FF アルテマクリスタル   作:葛屋伍美

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父の残したアルテマウェポンを手にいれたユッケ達だったが
そんなユッケ達の目の前に現れたのは軍人達だった
軍人達を率いる美女に目を奪われたユッケ達は・・・。


アポニス

「・・・ご協力感謝します。」

 

ブロンドのボブヘアの女性がユッケ達に感謝を示した。

ユッケ達はあれから地下室から連れ出されて、ユッケの家の庭へと連れてこられていた。暴れん坊のシドも今回ばかりは分が悪いと大人しく従ったのには一同は安心していた。しかし、不思議な事に軍人達は抵抗しなければ、何もしないみたいで、銃を向けて警戒はしているが、ユッケ達を縛り上げたりもせずに自由にさせてくれていた。

 

「・・・あんた、アポニスのメラーニって言う奴じゃねぇのか?」

大人しく従っていたシドがボブヘアの女性に尋ねた。

 

「・・・如何にも、私はアポニス部隊・副隊長メラーニです。」

背筋をピンと伸ばして、素直に答えるメラーニという女性軍人。

 

「・・・・・・。」

一人の体格の良い迷彩服の男性がメラーニに近付き、耳打ちした。

 

「・・・ヒロヨシ博士はここにもいないようですね。」

メラーニはどうやら父ヒロヨシを探しているようだった。

 

「貴方達はヒロヨシ博士と親しい関係にあるようですが、協力していただけませんか?」

メラーニがそう言いながらユッケ達を鋭い目で見て、話を続ける。

 

「そちらは、シド博士と助手のラムウさんとお見受けします。」

「なっ、ワシは別に助手ではないぞいっ。」

メラーニの説明に納得がいかないラムウが抗議する。

 

「・・・そちらの方々は何者なのか教えていただけませんか?」

ラムウの抗議も空に虚しく消える中で、ユッケ達を見るメラーニの眼光がさらに鋭く磨きがかかる。

 

「・・・俺は、ヒロヨシの息子です。こっちはハモウさんとモグッチです。」

ユッケはメラーニの質問に簡潔に答える。

 

「・・・なるほど、あなたがヒロヨシ博士のご子息でしたか・・・これは大きい収穫です。」

メラーニが始めてニヤリと表情を変えた。

 

「・・・アポニス部隊といえば、アグニス大佐の直轄部隊だろ?大佐が幽閉された時に解散させられたって聞いたが・・・どうも、大人しく従ったわけではなさそうだな。」

シドが周囲の男達を見ながらメラーニに尋ねる。

 

「・・・貴方の言うとおり、我々は大佐に従う直轄部隊であり、大佐の命令がない限り、それに従う必要はありません。大佐の処遇も受け入れられるものではないと思っています。」

メラーニは体勢をまったく崩さず、ハキハキとシドの質問に答える。

 

「・・・それは大層義理堅いことだが、そんな逸れ者がヒロヨシになんのようだ?ヒロヨシを交渉の材料にしようって事か?」

シドが悪戯にニヤケながらメラーニに迫る。

 

「・・・そうですね。そういう考えもあります。カードとしての選択肢は否定はしません。我々も穏便に事が成せれば、それに越した事はありませんので。」

メラーニは表情を一切変えずに答え続ける。

 

 

「こちらからも質問をしてもよろしいですか?」

 

 

今度はメラーニがユッケ達に尋ねようと切り出す。

 

「貴方はヒロヨシ博士のご子息と言う事ですが、お父様の居場所はご存じないですか?」

メラーニが視線を一切ぶらさずにユッケを見据えて質問した。

 

「うっ・・・すいません。俺達も探しています。」

顔だけ見れば美人なメラーニの視線に戸惑うユッケだったが、質問には素直に答えた。

 

「・・・貴方が呼びかければ、お父様は現れそうですか?」

メラーニの目が氷のように冷たくなる。

ユッケは背筋が凍るが、シド達はその言葉に臨戦態勢を取る。

 

「・・・言葉足らずみたいなので、付け足します。親子関係が冷え切っている貴方が呼びかけて、お父様は答えてくれますか?」

メラーニが眼光と口調を少し和らげて尋ね直した。

 

