その点を踏まえて読んでください。
音の発生源を追って少し開けたところにでた。
すでに他の部隊の人たちは円形に広がり、20mくらい離れた所から
そう。そこにいたのは、身長5mくらいはあろうかという死神だった。
顔は骸骨で、眼の部分が赤く光っている。体全身を黒いマントで覆い、手にはその体よりもひとまわり大きい斧を持っている。
井野は驚いた。今まで、こんな相手とは戦ったこともないし、見たこともなかった。
刀を握っている手が汗ばんでいる。
井野は、後ろめたい気持ちを抑えて、心を静めて刀をゆっくりと抜いた。
「攻撃開始~っ!」
という小野安久樹の掛け声で、すでに集結していた3部隊が一斉に攻撃し始めた。
〝ババババン、ダンダン〟
銃声が鳴り響き、木にいた鳥たちが驚いて空に散った。
俺は深い深呼吸をしてから、
「おーーーー」
と敵に向かって一直線に走りこんでいった。
こちらに気づいたのか、死神がこちらに体を向けてきている。
避けられる自信はあった。俺は幼いころから特訓をしてきた。それに、前いた部署でも大活躍を成し遂げているのだ。
いつものようにやればいい。
そう思いながら、みるみると相手との距離を縮めていった。
後方からの銃弾で死神は少しよろけていた。
しかし、そんなことは歯止めにならず、俺に向かって死神が大きく上に斧を振り上げた。
その風圧で少し走る速度が落ちた。それを感じて、改めて相手の巨大さに圧倒された。
「注意しろーっ」
後ろで橋本竜司が叫んでいる。
「そのくらい分かってるさ。」
俺は心の内でそう返した。
今までより強い相手であろうと、多少の自信を持っている。余裕の笑みをこぼした。
すると死神は全体重をかけて、その振り上げた斧を俺に向かって一気に振り下ろしてきた。
俺は瞬時にそれを判断し体を右に
〝ドーーンッ〟
斧はすぐ左の地面に突き刺さり、とてつもない砂埃をあげた。
そのせいで周りが見えず、息もあまりすることができない。
目に砂が入ることを承知で、懸命に周りを見た。
何か飛んでくると思い、その場で身構えた。
すると左から斧が横に飛び出してきた。
〝ブンッ!〟
俺はとっさにうつ伏せになり、なんとか斧は自分の頭上すれすれを勢いよく通過していく。
「なかなかやるじゃねえか。」
久々の手強い相手に、俺は少し興奮気味になった。
相変わらず、周りからは銃声が絶えず聞こえており、自分の中で、死神ももうそろそろ弱ってきてるんじゃないかと思い始めてきた。
すると砂埃がだんだんと収まり、周囲がはっきりと見えてきた。
再び死神の方に目を向けたとき、ちょうど死神はSH部隊のすぐ傍に立っていた。
いつの間にか死神は、俺が砂埃にまみれている間に、ここから数十メートルの位置に移動していたのだ。
急いで駆けつけようと思ったとき、死神はその部隊の位置で斧を横にめいっぱい振り回した。
「あっ!」
と思った時には遅かった。
そこにいたSH部隊の数名の上半身が一度に宙に舞った。
〝ズバッ!〟
鮮やかな血が飛び散り、死神の斧を赤く染めた。
腰で切断され、人間の体が真っ二つに分かれた。。。
上半身が消えた下半身が、まだ立っているのがはっきりと見える。
その下半身も、数歩よろけた後、地面に倒れた。
また、残りのSH部隊もその風圧で体ごと数十メートル吹き飛んだ。
あまりの悲惨な光景に、井野は目を見開いて、立ち尽くすしか出来ないでいた。
しかし、なおもAGUKI,RYUJI部隊は敵に向かって銃で応戦している。
死神は体にその弾を受け、体に複数の穴が開いてきているにも関わらず、全く攻撃の手を緩めようとしない。
俺は目の前の惨状に唖然とし、足が震えている。
そして、今までにない恐怖が体を駆け巡った。
俺は、はっと我に返り、自分のやるべきことを思い出し、体に力を込めた。
「俺は、みんなのことを助けるんじゃないのかよ!」
「あいつを倒さなきゃいけないんだ!」
井野は再び敵のもとへ走り出した。
〝今度は後ろから攻撃しよう。〟
そう井野は思い、相手の後方から近づき、
〝ズバッ〟
と敵を切りつけた。
〝ウォーーーー〟
と、鼓膜が破れそうな叫び声をあげ、死神は前のめりになった。
これは攻撃が効いたか?
