目が覚めたらパチュリーになっていた件について   作:レアブルー

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魔法を使えない魔女はただの紫もやしな件について

「とりあえず定番の東方projectで検索したものの……」

 

まさかのノーヒット。

よくわからん復興支援みたいなのやら、普通に開発プロジェクトやらがヒットして美少女の影も形も見当たらない。

 

「もーしかしてTSってより世界線移動した?」

 

こうなってくると考えられる自分の状況も少し絞られてくる。まず、東方projectが作品としてないことから、この"現実"に彼女らが存在する可能性が出てくる。そして自分にのみ東方の記憶があることから、自身が東方がある世界から来たか、世界から東方が消えたかのどちらかとなる。

 

「まあ、なるっつっても今の自分がそう思ってるだけだけど」

「んー正直実際起こるとほんと訳わかんなすぎて思考放棄したくなってくるなー」

 

とりあえず、この世界に東方がないことによって、【速報】パチュリーノーレッジ、現世に現る!みたいなことにはならないことが判明した。とはいえ、流石にこの紫髪が許容されるかというと難しいものがあるだろうし、"元の"自分とかけ離れすぎてフリをすることも難しい。

 

「いや、詰んでね?この状況。今からでも良いから

 ゆかりんやらレミィやら助けてくれー」

 

幸い、口座には数年は暮らせるほどの貯金はある……なんてことは苦学生である自分にはありません。今、普通に慎ましく暮らしていく分には両親の仕送りで十分まかなえているけど、そもそもこの容姿じゃ学校に出られないし……

 

「……両親への説得フェイズや学校への

 説明フェイズを考えるだけで胃が痛くなってきた……」

 

もう、ゴールしても良いよね……?特に何か行動したわけでもないが、どう考えてもお先真っ暗なこの現状だけで、すでに(精神的に)満身創痍になっている。

 

「……もーいいや、東方がないならコンビニ行くくらいだったら、ちょっとやべー髪色のやつがいる位ですむでしょ」

 

なんだかんだ現代ではピンクやら紫やら特異な髪色の若者は珍しいがいなくはない。最悪、東方がある世界でも、正直格好すらきちんとしておけば髪色だけで東方キャラと特定するのは難しい。言ってしまえばただの紫髪の美少女だ。

 

起きたときは謎に服装もパチュリー仕様になっていたのが意味不明だが、幸いクローゼットの中身が全部紫ローブにされたわけではなく、普通にパーカーやらジーンズやらある。……よく考えると服装もそのまま変化してるのやばいな?憑依というか、そっち方面も考慮する必要が出てきたか?

 

「……とりあえずパーカーのフード被ってマスクして行くか」

 

これでほとんどのパチュリー要素は消える。瞳の色とか端から覗く髪色は隠せないが、傍目にはボーイッシュで派手めな若者くらいになるだろう。

 

 

 

 

「はい、ではコンビニに到着したわけですが」

 

そもそもなんでコンビニ来てるんだって話ですが、単純に家に食料が一切無いからですねハイ。いや、昨日は明日起きてまたまとめ買いしておくかーてところだったから、ほんとタイミングが悪かった。

 

これだけ変装してから言うのもアレだが、正直、人間は意外と他人に興味ないので、悪目立ちする格好しても有名なコスプレやら、あまりにも奇天烈な格好をしていなければスルーするものだ。

今の自分は薄紫のロング、美少女以外は、パーカー、マスク、ジーンズとふっつーの格好をしてる。これでSNSにあげられたとしてもまともに話題にならないだろう。

 

「あれ、緑じゃない?」

 

――は?

 

「やっぱ緑じゃん。おっはー」

「えっと……」

「やべ、すみません、もしかして緑じゃない……?」

「いや、俺は緑だけど……」

「おいおい脅かすなよー、ガチでやっちまったかと思ったじゃんかー」

「……よく分かったな」

「そりゃどんだけ着込んでマスクしてても、"その髪色"で"その瞳"してりゃわかるだろ」

 

……どういうことだ?なんで元々男で黒髪黒目の一般ピープルの"読河 緑(ヨミカワ ミドリ)"が,"紫髪"で"紫の瞳"の"パチュリーノーレッジ"の容姿で導き出されるんだ?

 

「そうだな……わりぃ、結構上手い変装だと思ってたんだけど」

「変装って、いったい何から逃げてんだよ……。もしかして遅めの厨二病発症か?確かに今思えば紫髪なんて珍しいが今まで普通に過ごしてきたのにどういう心境の変化だ?」

「普通……?いやほら、学校とかさ見つかったら面倒じゃん」

「はぁ?今更何言ってんだよ。俺らもう二年だぞ、これまで何も言われてないんだから、もう問題ないだろ。大体生まれたころからの髪色にどうこう言われても、黒にする方が"染め"だしな」

「まあ確かに?」

「まあいいや、俺は買い物終わったし帰るわ」

「おう……」

 

……もうなにがなんだか。飯買って帰ろう。




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