「・・・わっ、わかりません。」

ユッケは目線を外してメラーニに嘘をついた。ここに戻ってきて、日記を見るまでのユッケなら即答で「NO」と答えただろう。しかし、日記を見て、父の本心を知ったユッケは半信半疑ながらも父ヒロヨシが従ってしまうのではないかと思っていた。

 

 

「・・・貴方は誠実な方なようですね。」

 

 

メラーニがにこやかに微笑んでユッケの人柄を話した。

 

「ッ?!」

ユッケはその微笑に一瞬で心を持っていかれた。メラーニは確かに軍人ではあるが、ブロンドのボブヘアもサラサラと手入れされていて、体つきも魅力的な申し分ないラインをしていた。今まで、眼光が鋭くてそんな事に目を向けられなかったが、メラーニの緩急の付け方で見事警戒心をほだされてしまった。

 

「・・・きっ、きれいクポォ~~・・・。」

どうやら心奪われたのはユッケだけではなかったようだ。

 

「そうは言うが、どうやってヒロヨシと連絡を取るつもりだ?俺ですら、連絡がとれねぇんだぜ?もうこの世界には居ないんじゃないのか?」

シドがそうメラーニに話す。

 

「・・・博士は間違いなくまだこちらにいます。連絡は取れないのではなく、敢えて取っていないのですシド博士・・・貴方との通信は軍に傍受されています。それを知って、ヒロヨシ博士はあなたとの連絡を絶ったのです。しかし、それがご子息ならどうですかね?」

メラーニはそう言って、ニヤリと笑うと右手を横に出して、手の平を上に向けた。

 

「・・・・・・。」

一人の軍人がそれに透かさず反応して、通信機の受話器を黙って手渡す。

 

「ヒロヨシ博士、お聞きですよね?貴方はこちらの通信を傍受して、我々や軍を交わしながら健気にご子息を探されているようですが・・・ご子息の声をお聞きになられますか?」

通信機でそう話すと、スッとユッケに向けてその受話器を差し出した。

 

「・・・・・・。」

黙って従い、ユッケは受話器を受け取る。

 

 

「・・・父さん・・・。」

 

 

受話器に向かってユッケがヒロヨシに呼びかけた。

 

 

「・・・ノブヒデなのか?」

 

 

通信機の向こうから懐かしい父の声がたしかに届いた。

 

「・・・この通信ももちろん軍に傍受されています。手短に。」

メラーニが簡潔に忠告する。

 

「・・・父さん、迷惑かけたみたいでごめん。」

ユッケが父親に謝る。

 

「・・・気にするな。お前が無事なら父さんはなんてことない・・・。今からあの暗号を使うが覚えてるか?」

ヒロヨシが優しい声でユッケに尋ねる。

 

「・・・もちろん。」

ユッケは涙を目に溜めながら素直に答えた。

 

 

〔ブゥゥゥゥゥーーンッ〕

〔ガタガタガタガタガタッ・・・・・・〕

 

 

ユッケ達はヒロヨシの暗号を手がかりに軍用車に乗って目的地に向かっていた。

 

「・・・あんな暗号でばれねぇのか?」

車に揺られながらシドがユッケに尋ねる。

 

「・・・どっ、どうなんでしょうね?」

不安がるユッケ。

 

「・・・暗号と言うものはいくつかの例文を元に、言葉を当てはめて正解を導き出します。指定された場所は距離にしても十分です。軍が暗号を解いて向かう頃には我々はそこには居ないでしょう。」

相変わらず表情を一切変えずに淡々と説明してくれたメラーニ。

 

アポニス部隊は軍をかく乱する為に何台もの車を四方八方に動かし、ユッケ達はその内の一台にメラーニとシドと数人の部隊員で目的地に向かっていた。ハモウやラムウ、モグッチ達は余りにも目立つので、他の車に乗り、かく乱部隊として分かれていた。ユッケとシドも迷彩服に服装を変えて、目立たないようにしている。

 

 

「・・・メラーニさんは大佐を助けた後どうされるんですか?」

 

 

ユッケがメラーニに思い切って尋ねた。

 

「・・・大佐は政局によって、幽閉されています。我々は大佐を奪還するのが目的でその先は、大佐が決める事です。」

ユッケの目を真っ直ぐ見てメラーニが答える。

 

