物があればごちそうするし、ゆっくりしよう。」

ユッケは頭を掻きながらモグッチに謝り、先導するように歩き出した。

 

「ところでよ、ヒロヨシの息子の名前はノブヒデって聞いてたんだが・・・。」

シドは話を進める為に黙っていた事を口に出した。

 

「ヒョッヒョッヒョッヒョッ、ミッドガルドでのお気に入りの名前らしいんじゃ。」

ハモウがユッケの後をゆっくりと付いて歩きながらシドに答える。

 

「それにしても、敢えてユッケとは面白いのぅっ。」

ユッケの意味を知るラムウがニヤケながらそう言う。

 

「・・・まぁ、間違いじゃないなら・・・いいか。それよりよ、ヒロヨシの家なら軍の奴らがいるかもしれねぇから気をつけろよ。」

シドが歩き出していたユッケの後ろから忠告した。

 

「フォッフォッフォッフォッ、いい忠告じゃシド。」

皮肉を込めて笑いならラムウがシドに言う。

 

「うるせぇっ・・・。」

皮肉を言ったラムウを睨んでシドが悪態をついた。

 

 

 

一向は家に近付くにつれて、周囲を警戒しながら森を歩く。

 

「・・・・・・。」

ユッケが森を抜けるか抜けないかの所で後ろに控える一行に止まるように黙って左手を上げた。

 

「・・・人の気配は無い様じゃな・・・。」

周辺を見回して小さな声でハモウが話す。

 

「・・・自分で言っておいてなんだが、じれったいぜ。」

慎重に行動する事にアレルギー反応を起こしているシド。

 

「・・・お主が暴れて引き付けておくという作戦もあるぞい。」

イタズラな微笑でシドに提案するラムウ。

 

「・・・そうしようっ。」

「おい、こらっ!」

ラムウの冗談を真に受けてシドが脱兎のごとく動いた。ラムウはシドを止め様と手を伸ばすが既に時遅し、その手を素抜けてシドはユッケを飛び越えていった。

 

「・・・エッ?!シドさんっ!」

突然、後ろから走り抜けるシドに思わず大きな声を掛けてしまうユッケ。

 

「まったく、最初からこうすればよかったぜッ!」

森から抜け出して、ユッケの家の庭と思われる所に走り出し、スパナを構えてシドが声を張り上げた。

 

「・・・なんだ、誰もいねぇじゃねぇか。」

辺りを見回して、誰もいないことを確認してガッカリするシド。

 

「・・・ちょっと困りますよ、シドさん。」

ユッケが頭を掻きながら森から出てきた。

 

「・・・シドにジッとしておれと言って、ジッとしていた試しはなかったわい。」

ラムウがやれやれといった表情で続く。

 

「ヒョッヒョッヒョッヒョッ、まぁ、誰も居らんのならよかったよかった。」

ハモウもゆっくり森から出てきた。

 

「・・・不安クポッ・・・。」

肩を盛大に落とし、飛びながらモグッチが森から最後に出てきた。

 

 

〔ギィ~~~ッ〕

 

 

「なんだこれっ?!」

「ちょっとちょっとシドさん。」

シドは落ち着きがなく、先に先に行動して、ユッケの家の玄関を開けた。ユッケはそんなシドに困りながらも後をついていく。

 

「ッ?!」

ユッケはシドの後に家の中を覗くと、そこには原型を留めないほどに滅茶苦茶にされた我が家の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 




ミッドガルドから思いもよらず
アースカンドに帰ってきてしまったユッケ
絶望の中で、父の友人だと名乗るシドに出会う
一行は希望の糸を手繰り寄せる様にユッケの家と向かうが。

次回、「父親と科学者」
青年は父の背中に何を見る?(千葉繁さん風)
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