ビッグブリッヂの死闘にもその幕が降りようとしていた。
ギルガメッシュとユッケ達の戦いはコウチャク状態に入っていた。小型ギルダムを使い、補給も抜かりなく行っているギルガメッシュ。持久戦になってはユッケ達の方が分が悪くなり始めていた。ミューレの補助魔法も完全に分断されて掛け直す事も出来なくなり、ティアとユッケは攻撃はおろか、防御もままならない状態に陥っていた。
しかし、絶体絶命かと思われたその時、
「ギルガメッシュッ!お前の敗因は俺様だッ!」
今まで隠れて見ていたかと思われていたシドの声が格納庫に響き渡った。
「なんじゃとぉ~~っ?!」
聞き捨てならない発言にギルガメッシュがシドの声がした方を見る。
そこにはジープに乗ったシドの姿があった。後部座席には何かの装置をいじっているラスターの姿が見える。
打開策をシドがラスターに話してからの準備は思った以上に早かった。それもそのはず、事前にビッグブリッヂ内で暗躍していたアポニスの隊員達に連絡を取り、ギルガメッシュ打倒を優先してもらったからだった。ユッケ達がギルガメッシュに負けてしまってはアポニスの任務もままならなくなる。ユッケ達がギルガメッシュに勝てば、自分達の任務は問題なくやり遂げられると言うのであれば、優先順位も変わると言うものだった。しかも、このビッグブリッヂは戦場の前線基地ともいえる陸上母艦。妨害電波を発生させる軍用ジャマーを調達するのはアポニスにかかれば、容易い事だった。
ラスターから新たな任務を受けたアポニスの隊員達は自分達の位置と捜索していたビッグブリッヂ内の情報を元に瞬く間に備品室を割り出し、任務を完遂したのだった。
そして、今・・・。
シドがジープに乗り、ユッケ達に光明の光をもたらさんと現れたのだった。
「ユッケッ!長くはもたねぇぞッ!!」
〔ギャギャギャギャギャッ〕
シドがユッケに叫ぶとジープが勢い良くタイヤを回転させる。
「黙って隠れておればいいものをっ。」
ギルガメッシュがユッケからシドのジープへと標的を変える。
「信じてるぜッ!」
〔ブオオオオオオオオオオオオオンッ〕
シドはもう一度叫ぶと勢い良くジープを走らせた。
〔ドドドドドドドドドドドドドッ!!!〕
ギルガメッシュはシドの行動の意味を理解するはずもないが、ユッケ達を助けようとしているのを見過ごすわけには行かなかった。ガトリングガンで容赦なくジープを蜂の巣にしようと弾を撃ち込む。
〔ギャキャキャキャッブオオオオオオオオオオッ〕
ガトリングガンの弾を巧みに避けつつ、シドはギルダムではなく、小型ギルダムの群れの中へと距離を詰める。
「ナッ?!」
シドの行動の意図が分からずに困惑するギルガメッシュ。
「お前達、そいつを蜂の巣にせいッ!」
〔ビビビビコーーーンッ〕
自分達との距離を詰めてくるシドに対して、小型ギルダム達はユッケ達から標的をシド達に変えようとする。
「イマダアアアアアアアアアアアッ!」
「了解ッ!」
シドの叫び声に答えるようにラスターが大きな声で答える。
「ユッケエエエエエエエエエエエエエエエエエエエッ!!」
「ッ?!」
シドの叫び声に答えるかのようにユッケの身体が自然に動いた。
ユッケとシドの信頼関係からか?
否、
これは間違いなく、シドとラムウとの長年の関係から来るものだった。ラムウの意志がユッケの身体を先に動かした。
「・・・そうかっ!?」
身体が動いた先で小型ギルダムの動きが止まったのがユッケの目に入る。
そこでシドが何をしようとしていたのかがユッケに伝わった。
「シドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」
ユッケが気付いた瞬間にギルガメッシュもシドの意図を理解した。
〔連続魔法 サンダガ〕〔ズギャゴンッ、ズギャゴンッ、ズガガガガガガッ、ズガーーンッ〕
ミューレはシドの意図もユッケの行動も理解していない。ただ、ミューレはユッケをサポートすると言う信念に突き動かされて、ギルダムの動きを止めようと攻撃を放つ。ミューレには最早、小型ギルダムが自分を打ち抜こうがどうでもよくなっていた。
「グオオオオオオオオオオオオオッ?!」
ミューレの攻撃でギルガメッシュの動きが止まる。
「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」
ユッケはヘイストの効果も切れているにもかかわらず、物凄いスピードで小型ギルダムの中をアルテマウェポンを振りながら突き抜けていく。
〔ドドドドドガガガガーーーーーーーーーーンッ!!〕
ユッケが通り抜けた小型ギルダムは動くことなく、その場で爆発していった。そして、
「ハアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
ユッケはギルダムの頭上に飛び上がりアルテマウェポンを振り上げた。
「クソオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」
ギルガメッシュが左手を急いで動かす。
〔・・・・・・・〕
〔・・・ドガゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!〕
ユッケの一太刀は音も上げずにギルダムを切り裂き、ユッケがその場から離れるや否や、大爆発を起こした。
「・・・・・・。」
ギルガメッシュが眼を覚ますと、シドが床に仰向けに倒れている自分の近くに黙って座り込み、熱い眼差しを向けていたのが眼に入った。
死闘の末、強敵ギルガメッシュを打ち破ったユッケ達
その時、ユッケ達を導くように王者の声が響く。
そんな中、シドが闘いの末に見た科学者としての心境は?
次回、「科学者のイきる時代」
青年よ、時代に流されるな!抗え!!(千葉しげるさん風)