FF アルテマクリスタル   作:葛屋伍美

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父ヒロヨシとの再会を果たしたユッケ
しかし、その親子の再会も短い時間だった
再会を手助けしてくれたアポニスと軍との交渉で
また、父と離れ離れになることになってしまったユッケだが


大佐救出作戦

 

数時間後、ユッケ達はヒロヨシと大佐との交換地点の手前の場所で仲間達と合流した。

 

「ヒロヨシ、元気そうじゃねぇかっ。」

ニヤニヤしながらシドがヒロヨシの肩に手を回してヒロヨシを引き寄せた。

 

「ハハハッ、相変わらずで何よりだよ、シド。」

笑いながら手荒な歓迎を受け入れるヒロヨシ。

 

「フォッフォッフォッフォッ、連絡が取れんくなってヒヤヒヤしたぞい。」

ラムウが髭を触りながらヒロヨシの無事を喜ぶ。

 

「・・・ありがとうラムウさん。こんな事に付き合わせてしまって、すいません。」

苦笑いでラムウにお礼を言うヒロヨシ。

 

「何言ってんだっ、ラムウは俺の助手だから俺が良ければ良いんだよッ。」

ニヤリと笑みをラムウに向けながら言うシド。

 

「なんじゃとっ!」

両拳を天に振りかぶり、怒ってシドに襲い掛かるラムウ。シドはそれを予想して、一目散に逃げて距離を取った。

 

「・・・博士、きっと博士はランツゲート基地に輸送されると思われます。通信機と発信機を渡しておきますので、身体検査の時に見つからないように囮も渡しておきます。」

メラーニが今後を予想して先手先手と動く。

 

「・・・ランツゲートですか。あそこのゲートからまた軍をミッドガルドに送るんですね。」

ヒロヨシは手渡されたモノを受け取りつつメラーニに応える。

 

「あそこのゲートは未だ不安定で軍を送り込むのに手間取っています。私どもの集めた情報ですが、ミッドガルド侵攻は難航しているようなので、博士にゲートの調節を頼むと思います。」

メラーニが情報を分析して自分の見解を話す。

 

「・・・サーフォゲートの方は?」

ヒロヨシがメラーニに尋ねる。

 

「あちらのゲートはミッドガルドの軍勢に壊されたようです。後2つのゲートも交戦中との事。ゴコーレ中将的にはここで別の方面からの強襲が選択肢としては最優先されるかと。」

メラーニが1を聞いて、10の回答で返す。

 

「なるほど。では、軍の動きは今は2つのゲートの防衛に集中していると?」

ヒロヨシがメラーニにさらに尋ねる。

 

「はい、ランツゲートの方は今は最小限の部隊しか居りません。狙い目かと・・・。」

メラーニが少し口角を上げて答える。

 

「・・・大佐の考えはおおよそ分かりました。ミッドガルドは妻の故郷です。息子も守りたいというのであれば、父として、どう動けば良いかは分かります。」

そこまで言って、ヒロヨシはユッケの方を見て微笑む。

 

「ヒロヨシはホント地質学者とは思えねぇよな・・・。」

シドが口を曲げてジトッとした目でヒロヨシを見る。

 

「ハハハッ、僕も石や地層でワクワクしていた頃が懐かしいよ。」

苦笑いでシドに答えるヒロヨシ。

 

「・・・父さん、気をつけて。」

心配そうな目で父を見るユッケ。

 

「ノブッ・・・いや、ユッケ・・・安心しなさい。こう見えても父さんも死線を色々と潜り抜けてるんだぞ。」

ヒロヨシは力こぶを作って息子に強さをアピールした。

 

「僕はどう頑張ったって学者以上ではない。ここから先は僕よりもアグニス大佐の方がユッケにはきっと力になってくれる。メラーニさんの言うようにゲート管理には僕以上の適任者はいないだろうから大丈夫だ。」

柔らかな微笑を息子に向ける父。

 

「・・・わかった・・・ありがとう父さん。」

ユッケはその微笑に微笑みで返して、右手を父の前に出す。

 

「・・・行って来るよ。」

ユッケの差し出した手を掴み答える父。

一行の前に約束の時間が迫った。一行はそれぞれの思いを胸に約束の場所へと移動する。

 

 

「メラーニ少佐、こちらに戻ってくれば、取り計らってやるぞ。」

 

 

森の中の開けた場所でそれぞれ距離を大きく対照的に取った2つの陣営。

アグニス大佐を連れてきたと思われる軍人が開口一番にメラーニ達に揺さぶりにかけてきて、いかにもおいしそうな話をチラつかせた。

 

「それは私が決める事ではありませんので・・・。」

相手の目を真っ直ぐと見て、即答するメラーニ。

 

「・・・チッ、連れて来い。」

「ハッ!」

男は片手を軽く振って後ろの部下に指示を出す。部下は迅速に返事をして与えられた任務を遂行する為に動いた。

 

