FF アルテマクリスタル   作:葛屋伍美

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ミッドガルドに戻るための行動がついに始まる
アースカンド軍が守るランツゲート基地に攻め込んだ
ユッケ達と歴戦の雄アポニス部隊
しかし、一同の前に思わぬ敵が姿を現すことに


悪魔が来たりて・・・

 

 

〔ドンッ!〕

 

 

「なんたる失態ッ!どうなっているんだっ!」

とある部屋の机を拳で殴りつけ、ゴテゴテした軍服を着た太った老兵が怒鳴り声を上げていた。

 

「もッ、もうしわけありませんっ!只今、状況を収集しつつ・・・。」

汗を滝のように流しながら一人の軍人が直立不動で老兵に弁明している。

 

「バカモンッ!この状況で、まだ情報を掴んでおらんのかッ!!」

老兵は直立不動の軍人に詰め寄って唾を飛ばしながら怒鳴った。

 

 

「ゴコーレ中将閣下・・・そう怒鳴っていても状況は変わりませんよ。」

 

 

部屋でソファーに座り、優雅にお茶を飲んでいる白銀の鎧に身を包んだ男が老兵をゴコーレ中将と言い、タシナめた。

 

「ハディ、お主の仲間のあの変なじじいは本当に使えるのか?」

ゴコーレは白銀の鎧の男をハディといい、疑問に思っていることを率直に尋ねた。

 

「フフッ、この慌てている基地の守備隊よりかはマシでしょう?」

ハディは相変わらず静かにお茶を飲みながらゴコーレに皮肉交じりに返答した。

 

ハディはアルテマクリスタルを手中に収めた余裕からか、もう顔を隠すような兜は被っておらず、その整った顔を主張するかのように今はむしろ、表情を包み隠さず、前面に出していた。

 

「ムムムムッ・・・突っ立てないでお前はさっさと情報を集めて来いッ!」

「ハッ!?」

ゴコーレは直立不動の軍人を力一杯怒鳴り散らして命令した。軍人は大きな声で返事をして、慌てて部屋から駆け出していく。

 

「オウオウッ、かわいそうに・・・。」

ハディの背後からディアボロスが実体を現した。

 

「うぉっ?!」

ゴコーレはディアボロスを見慣れていないのか、その悪魔の姿を見て驚いて後退りした。

 

「マスタ~、こんな所でお茶すすってる場合じゃないんじゃないのぉ?」

ディアボロスがいつものようにおどけた態度でハディに尋ねる。

 

「フンッ・・・クリスタルは逃げんさ・・・それよりもここでなにやら面白い事が起きそうなんだ・・・俺のアルテマクリスタルがそう囁いている。」

ハディはそう言いながら胸元に忍ばせていたアルテマクリスタルを取り出して、僅かに光るその様子を眺めていた。

 

「何々?俺にも詳しくおせぇ~てよ・・・。」

モジモジしながらディアボロスがハディにおねだりした。

 

「・・・さぁな・・・俺にも分からんのだ・・・ただ、クリスタルに落ち着きが無い・・・。」

ニヤケながらハディは静かにアルテマクリスタルをジッと見ていた。

 

 

 

 

「ガアアアアアアハッハッハッハッ、このギルガメッシュ様の力を見たかッ!」

 

 

ギルガメッシュが拡声器で高笑いしながら、4mはあるであろう人型のロボットを操っている。

 

「・・・ギルガメッシュ・・・。」

ユッケはギルダインの姿を見て、懐かしい人物の名前を呟く。

 

「おっ、なんだ・・・お前の知り合いかよ?人型兵器を作れるなんてめちゃくちゃすげえええじゃねぇかっ!」

ユッケの様子を見て、シドが感心しながら話す。

 

「フォッフォッフォッフォッ、人間搭載の人型ロボットとは素晴らしいのぉ。」

ラムウも感心しながらギルダインの姿を眺めていた。

 

