そこで見たモノとは?
〔ブオオオオオオオオオーーーーーンッ〕
「クソッ・・・クソッ・・・」
フォッカは走るジープの中でイライラしながら指の爪を噛んでいた。
(後もう少し・・・後もう少しだった・・・なぜ、失敗したんだ?考えてろ!考えて、今後の対策を立てねば・・・。)
フォッカは追い詰められたこの状況でも決して諦めず、打開策を探り、思考をフル回転させていた。この諦めの悪さ、執念こそがフォッカをここまで伸し上げた原動力だった。
「かッ・・・閣下・・・この女はどうされるので?」
運転していた部下がバックミラーで後部座席に座っているミナを見ながら助手席のフォッカに尋ねた。
「・・・・・・。」
ミナは揺れるジープの中、ハイライトの無い瞳で真っ直ぐと虚空を見詰めながら行儀良く座っていた。胸には拳代の少し大きなクリスタルが輝いている。
「保険だ、保険。何があるか分からん。しかし、こいつは有効な切り札だ。いざという時はおとりに出来る。」
部下の方を見ずに、指の爪絶えず噛みながらフォッカが答える。
「ッ?!」
運転していた部下が突然ジープの頭上を大きな影が通ったのに気付いた。
(アルテマの巫女の気配を感じて来てみれば・・・あの動く奇妙な箱の中にいるのか?)
ミナが乗っているジープの上空に居たのは他の誰でもない洞窟から這い出して来たバハムートだった。
ユッケからの手痛い一撃を食らってから、バハムートは色々と考えて、ハディの思惑を打ち砕き、アルテマクリスタルを取り返そうと再び戦場に戻ってきたのだった。
(ユッケ達の姿はないが・・・このまま、行かせる訳にも行くまい。)
そう思ったバハムートはジープの前を塞ぐべく急降下して行く。
「かっ・・・かっ・・・閣下ッ・・・。」
運転している部下は降りてくる巨大な怪物を見つけて驚愕する。
「・・・んッ・・・なんだっ。」
フォッカは考え事に夢中で、まだバハムートには気付かない。
〔ズシンッ!〕
「ギャオオオオオオオオオオオオオオーーーーーッ!」
「ギャアアアアアアアアアアアアアッ!」
「ヌワッ!」
〔キキィーーーツ、ギュルギュルギュルギュルッ〕
バハムートがジープの道を塞ぐように姿を現し、雄たけびを上げると運転手はジープがぶつからない様にドリフトさせて急停止させた。慌しい運転に驚くフォッカ。
「バッ、バカモンがっ!なんて運転し・・・て・・・っ?!」
突然のジープの動きに激怒するフォッカだったが、バハムートの存在に気付いて、呆然とする。
「アースカンドの愚かなる民よ・・・そこに巫女がいるな・・・。」
バハムートはジープを覗き込みながら問うた。
「なっ・・・ナッ・・・なんだあの化け物はっ・・・。」
フォッカは突然のバハムート出現に最早驚く事しかできない。
「カッ・・・かっ、閣下・・・巫女とはこの女のことでは・・・。」
部下が慌てながらバハムートの問いの答えを探そうとする。
「ぐぅっ・・・この女がこいつを呼び寄せたというのか・・・。」
泣きっ面に蜂状態のフォッカは苦虫を何十匹も噛み潰したように顔をシカめる。
「どうした、アースカンドの民よ・・・大人しく出さないのであれば、こちらとしても考えがあるぞ。」
バハムートは煮え切らないフォッカ達に対してその巨体を近づけて促す。
「ミナーーーーーーーーーーーーーーーッ!」
フォッカ達とバハムートが問答しているその時だった。
ビッグブリッヂの方からユッケの声がその場に木霊す。
「ムッ、来たか。」
バハムートがユッケ達の方に目線を移した。
〔バンッ!〕
「女ッ!そいつ達をなんとかしろっ!戦って時間を稼げ、いいなっ!」
フォッカ達はそう叫ぶと勢い良くジープから飛び出して、脇に広がっていた林の中へと姿を消した。
「ヌッ、にがすっ・・・。」