「・・・博士、手間を掛けさせないで下さい。我々も今は重要な任務に就いておりますので。」

男がメラーニの後ろに控えているヒロヨシに話しかけた。

 

「・・・申し訳ない。私にも大事なものがあったので・・・。」

ヒロヨシは素直に男に頭を下げた。

 

「・・・ご子息がご無事で何よりです。ここには姿はないようですが?」

男はユッケの姿を探すようにキョロキョロと周囲を見回した。

 

 

「・・・中佐ッ、アグニスを連れて参りましたッ!」

 

 

そうこうしていると命令を遂行してきた部下が一人の手錠を掛けられた男を連れてきた。男は肩まで伸びた茶色い髪を両サイドに流して、眼光鋭くメラーニ達を見ていた。無精髭が伸びてはいたが、足取りもしっかりしており、鍛え上げられたその身体がさらに大きく見える圧を放っていた。

 

「・・・大佐・・・。」

連れてこられた男と目が合って、小さな声でメラーニが呟く。その瞳には涙が小さく光ったように見えた。

 

 

「それでは交換するとしようか?」

 

 

中佐はそういうと部下にアグニス大佐を突かせて前進させるように指示を出した。

 

「・・・では、行って来ます。」

メラーニの様子を見て、メラーニの肩に軽く触れてからヒロヨシが微笑みながら前進する。

 

「・・・本当に、ありがとうございます。」

強く前を見据えたままでメラーニは三度ヒロヨシに感謝を言葉で届けた。

ヒロヨシとアグニスはお互い同じ歩幅で歩みを合わせながら、お互いの目的地へと歩く。辺りに緊張が立ち込める。その場所にはメラーニや中佐含めて数人しか居ないが、お互いがお互いの動きを分かっている。お互いの後方の見えない位置に部隊を潜ませて、お互いの動きをけん制していたのだ。そして、

 

 

「・・・博士、必ずお助けにあがります。」

「・・・私よりも息子をどうかお願いします。」

 

 

ヒロヨシとアグニスは交差する際に最低限の声で言葉を交わした。

 

 

〔ビョオオオオオオオオオオオオッ〕

 

 

「ッ?!」

中佐側の人間が突然聞こえた風きり音に驚いて上空を見上げた。

見上げた空には低空を物凄い速さで飛ぶ小型飛空挺の姿があった。

 

 

「中佐ッ!?」

 

 

一人の部下が前方を指差して叫ぶ。

「しっ、しまったっ!撃てエエエエエエエエエッ!」

 

 

〔ドドドドドドッ、ドキュンッ、バキュンッ、バラバラバラバラッ〕

 

中佐の合図と共に後ろの茂みや物陰から一斉に銃声が放たれる。

 

〔ドドドドドドドドッ、ドドドドドドッ、ズキュンッ、バーーンッ〕

 

 

反対側からも応戦の音が鳴り出す。

しかし、軍の動きを見透かしていたメラーニの作戦通り、小型飛空挺に目を奪われた瞬間に一同は一斉に散り散りになり、お互いが林に突っ込むように走っており、無事に軍の攻撃を回避する事が出来た。

 

 

「おのれ~~~~~っ。」

 

 

苦虫を噛み砕いた顔で中佐が顔を真っ赤にする。

 

(・・・ノブヒデ・・・どうか無事で。)

ヒロヨシはアグニス達が消えた林を見ながら微笑んでそう願った。

 

 

「ハーーーーーッハッハッハッハッハッ、どうだ見たか俺様のサンダーバードの姿をッ!」

 

 

小型飛行艇の中で操縦カンを握りながらシドが大声で自慢げに笑っていた。

 

「スゲエエエエエエエエッ、滅茶苦茶早いじゃないですかっ?!」

目をキラキラ輝かせながらユッケが言う。

 

「そうだろうそうだろうっ、俺の愛機サンダーバードは誰にも負けねぇッ!」

ガッツポーズを作って自らを讃えるシド。

 

「やれやれ、それにしても危なっかしい運転じゃわい。」

肩を落としながらラムウが嘆く。

 

「やかましいっ!サンダーバードは柔な運転じゃ満足しねぇんだよっ!」

拳を振り上げてラムウに抗議するシド。

 

「クポポポ~~ッ、鉄の塊が空を物凄いスピードで飛ぶなんて信じられないクポッ!」

「ヒョッヒョッヒョッヒョッ、長生きはするもんじゃわい、こんな体験を出来るとは思いもせんかったわ。」

モグッチとハモウはサンダーバードの窓から外を眺めながら素直な感想を言い合った。

 

「ハッハッハッハッハッ、このシド様の技術を持ってすれば、造作もないことよっ!」

モグッチの褒め言葉に再び有頂天になるシド。

 

「・・・何言うとんじゃいッ。ヒロヨシのマテリアルの技術を応用せんかったらどうにもならんかったくせに。」

しかめっ面でラムウがシドを下げる。

 

「うっ、うううっ、うるせいっ!あの技術は俺も手伝ったから飛空艇に応用できるようになったんだよっ!」

一瞬たじろぎながらもシドがラムウに応戦する。

 

