ユッケ達は『大型陸上母艦ビッグブリッヂ』に
いよいよ迫ろうとしていた・・・。
〔バンッ!!〕
「どうなっている!・・・どうなっているんだっ!!」
ビッグブリッヂの司令室の中で、フォッカが予想外の状況に追い詰められた怒りを我慢出来ずに思うままに叫び、テーブルに思いっきり手を叩きつけて八つ当たりしていた。
「光の塔まで目前だったんだぞ!後もう少しと言う所でどうして・・・どうして、ここまで詰められる!念のためにと後方で待機していたのに、ここまでどうして奴らが攻め込めるんだッ!」
フォッカは状況をどうしても受け入れられずに周囲の人間と言う人間に叫び続けていた。
しかし、そのフォッカの疑問に答えられる者はもちろん誰一人いない。周囲の兵士達の方が情報を持っているフォッカに聞きたいくらいだった。
「・・・・・・。」
触らぬ神にタタリなしとばかりに黙る部下達。
「・・・・・・。」
フォッカは指の爪を噛みながら黙って考え込む。
(落ち着け・・・まずは落ち着いて打開策を・・・。)
今まで幾度の死線はあった。それを頭と人脈で潜り抜けてきた男フォッカは伊達ではない。
「・・・おい、あの女を連れて来い。」
フォッカが一番近くに居た部下に指示する。
「はっ、はいっ!」
指示を受けた部下は素早く返事をして行動に移った。
(あの女は弾除けに利用できる。まずは退路を確保して、態勢を立て直さなければ・・・。アースカンドに戻れれば、いくらでも打つ手はある・・・。)
フォッカはまた黙り込んで冷静にこれからの事を考える。
「・・・あのじじいは何をしている・・・。」
フォッカはまたすぐ近くに居た部下に尋ねた。
「・・・はっ!ギルガメッシュ技師は別室にて私事を・・・。」
部下はフォッカの逆鱗に触れまいと、即座に推測してギルガメッシュの事だと思い、答えた。
「・・・・・・。」
「うっ・・・。」
部下の言葉に苛立ちを隠せないフォッカが睨みつけ、部下は命を諦めるように怯む。
(・・・あのじじいに指示を出した所で聞くわけもない。この状況で逃げないと言う事は何かしらの行動を起こすということか・・・。なら、自由にして適当に暴れてもらうのが目くらましになるな・・・。)
部下に目を向けてはいるが虚空を見て思考を巡らすフォッカ。見られていると思っている部下はそれは生きた心地がしない。
「・・・・・・よし、我々はビックブリッヂを放棄する。女が来次第出るぞ。前線には応戦せよと指示を出せ!」
フォッカがその場に居る全員に大きな声でそう伝えた。
「はっ!」
部下達は安堵の表情を一瞬見せて、素早く敬礼をして指示に従って動き出した。
〔ウイイイイイイイーーーーーン、ジジジジジジジジジッ、カンカンカンッ〕
ビックブリッヂのある一室で、機械音が響き渡る。
「おやびん、逃げなくていいんでやんすか?」
ギルガメッシュの細長い体格の部下が作業をしているギルガメッシュにそう声をかける。
「・・・ばかやろう。ここから逃げてどうするってんだ。ここが俺達の正念場だろうがっ。」
作業の手を止めることなくギルガメッシュが答える。
「おやびん、逃げるが勝ちだと思うんだな。」
大柄な体格の部下が頼まれていた大量の部品をギルガメッシュの元に持ってきてそう言う。
「・・・逃げる先があるならな・・・さっさとよこせっ。」
ギルガメッシュは部下に目もくれずに作業に没頭する。
「なら、アッシラはどこまででもついて行くだけでやんすっ。」
大柄な部下が持ってきた部品の中から適切な部品を取ってギルガメッシュに渡す細身。
「・・・・・・ヤム、ドマ。逃げたいなら逃げても良いんだぞ。」
相変わらず作業をして一切部下達の方を見ないギルガメッシュ。
「なっ、何言ってるんだなっ・・・おやびんが逃げないならオイラ達も逃げないんだなっ。」
いつもおっとりしてる大柄な部下ドマはギルガメッシュの思いもよらない言葉に動揺して語気を強くする。
「おっ、おやびん・・・なんか変でやんすよっ。」
思わぬ言葉に細身の部下ヤムも動揺を隠せない。
「・・・わかったよ・・・それなら二人であっちの部屋にある部品を急いで持ってきてくれ。」
初めてヤムとドマの方を見て呆れた顔でギルガメッシュが指示を出す。
「分かったんだなっ」
「・・・・・・。」
ギルガメッシュの言葉にドマはドマなりの全力で駆けていく。ヤムは何か腑に落ちない表情でドマの後を追う。
「・・・・・・。」
二人の後姿を見ながら黙り込むギルガメッシュ。
「やっぱり今日のおやびんはおかしいでやんす・・・。」
部品を探しながらドマに話しかけるヤム。
「きっとお腹が減ってるだけなんだな。」
いつもののんびりした考えでドマが部品を探しながら答える。その時だった。
〔ガタンッ〕
「えっ?!」
二人が部品を探していた部屋の唯一つの出入り口の扉が閉まった。ヤムは驚いて声を出し、嫌な予感がして慌てて扉にかけていく。
「ドマッ、開かないでやんすッ!」
ヤムが扉を力一杯開けようとするがまったく開かないことに取り乱す。
「まかせるんだなっ。」
ヤムの声に答えるようにドマが腕まくりしながら扉に近付く。
「むうううううううううううっ!」
ドマの自慢の馬鹿力で扉を開けようとするが扉はビクともしなかった。
「・・・まったくお前達は最後まで役立たずの野郎共だぜ。」
扉の向こうからギルガメッシュがヤムとドマに言葉をかける。
「おやびんっ!」
「おやびんッ!」
ギルガメッシュの声に答えるかのように叫ぶ二人。
「お前達の面倒を見るのも飽き飽きした所だ。この扉はどうしたって開かねぇよ。ここでお別れだ。後は好きにしな。」
ギルガメッシュはそう言うと扉から離れていく。
「おやびんっ!」
「おやびんッ!」
扉の向こうから二人の今までで一番の大きな声がしている。
「・・・俺には俺の譲れねぇ道がある・・・だが、お前達も付き合う必要はねぇんだよ・・・。」
ギルガメッシュは出撃する準備をしながら誰にも届かない小さな声でそう呟く。
〔ブオオオオオオオオオオオンッ、ウィンウィンウィンッ〕
ギルガメッシュは一人で強化改良して、小型化した人型兵器に乗り込み起動させた。
「さぁ、ガキ共・・・決着を付けようじゃないかッ!」
ギルガメッシュは操縦しながらニヤリと笑い部屋を出て行った。
ああ