バハムートがフォッカ達の走り去る先に攻撃しようとしたその瞬間、
〔ファイガ〕〔ゴゴゴゴォオォォォッ、ボボォーーーッ、ドーーーーンッ〕
「ヌワッ?!」
突然、ジープの中から攻撃を受けてバハムートがたじろぐ。
「了解しました、マスター。」
ミナがジープの中から、棒読みのように台詞を言いながら出てくる。
「全力で敵を排除します。」
虚ろな目でバハムートを見ながら臨戦態勢に入るミナ。
「・・・巫女よ・・・どうしたというのだ・・・。」
ミナの変わり果てた姿に動揺を隠せないバハムート。
「ミナッ!」
バハムートに対峙しているミナに声を掛けて近付こうとするユッケ。
〔ファイガ〕〔ゴゴゴゴォオォォォッ、ボボォーーーッ、ドーーーーンッ〕
ミナは近付いてきたユッケに向かってタメラい無く攻撃魔法を放った。
「ノワァッ?!」
ミナの攻撃を寸でで交わすユッケ。
「敵を全て排除します。」
ミナは与えられた台詞を淡々と読むようにそう呟く。
「ミナさん、私達ですよッ!」
ユッケの後方からミューレが叫ぶ。
「どうしちゃったのよ、ミナっ!」
ミューレのさらに後方から追いついてきたティアがミナに叫んで尋ねる。
〔サンダガ〕〔ズギャゴンッ、ズガガッ、ズガーーンッ〕
「キャアアアアアアッ?!」
「ワッ、チョッ?!」
ミナの容赦ない攻撃を避けるミューレとティア。
(どうやら、正気ではないようじゃな・・・)
ユッケの中でラムウがミナの様子を見ながら推測する。
「くっ・・・どうやって、ミナを助ければいいんだ・・・。」
ミナの攻撃を警戒しながらユッケが呟く。
〔ヘイスト シェル プロテス リジェネ〕
仕掛けてこないユッケ達を他所に、ミナが臨戦態勢を整える。
「ユッケさんッ!」
ミナの行動を見て、ミューレがユッケの名前を呼ぶ。
「・・・わかったっ!」
ユッケはミューレの意図を理解して、ミナを警戒しながら素早くミューレの方へと近付いた。
ティアも既にミューレのところに来ており、ユッケがそろうと
〔ヘイスト シェル プロテス リジェネ〕
ミューレもミナに負けじと補助魔法をユッケ達に施した。
「ユッケよ、あのクリスタルから並々ならぬ禍々しいエネルギーを感じる。元凶はあれだっ。」
バハムートがミナの胸に輝くクリスタルのことをユッケ達に大きな声で伝えた。
「・・・そうは言っても、ミナがあれをはいそうですかって外してくれるかしら・・・。」
もっともな事を言うティア。
「・・・でも、やるしかないよ・・・。」
ユッケがミナを見据えながらティアに答える。
〔アルテマ〕〔ブゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーンッ〕
「えっ?!」
ミナが次の攻撃を仕掛けてきたその時、ユッケ達の目の前で白い小さな輝きが現れて、大きく膨らみ出した。
「逃げろっ、ユッケッ!」
バハムートがその攻撃が発動した瞬間に叫ぶ。
「ちょっ?!」
「アワワワワッ?!」
「ヤバッ?!」
〔ズガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ・・・〕
小さな光の玉が姿を現したかと思うと瞬く間に大きく大きくなって、大爆発を起こした。物凄いエネルギーの爆発にその場に在ったあらゆるモノが飲み込まれ、姿を消した。その爆発の後に起こるソニックブームにより、周囲の木々は爆心地に近い物から根を大地から剥がされるように空中に引っ張られていった。
闇の民に操られているミナに苦しめられるユッケ達
そして、ミナはアルテマの巫女としての
最強の攻撃をチュウチョすることなくユッケ達に放っていく
次回、「アルテマ」
青年よ、究極の破壊を味わえ・・・。(千葉しげるさん風)