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深い闇に包まれた夜・・・
私は必死に逃げていた。
走っても走っても、後ろから追いかけてくる足音が聞こえてくる。
もう足は限界に達していた。
暗い森の中に、自分の荒息が響いている。
後ろとの距離はどんどん詰まっていく。
後ろを振り向く余裕もなく、とにかく真っ直ぐに逃げる。
しかし、足音が自分のすぐ後ろまで追いついたとき、ぴたっと足音が止んだ。
一瞬の安心から、前のめりに思いきり倒れこんだ。
すぐさま後ろを振り向いたが、そこには誰もいなかった。
周りを見渡しても、深く暗い森がひたすら続いているだけだった。
呼吸を整えようと深呼吸をした。
全身から汗が滝のように流れ、手や足には無数の傷があった。
多分逃げているときにやったものだろう。
さっき転んだときに擦りむいた膝の傷も、緊張で今まで痛みも感じていなかった。
疲弊した体をゆっくりと起こそうとした時、
〝グサッ〟
「うっ。。。」
腹にものすごい痛みを感じた。
半分立ち上がろうとしていた体が前に倒れ、うつ伏せになった。
ひどい痛みで頭痛がでてきた。
腹からは血がとめどなく流れだし、自分の周りの地面を赤く染めた。
少しでもここから避難しようとするが、意識が朦朧とし、力がうまくだせない。
後ろから、ガサッガサッと相手が近づいてくる音がする。
なんとか離れようと最後の力を腕に込め、手の力だけで体を引きずる。
爪が剥がれたが、そんなことは気にしていられなかった。
相手が自分に追いつき、体の上にまたがった。
少しの静寂のあと、
〝グシャッ〟
首から肩にかけてを刀で切られた。
周りに血が飛び散った。
もう力も出せず、目の前が見えなくなってきた。
自分は最後に小さく、
「・・・・勝った。」
と呟き、息絶えた。。。
森の中に、月の光に照らされて血が赤く輝いていた。
ー10年前ー
「君が新しく入った、
「はい。よろしくお願いします。」
私は初めて会うAGUKI部隊隊長の
部屋の中は、案外広く、机が並び、特に面白味のない部屋だった。
「まぁまぁ、そんな固くならずに。」
後ろの扉からここの室長の
「あ、ありがとうございます。」
そういう天道室長は、とてもスタイルが良く、モデルになってもおかしくない体型だった。
その中には、絶対好意を持っている奴がいるだろうなぁ、と、ろくでもない考えが浮かんだ。
〝全く、俺は何を考えているんだか。。。〟すぐにどうでもいいことを考えてしまうのは、俺の難癖なのでね。。。
「今、お茶入れるから、座ってて。」
「あ、私がやりますよ。」
「いいのよ。これくらい。」
私は遠慮気味に自分の机についた。
天道室長は、笑顔を浮かべながら、コップにお茶を注いでいる。
「そうやっていつも天道室長は甘やかすんだから。。。」
と小野は私に鋭い目線を向けてきた。
なるべく気づかない振りをしてなんとかスルーしておこう。
俺は敢えて気付かないふりをした。
私がここ、退治対策室に就いてこれで3日目になる。
現在の日本には、恨みを持った人間が死ぬと怨霊となりこの世界に怪奇現象や恐怖現象などを引き起こす。
その怨霊の8割は、次第に報われるか、成仏して極楽浄土に行ける。
しかし、怨霊がなんらかの事象で堕落すると、死神へと転生する。
怨霊は人間に物理的な危害を加えることはないが、
死神は強い怨恨によって、人間に甚大な危害を加えるようになるのだ。
逆に、私達は怨霊には攻撃が効かないが、死神なら攻撃を与えることができる。
死神によって昨年は450人が死亡、980人が負傷した。
その被害は年々増加しており、こうした被害をなくすため、死神を退治するために設立されたのが存霊対策局である。
私は幼いころから武術の訓練を父にさせられていた。
来る日も来る日も刀を持って、道場で1日中練習していた。
そのおかげからか、中学の時に存霊対策局にスカウトされ、情報統計室でずっと活動してきた。
しかしこの前、ある問題をおこし、この退治対策室へと配属されてしまった。
「はい。どうぞ。」
天道がお茶をくれた。
「ありがとうございます。」
温かいお茶かと思って、息を吹いて冷ましたが、どうやら冷たいお茶だったようだ。。。
それを知っていたのか、小野は隣でクスクスと笑っている。
ったく、いちいち嫌らしい奴だ。。。
この退治対策室には約30名が所属している。
今、この事務室には20人ほどいるのかな。と、辺りを見渡していると、
「ところで井野君。」
と天道から声をかけられた。
「君は死神を退治したことはある?」
「それはもちろん。前にいた所では、トップファイターとして貢献していましたよっ。」
つい自信が態度に出てしまった。
「ゴホン」
とひとつ咳払いをして、場を立て直した。
天道は俺の言葉にあまりいい顔をしなかった。
「そう。ここでもくれぐれも注意してね。」
と忠言された。
少し気に食わなかったのかな。まあ、実戦で腕前を発揮できればいいか。と実戦に意気込んだ。
明日、また更新できればいいと思っています。
お読みいただきありがとうございましたっ