目が覚めたらパチュリーになっていた件について   作:レアブルー

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目が覚めたらパチュリーになっていた件について

「はい。……いや、はいじゃないが」

 

いつもどおり、朝起きて顔を洗いに洗面台の前に立つと、眠気に抗おうとしかめっ面をしている紫の魔女が鏡に映っている。

 

「実際になってみるとなんとも何をすればいいのか、ぱっと思いつかないな。いや、別に何かしないといけないわけでは無いのか」

 

 

頭が回らない、多分寝起きで元々朝が弱いのもあって、とりあえず脳に栄養を与えようと、いつもどおりそのまま顔を洗い、歯を磨いて、昨日帰りに買っておいた惣菜パンを頬張る。一緒に牛乳も飲んで一息。

 

人間、もはやルーチンとなった行動は体が変化しても自動で行うようで、パンを頬張りながら、片手にはスマートフォンを持ち、朝のログインボーナスを受け取る。

 

「十連……何も無し、よし。よくない」

 

もしゃもしゃと行儀悪くスマホながら朝食。正直、鏡を見たりしない限りは、自分の手がやたら細くて綺麗なこと意外は特に代わり映えを感じない。朝起きたときに、なんか髪が邪魔な気はしたが、元々、すごい短髪というわけでも無かったので気にとめていなかった。

 

そんなとき不意に鏡を見るとこちらを見つめる美少女が一人。正直、心臓が飛び出るかと思うくらいびっくりした。いや誰??となったが、服装も髪型もそのままだとさすがにすぐ察した。

 

「ごちそうさまでした。……さて、これからどうしましょうかね」

 

別に口調が体に引っ張られるとかはないが、容姿が'そう'だとなんとなくまねてみたくなるという物。定番だと、両親への説明だったり、学校、仕事やバイト先への説明になるけど。

 

……とりあえず両親は私が寮暮らしのため離れて暮らしているので問題なし。バイトや仕事はやっていないので問題なし。

 

「学校への説明……いやこれ無理でしょ」

 

顔や髪色、髪型、性別まで変わって説明がきくかと言われると明らかに無理。そもそも遺伝子情報が一致しなければ、完全に元の自分と今の自分をつなげる物がなくなってしまう。

最悪、整形しましたとでも言えばなんとかなるか?……いやいや、性転換はいろいろ話作りが厳しい。だいたいなんでこちらが説明に苦心しなきゃいけないんだ。こっちは被害者やぞ、

 

別に嘘じゃないから素直に、朝起きたら女の子になってましたーっていえば、そっかーなら仕方ないね、ってなってくれないかな?くれないですね。

 

「そもそも実際、何がどうなってパチュリーになったんだ。最近のTSものは割と理由あったりするから、そこらへん気にしないといけないかもな」

 

理由無く何故か突然変化しましたー、より、突拍子が無くても、何々の陰謀や目的でTSしちゃいましたー、みたいな理由があった方が納得しやすい。正直、どちらも大差ないんだけど、気持ちの問題。

 

「とりあえず今日は休みだから、定番の能力検証と行きましょうか」

 

検証過程はスキップして結果。

 

が………ダメっ……!!!!

圧倒的日常、圧倒的普遍。

しかし なにも おこらなかった

 

魔力の魔の字も感じず、気も精霊も妖力も何も変わらなかった。変わったのは容姿だけのようだ。

 

「普通に考えて、特殊な能力もなしに、身寄りの無い美少女が一人って 明らかに詰んでいるのでは。今後の生計をたてるにあたって最悪の想像しか出来ないんだけど」

 

もしかするとお人好しで甘々な母上にどうにか事情を説明して泣きつけばなんとかなるかもしれないが。しかし、いつまでも母上に頼るわけにも行かず、さらに、母上から拒絶された場合も考えないといけない訳でして、さあ、いったいどうしたものか。

 

「七曜関連の能力とかがあれば、それを使ってなんとかなったかもしれないのになぁ。ほんとにただの不審美少女になってしまった」

 

能力どころか空を飛べる気配もなく、ただただひ弱で可憐な少女がそこに居るだけ。しかもこのご時世に学歴というか、生まれてからの来歴が一切存在しない。バイトなどもやったことはないが、流石に身分証明書系統は求められるだろうし、求められなかったとしても、バイトだけで今後の生を紡いでいくのは……

 

「まあ、といってもフリーターとかよく聞く話だし、多分なんとか生きてはいけるでしょ」

 

楽観的だと思われるかもしれないが、悲観的でも状況は好転しないわけでして、そうであれば、とりあえず今自分が出来ることを想像して、計画を立てることが最善であると思うわけですよ。

 

とりあえず……

 

 

「せっかく綺麗な髪だけど、流石に世間的に黒に染めた方が良いのかな?このままだとまともにバイトにすら受からなそうな気がする」

 

私の頭からスルリと流麗に流れる紫色の髪。現実だと違和感があるかもと思っていたが、淡い紫のこの髪は儚げな少女の表情も相まって、幻想的な美しさを出している。……いるが、現実は非情である。異質な物は打たれやすいのだ。

そんな綺麗な髪を黒で塗りつぶすのはとても心苦しいが、現代で生きて行くにはおそらく染めるしかないだろう。

 

「よく創作物で配信者ルートとかあるけど、うまい話ができる自信も無いし、 普通に特定とかストーカーとか怖いし……だいたい顔出し配信とか、昔のネットリテラシーを引きずってる自分にとってはハードルが高すぎる」

 

どうして現代は顔出し配信が当たり前のように世に出ているのだろう。少し前とか顔を出したら即特定、人生終わりレベルの意識だったのに……。

技術が発展した現代の方が、気軽にひょいひょい顔出しているのはおかしいんじゃないかと常々思ってはいたんだよね。みんな出せば怖くないの精神なのかな?

 

確かに木っ端の顔出し配信者より、有名な顔出し配信者のほうに被害が向きそうな物ではあるけど。何かの拍子でネットに残り続けるのも嫌だし、ましてやパチュリーの顔とか一生どころか死んでも残り続けそうだから絶対に嫌。

 

「……まあ、百歩譲って声のみ配信とか、Vtuberとかなら許容圏内かな」

 




東方の現代or転移をみんな書いてくれー
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