「・・・ご安心下さい。ヒロヨシ博士は安全です。軍や政府にとって欠かせない人材ですので・・・それに貴方も必ず我々が守ります。」

眼光を鋭くしつつもメラーニがユッケを見て、口角を少し上げる。

 

「・・・あっ、ありがとうございます。」

少し頬を赤らめて、目線を外してお礼を言うユッケ。

 

 

それから数時間して、目的地の街に到着したユッケ達。

時間を合わせて、軍用車から降りたのはユッケではなく、シドだった。違う場所ではハモウ、ラムウ、モグッチがそれぞれ適当な場所にジッと立つ。もちろん、それぞれにアポニスの隊員が周囲を警戒して配置されている。軍や政府が来ていないか、来ていたなら邪魔をされないようにかく乱するための処置だった。それぞれがそれぞれに行動している中で、

 

 

「・・・ノブヒデ。」

「・・・父さん。」

 

 

本当に指定された場所で、親子は再会を果たしていた。

 

「博士、再会を邪魔するのは心苦しいですが。」

再会に抱き合う親子に近付き、メラーニが行動を促す。

 

「・・・分かりました。」

ヒロヨシはメラーニの指示に従い、ユッケと共に急いでその場所を後にした。ヒロヨシの確保の連絡を受けて、それぞれの場所で動いていた部隊が解散して、事前に決められていた集合場所へと向かう。どうやら、軍や政府が暗号を解いて、現場に来る前にミッションが成功したようだった。

 

 

「・・・ノブヒデ。本当に無事でよかった。」

 

 

ヒロヨシは涙を我慢せずに、涙を流しながらユッケを見て微笑んだ。

ユッケは久々に会う父の姿に驚愕していた。いつの間にか父の髪の毛は50手前に関わらず、真っ白になっており、手入れされていない髪はボサボサだった。目もくぼんで、目の下のクマは黒く塗りつけられたように張り付いていた。肌もカサカサで眉間のシワがくっきりと掘られている。無精髭はボウボウでロクに食事をしていないのか頬はこけていた。

 

「・・・ごめん・・・俺。」

父の変わり果てた姿にユッケは涙を腕で拭きながら謝る。

 

「何も言わなくていい。良いんだ、お前が無事だったなら父さんはそれで良い。」

泣きじゃくるユッケを抱き寄せてヒロヨシが全てを包み込んだ。

 

「・・・・・・。」

空気を読んだメラーニはジッと車内の一点を見て、黙っていた。

そんな父と子の再会を味わっていたその時だった。

 

 

「・・・メラーニ少尉聞こえるかね?」

 

 

通信機のスピーカーから聞きなれない男性の声が発せられた。

 

「・・・そろそろだと思ってましたゴコーレ中将閣下。」

受話器の向こう側にいる男にメラーニは丁寧に応答する。

 

「・・・素晴らしい働きだった。まさか、行方不明のご子息を発見して、博士を見つけるとは、さすがアグニス大佐率いる『元アポニス部隊』だ。」

ゴコーレ中将は歯の浮くような褒め言葉でメラーニを皮肉交じりで讃えた。

 

「ありがとうございます閣下。さっそくですが・・・。」

メラーニが余計な雑談を飛ばして本題に入ろうとする。

 

「わかっている。アグニス大佐はこちらですでに手配している。場所はこちらで決めてよろしいかな?」

ゴコーレがメラーニ達の動きを先回りして先手を取ろうと動く。

 

「・・・申し出は大変感謝いたしますが、こちらで指定させて頂きます。」

メラーニは主導権を渡すまいとさらに先を行く。

 

「ハッハッハッハッ・・・なるほどなるほど。構わんよ。こちらとしては無事博士を引き渡してくれるのであれば・・・。」

笑って余裕を出しているように受け取れるが、受話器の向こうでイライラしているのが伝わってきた。

 

「・・・ヒロヨシ博士、よろしいですか?」

メラーニがヒロヨシを真っ直ぐ見つめて尋ねる。

 

「・・・・・・・。」

ヒロヨシは全てを理解した上で無言で深く頷いて答えた。

 