「・・・まずいですね。ゲートを確保していた部隊がやられているようです。」

ラスターがイヤホンから情報を収集しながらギルダインの様子を伺っている。

 

「・・・くそ・・・フュージョンさえ出来れば・・・。」

ユッケはアルテマウェポンを握り締めながら悔しがる。

 

「なんじゃ、お主フュージョンが出来るのか?」

ユッケの言葉にラムウが驚く。

 

「なんだよ、フュージョンって・・・合体でもするのか?」

シドもラムウに続いて食い付く。

 

「ヒョッヒョッヒョッヒョッ、こやつのフュージョンはなかなかのものじゃぞラムウ。」

自分の事のように胸を張ってラムウに自慢するハモウ。

 

「皆さん、ここで待機していてください。我々でなんとかしますので。」

ラスターが険しい顔をしながらユッケ達に落ち着くように指示した。

 

 

「・・・どうやら、あやつはわしらの方が適任のようじゃな。」

 

 

戦況を見ていたラムウが肩を回しながら前に進む。

 

「ひさしぶりにやるのか?それならわしも手伝おう。」

ラムウに続いてハモウも歩き出す。

 

「おっ、おじいさん達、困りますよッ!」

歩き出す二人の老人を見て、慌てるラスター。

 

「大尉、銃火器が効果が無いなら任せるのもいいかもしれませんよ。」

ユッケがラスターの肩を掴んでニコリと笑う。

 

「・・・ユッケ君・・・。」

ユッケの微笑んではいるが真剣な目にラスターは動きを止めた。

 

「よいッ!威勢が良いのぅ~。」

ラムウがギルダインに近付きながら声をかける。

 

 

「ンッ?なんじゃ、じじい共・・・どっから沸いて出てきた?」

 

 

ギルガメッシュはこの場に相応しくないヨボヨボの老人が二人こちらに近付いてくるのを見て、素直な悪態を口に出した。

 

「ヒョッヒョッヒョッヒョッ、じじいと侮ったのがお主の敗因じゃなッ。」

ハモウが立ち止まって、両手をギルダインの方に突き出して笑う。

 

「久しぶりにみなぎってきおるっ。」

ラムウも立ち止まって杖を天にかざす。

 

〔連続魔法 サンダガ〕〔ズギャゴンッ、ズギャゴンッ、ズガガガガガガッ、ズガーーンッ〕

 

「ナッ、ナンジャトッ?!!!!!」

 

最初に攻撃したのはハモウだった。そのまさかの攻撃に驚きを隠せないギルガメッシュ。それもそのはず、ハモウが繰り出した攻撃はこの世界では絶対にあるはずのない雷の最高魔法。しかも、それを連続で繰り出すという荒業だったからだ。その攻撃は空気の分子が高速に擦れ合う事で高エネルギーの雷をその場に発生させる魔法だった。その威力は凄まじく、光り輝く無数の蛇が空気中から突如現れ、ギルダインを絡めとっていった。

 

「フォッフォッフォッフォッ、ワシの分もちゃんと残しておけよっ。」

ラムウがハモウの攻撃に微笑みながら右手で杖を天にかざしたまま、左手をギルダインへと向ける。

 

「ヒョッヒョッヒョッヒョッ、それはワシにではなく、あの木偶の坊に言うんじゃなっ。」

ハモウが尚も両手をギルダインに向けて攻撃をしかけようとしている。

 

「おやびんっ!電気系統が逝かれました!!」

「オヤブンッ!全然うごかないぞぉっ!!」

「くっ、くそおおおおおおおおおおおおおおっ。」

 

〔連続魔法 ブリザガ〕〔パキンッ、パキパキパキッ、ガシャシャシャアアアアンッ〕

 

ハモウが繰り出した今度の攻撃は氷の最高魔法。大地から氷の牙がギルダインに襲い掛かり、足場とその周囲を凍らせて絡めとり、牙はギルダインの足に深々と突き刺さった。その突き刺さった部分からさらに氷がギルダインの下半身を完全に凍らせて、身動きが出来ないようにその場に釘付けにした。