 

「・・・どこまで飛んでいくつもりですか?指定された時刻に行動頂いたのは感謝しますが、ちゃんと合流してもらわなければ困りますよ。」

 

 

サンダーバードの通信機からメラーニの冷たい声が聞こえてきた。

 

「すっ、すいません。今から向かいますのでっ!」

ユッケが慌ててメラーニに答える。

 

「・・・了解です。それでは場所を後ほどお伝えしますのでよろしくお願いします。」

メラーニがユッケの返答に応じてさらに答える。

 

「・・・ユッケ君、聞こえるかね?」

メラーニとは違う男性の声が通信機から聞こえてきた。

 

「はいっ。」

男性の声に素直に返事をするユッケ。

 

「私はアグニスだ。部下のメラーニが世話になったみたいで感謝する。それにお父上にも助けてもらってなんと言えばいいのか・・・。」

優しいが芯の強さを持った声でアグニスがユッケに話す。

 

「・・・いえ、こちらこそこれから助けてもらうかもしれませんので・・・。」

ユッケは低姿勢で答える。

 

「・・・そうか。私としてもこんな無益な争いは早く止めて、ミッドガルドとは友好的に交渉したい。ユッケ君の気持ちも少佐から聞いた。君達親子の働きに何があっても答える所存だ。これから宜しく頼む。」

力強くそして頼もしいアグニスの声がなぜかユッケを勇気付ける。

 

「それでは、場所を指定するのでシド博士の飛空挺は何処か別の場所で降りて、合流しよう。」

ユッケ達はアグニス大佐の指示に従い、目立つシドの飛空挺サンダーバードは別の場所に隠し、指定された場所へと徒歩で向かい、軍用車に乗って大佐の元へと向かった。

 

 

「ユッケ君、会えて光栄だよ。」

 

 

開口一番アグニス大佐はにこやかな微笑と共にユッケに手を差し出して握手を求めた。

 

「こっ、こちらこそ光栄ですっ。」

ユッケは握手する前に両手を自分の服で十分に拭いてから手を取った。

 

「ハハハハッ、私はそんなに大それた人間ではないよ。」

「フフフフフッ。」

アグニスがユッケの行動に笑うと後ろであのメラーニも笑っていた。

 

「あっ・・・あはははっ・・・。」

ユッケはアグニスとメラーニの姿に恥ずかしくなって頭を掻いて苦笑いした。

 

ユッケとアグニス大佐が合流したのはある町外れの廃墟で建物内にはユッケやシド達とアグニス大佐の方はメラーニ少佐と部下数人姿が見えた。数が少ないように見えるが、他の隊員はもちろん周辺の警戒に当たっていた。

「ユッケ君の話はメラーニから聞いたよ。早くミッドガルドに戻りたいのだろうが、ここはチャンスを待ってもらっていいだろうか?」

アグニスが真剣な顔でユッケに話す。

 

 

「エッ?」

 

 

突然の本題にユッケは驚いた。

 

「・・・そう先の話ではないのだが、我々に理解のあるアサッシュ大将がランツゲート基地に視察に来る日がある。その日に動いて、アサッシュ大将と交渉がしたいのだ。」

アグニスが丁寧に今後の事について説明してくれた。

 

「アサッシュ大将も強硬派のファッカ少将とゴコーレ中将に圧されて承諾しているが、アサッシュ大将は我々の考えにも耳を傾けてくれている。今、ミッドガルドでの軍の成果は芳しくない。アサッシュ大将の後ろ盾無しにでも動けるが、組織をまとめるには根回しも必要なんだ。今後の事も考えて、アサッシュ大将には話を通してから動きたい。理解してくれるか?」

アグニスは右も左も分からないユッケに親切にそして、誠実に話す。

 

「・・・わかりました。組織のことは分かりませんが、ミッドガルドとアースカンドの今後を考えるなら必要な事なんですよね?本当は早く仲間を助けに行きたいですが、わがままは言いません。大佐の最速最善でお願いします。」

ユッケは誠実に向き合ってくれているアグニス大佐に真っ直ぐ向き合った。

 

「・・・ありがとう。親が親なら子は子だと良い意味で使わせてもらう。我々は最大限、君達親子をサポートする。」

アグニスはそう言うと再び手をユッケに差し出した。

 

「・・・ユッケ君、私も最善を尽くします。」

メラーニが後ろで微笑んだ。

 

「・・・お願いします。」

ユッケは今度はしっかりと両手でアグニス大佐の手を包み込んで力強く握り、答える。

 

ユッケは小川で感じた絶望が希望というアグニスとメラーニの後光で掻き消されるのを確かに感じた。一分一秒を争うのは分かってはいたが、焦った所で自分でミッドガルドに行ける訳もないことは理解していた。今ここに、その術を持った協力者が居る。立ちはだかる敵は想像を越える強敵かもしれないが、ユッケの胸は高鳴りを抑えられないほど興奮していた。

 

 

 

 




ああ
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