「ありがとうございます・・・・・・ゴコーレ中将閣下、博士はそちらに引き渡しますので指定する場所に大佐をお連れください。指定する場所は別のものが連絡いたします。」

メラーニはそこで返答も待たずに受話器を部下に手渡した。

 

「・・・博士、本当にありがとうございます。」

メラーニは揺れる車の中でしっかりと立ち、ヒロヨシにビシッと敬礼をした。

 

「・・・私でお役に立てるなら・・・。」

ヒロヨシはユッケの目をみて、そう答えた。

 

「・・・父さん・・・。」

ヒロヨシの申し出にユッケは戸惑っていた。せっかく再会できた親と子がもう数時間後にはまた離れ離れになるのではないかと不安に駆られていた。

 

「・・・ノブヒデ。お前はミッドガルドを見てきたんだろ?そして、母さんや僕の想いとは裏腹にミッドガルドを救おうと思っている。」

ユッケの心の中を見透かしたようにヒロヨシが言う。

 

「・・・・・・・。」

ユッケは父の言葉に黙って頷く。

 

「僕や母さんはお前を出来るだけ危険から遠ざけようと頑張ってきたんだが、世界や運命はそうはさせてくれないらしいな。」

ヒロヨシはそこまでいうとユッケの目から目線を外して、ユッケの身体全体を見る。

 

「・・・身体も見違えるほど、ガッシリしたじゃないか・・・オッ?!アルテマウェポンを持ってるのか?」

ヒロヨシはユッケが腰に下げていた身に覚えのある剣の柄を見てユッケの方に手を出した。

 

「・・・・・・。」

ユッケは何も言わずにアルテマウェポンを手渡す。

 

「・・・お前が武器を持つことなんて考えもしなかったな。シヴァには会ったのか?」

ヒロヨシは工具でアルテマウェポンを弄りながらユッケに尋ねた。

 

「・・・あぁ、シヴァはずっと俺を守っててくれたよ。父さん、俺がここまで頑張ってこれたのはシヴァのおかげなんだ。」

ユッケが素直に父の問いに答える。

 

「・・・そうか。シヴァはずっと傍にいてくれたんだな。今度シヴァに会ったらお礼を言わないといけないな。」

作業をしながら息子との会話を楽しむ父。

 

「・・・ミッドガルドってすごい所だよ。古臭い面もあるけど、皆良い人で・・・。」

ユッケは今まで出来なかった父と子の会話を噛み締めながらたどたどしく話す。

 

「ハハハッ、お前が言うなら本当に良い所なんだろうな。父さんも今度行かなくちゃな。」

ヒロヨシはそう言うとニコリと笑ってアルテマウェポンをユッケに返した。

 

「・・・アルテマウェポンは非常に強力な武器だよ。金剛石も簡単に灰にしてしまう。今まで力を調節して抑えていたけど、事態が事態だ。源はアルテマクリスタルだからきっとお前の力になってくれるだろう。こいつはじゃじゃ馬でね・・・でも、お前ならきっと使いこなせるはずだ・・・母さんが・・・リアが思いを込めたアルテマクリスタルだからね・・・。」

 

手渡した時に握ったユッケの手を強く握りながらヒロヨシが強い眼差しでユッケを見る。

 

「・・・うん。」

ユッケは父の眼差しに力強い頷きで答えた。

 

そこから父と子は集合場所に着くまでそれぞれがそれぞれ話したい事を話した。ミッドガルドでの出来事。アルテマウェポンの使い方。シヴァから聞いた母親の話。夫だからこそ見てきた妻の姿。今まで、話せば話せたはずの話を限られた短い時間の中で悔いを残さないようにさらけ出した。メラーニやアポニスの部隊員もそこに居たが、お構い無しに笑い合った。すれ違っていた親子だったが、ここに来てわだかまりが消え、小さな子供と公園で一緒に遊ぶような親子に戻っていた。

 

 

 




父と再会し、今まで話せなかった話しをし
今までの時間を取り戻すように笑い合った親子
その親子の時間も束の間、
ユッケ達はアポニスの隊長であるアグニス大佐を助けるために動き出す。

次回、「大佐救出作戦」
青年に差し込むは希望の光か?!(千葉繁さん風)
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