 

「サッ、寒いでやんすうううううううっ!」

「こんなこともあろうかと、チョコ持ってきてたんだな。」

「おっ、お前らふざけるなっ!」

 

「・・・さて、それではおいしいところはもらおうかね・・・。」

準備が整ったラムウが言葉を静かに発する。

 

 

「まっ、待て・・・話し合おうっ!」

 

 

ギルガメッシュが慌てて停戦を申し出る。

 

「フォッフォッフォッフォッ、ちいとばかり遅かったの。」

ニコリと笑うラムウ。

 

 

〔裁きの雷〕〔ズガンッ、ズガガンッ、ズゴゴゴオオオッ、ズギャギャンッ、スパンッ〕

 

 

ラムウが技を繰り出すと、先ほどのハモウの雷の魔法とは桁違いの光の大蛇が4体現れて、ギルダインに襲い掛かった。光の大蛇達は遠雷のような鳴き声を出しながらギルダインに物凄いスピードで体当たりしたり、噛み付いたり、踊り狂った。大蛇が動くたびに稲妻が弾け飛び、その生まれた小さな蛇達が大地を蹴って、さらにギルダインに攻撃をする。最後に4体の大蛇は凄まじいスピードで空を駆け上がり、空中で一つとなって雲を突き破っていった。

そして、次の瞬間、

 

〔ピシャアアアアアアアアアアアンッ〕

 

〔ズガアアアアアアアアアアアアアアンッ、ボボボボオオオンッ〕

 

 

「オボエトレヨッ、クソジジイドモッ!!!!」

 

 

天へと上った大蛇達は空で一つの龍となり、ギルダインへ目掛けて、光速で降ってきて、見事ギルダインを打ち抜いた。その時の音はまさに落雷。鼓膜を破らん限りの爆音と共にギルダインが大爆発を起こした。ギルガメッシュはいつものように捨て台詞を吐いて、黒煙と共に空の彼方へと飛んで行く。

 

「元気でなぁ~~~。」

のん気にギルガメッシュに手を振るラムウ。

 

「いやはや、久々に痛快じゃったわ。」

腰を曲げ伸ばししてハモウが続く。

 

「すっ・・・すごい・・・。」

目の前で起こった予想をはるかに超える戦闘に唖然とするラスター。

 

 

「これはこれは・・・大賢者様に、雷の守護獣ラムウ様。」

 

 

「ッ?!」

ギルガメッシュとの戦闘も束の間、ユッケが一番聞きたくない声が聞こえてきた。

 

「面白い事が起こるとは思っていたが、こんなに予想外な事は・・・むしろ、うれしいな・・・。」

ハディがニヤニヤしながらユッケ達の前に突如、姿を現した。

 

 

「ハディッ!!」

 

 

ユッケはハディの姿を捉えて、アルテマウェポンを構え、ラムウとハモウの前に躍り出る。

 

「ユッケ君ッ!」

素早いユッケの行動に呆気にとられて反応が遅れたラスターが慌てて後を追う。

 

「おいおいっ、待てよッ!」

シドがラスターに遅れないように続く。

 

「ポポポポポポポオオオオオオオオオオッ!」

モグッチは突然一人にされて、混乱し、慌てふためきながら決死の思いでシドに捕まった。

 

「ハハハハッ、生きていたのかユッケ君。なんともしぶとい奴だな。お母さんにそっくりだ。」

悪戯な笑みでユッケを挑発するハディ。

 

 

「・・・おまえに・・・母さんの何がワカルッ!!」

 

 

「待て、ユッケよっ!」

「挑発に乗るでないッ!」

ハディの挑発に激昂するユッケをラムウとハモウが素早い判断でユッケの肩を掴み制した。

 

「次から次へとなんなんだ一体・・・。」

後ろから追いついてきたラスターが呆れながらも銃を構える。

 