と少し安心したのもつかの間、
敵は前のめりになった勢いで右方にいたAGUKI部隊に斧を振り回した。
「えっ!?」
こちらに攻撃を回してくると予想していなかったAGUKI部隊は数名の足が切断された。
「あ゛~~~」
切られた人たちが悲痛な声をあげている。
「支援班!!支援班を呼べ~~!」
小野安久樹隊長は仲間にそう叫んでいる。
続けて死神は、その斧を下から上へすばやく振り上げた。
そして斧のすぐ傍にいた隊員が即座に犠牲になった。
その隊員は、勢いよく斧の先端にひっかっかっり、数十メートル上空まで持ち上げられた。
その血が下にポタポタと滴り落ちている。
「おい、死神!俺はこっちだ!なぜ俺を攻撃しないんだ!」
俺は後ろからそう叫んだ。
その言葉など通じるわけもなく、死神は俺の目の前で、逃げ惑うAGUKI部隊を
俺は足の力が抜け、しりもちをついた。
「一体、どうしろっていうんだ。。。」
もう絶望的になった。
さっきから攻撃している銃弾は、こいつにとって効いているのか効いていないのかわからない。
しかしだんだんと、顔の骸骨の骨が砕け、よたよたとしてきたのは分かる。
本当ならば今ここで相手を刀で切りつけなければいけないところだが、自分にはその勇気はなかった。
また変に攻撃して、他人が傷つくのが怖かった。
もう限界だ。。。と思ったとき、
〝シュー〟
と自分の左を、ロケットランチャーが死神めがけて飛んでいった。
多分、竜司が撃ったものだろう。
その弾は運よく、敵の腹に直撃した。
〝ドーーン〟
その衝撃で骨が砕け、腰から下がもろもろと崩れ落ちた。
死神は、「ぐわ~~~~」と力なく倒れた。
俺の前方でくたばっている。
半身状態になった死神を見た井野は、
「やったぞ。。。あとちょっとで勝てる。隊長さん、ありがとう!」
と少し希望が見え、体に力が入ってきた。
立ち上がろうと思った瞬間。
〝ガンッ〟
「いて~~~~~~!」
井野は突然の痛みにその場でもがいた。
足元を見ると、あいつの斧が自分の片足に直撃していた。
なんと死神は数十メートル先から自分の斧を俺にめがけて投げてきたのだ!
長さ5m以上の斧が足の膝下あたりに刺さり、当然俺の膝から下は完全に切断されていた。
「あ゛ーーーー」
あまりの痛さにまともに声も出せなかった。
「今更、俺を殺すってか。。。」
死神は半分しかない体を起こし、俺のもとへズルズルと寄ってきた。
「た、助けて。。。」
片足を失った井野は、そう叫ぶしかなかった。
片足がない状態で、うまく立てない。
せめて隊長の竜司のところまで辿り着こうにも、相手を巻けるわけがない。。
数十メートル離れていたのに、死神の2歩程度で追いつかれ、
赤い眼がこちらを睨み、その眼には憎しみが込められていた。
井野は、もう半泣き状態だった。
死神は足に刺さっていた斧を引き抜いた。
「ぐぁー。」
抜いた時、再びとてつもない痛みが全身を走った。
「や、やめてくれ。。。」
必死に逃げようとしたが、やはりなかなか進むことができない。
竜司を見ると、さっきのロケランが最後の弾であったのか、アサルトライフルを連射している。
その弾も、もうまともに当たっていない。
周りを見ても、すでに逃げた者、狂ったように銃を連射している者、呆然と立ち尽くす者、、、
到底、俺なんかに構っている余裕はない。
死神は最後の獲物でもあるかのように、じっと俺を見つめている。
そして、ゆっくりと斧を振り上げた。
もうだめだと思った。
逃げることを諦めて、目を瞑った。
今までの思い出が頭をよぎった。
本当に情けなかったと思う。他の人たちも助けられず、退治なんて全然できなかった。
今になって自分の本当の弱さを知った。
〝天道室長はあの時、注意してくれたっけな。
あの言葉通り、もっとちゃんと注意してれば良かったな。。。〟
次から次へと後悔がでてくる。
そして死神が斧を下ろそうとした。。。
俺は息をのんだ
どうでしたか。
ちょっと切りの悪い所で終わらせてしまいました(汗)
次話もすぐに投稿しようと思っているので、よろしくお願いしますmm