憎しみの形   作:沖野ミノン

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この話から、少し問題がでてきます。

ぜひ、少し考えて読んでみて下さいっ


疑問

ーーーそして死神が斧を下ろそうとした。。。

 

しかしその時!

「ダンッ」

・・・・・・・

死神は振り上げた動作で停止し、そのままの体勢で後ろにゆっくりと倒れた。

〝ドサッ〟

仰向けに倒れた死神の赤い眼から、光がゆっくりと消え、死神は‘死んだ’

俺は何が起こったのかわからなかった。

橋本も呆然と立っている。

「い、一体、何が起きたんだ?」

場が静寂に包まれた。

ふと周りを見ると、遠くの方で平田晴香が手を振っていた。

そう。平田がスナイパーライフルで相手を仕留めたのだった。

助かった。。。

本当に危機一髪だったな。。。

「あれ・・・・なんか・・・」

俺はそのまま意識が遠のいていった。。。

 

 

気が付くと俺は病室にいた。

俺は助かったのか。

自分の手を上に挙げて、改めて生きていることを実感する。

ふと自分の脚を見るとやはり切断された左の脚が、膝下から無くなっていた。

あれは夢じゃなかったのか。

あまりの恐怖だったことにそんなことまで考えてしまう。

〝これではまともに走ることもできないんじゃないのか?〟

ちゃんと今までのように走れるのか、それがとても心配だった。

すると病室に、隊長の橋本竜司が入ってきた。

「よう。良かった。目が覚めたんだな。」

「俺、どれくらい眠ってたんですか?」

「あれから今日で3日目だ」

「そ、そんなに意識なかったんですかぁ。」

「そうだ。まあ意識が戻ってよかったよお。

 よいっしょ。」

竜司はベッドの隣にあったイスに疲れ切った腰をゆっくりと下ろした。

深いため息が、今回の惨劇を物語っていた。

「あの時のロケットランチャーには助かりましたよ。」

あまり思い出したくない事象だったが、一応お礼は言っておこうと思ってそう言った。

「いやいや、実際あの攻撃じゃ倒せないかったし、お前の役には立たなかった。」

しかし、あの攻撃であの状況の転機になったのは間違いない。

「でも、いろいろありがとうございました。」

「礼を言われるような事はしてないさ。」

と、橋本は初めて笑顔を見せた。

「それより、井野聞いてくれ。」

急に、竜司の面持ちが真剣になった。

咳払いをひとつして、椅子に居直った。

「あの、死神のランクなんだがな、、、」

小声で俺に話しかけた。

「あ、はい。確かランクCでしたよね?」

そう。あの時、確かに無線でそう伝えていたことを思い出す。

「それが、室長さんの調べによると、どうやらBだったらしいんだよ。」

「え?どういうことですか!?」

実はこのランク通知は毎度、情報統計室が行っている。

前、自分がいた部署であるが、その仕事には関わっていなかった。

確かに、思い出すと、ある班が毎回毎回ランクの調査をしてたっけな。

でもその仕事は、前例や被害状況、怨念の強さを、規則によってランク分けするだけの至って単純な仕事であった。

「そのランク調査を天道室長が自分で行い、その結果がBだと・・・?そういうことですか?」

「そういうことだ。室長自らの口からこぼしていたのをちょっと聞いてしまってよ。。。」

「そ、それはどちらの情報が正しんでしょうか?」

気づいたら、ベッドから身を乗りだしていたことに気づき、もう一度横になった。

「今回の相手の強さは、我々の予想を遥かに上回っていた。」

 我々は、ランクCに見合った武器を選び、それで対抗した。

 しかし、相手には全然敵わなかった。こんなことは今までにない。」

確かに、あの時の射撃は相手にとって効果があったとは言えない。

「じゃあ、やっぱり、ランクはBだったのでしょうか?」

「そうだと思う。」

橋本は下を向いている。

俺は、ベッドで天井を見上げたまま考えた。

〝一体これはどういうことなのだろうか。