「おいおい、なんだなんだ。初対面だが、俺も怒りがMAXになりそうだぜっ。」

ラスターに続いて来ていたシドがユッケの怒りに触発されてイライラしていた。

 

「・・・クポポポポッ・・・。」

怒るシドに捕まった事を静かに後悔しているモグッチ。

 

「ユッケ・・・。君は本当に不思議な男だな・・・。一人で次元の彼方に行ったはずが、次に俺の前に現れたら、今度はまたへんてこな仲間を引き連れて・・・。君は何がしたいんだ?」

腰に手を当てて、やれやれといった表情でユッケを見るハディ。

 

「・・・お前こそ、何がしたいんだ!?こんなに世界を滅茶苦茶にして、アルテマクリスタルが手に入ったならもういいんじゃないのかっ!」

ラムウ達に抑えられながらも怒りをハディにぶつけるユッケ。

 

「フフッ・・・アルテマクリスタルがほしかっただけじゃない。これはあくまで通過点だ。」

ハディはユッケに答えるようにアルテマクリスタルを手にとって見せる。

 

 

「・・・これ以上何が望みなんだッ!!」

 

 

ユッケは煮え切らない答えに怒号を浴びせる。

 

 

 

 

「・・・世界の破滅だ・・・。」

 

 

 

 

ハディはユッケにこれ以上ない冷徹な目を向けて静かに答えた。

 

「・・・・・・。」

その場にいた全ての人間がハディの目を見て、言葉を聞いて、凍り付いて、そして無言になった。言葉を発すれば、それを感知して襲い掛かってくる化け物が目の前にいるように錯覚させた。

 

「・・・お前達には分かるまい。高々ミッドガルドのあちこちに転がっている石ころのマテリアルをほしがる人間に・・・。お前達には分かるまい・・・クリスタルがもたらす安寧にただただアグラをかく人間に・・・。『俺の目指す世界』など分かるわけがない・・・。」

ハディの全ての人間を見下す目がユッケに注がれる。

 

「・・・分かってたまるか・・・お前の思い描く世界なんて分かってたまるかっ!!」

「ッ?!まずいっ!」

ラムウとハモウがハディの言葉に囚われていた隙に、唯一動いたユッケがハディ目掛けて突進した。その時だった。

 

「ヌオッ?!」

ラムウが自分の変化に驚く。

 

「何ッ?!」

持っていたアルテマクリスタルが突然強い光を放ち、ハディがクリスタルに目を奪われる。

ラムウの身体とアルテマクリスタルが共鳴して輝き出す。そして、

 

 

〔フュージョン〕

 

 

ラムウが光の粒になって、ユッケを高速で追いかけ、ユッケを包み込んだと思った次の瞬間、光の中からライトニングナイトとして、姿を変えたユッケが稲妻をマトったアルテマウェポンと共にハディに襲い掛かった。

 

〔ガキンッ、バチンッ〕

 

「グワッ?!」

咄嗟にユッケの一撃を剣で防いだハディだったが、剣と剣がぶつかった瞬間に飛び散った蛇に噛まれて、電気が全身を駆け巡った。

 

「ナッ?!」

さらにハディが驚く。アルテマウェポンを受けた剣がみるみる熔けようとしていたからだ。

 

〔カランカランッ〕

 

ハディは持っていた剣を地面に投げ捨てて、ライトニングナイトとなったユッケから距離を取った。

 

 

「・・・おまえ・・・。」

 

 

思わぬ攻撃にハディはたじろぐ。

 

「・・・お前は・・・お前だけは絶対に許さない・・・。」

ライトニングナイトの仮面の下でユッケはアルテマウェポンを構え、ハディを睨み付けた。

 

 

 

 

 




因縁の相手、闇の民ハディが姿を現した!
怒りに身を任せて、ハディに立ち向かうユッケ
この強敵に打ち勝つことは出来るのか?

次回、「人智を超えた闘い」
青年よ、強敵にその剣を振り下ろせ!(千葉繁さん風)
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