 単に情報統計室が誤った判断を出した?それならすでにそれなりの通達が来ているはずだ。

 故意にやったものなのか?それなら、なぜそんなことをするのだ。。。?〟

頭は疑問でいっぱいになった。

「これは、他の人には伝えたんですか?」

「ひとり、平田には伝えた。他には言ってない。」

つまり、このことを知ってるのは、天道室長と橋本隊長、俺、平田の4人ということか。

まあ、室長が他の人に言ってなければの話だが。。。

「まあ、あまり気にするな。あまり首を突っ込まない方がいいような気がする。」

と、橋本は俺の肩に手を乗せた。

「あとで、平田に礼を言っておけよ。平田がいなかったらお前は今頃死んでたんだからな。」

橋本は、冗談ぽく笑いながら言った。

「そうでした。平田にはとても感謝しています。今度会ったときにしておきます。」

「そうしてくれ。」

よいっしょ。橋本は重たい腰を上げて、椅子から立ち上がった。

「また今度くる。早く退院しろよ。」

「はい。なるべく早く復帰できるようにします。」

と意気込んだ。

「でも、あまり無理はするなよ。んじゃあな。」

手を軽く上げて、病室を出て行った。

思ってみれば、こうして2人で話したのは初めてだったな。

井野は、予想よりも仲間思いでとても良い人だと感じた。

「ふう~」

俺は体に溜まった、よどんだ空気を吐きだし、目を瞑った。

するとすぐに、深い眠りについてしまった。

 

目を覚ますと、隣の椅子には平田が座ってた。

「あ、おはよう。よく眠れた?」

明るい声でそう挨拶をしてくれた。

窓を見ると、朝日が差し込んでいる。

日が変わったのか。。。

「あ、おはようございます。」

目を擦りながら答えた。

「脚の方は大丈夫?」

平田は俺の足を見て、心配そうに言った。

「おかげでもう痛みは引けました。それより、先日は本当にありがとうございましたっ。

 平田さんに命を助けてもらって、なんとお礼を言ったらいいのか。。。」

井野は、顔を紅潮させて精一杯お礼を言った。

平田はにこっと笑って、

「ああいう時は助け合うのが当然ですよ。私はただ当然の事をしたまでですよ。」

俺は、本当にいい仲間に巡り合えたと思う。

「今度、何かお礼をしますよっ。そうじゃないと俺の気持ちが許さないです。」

井野は平田の手を握って、言った。

「いえいえ、そんな悪いですよ。気持ちだけ受け取っておきます。」

平田は微笑みながら軽くお辞儀をした。

俺はなんだか、涙が出てきた。

それは安心からなのか、仲間の優しさからなのかは分からないけど、とにかく大声で泣きたい気分だった。

「ど、どうしたんですか!?」

平田がびっくりしたように言った。

「いや、ちょっと。。。なんだろう。。。」

流れた涙を手で拭いながら、照れくさく笑った。

「もう安心して下さい。平気ですよ。」

「ありがとうございます。平田さんのおかげで勇気がでました。」

涙を拭いた、井野の目には、士気の光で満ち溢れていた。

「早く退院して、またみんなと会えるのを楽しみにしてます。」

「うん。早く戻ってきてね!。。。」

笑顔を浮かべた平田を見た井野は、どこか違和感を感じた。。。

「じゃあ、また今度来るね。」

と、平田は椅子から立ち上がり、足早に病室を出て行った。

〝あれ、、、なんか隠してた?〟

さっきの笑顔の平田の顔が頭に残っている。

笑顔の下に違う感情があるようだった。

そういえば、昨日橋本は、()()()()を平田にも話したと言った。

でも平田は今回その話題については触れなかった。

俺を気遣ってのことなのだろうか。

まあ、今度会ったときにでも聞いてみよう。

 

あの悲劇が終わった井野の心の中には、安心と疑問が交錯していた。

 




井野は、片足を失って、大きなハンデになってしまいました(汗)

それが後々、大きなカギに。。。
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